自然言語処理とは?詳しい仕組みや活用方法について解説
AIが分析する技術のひとつとして「自然言語処理」があります。現在この技術は、スマートスピーカーをはじめとしたさまざまなAIサービスで活用されています。今回の記事では、自然言語処理が行われる主な流れや活用事例を紹介します。
- 01.自然言語処理とは
- 02.自然言語処理が注目される理由とは
- 03.自然言語処理の仕組みとは
- 04.自然言語処理の活用事例
- 05.Schoo for BusinessのDX研修
- 06.まとめ
01自然言語処理とは
自然言語処理(Natural Language Processing)とは、機械学習を使用してテキスト(自然言語)の構造や意味を明らかにすることです。具体的には、日常会話で用いられる「話し言葉」から、本記事のようなコラムや論文のような「書き言葉」までを対象として、それらの言葉を機械学習によって解析する技術のことです。
自然言語とは
自然言語とは、平たく言うと「私たち人間が日常書いたり話したりしている日本語や英語のような、自然な言語のこと」を指し、人間が意思疎通のために日常的に用いる言語の総称です。文化的背景を持っておのずから発展してきた言語で、プログラミング言語や論理式などの対義語にあたります。
コンピューター言語と自然言語の違いとは
コンピューター言語と自然言語の違いは、言葉の曖昧性にあります。自然言語には、文の意味や解釈が一意で決まらない曖昧性がある一方、コンピューター言語には、そういった曖昧性がありません。曖昧性なく解釈がひとつになるように、厳密に文法を定義したものがプログラミング言語です。
02自然言語処理が注目される理由とは
現在、多くの企業がDXを謳い、DXに関する書籍も多く刊行されています。あわせて、2010年代後半からビジネスで注目を集めていたAIの技術開発の流れも大きく変動し、自然言語処理に対する注目が高まっています。ここからは、DXへの注目が高まるなかで、自然言語処理技術の注目が高い理由を解説します。
膨大なテキストデータの解析
IDC Japanの予測によると全世界で発生するデータの量は、2025年には163兆ギガバイトに達することになっています。しかも、増加するデータのほとんどは、人間が作り出す非IoTデータになるというのです。 現在は、コミュニケーションの発達により、テキストデータが収集しやすい環境が急速に構築され始めています。日本でも、社内コミュニケーションツールでは、SlackやChatworkを活用する事例が増加傾向にあり、議事録自動生成システムによる会議のデータのデータ化や、はんこの廃止による紙媒体の書類が減少など、インターネットを活用するツールはますます広く普及されることでしょう。 膨大なテキストデータの解析は、もはや人間の手では処理しきれない状態にあることから、自然言語処理の技術を高めることが急ピッチで要され、注目を集めるきっかけとなりました。
BERTやGPT-3など汎用言語モデルの進化
2018年、Googleは汎用言語モデル「BERT」を公開しました。従来の自然言語理解のタスクの多くで最高の性能を達成し、現在はGoogle検索にも導入されています。複雑な文章にも対応し、正確な結果を返せる点で優位性があり、より人間に近い対話が実現しやすくなりました。 また、アメリカの非営利団体「OpenAI」が開発した「GPT-3」は、800万に及ぶWebページを人間が整理し、それを学習することであたかも人間が書いたような文章を自動で生成することが可能になりました。 このままGPT-3の軽量化が進めば、提案書やマニュアル、企画書の自動生成や、メールの代理返信、コールセンターのオペレーターの一次受けなど、ビジネスのさまざまな面で役立つこととなるため、多くの企業が関心を寄せています。
日本企業の汎用言語モデル技術への参入
英語圏での自然言語処理技術の発展の流れに、日本国内の企業も合流し、日本語圏での自然言語処理技術が大きく発展しようとしています。 実際に、2020年11月にLINE株式会社は、世界初の日本語に特化した超巨大な言語モデルを開発すると発表しました。これによって100億ページ以上の日本語データを学習データとして利用するとされていて、今後、日本語における自然言語処理技術の水準が大きく向上すると予想されています。 また、2021年4月、チャットボット「りんな」などを提供するrinnaは日本語に特化したGPT-2の言語モデルを構築し、オープンソフトウェアとして公開しました。今回、公開したモデルは中規模サイズのものですが、今後は異なるサイズのモデルの公開も予定しています。こういった、日本企業の汎用言語モデル技術への参入も自然言語処理が注目される背景のひとつです。
03自然言語処理の仕組みとは
自然言語処理は、「機械可読目録」や「コーパス」という前段処理のあと、「形態素解析」「構文解析」「意味解析」「文脈解析」という流れで処理が行われます。このような行程で処理される自然言語処理は、さまざまな場面で活用され始めています。ここでは、自然言語処理が行われる主な流れについてご紹介します。
機械可読辞書とコーパス
図書館や書店などで書籍検索システムに使われる「機械可読目録」は、自然言語処理の前段階として辞書的な役割を果たします。 また、機械可読目録同様に自然言語処理の前段階のひとつとして用いられるのが「コーパス」です。コーパスは、自然言語の使用方法を蓄積・記録した言語全集のようなデータを意味します。これを分析することで言語の特徴を捉え、自然言語処理に活用できるようになります。
形態素解析
形態素解析とは、文章を言語上の最小単位である形態素ごとに分解し、分割された単語の品詞や語形処理について解析することです。 コンピュータによる形態素解析処理は、当該言語の文法規則や、単語や接辞などの要素を列挙した辞書データを用いて行います。 英語など、アルファベット圏の言語は単語ごとに短い空白をあける「分かち書き」をするため、基本的に単語の接辞や変化を調べるだけで利用できます。しかし、日本語や韓国語などでは単語に分けず一文を続けて記すため、単語分割の段階で複雑な処理や大量の辞書データが必要となるのです。
構文解析
構文解析とは、文章がどのような要素で構成され、それぞれがどのような関係にあるかを明らかにすることです。 例えば、「花子はバスケットボールが好きだ」といった例文の場合、「花子は」は主語となる名詞句、「バスケットボールが好きだ」は動詞句になり、さらに「バスケットボールが」は目的語となる名詞句、「好きだ」は述語となる動詞句に分類されます。このように、構文解析をすることで、それぞれの言語要素の関係性が明確になり、文構造の図式化が可能になります。 そのため、構文解析は各種の自然言語処理の基礎技術として重要で、機械翻訳や要約生成、自然言語検索、音声アシスタントなどさまざまな分野に応用がされています。
意味解析
「意味解析」とは、目的プログラム生成行程プログラミング言語において、コンパイラーがソースコードを解析し、目的プログラムを生成する際の処理工程のひとつです。ソースコード内に記述された変数の型や文が、言語の記述仕様に沿っているかどうかをチェックし、問題がない場合は、コード生成、最適化の手順を経て目的プログラムが作成されます。 コンパイル字句解析構文解析最適化日本語入力システムの機能日本語入力システムなどで、入力された語句の意味を解析して変換する機能が意味解析です。
文脈解析
文脈解析とは、複数の文のつながりをチェックする機能のことです。代名詞の参照問題などもこの文脈解析に含まれ、物語の理解などは文脈解析が必要不可欠です。しかしながら、文脈解析は意味解析以上に困難で、未だ文脈を一点もミスもなく完璧に解析できるシステムは誕生していないのが現状です。そのため、今後の研究が期待される分野となっています。
04自然言語処理の活用事例
スマートフォンやパソコンを当たり前のように使用している現在では、多くの場面で自然言語処理を応用した技術が使われています。普段、何気なく利用しているサービスも自然言語処理を活用したサービスであるケースが多いものです。
検索エンジン
検索エンジンは、Google検索やYahoo!検索などのインターネット上にあるWebサイトを検索できるプログラムのことです。 Webサイトに掲載されている文章をコンピューターが理解できなければ、検索キーワードに合ったWebサイトを見つけることができません。このように、Webサイトを探す作業に必要なテキストデータ処理のため、NLPが活用されています。
文字入力の変換
パソコンやスマートフォンで入力したひらがなの文字を、漢字や顔文字、絵文字に変換する機能、また文字入力の変換にも自然言語処理が使われています。言葉の句切れや同音異義語の違いを解析することで、意図した意味の変換が可能となる仕組みが構築されています。
音声対話システム
音声対話システムとは、音声の意図や内容を理解・推察し、適切な応答をするシステムのことです。話した言葉を認識して検索するような音声検索のようなシステムは、音声対話システムとは呼びません。AlexaやSiriが音声対話システムの代表例で、特にSiriはこのシステムが広く用いられるきっかけとなりました。
音声認識 AI
音声認識 AIは、自然言語処理を用いて開発されたものが多いです。例えば、自動で議事録を作成してくれるサービスや、テレアポ営業の自動書き起こしなども音声認識AIの技術を使用しています。
AI-OCR(文字認識)
AI-OCR(文字認識)にも自然言語処理は活用されています。AI-OCRとは、手書きの文字をカメラが認識し、文字データへと変換する技術のことです。例えば、請求書のPDFを読み取り、請求先企業の名前を自動で登録したり、名刺スキャンなどの技術も、このAI-OCRが活用されています。
翻訳
Google 翻訳を代表とする翻訳機能も自然言語処理を活用しています。入力された文章を自然言語処理によって解読し、それを異なる言語でアウトプットするといった仕組みです。また、機械翻訳の精度が向上してきたことにより、アウトプットを音声で行うようなサービスも増えてきています。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
05Schoo for BusinessのDX研修
Schoo for Businessでは約8,500本を超える数の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自律学習推進を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自律型学習にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自律型学習には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自律型学習の双方の効果を得ることができるのです。
SchooのDX研修カリキュラム
Schooの数多くの授業の中にはDXが学べる授業も多くあります。ここでは、SchooのDX研修カリキュラムを紹介します。
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DXを推進する上で、ベースとなるビジネススキルの習得を目的とした研修パッケージです。
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DX人材となるために必要な基礎的なスキルや知識を学ぶことができる研修パッケージです。
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インターネットの仕組みから、情報セキュリティに関する知識を習得することを目的としたパッケージです。
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ただ数値を見てボトルネックを発見するのではなく、課題の本質を見抜くという点に焦点を当てた研修パッケージです。
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与えられた課題に対してそのまま実行に移すのではなく、一歩引いた状態で“与えられた課題の目的・背景”=Whyを考えられる能力を養うことを目的としたパッケージです。
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問題解決を目的としたデータ分析の方法や批判的思考法を学び、デジタル技術を組み合わせながら課題解決をどのように実施していくかを導き出す能力を養うことができます。
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DXを推進する上でのデジタル技術の基礎を学ぶことができます。IoT導入の担当者やDX推進プロジェクト担当者におすすめの授業です。
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DXを進める上で欠かすことのできない顧客理解・インサイトの見つけ方を習得することを目的としています。
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DXのプロジェクトを実際に推進していく人におすすめの研修パッケージとなっています。
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DXは1人では実現できず、チームとして着実に前に進めていく必要があります。この研修パッケージでは、チームとして生産性高く、イノベーションを起こしていく方法を学ぶことができます。
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デジタライゼーションに留まらず、本質的なDXを推進したいという方におすすめの研修パッケージです。
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プロジェクトマネジメントに必要なスキル・知識を体系的に学べる授業をまとめました。PMだけでなくチーム全員で研修を受けておくと、それぞれの視座も上がり、さらにコミュニケーションが円滑になるかもしれません。
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「じゃらん」や「ホットペッパー」などの事例を用いて、CRMの基礎からデータ分析の方法まで学ぶことができる研修パッケージです。
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DXを用いた新事業創造や、事業戦略の立案についてを学ぶことができるパッケージ
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
06まとめ
DXの流れのなかで、オフィスの業務効率化にAIを活用するには、自然言語処理技術の発展が求められ、これからはさらなる市場の拡大が予想されます。 自然言語処理技術が発展するこれからの数年間、いかに技術を見極め、活用できるかが、企業の競争優位性に大きく関わってくることになるでしょう。ぜひ、本記事を参考に自然言語処理に対する知識を深め、新しい時代への変化へと備えるようにしてください。