人事とは?役割や必要なスキル、近年の人事傾向などを紹介

人事部門は企業にとって大事な経営資源である「ヒト」を活かす役割を担っています。数ある部署の中でも、幅広い業務をカバーするのが特徴です。 人事業務に就く人きっかけは様々ですが、人事に異動になったばかりで、まだ手探り状態。どのような仕事があるのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。 今回は、人事とはどのような業務か、必要なスキルとは、また近年の人事の傾向などを紹介します。
- <目次>
- 人事とは
- 人事部が持つ6つの役割
- 人材の採用と管理
- 人員配置の企画
- 人事評価
- 研修などによる人材育成
- 労働環境の整備
- 労務管理
- 人事担当者に必要なスキルとは
- 事務処理能力
- ミスを逃さない確認能力
- コミュニケーション能力
- 情報収集能力
- 長期計画を見据える能力
- 企業規模によって人事担当者に求められることは異なる
- 近年の人事に求められていること
- 人事部の人材育成ならSchooの企業向けパッケージがおすすめ
- まとめ
人事とは
人事とは、企業の人材管理に関する業務を行うことです。具体的には、採用活動や人材配置の企画、研修による教育などを行い、経営戦略を実現するための人材を供給します。人事評価をデータとして管理することから事務処理能力が必要な他、企業の人材が描いているキャリアプランや潜在的な能力を引き出すために、社員とのコミュニケーションが特に重要になるのが特徴です。
人事部が持つ6つの役割
人事部は以下の6つの役割を持っています。
- ・人材の採用と管理
- ・組織配置の企画
- ・人事評価
- ・研修などによる人材育成
- ・労働環境の整備
- ・労務管理
詳しく見ていきましょう。
人材の採用と管理
1つ目の役割は人材の採用と管理です。経営戦略をもとに必要な人員を設定し、求人広告サイトへの出稿や企業説明会の開催、採用試験などを行います。採用業務のほとんどを人事部が担当している企業がほとんどですが、採用プロセスの一部や非正規社員の雇用については各部署が担当することも多いです。近年では、テレビ電話などを使用してオンラインで企業説明会や採用試験を行うことも多くなっており、地方の優秀な人材も逃さないような施策がとられています。
企業の魅力をアピールし、優秀な人材の募集を促すことも重要な業務です。近年ではSNSやyoutubeなどの動画プラットフォームを活用した人材募集も行っている企業も多く、採用活動自体が求職者をターゲットにした広告業のような側面を持ち始めているため、マーケティングに関する知識も必要になってきています。
人員配置の企画
人員を適材適所に配置することで、組織の生産性を最適化することも人事部の役割です。具体的には、異動や採用、昇進や雇用形態の変更などによって、ツリー状になっている組織図に最適な人員を配置していきます。人員配置を効果的に行うためには、現在の人員配置を人員個々のスキルを可視化することが重要です。
また、企業の都合を優先しすぎた人材配置は社員の反感を買う原因になるので、大きく配置が変わる社員からの希望をヒアリングしておく必要があります。加えて、人材配置後に各部署の業績や個人の評価などを測定し、改善することで、今後の人材配置を更に最適化することが可能です。
人事評価
人材の評価も人事部の重要な役割です。企業ごとの人事評価制度に則り、人員それぞれの待遇や育成計画を考えます。人事評価制度は企業独自のものを採用している場合がほとんどで、基本的には人事部が企画して制作します。人事評価制度を企画する際には、以下のポイントをよく確認しましょう。
- ・評価基準が明確であるか
- ・評価に具体性があるか
- ・絶対評価であるか
- ・過程も評価しているか
明確な評価基準を定め、客観的な評価を行うことが人事評価では重要になります。また、相対評価を廃し、個人の能力を絶対評価することで、人員に適切な待遇を与えることができるでしょう。また、最終的な成果だけでなく、成果を出すまでにかかった工数や他の人材とのコミュニケーションなどといった過程の部分も評価するようにすると、人材の能力を余すことなく活用することが可能です。
研修などによる人材育成
人事は企業の経営目標を実現するために、必要な人材を育成する研修・教育の業務も担っています。育成計画を元に研修内容を策定し、予算の確保を行います。そして、実際の研修や教育を実施、フォローまで行います。外部機関の研修機関の利用や、講師を外部委託することもありますが、全体をみてコーディネートする役割は人事が行います。
労働環境の整備
従業員がストレスなく、働ける労働環境を整備することも人事の役割です。特に、近年では働き方改革による労働環境の改善が急務となっています。業務としては、労働基準法や労働安全衛生法をはじめとする労働関係の法令に基づき、安心して働ける環境を作ります。例えば、長時間労働への改善や労働災害の発生を未然に防ぐ対策などです。
また、ハラスメントなどの労働トラブルが発生した場合に関係者と共に専門的・中立な立場で労働トラブルの解決にあたるケースもあります。状況に応じて、社会保険労務士や労働局とも連携することもあるでしょう。
労務管理
労務管理とは、従業員の賃金や福利厚生など、労働に関することを管理する仕事のことです。 具体的には、労働契約の締結、労働条件の管理、就業規則の管理、福利厚生の管理、社会保険の手続き、勤怠管理、給与計算などです。労務管理業務の多くは労働基準法や個人情報保護法等、様々な法令や法案に基づいて行う必要がります。日頃から事前に各法令・法案に対する理解を十分に深めておかなければなりません。企業によっては、人材の採用と管理、組織配置、人事評価、人材育成などの人事管理を「人事課」が労務管理を「労務課」が行うなど別の部署に分かれていることもあります。その場合は、部署間で連携を図ることが重要でしょう。
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人事担当者に必要なスキルとは
人事の業務は多岐に渡りますが、どのようなスキルが人事担当者には必要なのでしょうか。
事務処理能力
人事業務には事務仕事も多くあります。求人の書類作り、人事考課の集計、入退社に関わる手続き等です。特に労務事務の一つである、社会保険の手続きには正確性とスピードが求められます。書類に不備があると、手続きが遅れる他、トラブルを起こしかねません。
ミスを逃さない確認能力
前述のように、人事には高い正確性が求められます。給与計算事務など、少しでも間違うと社員の生活に直結してしまいます。セルフチェックはもちろんのこと人事内でのダブルチェックが必須となります。また、自分で作成した書類はもちろんのこと、他の社員に提出を依頼して書類の内容も細かくチェックする必要があります。給与計算の元になる扶養控除申告書等を提出してもらうこともあるでしょう。その際、不備がないか即座に判断する知識と確認能力を要します。
コミュニケーション能力
人事は高いコミュニケーション能力を必要とします。 人事は、社内でのコミュニケーションだけではなく、社会保険労務士、産業医といった外部のやり取りもあります。また、初対面の人と話す機会が多いという特徴もあります。採用の場面では、会社のプロモーションから、面接など、「会社の顔」としての役割を担います。そして、限られた時間で空いてのキャリアと会社とのマッチングを判断しないといけません。高度なコミュニケーションが必要となります。
情報収集能力
社内外の情報を集める情報収集能力も必要です。例えば、採用においては年々トレンドが変わっています。逐一厚生労働局の発表などや他社動向をチェックしなければいけません。さらに、人事労務に関する法律は年々新しく変化しているため、常に最新の情報を得る必要があります。 情報収集を怠ると、気づいたら就業規則や社内規則が法律違反になっていたということも起こりえます。また、社内全体に気を配り、様々な社員の意見を広い集める必要もあります。経営者や管理職ではなく、立場の低い人の声なき声に耳を傾けることが必要なときもあります。
長期計画を見据える能力
人事は長期の経営目標をもとに社員が最大限の能力を発揮し、組織の最適化を図る、人材面の戦略を練る役割を担います。日々、臨機応変に対応しないといけない業務が発生しますが、それだけではなく、経営目標を理解し長期スパンで考える業務も並行する必要があります。
企業規模によって人事担当者に求められることは異なる
色々なスキルが必要ですが、企業の規模よって人事担当者に求められることは異なります。大企業の場合は、人事の業務内容も細分化される傾向があります。例えば、人事部の中に採用専門、教育専門などの部署があり、更に担当も細かく分かれています。より高い専門知識や効率よく業務を遂行することが求められます。中小企業では、大企業におけるような各分野のプロフェッショナルではなく、全ての人事業務をそつなくこなすことができるマルチな能力が求められます。企業によっては、総務や経理といった業務まで兼任するところもあります。
近年の人事に求められていること
これまでの人事は管理業務を中心でした。しかし、近年は経営的な視点を持った「戦略人事」が求められています。
戦略人事とは、経営目標を達成するために、人材マネジメント・育成・組織開発など人材活用面から支援することです。経営目標をよく理解し、経営者と同じ視点で人為業務を行う必要があります。例えば、「欠員があるから採用する」のではなく、会社の成長のためには、どのような人材が必要で、そのために何人採用し、どのように育成するか計画するということです。場当たり的な業務を行うのではなく、経営目標を達成するための戦略性が求められます。
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まとめ
今回は、人事とはどのような業務か、必要なスキルとは、また近年の人事の傾向などを紹介しした。裏方的な職務も多いのですが、実は必要なスキルは多岐に渡り、幅広い業務があります。また、経営陣に近い感覚も求められます。それだけにやりがいを感じられる仕事ともいえるのではないでしょうか。