公開日:2022/01/26
更新日:2022/06/16

エンプロイアビリティとは?主な要素や分類、高める方法について解説

エンプロイアビリティとは?主な要素や分類、高める方法について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

エンプロイアビリティとは、その名の通り企業や組織に雇用される能力を意味する言葉です。労働環境の変化を受けてエンプロイアビリティに注目が集まっていますが、当記事ではエンプロイアビリティの要素や分類、また自身の能力を高めるコツについて紹介していきます。

 

01エンプロイアビリティとは「雇われる能力」

エンプロイアビリティとは、「雇用する(=Employ)」と「能力(=Ability)」を組み合わせた経済学用語で、その名の通り企業や組織に雇用される能力を意味しています。また、単に雇用される能力だけではなく、継続して一つの企業に雇用される能力や、環境や状況に応じて異動や転職ができる能力もエンプロイアビリティの一つとされています。

近年注目を集めているエンプロイアビリティ

1990年代にアメリカで企業のダウンサイジング化が進み、長期雇用制度が崩壊したことによって、エンプロイアビリティの概念が注目されるようになりました。

アメリカの企業は半永久的な雇用を約束しない代わりとして、他社でも通用する知識やスキルを従業員に身につける機会を与える仕組みを採用することになったのです。

近年の日本でも、企業のAIの導入やIoT化によって就業形態が変化するようになりました。就業意識も変わり、「転職は当たり前」と考える風潮が一般に浸透したことで、「自身の市場価値を知ってエンプロイアビリティを高めたい」と考える人が増加傾向にあります。

エンプロイアビリティのメリット

エンプロイアビリティのメリットとしては、従業員一人ひとりの能力を高めることができる点です。

特定の領域に長けていたり、分野にかかわらず広範囲な視野を持った従業員はさまざまな変化に対しても柔軟に対応できるようになります。また、これまで人件費が二人分かかっていた業務もエンプロイアビリティの高い従業員であれば、一人でこなすことができるので、結果的に人件費を抑えられるといったメリットがあります。

一方で、従業員側もスキルアップを実現することで、市場価値を高められたり、給与アップに繋がったり、自分自身のやりたいことを実現できるなど、キャリアの幅を広げることができます。

エンプロイアビリティの注意点

昨今、終身雇用が当たり前ではなくなっている背景から雇用の流動性が激しくなってきました。そのため、エンプロイアビリティを高める際に注意したいのが、優秀な従業員が他社からの引き抜きや転職の可能性が増えてしまうという点です。

優秀な人材の流出に備えるためにも、雇用される側からみて魅力的な起業家、継続的に働きたいと思える会社になる必要があります。これは単に高い報酬を支払うということではなく、良好な職場環境やキャリア支援、目指したいと思えるビジョンがあるかなど、やりがいを喚起していくための魅力を企業が作っていく必要があるのです。

 

02エンプロイアビリティの主な要素とは

厚生労働省ではエンプロイアビリティを定義し、①業務遂行のために求められる「知識・スキル」、②協調性、積極性といった「思考特性・行動特性」、③価値観など客観的な評価を受けづらい「パーソナリティ」の3項目を定めました。③については、個人的かつ潜在的なものであるため、客観的な評価は難しいものです。そのため、エンプロイアビリティの評価基準としてはAとBを対象に基準を作るのが理想とされています。それぞれの内容について見ていきましょう。

業務遂行のために求められる「知識・スキル」

知識・スキルは、Aに該当するものです。業務を行ううえで必要となる専門知識や技術を有しているかどうかは、エンプロイアビリティの主な要素のひとつです。たとえば過去の業務経験のなかで習得した営業スキルやマーケティング知識、また特定の資格や学習能力などはこれに該当します。

協調性、積極性といった「思考特性・行動特性」

こちらはBに該当するものです。業務を通じて身につけたコミュニケーション能力はエンプロイアビリティの代表例といえます。コミュニケーション能力はほぼすべての組織・企業で必要とされるものであり、高い能力を有している人はエンプロイアビリティが高いと評価される傾向にあります。ほかにもモチベーションや対人関係構築能力も重要な要素です。

価値観など客観的な評価を受けづらい「パーソナリティ」

Cに該当するパーソナリティは、本人がもともと有している思想や価値観、人柄を指します。パーソナリティは目に見えない要素であることに加えて、他者の力では簡単には変えられないため、エンプロイアビリティを評価する際の基準からは除外されます。しかし、このパーソナリティ次第で職場の雰囲気は大きく変わるため、まだAとBの要素が備わっていない新卒採用時には重要視されがちです。

 

03エンプロイアビリティの主な分類とは

たとえ現時点で「高いエンプロイアビリティを有している」と評価された人でも、その評価は永続的なものとは限りません。時代とともに需要や価値観は変わるもので、いつまでも同じ状態でいると数年後に「エンプロイアビリティが低い」とみなされるかもしれません。その一方で、時代に関わらず価値を評価される能力があることも事実です。 ここでは時代の影響を受ける相対的なエンプロイアビリティと、時代に左右されない絶対的なエンプロイアビリティについて説明します。

時代の影響を受ける相対的なエンプロイアビリティ

労働市場の需要と供給によって、必要性が変わってくる能力が「相対的なエンプロイアビリティ」です。時代の移り変わりが激しい今の時代では、相対的なエンプロイアビリティに該当するものがほとんどです。 たとえば最新機器の開発で求められていた製造技術や知識も、新しい機器が出るにつれて過去のものと化し、必要とされなくなってしまいます。これは代表的な相対的なエンプロイアビリティといえるでしょう。

時代に左右されない絶対的なエンプロイアビリティ

相対的なエンプロイアビリティとは真逆の概念である「絶対的なエンプロイアビリティ」とは、時代や環境に左右されない能力のことです。機械やITで代用することができない技術やノウハウはこれにあたります。また、すべての業務基盤となる専門知識や資格を有している人は、「絶対的なエンプロイアビリティを有している」と言えます。 絶対的なエンプロイアビリティを有している人は、企業や組織にもたらすメリットが大きく、どこに行っても重宝されるでしょう。

 

04エンプロイアビリティの内的性・外的性とは

エンプロイアビリティは、内的と外的の二つに分類可能です。従業員と企業の関係に注目したうえで分類されるエンプロイアビリティは、一つの組織に継続的に雇用されたいのか、それとも転職をしたいのかによって高め方が変わってきます。 従業員が今後のキャリアの方向性を定める際には、この二つを軸にすることをおすすめします。

一つの組織内で有利な「内的エンプロイアビリティ」

内的エンプロイアビリティとは、現在所属している企業や組織のなかで一定の評価を受け、その団体に雇用され続ける能力を意味します。内的エンプロイアビリティが高い人は、自社内で用いられる専門知識やノウハウを十分に身につけていることが多いという傾向があります。 また、企業の業績に貢献している人も内的エンプロイアビリティが高いといえます。 転職が一般的になった現在の日本でも、終身雇用制度を理想とする風潮は根強く残っています。そのなかにあって、内的エンプロイアビリティの育成にはいまだ強いニーズがあるのです。

転職など市場で有利な「外的エンプロイアビリティ」

一つの組織に所属しつづける際に有利な内的エンプロイアビリティとは対照的に、外的エンプロイアビリティは転職に有利な能力といえます。 現在所属している組織・企業は当然のこと、ほかのどのような企業に行ってもこれまでと同等以上の条件で雇用される能力を有している人は、「外的エンプロイアビリティが高い」と表現できます。 具体例としては、同業種であればどこでも必要とされる国家資格や、多くの企業が導入しているシステムへの知識を有している人は「外的エンプロイアビリティが高い」と評価されるでしょう。 また、特別な知識を有していなくても、どの組織・企業でも普遍的に求められるコミュニケーション能力や知識、経験を有している人も、高い外的エンプロイアビリティが備わっていると言えそうです。

 

05エンプロイアビリティを高めるに必要な3つのポイント

一つの企業に勤め続けるにしても、複数の企業を渡り歩くにしても、自身のエンプロイアビリティは常に高め続けておきたいものです。同様に、現在のエンプロイアビリティが時代の流れとともに低下してしまわないように、常に一定水準以上の能力をキープする努力も求められます。 それではどのようにしたらエンプロイアビリティを高めることができるのでしょうか。ここでは3つのポイントを紹介します。

自身のキャリアプランを明確にする

エンプロイアビリティの向上のためには、まず自分自身の能力を整理して把握しておかなければなりません。現在の自分のエンプロイアビリティを理解することによって、強みとともに弱点や課題も明確化されます。 そうすることで、今後さらに強みを伸ばし、弱点や課題を克服するにはどうしたら良いのか、キャリアプランを立てられるようになります。キャリアプランが明確になったら、それを達成できるような計画を立てていきましょう。 定めた目標を少しずつでも達成していくことで、エンプロイアビリティだけではなく、自分自身のモチベーションや自己肯定感も高められます。

市場でニーズのある人材要件を整理する

幅広い企業や組織で求められる人材になるためには、定期的に現在市場で求められている人材要件を整理し、理解する必要があります。相対的なエンプロイアビリティの章でも説明した通り、市場に求められるエンプロイアビリティは時代の流れとともに変わりゆくものです。 そのため、現時点でニーズの高い人物像を明確化し、それに合致する人物に近づけるようにエンプロイアビリティを高めていきましょう。特に、将来的に転職を考えている人やキャリアアップを狙っている人にとって、この作業は必須です。

社内研修や自己啓発の制度を利用する

自社内の研修を受講することで、自分が所属する企業が求める人物像を理解することができます。加えて、ほかの受講者と交流することによって自分自身の課題や目標を可視化でき、モチベーションアップも期待できるでしょう。 自己啓発セミナー実施時には、外部講師を招いて講義をしてもらうと、受講者は新たな刺激を受けるかもしれません。 人事部に所属している方は、自社の従業員のエンプロイアビリティアップのために研修やセミナーを実施してみてはいかがでしょうか。従業員全体のエンプロイアビリティアップを図ることで、業務効率改善や業績の向上が期待できます。


 

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06まとめ

エンプロイアビリティにはさまざまな種類がありますが、これらは社会人として生活していく以上、誰しもが身につけておくべき能力なのではないでしょうか。 激動の時代を生き抜くために、一度自分自身のエンプロイアビリティを把握し、向上するにはどうしたら良いのか考えてみてください。

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