組織社会化とは?会社への定着を図るために必要な要素や、実施する上でのポイントを解説

組織社会化は、強い組織を作る上で必要不可欠な要素です。 組織社会化に取り組むことは、企業の課題であり、全体パフォーマンスの向上や、離職抑止に効果的だと言われています。 当記事では組織社会化について、なぜ必要なのか。 また、どうしたら組織社会化ができるのかを紹介していきます。
- 01.組織社会化とは
- 02.組織社会化が必要とされる場面
- 03.組織社会化に必要な要素とは
- 04.組織社会化を阻害する要因はなにか
- 05.組織社会化を活性化させる方法5選
- 06.まとめ
01組織社会化とは
組織社会化とは、既存の組織に適応するまでのプロセスのことを指します。 解り易くイメージすると、入社したメンバーが新しい環境に慣れるまでの過程と言い換えても問題はないでしょう。 良い会社、ひいては強い組織には組織社会化が必須と言われています。 組織に適応するためのプロセスなので、適応する人の問題と捉えられてしまうことも多いですが、本当に大切なのは受け入れる会社側のスタンスです。
02組織社会化が必要とされる場面
組織社会化はどのような場面で必要なのか。 組織社会化は、既存の組織に適応するまでのプロセスと伝えていますが、 既存の組織に適応する人材が新たに登場する場面で必要になります。 本項目では新人導入と、異動者に関して詳しく見ていきましょう。
新人の入社時期などの場合
組織社会化が最も必要になる場面として新入社員への対応があります。 彼らは、期待と不安を抱えて就業してきますが、社会人としてこの先長く就業してくれる為には、まずは組織に適応をしてもらう必要があります。 自分はこの会社の一員である。といった帰属意識を醸成させるためにも、組織社会化は必須と言えるでしょう。
組織体制の変更などの場合
続いて多いのが、異動や退職に伴う新たな人員の参加です。 組織の体制ががらりと変わり、異動してきたメンバーは以前の部署での行動に引きずられる場面が多いです。 それらは経験として貴重なものではありますが、以前の経験に固執していると、新しい環境に馴染むことなどができません。 そんな時に、組織社会化を推進していけば以前の考えに固執することなく、彼らが培っている経験を強い武器に変化させ活躍をしてくれるでしょう。
03組織社会化に必要な要素とは
組織社会化を促すことは必須とも言えますが、 組織社会化を促すためには、大きく分けて四つの要素があります。 これらを念頭に置くことで、組織社会化を促しやすくなりますので、詳しく見ていきましょう。
学習棄却(学びなおし)
まず最初に、学習棄却が挙げられます。 学生時代や、前職などの経験がある場合は前の環境と比較してしまい新しい組織に馴染めないことが多々あります。 そういった意識を一旦捨て去り(棄却し)、今の組織に馴染めるようにメンバーで促すことが大切です。
知識・スキルの獲得
業務を行うために必要な知識、経験、スキルを新しく学ぶ必要があります。 これらをより効率的に行うためにも、メンターを用いたOJTなどを行うことが効果的と言われています。
評価基準、役割の理解
評価基準、役割の理解を促すことが必要です。 何をされれば自分の仕ことが評価されるのか、それらを理解することでその評価に向けた行動や立ち振る舞いが行いやすくなります。 社内のキャリアパスなどの明示を行い、評価基準などを明確にしましょう。
人脈の構築
相談役を明確にします。 特に入社初期に多いと言われていますが、どれだけスキルが身についても会社は組織なので一人で出来ることには限りがあります。 そんな時に誰に聞けばいいのか、誰に話せばいいのかといった心理的不安を払拭する為にも、メンターの存在は欠かせないと言えるでしょう。
04組織社会化を阻害する要因はなにか
組織社会化は、企業の課題の1つであるとも言われています。なぜなら、促進するうえで組織ならではの特性が阻害する要因になりかねないからです。組織社会化の阻害要因には、何が挙げられるのでしょうか。 組織社会化の阻害要因としては、業務内容、人間関係などが挙げられますが、本項目では四つの要因に分けて説明していきます。
仕事や職務内容に対する要因
業務内容や、職務内容が分からないことに対する不安が挙げられます。 要因として入社前のイメージと、入社後の業務のイメージギャップによるものと言われています。 こういった要因による早期離脱を抑止するためにも、研修などを行う際には業務研修だけではなく、その業務の成り立ちや何故その業務を行っているのかなどの背景的な説明を行うのが良いでしょう。 それらを行うことで、イメージギャップの緩和や自分が組織で行うべきことなどの理解が促進されます。
役割に対する要因
自分の与えられた役割に対して、プレッシャーを感じてしまうことなどが挙げられます。 即戦力を期待されてきた異動者などに多くありますが、 入ったばかりで成果を出すことを求められる環境はなかなかありません。 そういった見えない期待を押し付けず、特に新人に対しては出来なくて当たり前といったことを名言し、未来に期待している旨を伝えていきましょう。
対人関係などのコミュニケーションによる要因
一番の主要因でもあり、一番改善が難しいポイントがコミュニケーション要因です。 2020年度厚生労働省離職理由にて、若年層の1年未満の離職理由のNo1といったところからもその要素が伺い知れます。 新入社員や、異動者に関しては慣れない環境で孤立してしまいがちになり、そうなった場合人間関係の不安などから離職へとつながりやすくなります。 複数の同期がいる場合は、同期間のコミュニケーションが取れるような座談会などの機会を設けると良いでしょう。
組織の風土による要因
組織には必ずと言ってもいいほど、その組織の色と個性があり、それらに馴染めないということが往々にしてあります。 これらもイメージギャップによるものと言われますが、研修での補足の説明や、同期が複数いる場合は同期間のコミュニケーション、少ない場合はメンターとの意識的なコミュニケーション量の増加などで、企業風土の理解を促し、緩和していくことが可能です。
05組織社会化を活性化させる方法5選
組織社会化の要素、また阻害要因をお伝えしてきましたが、ここからは具体的にどのようなことを行えばいいかの一例を5選ご紹介します。
新人の意見は改善の種、定期的な1on1の実施
1on1を実施し、新人から改善の意見を求める。 組織にまだ馴染めてない新人の意見こそ、組織社会化の課題になります。 馴染んでいる人は、馴染んでいるが故に見えないようなことも、新人などは見えています。 そういった意見を大切にすることで、組織としてより成長を行うことが可能です。 コミュニケーション量を増やすというのも目的ではありますが、ここでは日々の業務の悩みから、課題と感じる箇所まで幅広く会話を行いましょう。 そして会話を行うだけで終わることなく、相手から出た意見などで改善できる箇所があった場合は、改善結果を報告することでより主体的に参加してもらえるようになります。
多様性を受け入れ、理解する風土の醸成
新しい意見は、否定せずにまずは受け止める。 否定をしていると、新しい意見が生まれなくなります。 新しい意見が出ないという状態は安定していると捉えることも出来るかもしれませんが、組織として停滞していると言えるでしょう。 一見否定的な意見を言われたとしても、物ことは立場と解釈次第でどのようにでもポジティブ変換が可能です。 まずは相手の話を否定することなく傾聴し受け止め、何故そう思ったのかの確認を行い、これからどうしていけばいいか、といった未来に繋がるような会話になるよう意識していきましょう。
業務ルール、社内ルールの可視化
組織社会化の為には、暗黙知を極力減らし可視化する。 暗黙知とは、各々の経験や勘などの言語化されていない知識のことを指します。 それらの属人化しているルールを可視化しましょう。 可視化を行うことで、確認先の不明瞭さや、知らなかったなどを無くし、業務における不要な確認や手戻りを削減することが可能です。 また、不明点がある場合誰に聞くといったような指導役をメンターとして設けることにより、更に業務を行う上での安心感は高まります。
経営理念や、目標などの掲示
企業としての目的意識の提示を行う。 働き方には、ジョブ・キャリア・コーリングといった3種類がありますが、 自分のお金のためのジョブ、自分の経験の為のキャリアのような働き方では組織社会化は上手く進みません。 自分は何故、何の目的でこの会社で働いているのか。を再確認するためにも、社内での経営理念や、部署としての目指すべきスローガンなどを掲示することにより、業務を他人ことではなく自分こととして捉えることが出来、一体感の醸成につながります。 社員全体がコーリングとして働ける組織は、組織社会化がとてもスムーズかつとても強い組織です。
評価制度の透明性の開示
評価基準を明確化し、開示する。 会社として、従業員に対してどのようなことを評価するのか。 これらを正しく開示出来ている場合、従業員は目標に向けて正しく努力することが可能になります。 その際に目標を個人だけに留めてしまうと、個人主義になってしまう可能性もあります。 そうならない為にも評価対象の範囲を拡げることにより、より組織としての目標達成に向けて、個人は個人としての行動の評価、組織は組織として業績に対する評価などとより明確に区分されていると良いでしょう。
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06まとめ
本記事では、組織社会化に必要な要素、阻害要因、活性化させる方法について説明を行いました。 新しいメンバーが組織に適応することは勿論ですが、これらの環境が整っていると一般的に働きやすい環境と言われます。 働きやすい環境下では人は高いパフォーマンスを発揮しますので、組織社会化は組織の一体感を高め強い組織にする為にも全ての企業にとって重要な課題の一つであると言えるでしょう。
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1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。