公開日:2022/01/26
更新日:2023/02/16

キャリアコンピテンシーとは?注目されている理由や活用方法とそのポイントについて解説

キャリアコンピテンシーとは?注目されている理由や活用方法とそのポイントについて解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

変化の激しい現代において、キャリアコンピテンシーに注目する企業が増えています。企業が環境変化に対応していくためには、自分がすべきことを主体的に考えられる人材が必要になることを意味しています。当記事では、キャリアコンピテンシーの概要や注目されている理由、活用方法とそのポイントについて解説します。

 

01キャリアコンピテンシーとは

個人が、仕事に対する価値観を再認識し、主体的にキャリア形成を行おうとする思考や行動の特性をキャリアコンピテンシーといいます。コンピテンシー(Competency)とは、専門的な能力や力量を意味し、企業においては、人事評価や人材育成に活用されています。 キャリアコンピテンシーで重視されるのは、あくまでも行動そのものではなく、むしろ、その行動をもたらす動機となる個人の特性や価値観といった要素です。自分らしいキャリアを形成するためには、働く意味や人生の目標までをも明確にした上で、何をすべきかを常に考えながら、仕事に取り組むことが大切になります。

 

02キャリアコンピテンシーが注目されている理由

現代社会でキャリアコンピテンシーがなぜ必要とされているのか、その理由は主に以下の2つが考えられます。

  • ・年功序列型から成果主義への移行
  • ・既存社員の生産性を向上させるため

ここでは、2つの理由について解説します。

年功序列型から成果主義への移行

成果主義に移行したことで、社員にも主体的な行動が求められるようになったことが挙げられます。多くの企業が導入していた年功序列型は、長期で働くことを前提としていたために、優秀であることは人事評価の対象として特に重視されませんでした。そのため、とりわけ若年層や能力の高い人は、自分らしいキャリアを描くことは困難だったといえます。 しかし現在では、多くの企業が業績や成果を評価する成果主義に移行しています。それだけでなく、業績や成果につながるとされる能力なども評価基準にする必要があると考えられるようになりました。その能力を評価する基準として、キャリアコンピテンシーが注目されたのです。

既存社員の生産性を向上させるため

労働力人口の減少や働き方改革によって労働環境や雇用市場が変化していくなか、既存社員の生産性を向上させることが急務となっていることが挙げられます。競合他社との競争が激しい状況で、人材確保もますます厳しくなるでしょう。組織としての生産性を今まで以上に高めていかないと、企業の存在自体が危うくなる時代です。 既存社員のワークライフバランスを推進しつつ、生産性を向上させるためには、高い成果を上げている人の行動や考え方を浸透させることが有効な手段になり得ます。このような経緯で、キャリアコンピテンシーが注目されているのです。

 

03キャリアコンピテンシーの活用方法

キャリアコンピテンシーは、主に人事領域の人材育成や人材採用、人事評価で活用されています。それぞれの活用方法について分かりやすく解説します。

人材育成

指導・評価項目として、人材育成に活用することもできます。階層や職種ごとに成果につながる行動や能力が異なります。それらを明確にすることによって、目標や方向性が理解され、人材育成がしやすくなります。また、社内に周知させる方法として研修を実施するのも良いでしょう。加えて、定期的にフィードバックを行い、今後の目標達成につなげていくことが必要です。

人材採用

選考項目として、人材採用(面接)に活用することもできます。新卒採用では将来性があるか、中途採用では即戦力になれるかに着目するため、判断基準が異なるので注意が必要です。選考指標に沿って採用することで、企業方針とのミスマッチを防ぐことが可能です。 採用時のヒヤリングで応募者の特性や価値観を確認し、自社にとって成果につながる行動をもたらす人材なのかを判断しましょう。

人事評価

評価項目として、人事評価に活用することもできます。社員の成果や業績に加えて、それに至るまでのプロセスを評価することが可能です。成果が見込めなかった社員にとっても、プロセスにおける課題を見い出すきっかけにもなります。どちらの場合も、能力や業績、成果の向上が期待できるでしょう。

 

04キャリアコンピテンシーのメリット

メリットは、主に3つあります。

  • ・優秀な人材の育成につながる
  • ・生産性の向上につながる
  • ・企業方針が浸透する

ここでは、キャリアコンピテンシーにおける3つのメリットについて解説します。

優秀な人材の育成につながる

階層や職種ごとに評価基準を設定するため、業務に則した専門的知識や能力の評価を行うことができます。課題や目標を把握できると、改善すべきポイントが分かりやすくなり、効率的に教育を進められるでしょう。 社員にとっても成果までのプロセスを客観的に評価されることは、モチベーションの向上につながります。このことによって、優秀な社員が自発的に人材育成プログラムに取り組める点もメリットになるといえます。

生産性の向上につながる

課題を改善して成果を上げれば、確実に評価や昇給・昇進に反映されるため、社員が自分らしいキャリアを実現できるでしょう。働く意味やその目的、将来なりたい姿を見据えながら、専門知識や能力を蓄積すると、必然的に生産性の向上につながります。 そしてこれら社員の生産性向上が積み重なることで、会社全体の生産性も向上していきます。

企業方針が浸透する

企業が求める人材の全体像は、企業方針を反映させることにもなります。キャリアコンピテンシーの目標を明確に示すことで、方向性を社員と共有し、企業方針を浸透することが可能になります。自分に求められるものを社員が理解し、同じゴールに向かっていく意識づけの役割も担っているのです。

 

05キャリアコンピテンシーのデメリット

メリットがある一方で、導入する際の課題やデメリットも存在します。ここでは、キャリアコンピテンシーにおける2つのデメリットについて解説します。 効率良く高い成果を出すために、以下のデメリットも確認しましょう。

導入の煩雑さ

キャリアコンピテンシーを人事施策として導入するまでには、いくつもの手順があります。目標となるロールモデルの選定と行動分析から、独自のフォーマット作成、コンピテンシーの定義、評価基準の設定までが必要です。さらに、階層や職種別の評価基準まで細分化させなければいけません。本格的な導入まで調整を重ねるなど、導入までの煩雑さがデメリットになります。

評価基準は環境の変化に応じて変更が必要になることも

ビジネスを取り巻く環境は時代とともに変化するため、ロールモデルを定期的に更新する必要があります。評価基準が、高い成果に結びついているか検証と調整をするためです。また、企業方針の変更など環境が変化した場合は、評価基準を最適な状態に変更することも必要です。導入してからも、変更や調整に労力と時間がかかることもデメリットになります。

 

06キャリアコンピテンシーを活用するポイント

活用するポイントは、以下のとおりです。

  • ・現実的なコンピテンシーを設定する
  • ・長期的に運用する
  • ・客観的に評価を行う
  • ・最終目的は成果を上げること

活用のポイントを確認しておくことで、キャリアコンピテンシーの適切な設定と運用ができるようになるでしょう。

現実的なコンピテンシーを設定する

コンピテンシーは、現実的なものにしなければなりません。 目標を高く掲げることは構いませんが、あまりにも非現実的なものであれば、社員は価値を見い出せずモチベーションが低下してしまうおそれがあります。あくまでも、成果につながる実用性を重視した基準を設定しましょう。

長期的に運用する

社員や企業を成長させるサイクルとして、半期もしくは1年といった長期的な運用を目指しましょう。人材育成や人事評価は、短期間で成果を上げるのは難しいためです。1サイクルごとにデータを蓄積させて、人事採用や人員配置などの人事戦略につなげてこそ、キャリアコンピテンシーを最大限に活用しているといえます。

客観的に評価を行う

具体的で客観性の高い評価を行うことが重要です。人事に関わる以上、公平性と透明性は欠かせません。 社員の自発的な行動を促すのであれば、できるだけ主観を排除して、社員が納得できる評価であるべきです。評価基準の定義をいかに客観性をもたせて作成できるかが、重要なポイントになるでしょう。

最終目的は成果を上げること

キャリアコンピテンシーは、人材育成、人材採用、人事評価に活用できますが、単なるフレームワークとして活用することが目的ではありません。導入しただけでは形ばかりのものになってしまう可能性があります。 あくまでも最終目的は、社員の行動や意識の変革の結果として、「成果を上げること」です。どの施策に対しても有用性を検証しつづける必要があります。


 

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未来の不確実性がますます高まる中、メガトレンドを読み解き、自身のキャリアについて思考することがこれまで以上に求められています。 ですが、目先の「転職するか否か」にとらわれ、たとえば5年後というタームのキャリアについてもきちんと思考する機会がない人が多いのが現状です。 あるいは、かつてないほどに先行き不透明な時代のキャリアについて、そもそもどう考えればいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。 本授業では、主体的にキャリアを形成していくために「5年後の自分」をどう思考すればいいのかを学び、キャリアのOSをアップデートすることを目指します。

 
  • リンクトイン 日本代表

    青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。2017年11月に7 億5600万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)がある。

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まじめすぎる女性のためのキャリア処方箋

本授業では、人材育成の研修や個人向けキャリア相談の傍ら「昼スナックひきだし」を経営し、多くの「ごく普通の女性たち」のキャリア相談にのってきた木下紫乃さんをお迎えします。まじめな女性たちを取り巻く「不安・もやもや」の言語化とアドバイスを通して、授業の最後にはキャリアを取り巻く不確定要素を楽しむ気持ちを持ってもらうことを目指します。

 
  • 株式会社ヒキダシ代表取締役社長兼スナックひきだし紫乃ママ

    1991年新卒でリクルート入社。キャリアの中心は人材育成。結婚→退職→転職→海外帯同→家出→無職→離婚からの転職→大学院→独立…等公私とも多彩な経験を経て2016年ミドル・シニアのキャリア支援を柱とする㈱ヒキダシを設立。50代向けキャリア研修講師や、個人向けにはキャリアの壁打ち(人生相談)を生業とするかたわら、2017年より人をつなぐコミュニティとして、昼だけ開店する「昼スナックひきだし」を開店。紫乃ママとしてカウンターに立つ。人の強みや持ち味をヒキダシながら、挑戦する人を様々な形でエンパワーメントしています。 日経ARIA「昼スナックでママに人生相談」連載中。2020年「45歳からのやりたくないことをやめる勇気」出版。

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「元ビリギャル」小林さやかさんが語るキャリアの決断力

キャリア形成に大切なことは「可能性を広げること」だけではありません。 時には「辞める」こと、すなわち「決断」が求められることもあり、「決断」こそが新たな選択肢を生むきっかけになります。 理解はしているものの、実際に行動に移すには勇気が必要。 小林さんの体験談をもとに明日からできる心構えについて学ぶ1時間です。

 
  • コロンビア教育大学院|教育研究家|「ビリギャル」本人

    『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)の主人公であるビリギャル本人。1988年3月生まれ、名古屋市出身。慶應大卒業後ウェディングプランナーとして従事した後、ビリギャル本人としての講演や執筆活動など、幅広い分野で活動中。2019年4月より、教育学の研究のため大学院に進学、21年に修士課程を修了。また2020年1月、YouTubeにて『ビリギャルチャンネル』を開設。学生・先生・親、すべての人に送るエンタメ教育番組を配信中。2022年秋から「子どもの能力を信じて引き出すことができる教育者の育成」を研究テーマに、米国コロンビア教育大学院にて認知科学を学んでいる。

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08まとめ

当記事では、キャリアコンピテンシーの概要や注目されている理由、活用方法とそのポイントについて解説しました。キャリアコンピテンシーとは、個人が仕事に対する価値観を再認識し、主体的にキャリア形成を行おうとする思考や行動の特性のことです。 企業においては、主に人材育成、人材採用、人事評価などに活用されています。導入の煩雑さや定期的な変更が必要になりますが、業績を上げる手段としてはその有効性が認められています。ぜひ、自社への導入を検討してみてください。

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  • 登壇者:田中 研之輔 様
    法政大学キャリアデザイン学部 教授

    一橋大学大学院(社会学)を経て、メルボルン大学・カリフォルニア大学バークレー校で、4年間客員研究員をつとめ、2008年3月末に帰国。2008年4月より現職。教育・研究活動の傍ら、グローバル人材育成・グローバルインターンシップの開発等の事業も手がける。一般社団法人 日本国際人材育成協会 特任理事。Global Career人材育成組織TTC代表アカデミックトレーナー兼ソーシャルメディアディレクター。 著書―『先生は教えてくれない大学のトリセツ』(筑摩書房)『走らないトヨタ―ネッツ南国の組織エスノグラフィー』(法律文化社)『都市に刻む軌跡―スケートボーダーのエスノグラフィー』(新曜社)他多数

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