DX人材とは|5類型や確保するための方法を紹介

DX人材とは、デジタルテクノロジーを理解し、その導入や活用を戦略的かつ効果的に推進する能力を持った専門家や従業員のことです。DXを推進する人材の5類型と、それぞれに求められるスキル、DX人材を確保するための具体的な方法についても紹介します。
- 01.DX人材とは
- 02.DX人材の5類型
- 03.DX人材に求められるスキル
- 04.DX人材の不足状況
- 05.DX人材を獲得する方法
- 06.Schoo for BusinessのDX研修
- 07.まとめ
01DX人材とは
DX人材とは、デジタルテクノロジーを理解し、その導入や活用を戦略的かつ効果的に推進する能力を持った専門家や従業員のことです。単にITスキルを持つだけでなく、デジタル技術を活用して業務プロセスの改善や新たなビジネスモデルの創出に貢献できることが求められます。
具体的には、データ分析を駆使して意思決定を行うデータサイエンティスト、システムの設計・開発を担うエンジニア、DX戦略を策定する企画担当者などが含まれます。
また、最新技術を理解しながらも、現場との橋渡しを行い、組織全体の意識改革を進める役割も重要です。これからの企業にとってDX人材の確保と育成は不可欠であり、適切なスキルを備えた人材の育成が競争力強化の鍵となります。
02DX人材の5類型

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、企業内でDXを担う職種を以下の5つに定めています。それぞれの職種で求められているのは、デジタルに関する知識だけではありません。ここでは、職種ごとに求められるデジタルビジネススキルを紹介します。
ソフトウェアエンジニア
DX人材と聞くと、まずエンジニアやプログラマーを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。デジタルシステムの実装やインフラ構築を担うエンジニアやプログラマーにはシステム設計技術だけではなく、プロジェクトマネジメント力も求められます。
ビジネスアーキテクト
DXにおけるビジネスアーキテクトは、顧客やパートナーとの良好な関係を築きつつ、イノベーションの創出から事業化まで、すべてのプロセスを統括する役割を担います。そのため、基本的なITスキルに加えて、ビジネス・マネジメント力や外部環境把握力、また組織牽引力を備えた人物が適任です。
デザイナー
DXやデジタルビジネスの企画・立案から推進までを担うのがデザイナーです。ITの知識はもちろん、市場に求められるビジネスを発想して構築する着想力や企画構成力、また従業員から理解を得られるファシリテーション能力が必要です。デザイナーは、チームの核として動くことが多い職種といえます。
データサイエンティスト
DXに関するAIやIoTなどのデータ解析に精通しているのが、データサイエンティストです。センサーや通信機器の発達、ネットサービスの普及で収集・蓄積されたビッグデータから、ビジネスに活用する知見を引き出す役割を担っています。
サイバーセキュリティ
ビジネスの企画・立案に対して、サイバーセキュリティの面から、業務プロセスにおいて支障となるデジタルリスクの影響を検討し、最小限に抑える役割を担います。この役割があることで、企業としての信頼感の向上にも貢献します。
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03DX人材に求められるスキル
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によると、DXを推進する人材に求められるスキルは、以下の5つのカテゴリに分類されます。
- ・ビジネス変革
- ・データ活用
- ・テクノロジー
- ・セキュリティ
- ・パーソナルスキル
DXを推進する人材に求められるスキルは、ビジネス変革、データ活用、テクノロジー、セキュリティ 、パーソナルスキルの5つのカテゴリに分類されており、それぞれのカテゴリーには、サブカテゴリーと求められるスキル項目があります。どれもDXを推進する上で欠かせないスキルです。
ビジネス変革
戦略・マネジメント・システム
DXを成功させるためには、全社的な戦略立案とマネジメントが欠かせません。デジタル技術を活用して競争力を高めるには、単なるシステム導入ではなく、事業戦略と一体化した取り組みが必要です。経営層から現場までが同じ方向を向き、円滑に変革を進めるための管理手法も求められます。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・ビジネス戦略策定・実行
- ・プロダクトマネジメント
- ・変革マネジメント
- ・システムズエンジニアリング
- ・エンタープライズアーキテクチャ
- ・プロジェクトマネジメント
ビジネスモデル・プロセス
DXによる新たな価値を創出するには、従来のビジネスモデルの見直しが不可欠です。市場や顧客ニーズの変化を捉え、最適なプロセスを設計することで、競争力のある事業運営が可能になります。また、データ活用やデジタル技術を組み込んだ新しいビジネスモデルの構築も求められます。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・ビジネス調査
- ・ビジネスモデル設計
- ・ビジネスアナリシス
- ・検証(ビジネス視点)
- ・マーケティング
- ・ブランディング
デザイン
DXでは、単にシステムを構築するだけでなく、ユーザー視点でのデザイン思考が重要です。顧客の課題を理解し、価値を提供できるプロダクトやサービスを設計することで、より良いユーザー体験を実現できます。デザインプロセスを通じた検証も不可欠です。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・顧客・ユーザー理解
- ・価値発見・定義
- ・設計
- ・検証(顧客・ユーザー視点)
- ・その他デザイン技術
データ活用
データ・AIの戦略的活用
DXを推進する上で、データやAIをどのように活用するかは重要な戦略の1つです。データの収集・分析を適切に行い、ビジネスに有益なインサイトを得ることで、競争優位性を確立できます。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・データ理解・活用
- ・データ・AI活用戦略
- ・データ・AI活用業務の設計・事業実装・評価
AI・データサイエンス
DXの進展に伴い、AIやデータサイエンスの活用が欠かせません。データ分析や機械学習を用いた意思決定の高度化により、業務の最適化や新たな価値創出が可能です。統計的手法や高度な解析技術を理解し、適切に応用するスキルが求められます。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・数理統計・多変量解析・データ可視化
- ・機械学習・深層学習
データエンジニアリング
データを効果的に活用するには、適切なデータ基盤の構築と運用が不可欠です。組織全体でデータを円滑に活用できる環境を整えることで、分析の精度向上や業務効率化につながります。信頼性の高いデータ基盤を設計し、持続的に運用する能力が求められます。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・データ活用基盤設計
- ・データ活用基盤実装・運用
テクノロジー
ソフトウェア開発
DXを推進するためには、ソフトウェア開発の知識と技術が不可欠です。効率的なシステム開発を実現するためには、チームでの開発手法や設計プロセスを理解し、適切に適用することが求められます。加えて、最新の技術動向をキャッチアップしながら、柔軟に対応できる能力も必要です。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・コンピュータサイエンス
- ・チーム開発
- ・ソフトウェア設計手法
- ・ソフトウェア開発プロセス
- ・Webアプリケーション基本技術
- ・フロントエンドシステム開発
- ・バックエンドシステム開発
- ・クラウドインフラ活用
- ・SREプロセス
- ・サービス活用
デジタルテクノロジー
先端技術の活用は、DXにおいて大きな差別化要因となります。フィジカルコンピューティングやその他のデジタル技術を適切に活用し、ビジネスの発展につなげることが重要です。また、テクノロジートレンドを理解し、適切に活用できる力も求められます。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・フィジカルコンピューティング
- ・その他先端技術
- ・テクノロジートレンド
セキュリティ
セキュリティマネジメント
企業のセキュリティ体制は、業務の安定性を支える基盤です。セキュリティマネジメントは、その重要な役割を担います。組織のセキュリティ方針を策定し、継続的な運用と改善を行うことで、サイバーリスクに対する備えを強化できます。DXの進展とともに、企業の情報資産が増加する中で、しっかりとした体制構築が重要といえるでしょう。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・セキュリティ体制構築・運営
- ・セキュリティマネジメント
- ・インシデント対応と事業継続
- ・プライバシー保護
セキュリティ技術
セキュリティ技術は、企業のITシステムを守るための実践的な手法です。セキュア設計や開発、インフラの構築は、システムの脆弱性を防ぐために不可欠です。また、運用や監視体制が整っていれば、攻撃を未然に防ぐだけでなく、万が一の事態にも迅速に対応できます。技術的な知識は、DX推進の重要な要素として機能します。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・セキュア設計・開発・構築
- ・セキュリティ運用・保守・監視
- ・パーソナルスキル
パーソナルスキル
ヒューマンスキル
DX推進において、技術だけでなく、チームや組織内での連携が不可欠です。リーダーシップやコラボレーション能力は、複雑な課題を解決し、プロジェクトを円滑に進行させるために重要です。これらのスキルは、DXを支える人材として、組織の競争力を高める要素となります。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・リーダーシップ
- ・コラボレーション
コンセプチュアルスキル
DX推進には、柔軟な考え方が求められます。ゴール設定を適切に行うことで、方向性を定め、創造的な問題解決や批判的思考によって課題を乗り越えることができます。また、適応力を持つことは、急速に変化するテクノロジーや市場の環境に対応するために重要です。これらのスキルがあれば、DXの成功に繋がります。
スキル項目は、以下の通りです。
- ・ゴール設定
- ・創造的な問題解決
- ・批判的思考
- ・適応力
04DX人材の不足状況

DX動向2024調査によると、日本企業ではDXを推進する人材の不足が、年々深刻化しています。一方で、2022年度の米国企業では「DX人材の過不足はない」と回答した割合が5割を超えており、日米間で大きな差は明らかです。この差の要因として、日本企業ではDX人材の育成や採用が、十分に進んでいないことが挙げられます。
DXに必要なスキルを持つ人材が市場で限られている中、既存の社員に対するリスキリングや社内育成が重要といえるでしょう。
▶︎参考:DX 動向 2024 - 深刻化する DX を推進する人材不足と課題
人材類型別の過不足状況

DX動向2024調査によると、DX推進に必要な5つの人材類型のうち、特に「ビジネスアーキテクト」と「データサイエンティスト」の不足が深刻化しています。
「ビジネスアーキテクト」は、DX戦略の策定や業務プロセスの変革を主導する役割を担い、DXを推進する企業にとって不可欠な人材です。しかし、その専門性の高さから適任者が少なく、多くの企業で採用が難航しています。
一方、「データサイエンティスト」は、企業のデータを分析・活用し、意思決定を支援する役割を果たします。近年、データドリブン経営の重要性が高まる中、データ活用のニーズが増加しており、人材確保が課題となっています。
このように、DXの推進において中核となる人材の不足は、企業のデジタル変革の遅れにつながる可能性があります。適切な人材の育成・確保が急務です。
05DX人材を獲得する方法

DX動向2024調査によると、DXの成果が出ている企業では、DX人材の獲得・確保において、社内人材の育成に最も力を入れています。しかし、それだけでなく「経験者・外部採用(中途採用)」「社外の専門家(コンサルタント等)との契約」「特定技術を有する企業や個人との契約」など、外部の力を積極的に活用していることも特徴です。
DXに求められるスキルは専門性が高く、すぐに必要な人材を社内で育成するのは容易ではありません。そのため、外部の専門家を活用しながら社内のDX推進力を強化するアプローチが有効です。成果を出している企業は、社内育成と外部活用のバランスを取りながら、DXを推進する体制を整えています。
社内人材の育成
DXを推進する企業の多くは、社内人材の育成に力を入れています。既存社員を育成することで、企業のビジョンや業務理解を持つDX人材を確保でき、長期的な競争力向上につながるためです。
具体的な施策としては、オンライン研修やワークショップの実施、OJTによる実務経験の提供が挙げられます。特に、デジタルツールの活用スキルやデータ分析の基礎を学ぶプログラムは、多くの企業で導入されています。
ただし、社内育成には時間がかかるため、短期間でDXを推進する必要がある場合には他の手法と組み合わせることが重要です。社内のリスキリングと外部リソースの活用を両立することで、効率的なDX推進が可能になります。
経験者・外部採用(中途採用)
DX推進の即戦力を確保する方法として、経験者の中途採用があります。すでにDXの知見を持つ人材を採用することで、短期間でプロジェクトを推進できるため、多くの企業が活用しています。
特に、データサイエンスやAI、クラウド技術の専門家は需要が高く、市場でも争奪戦が繰り広げられています。採用の際には、高度なスキルを持つ人材を見極める選考プロセスの設計が重要です。
一方で、優秀なDX人材は転職市場でも引く手あまたであり、採用競争が激しい点が課題です。採用後の定着を考慮し、適切な報酬やキャリアパスの提示、柔軟な働き方の提供を組み合わせることが求められます。
社外の専門家(コンサルタント等)との契約
DXの専門家を活用する方法として、コンサルタントや外部の専門企業との契約があります。自社にノウハウが不足している場合、専門的な知識や経験を短期間で導入できる点が大きなメリットです。
例えば、DX戦略の策定やデータ活用のアドバイス、システム導入のサポートなど、特定の課題に応じて外部の知見を活用できます。これにより、社内のDX推進を加速させることが可能です。
しかし、コンサルタントは費用が高額になることが多く、長期的な視点でのノウハウの内製化が課題となります。外部に依存しすぎず、社内人材の育成と並行して活用することで、持続可能なDX推進体制を構築できます。
06Schoo for BusinessのDX研修

オンライン研修/学習サービスのSchoo for Businessでは約9,000本の講座を用意しており、DXほか様々な種類の研修に対応しています。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
DX研修では、診断結果から自動で学習内容を推奨してくれる機能だけでなく、実務で使えるスキルを身につける3ヶ月の学習プログラムまで用意しており、組織全体のDXスキルを底上げすることが可能です。
特長1. DXスキルを診断・結果に応じて学習のレコメンド

「DXスキル診断」で社員のDXスキルを可視化することができます。100問ほどの質問に回答することで、社員一人ひとりの強みや課題が明らかになります。
また、この診断結果に基づいて自動で学習コンテンツをレコメンドする機能も備わっています。学習内容は、経産省のデジタルスキル標準に準拠しています。
※DXスキル診断の利用に、追加料金は一切かかりません。Schoo for Businessの利用者は無料でこの機能をお使いいただけます。
特長2. 実践的なDXスキルが学べる

Schooの学習動画では、第一線で活躍するビジネスパーソンが講師を務めています。そのため実践的なスキルが身につく研修を実施することが可能です。
また、データ分析・ITリテラシーなどスキル毎にカリキュラムもご利用いただけます。カリキュラム作成に時間を割く余裕が無いという方でも、簡単に研修を開始できます。
※DXカリキュラムの利用に、追加料金は一切かかりません。Schoo for Businessの利用者は無料でこの機能をお使いいただけます。
07まとめ
DX人材の育成が、現在の日本企業に求められている急務であることに間違いはありません。しかし、定義や育成方法を誤るとかえって時間や費用の無駄遣いになってしまう可能性があります。そのようなことがないように、DXに最適と思われる人材を選定し、効果的な研修を実施するようにしてください。
▼【無料】経済産業省が取り組む デジタル人材育成プラットフォーム|ウェビナー見逃し配信中

経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。
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登壇者:金杉 祥平様経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)
2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。