公開日:2021/08/26
更新日:2023/03/19

VUCAとは?注目される理由や必要なスキルについて解説する

VUCAとは?注目される理由や必要なスキルについて解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

時代の変化が激しい昨今、予測不可能な時代に入ったと言われています。この時代には、何が必要なのでしょうか。本記事では、予測不可能な時代だからこそ必要となるVUCAの概念と必要な4つの視点について解説していきます。

 

01VUCAとは

VUCAとは、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」を意味する俗語です。元々は1990年代後半に軍事用語として利用された用語で、2010年代に入ると、昨今の変化が激しく先行き不透明な社会情勢を指して、ビジネスシーンにおいても使われるようになりました。

VUCAは、以下の4つの単語の頭文字をとった造語です。

  • ・V(Volatility:変動性)
  • ・U(Uncertainty:不確実性)
  • ・C(Complexity:複雑性)
  • ・A(Ambiguity:曖昧性)
 

02VUCA時代の変化

VUCA時代とも言われる昨今、社会ではどのような変化が起きているのでしょうか。これまでも不透明な時代、変化が激しい時代と呼ばれる時代がありました。では、今回起きている時代の変化とは具体的には、どのような変化なのでしょうか。次に、時代の変化がどうおきているかについて解説していきます。

モノづくり社会の限界

1950年代から日本を支えてきた製造業ですが、モノが溢れコト社会への推移にともなって、停滞が懸念されています。日本経済を支え続けてきた製造業は変化の岐路に立っています。日本の根幹産業が危機に瀕していることは、これまでの時代変化と大きく異なる点です。日本では、低迷している製造業ですが北米やアジアの企業は伸び続け、欧州の企業はアップダウンを繰り返しながらも結果的には伸びています。日本だけにおきている変化は、今までにはなかった特徴のある変化です。

終身雇用の終焉

日本の雇用制度の柱であった終身雇用制は終焉を迎えています。年功序列制の賃金の廃止などもあり、長く勤めることが美徳ではなく、いかに生産性をあげるかがテーマとなってきていることも大きな変化の1つです。人生100年時代が到来し、長く働き続けることを希望する人が増えても、同じ職場で働き続けることができない可能性も出ています。このような変化は、ここ数年来の変化であり、それ以前にはありませんでした。

デジタル社会への推移

働き方の多様化が進み、リモートワークなどの促進を受け、デジタル社会への変化が急激に進んでいます。従来の対面式会議はWEB会議となり、事務所に出勤することなく業務運営ができる環境が整いだしています。デジタル社会への推移も急激に進む中、より利便性の高い商品の販売なども繰り広げられている点も、ここ数年来におきた大きな変化の1つです。

▼デジタル社会について詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】DXが社会にもたらす変化とは?その影響や取り組みについて紹介する

グローバリゼーション

グローバリゼーションの推進により、国という垣根を超えた政治・文化・経済などが動く時代となりました。ひとつの情報があっという間に世界中に広がる時代は、情報化社会の一つの効果であるとも言われ、私たちの生活をも大きく変える要素となっています。この動きによりビジネス社会もグローバル化が加速し、国内だけでサービス展開をすることに限界を感じている企業も増えてきました。同時に、競争力がなくては生き残れない時代となったことで企業単位だけはなく個人単位での競争力強化が必須とされています。


 

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03VUCAの4つの視点

次に、VUCAの4つの視点を解説していきます。VUCAを構成している4つの視点を理解することで、VUCAについての理解を深めると同時に、本質的な意味合いを理解していきましょう。そして、なぜビジネスの世界においてVUCAが重要視されているかについても理解していくことが大切です。

Volatility(変動性)

Volatilityは「変動性」「激動性」を意味します。これまでは、大きな力やお金を持った組織が多額の広告費を支払うことでテレビやラジオ、新聞や雑誌、電車の中吊り広告など様々な媒体を通じて自社の商品やサービスを紹介してきました。その結果、販売促進の方法が確立し、時には流行を作り出してきました。しかし、現在では、個人による情報の受発信が可能となり、消費者側が主体で情報を入手し、取捨選択を行う時代となりました。その時代に合わせた手法や、主流となる媒体の成長によって、売り手と買い手の関係性は変化します。このような変動、流動性に対応できることが求められます。

Uncertainty(不確実性)

Uncertaintyは「不確実性」を意味します。経済や社会がグローバル化することで世界は大きな発展をとげた影響がある中で、互いに強く関係し合うことより、一つの国の経済的ダメージが世界規模に発展することもあります。このような状況では、世界中のどこかで何かが起きる不安が起きています。こうした予測しきれない「不確実性」に対応していかなければならない時代となりました。

Complexity(複雑性)

Complexityは「複雑性」を意味します。グローバル化にともない競合や協働の関係が世界規模となり、市場も世界各国を紐づけた変動性、多様性、細分化の促進も相まって、非常に複雑な関係性が構築されています。この複雑化した社内の中でビジネスを成功させるには、より一層の変動性のあるビジネス展開が必要になってきています。

Ambiguity(曖昧性)

Ambiguityは「曖昧性」を意味します。Volatility(変動性・激動性)によって、商品やサービスの需要がいつまで続くかの見通しを立てることが困難になり曖昧な状態が続くビジネス環境が構築されています。Ambiguityは不透明性と訳されることもあり、その意味合いは同じとして使用されています。

 

04VUCAに対応するために必要なスキル

VUCAの時代において、不確実性や激しい変化に対応するためにはどのようなスキルを持ち合わせておく必要があるのでしょうか。ここでは主に3つのスキルを解説します。

柔軟な対応力

VUCAの時代を生き残るためには、急激な変化でも臨機応変に対応できる力が必要です。膨大な情報を俯瞰的に分析し、場面に応じて最適解を導き出して周囲を巻き込んでいく行動力が求められます。 経営層などの一部だけがこのようなスキルを持っているだけでなく、従業員一人ひとりが自分で考えて動くことができなければ、企業として変化に対応することが難しくなります。

問題解決力

VUCAの時代では、これまでよりも多くかつ多様な問題やトラブルが発生することが考えられます。 その時に起こっている事象を客観的に捉え、根本的な要因を見つけ出し、解決に導く問題解決力を持った人材が必要です。 過去の事例を参考にするだけでは答えが導き出せないことが多くなる以上、自分たちで考えて課題を解決していくスキルが重要視されているのです。

コミュニケーションスキル

VUCAの時代では国や人種が異なるといった、多様なバックグラウンドを持つ人材と働くことになります。価値観や文化の違いはトラブルにも発展しやすく、仕事を進めていく上での障害になる可能性があります。 そのため、多様性を受け入れ、それぞれに合ったコミュニケーションが取れるようになることが必要です。 事業を国外展開していく、国内であっても海外からの人材を採用するといった場合には特に柔軟なコミュニケーションが取れる人材が必要です。

「VUCA時代の働き方」

”VUCA時代の働き方”
  • 株式会社アイデミー執行役員、株式会社エイトアロウズ代表取締役

    株式会社アイデミー執行役員、株式会社Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授 東京大学文学部卒業。同水泳部主将。 電通、アクセンチュアを経て日本IBMに16年勤務。 その間コンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門リーダー、サービス営業、ソフトウェア営業などを歴任。 大企業グループ向けを中心に複数社の人事制度改革やコミュニケーション改革、人材育成、組織行動改革などを推進。 現在はAI人材育成で会員数国内No.1の株式会社アイデミーで執行役員を務めるなど、複数の企業で役員や顧問に就任。 著書にシリーズ140万部を突破した『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』『同リーダーのコツ』『同メンタルのコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『現代語訳 学問のすすめ』(SBクリエイティブ)などがある。
  
 

05VUCA時代に企業に必要な要素

VUCA時代では、現状維持のままでいると時代に取り残されてしまう可能性があります。では、そんな時代に対応していくために企業にはどのような要素が必要なのでしょうか。ここでは主なものを3つ解説します。

経営のビジョンを明確にする

企業は予測不可能な時代であることを受け入れつつも、ビジョンが明確になっていないとその時々の情勢に右往左往してしまい、一貫した対応ができません。企業や人材がどこに向かうべきなのか、出すべき成果をビジョンとして明確に打ち出し、必要に応じて修正をかけていくこととが大切です。

▼経営ビジョンについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】ビジョンとは?共有するメリットからビジョンマネジメントの方法まで詳しく解説

これまでのマネジメントからの脱却

日本の企業はこれまで終身雇用や年功序列といった長期的に安定したマネジメントシステムが一般的でした。しかし、昨今では企業を取り巻く環境が変化し、働き方や価値観が多様化している時代のため、それらに対応できるマネジメントシステムの構築が必要です。 多様な人材をどのように採用し、育成していくかといった人材マネジメントを企業が率先して改革を進めていくことが重要です。

迅速な意思決定

VUCA時代では、経営環境は素早く変化していきます。そのため、十分な情報があるのを待ってから意思決定をしていては、手遅れになってしまうことも考えられます。そのため、できるだけ早い段階で意思決定をして対応していくことが求められます。 そのためには、前述した柔軟な対応力や問題解決力を持った人材が必要になってくるでしょう。

 

06VUCA時代の意思決定方法

仕事のサイクルとしては、PDCAが一般的ですが、変化の早いVUCA時代に対応するフレームワークとして「OODA(ウーダ)ループ」が注目されています。OODA(ウーダ)は、元々はアメリカ空軍の意思決定に取り込まれていた理論です。次に、このOODAについて解説していきます。

OODA(ウーダ)ループとは

OODAとは、「観察する(Observe)」「状況を理解する(Orient)」「決める(Decide)」「動く(Act)」の頭文字をとった単語です。4つの意味は、以下の通りです。

 《OODA(ウーダ)ループ》

  • 観察する(Observe):市場や顧客など外部環境をよく観察し「データ」を収集する。
  • 状況を理解する(Orient):集めた生データを基に、今何が起きているのかを把握,理解する。
  • 決める(Decide):理解した状況に対して、具体的な方針やアクションプランを決定する。
  • 動く(Act):プランを基に、実行に移す。

OODAループが注目される理由

変則不可能な時代だからこそ、OODAループは観察と状況判断から始まり、そしてそのフェーズを重要視します。VUCA時代には、すべてを計画通りに行うことは以前よりも格段に難しくなっており、現場で状況を的確に判断し、柔軟に対応していくことが必要になっています。

▼OODAループについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】米空軍発祥のOODAループとは?構成する要素や導入するメリットを解説

<OODAループについてのSchooおすすめ授業>

VUCA時代における思考法として注目が集まっている「OODAループ思考法」。
OODAループはアメリカ空軍で提唱された一般理論です。日本で馴染み深いPDCAに代わる、新たな思考法として注目を集めています。その特徴として、1.業界業種に縛られず応用が聞くこと、2. 変化への対応力が高いこと、3.意思決定がスピーディであることが挙げられます。
この授業では、理論の解説とワークを通して、VUCAの世界で自ら考えて行動するために、自らが改善すべき課題は何か考えることができます。

「OODAループ思考入門」

OODAループ思考入門

  • アイ&カンパニー・ジャパン代表 経営コンサルタント

    経営コンサルタント、経営者、元シリコンバレー・ストラテジスト 米国において、シスコシステムズ本社のマネージングディレクターとして次世代エコシステムの構築、システムロックイン戦略の策定をグローバルで指揮しました。日本企業の経営幹部とシリコンバレーの現場にて米国流経営と日本的経営について比較し目指すべき経営モデルを明らかにしてきました。ハーバード大学にてビジネスケースによる米国流の自ら考える教育を受けました。 日本においては、外資系戦略コンサルティングファームの日本・アジア代表を歴任しています。PwCコンサルティングでは、アンダーセンとKPMG統合を行い千人規模のコンサルティングファームの構築を統括しました。EYコンサルティングにおいては、赤字であった日本法人を一年で世界最高の利益率を誇る事業に転換しました。 OODAループをはじめ全体最適・自律分散の先進的な経営モデルの提言と導入を主導してきております。OODAループは2000年代半ばから日本に適用をはじめております。 製品開発・サプライチェーン、KPIなどにつきましても、OODAループ同様、日本で最初に大手企業に提案し導入してきました。 これら大手クライアントは、従業員満足度そして生産性が向上しています。キャッシュフローが2倍以上になった企業、生産性が10倍以上になった企業も出てきています。 またこれらの実績に基づいて、書籍の執筆や講演そして早稲田大学や首都大学東京大学院などでの講師を通して日本の経済界の変革の大きな流れを作ってきております。 また、国家試験 情報処理技術者試験にて試験委員を務めております。公認会計士二次試験の受験では一年で全国最上位の成績を出しました。ソニー、NTTなどのニューヨーク証券取引所上場に関わる会計監査も担当しています。 主なクライアントは、トヨタ自動車、日立製作所、GE、NTTをはじめ、IT、ハイテク、消費財などの日米の各業界を代表する企業です。 ボランティア活動としては、経済同友会にて経済成長戦略委員会副委員長、公立小学校の名門 港区立青南小学校のPTA会長および評議員、港区小学校PTA連合会役員などを歴任しております。
 

07VUCA時代の人材育成方法

最後に、VUCA時代の人材育成方法について解説していきます。予測不可能な時代だからこそ、人材育成を行うことで変化に対応できる人材を育てる必要があります。この時代にあった人材育成方法を選択し、確実な人材育成を行っていくためには、その方法を複合化して行う必要があると理解しておきましょう。

OJT(On The Job Training)

OJTとは、現場の仕事を通して社員を育成する手法です。職場に配属後、その部署の先輩社員あるいは上司が指導していきます。実際に手本を見せ、社員に取り組ませ、フィードバックすることで業務経験と業務知識を習得していきます。最新の手法を学ぶことができること、実務にそっていることで研修後には即戦力として活躍することができます。

▼OJTについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】成功するOJT研修とは?

OFF -JT(Off The Job Training)

OFF-JTとは、職場を一時的に離れて行う教育訓練(研修)のことです。新入社員教育・管理職研修などの階層別研修、IT研修のようなスキル取得型研修、メンタルヘルス研修・コンプライアンス研修などナレッジ学習型の研修があります。座学型の研修となり、会社の変化や時代、外部環境の変化などに対応する知識習得に有効です。

▼OFF-JTについて詳しく知りたい方はこちらから▼
【関連記事】OFF-JTとは?OJTとの違いやメリット・デメリット、活用方法を解説

自己啓発支援

企業が、業務上必要な知識を身に付ける社員を支援する制度です。多くは、実務に関係性のある分野に限定して支援を行いますが、VUCAの時代では、さまざまな気付きのために敢えて業務外の知識習得を支援する場合もあります。業務外に視野を広げるきっかけ作りとなり変化に対応できる知識を習得するメリットがあるとされています。

▼自己啓発について詳しく知りたい方はこちらから▼

【関連記事】自己啓発とは?社内で実施するメリット・デメリットや効果的な方法について解説

【関連記事】自己啓発の目的と種類とは?効率的な人材育成をする5ステップを解説

【関連記事】自己啓発はなぜ必要なのか?重要性や目標例を詳しく解説

体験型研修

現在増えている研修形態が体験型研修です。新興国に出向き、現地の企業で働きビジネス上の課題をこなす研修です。激変する環境下で取り組むため社員の大きな成長が期待できます。時代の変化や文化の違いを目の当たりにし、自社での業務の違いや可能性についての発見を期待する研修形式です。グローバル化する社会の中で、自分自身の目で見た国内との違いは帰国後に大きな財産となります。


 

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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など


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08まとめ

本記事は、VUCAをテーマに概念の理解や社員育成の観点について解説しています。予測不可能な時代だからこそ、その時代にどう対応していくべきかを企業は考える必要性があります。また、働く側も変化に遅れないように知識の習得や変化への対応力をあげていく必要があることを理解し、変化を受け入れていきましょう。本記事が、そうした変化を受け入れるきっかけとなり時代を生き残れるための情報源となれれば幸いです。より一層変化が訪れる時代だからこそ、変化を楽しんでいきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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