人事研修の目的は適応力の向上|人事が担う3つの役割とキャリアパス事例を紹介

人事の仕事は多岐に渡るため、それに対応する研修も多くなります。人事がどのような役割をもち、どのようなキャリアパスをデザインすべきなのか、このコラムで紹介します。
- <目次>
- 人事研修の目的
- 人事が担う5つの役割
- 役割1:人材採用
- 役割2:人材評価
- 役割3:人材育成
- 役割4:労務
- 役割5:環境構築
- 役割6:目標設定
- 役割7:能力開発
- 人事に求められる役割は変化しつつある
- 人事のキャリアパス事例
- 事例①:採用のスペシャリストになる
- 事例②労務のエキスパートになる
- 事例③:採用担当から経営陣の一員/プロフェッショナル人事へ
- 事例④:人事以外の職種から研修担当へ
- 事例⑤:労務実務担当から労務スペシャリスト・社会保険労務士へ
- 人事研修向けSchooの授業
- サイバーエージェントに学ぶ人事養成コース
- 人事考課とフィードバックの方法
- 若手メンバーのキャリアマネジメント
- まとめ
人事研修の目的
雇用環境や人々の意識の変化に伴って、人事・労務を取り巻く環境も大きく変化しています。その中で、人事が担う役割は非常に多く、採用活動から今日的な課題まで、人事制度、人材マネジメント施策、労働法制、社会保険、給与計算など多岐に渡ります。
また、人々の働き方に対する価値観の多様性や、健康を重視する傾向があることを考慮した人事制度を構築・運用していく必要性や、「働き方改革」など、刻々と変化する労働法制やルールに適切に対応していくことも求められるでしょう。
そのため、人事研修は特定のスキルを伸ばせば良いというものではなく、社会情勢なども含めたキャッチアップをする習慣であったり、より自発的な学びを促進するものである必要があります。
人事が担う5つの役割
役割1:人材採用
多数の求職者とさまざまなやりとりが発生するため、予定通りに進まないことも珍しくありません。 突発的な状況にも、臨機応変に対応する力、調整力が求められます。また、採用活動の中で、求職者と関わることが増えるため、人事は会社の顔という存在になる可能性もあります。
役割2:人材評価
企業の目標と従業員の仕事の成果、労働生産性を比較し、具体的な手順を経て評価を行います。また、各従業員の行動や成果、将来性、得手、不得手を把握するためにも重要な仕事です。さらに、企業が成長するには社員を育成することが重要です。同時に、社員が目指す目標が、企業の方向性と同じベクトル上にあることが必要です。つまり、人事評価制度は、結果として生産性や企業業績のアップにつながるものであることが重要だと言えます。
役割3:人材育成
人材育成を行うことで、社員のパフォーマンスが高まり、企業業績の向上が期待できます。人材育成を重点的に行うことは、企業の成長にとって非常に重要なことです。また、人材育成に取り組むことによって、育成する側にとっても、人材育成を通して成長でき、人材育成を成功させるために社内の結束が強まります。
役割4:労務
「労務」の仕事は、採用した人の給与計算、社会保険手続き、交通費計算、入社、退職手続きなど、法律、会社規定に基づいた事務的な仕事です。例えば、「人件費」をいかに抑え、かつ社員のモチベーションを保つ土台を作り、利益を伸ばすために労務管理は重要です。会社を存続させ、大きくしていくためには労務は経営者的な視点が求められる、非常に重要な役割です。
役割5:環境構築
人事の仕事には職場環境を整える業務も含まれます。環境とは物理的な明るさや騒音などから働く人同士の人間関係など精神的なものまで含まれます。作業効率を上げ、業績低下を防ぐために、人事として職場環境を整えるという仕事は、会社の業績にも大きく影響する、非常に重要な仕事です。
役割6:目標設定
目標設定は人事の役割であると同時に管理職の役割でもありますが、重要な役割の1つです。会社から一方的に目標を押し付けるのではなく、社員それぞれの特性やキャリアの志向に合わせて目標設定をするようにしましょう。そして、社員個人がまず自分で目標を設定し、それに対して上司がフィードバックをするような「目標管理」するという流れで、社員の目標を達成できるようにしましょう。
役割7:能力開発
社員の能力開発も人事の役割として挙げられます。開発する能力は社員の業種や所属するチームなどによって変わってきますが、どのような能力を伸ばす、もしくは身に着ける必要があるのかを社員と共に考え、段階的な目標を設定することが大切です。役割6で挙げた目標設定と同じように、社員のキャリア志向も考慮した上で開発する能力の設定、目標までのプロセスを考えるようにしましょう。
人事に求められる役割は変化しつつある
従来の人事は、労働環境の整備や人事制度の運用のような管理業務に重点を置く傾向がありました。しかし、ビジネス環境が急速に変化している今、人事がスピード感を持って人材資源を適切にマネジメントする重要性が高まっています。
そして今、「戦略人事」というキーワードを耳にする機会が増えています。戦略人事とは、人材育成や組織づくりを、経営目標に基づいて行うという考え方です。戦略人事を実現するためには人事が経営戦略を理解した上で、現場の課題を見抜き、解決まで持っていく能力が必要です。つまり、人事にはこれまでの業務に加えて組織の成長を支えるビジネス戦略上のパートナーとしての役割も求められるようになっているということです。
人事のキャリアパス事例
人事で採用担当としてキャリアを初めて採用のスペシャリストになる方から、採用には関わらずに研修担当としてキャリアアップしていく方もいるなど、人事のキャリアパスは様々です。 そこで、本章では人事のキャリアパスの事例をいくつかご紹介します。
事例①:採用のスペシャリストになる
人事では、採用や労務としてキャリアをスタートすることがほとんどです。採用からキャリアをスタートし、採用のスペシャリストになるというキャリアパスがあります。このケースはIT・ゲーム・メディカルといったような専門的な知識が必要になる職種に多く、それらの事情に精通した採用担当者は非常に重宝されるようになります。
事例②:労務のエキスパートになる
人事の労務としてキャリアをスタートさせ、まずは給与計算や社会保険手続きなどの事務手続きをこなし、経験を積んだ上で労務相談や、労働基準監督署への対応、労働組合がある場合は組合折衝などを担う労務のエキスパートになるというキャリアパスもあります。人件費や人員計画などと密接に関わるため、経験を積むと経理・財務などと関わり、経営に携わる仕事も担うようになります。
事例③:採用担当から経営陣の一員/プロフェッショナル人事へ
新卒で採用担当としてキャリアをスタートするケースでは、学生と年齢が近い方が多いため、インターンや会社説明会、選考の事務局、内定者フォローなどを行うケースが多い傾向があります。業務経験を積むと、中途採用も担当するようになります。中途採用では、各部署からの要望を聞いたり、面接官との調整などが必要になるため、社内外での調整・交渉力が問われるます。そして、ベテランになるとより経営に近い仕事を任せられるようになり、「戦略人事」の視野を持ちながら制度設計などにも携わる、もしくは人事のプロフェッショナルとして働くというキャリアパスがあります。
事例④:人事以外の職種から研修担当へ
研修担当部門が独立して存在する大企業で見られるケースですが、採用担当を経験せずに人事の研修担当になるケースもあります。研修には様々な種類があり、人材育成が重要視される今、研修を統括する研修担当者は経営に近い仕事を任せられるケースも多く見られます。加えて、経験を積んだ研修担当者は人材育成だけではなく組織のマネジメントを任されることも少なくないため、組織において重要な役割を担うことになります。
事例⑤:労務実務担当から労務スペシャリスト・社会保険労務士へ
労務実務担当者として経験を積むと、社会保険労務士の資格取得を目指す方も少なくありません。社会保険労務士事務所に所属し、労務実務経験を活かしてクライアント企業の給与計算や、社会保険手続き、様々な労務相談を行うことができます。さらに、独立して事務所を構えることもできます。
人事研修向けSchooの授業
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サイバーエージェントに学ぶ人事養成コース

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担当講師:曽山 哲人先生株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括
上智大学文学部英文学科卒。 株式会社伊勢丹(株式会社三越伊勢丹ホ ールディングス)に入社し、紳士服の販売とECサイト立ち上げに従事したのち、1999年株式会社サイバーエージェントに入社。 インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。 現在は取締役として採用・育成・活性化・適材適所の取り組みに加えて、 「最強のNo.2」「クリエイティブ人事」「強みを活かす」など複数の著作出版や アメーバブログ「デキタン」、フェースブックページ「ソヤマン(曽山哲人)」をはじめとしてソーシャルメディアでの発信なども行っている。
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担当講師:膽畑 匡志先生株式会社サイバーエージェント 人事統括本部人材開発部長
慶応義塾大学経済学部卒業。 2001年に株式会社サイバーエージェント入社。 インターネット広告代理事業の営業部門に配属となり、 営業マネージャー、営業局長、営業部門統括を経て、CA子会社として 2006年に株式会社シーエー・エイチを設立し代表取締役社長に就任。 2012年7月からCAの人事本部に移り、現在は採用育成部の部長などを歴任し、現在は人材開発本部の統括を務める。
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担当講師:渡邊 大介先生株式会社サイバーエージェント 新卒採用責任者
1982年埼玉県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。 2006年にサイバーエージェント入社後、広告部門にてアカウントプランナーとして数々のナショナルクライアントを担当。 2009年よりソーシャルメディアマーケティングを専門に扱う部署を、2011年からはtoC向けサービス開発を行う部署の立ち上げに参画し、昨年10月より現職。
人事考課とフィードバックの方法
若手メンバーのキャリアマネジメント
まとめ
- ・人事の仕事として、労働環境の整備や人事制度の運用のような管理業務に加えて、人事がスピード感を持って人材資源を適切にマネジメントする重要性が高まっている。
- ・人事の仕事は採用だけでなく、会社のマネジメントに関わる部分まで広がってきている。
- ・人事のキャリアパスは様々で、人事の業務経験は様々な仕事に役立つ。
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それにより集合研修やOJTの場は知識の定着を図ったり疑問点を解決したりといった時間に充てることができ、 研修をより効果的に行うことが可能です。
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