即戦力とは?即戦力社員を採用する6つの基準と4つのポイント
即戦力とは、入社後すぐに業務を行えるだけの実力がある社員のことです。即戦力社員が最大限力を発揮するにはいくつかポイントがあります。本記事では、即戦力とは何か、即戦力社員が必要な理由、即戦力社員かどうかを判断する基準、即戦力人材を活躍させるポイントについて解説します。
- 01.即戦力とは?
- 02.企業が即戦力となる社員を採用する理由とは?
- 03.即戦力社員かどうかを判断する基準
- 04.即戦力となる人材を活躍させるためのポイント
- 05.採用力を向上させるSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01即戦力とは?
即戦力とは、一般的には入社直後から特に研修やOJTを行わなくても、すぐに業務を行うことができる社員を指すことが多いです。中途採用では特に即戦力社員かどうかを重視する企業が多いでしょう。ただし、職種や企業によって「何を持って即戦力か」は異なります。例えば、プログラマーならプログラミングスキルさえ持っていれば即戦力と思われがちですが、実際はインフラ知識やシステム開発全体の知識も求められることが多く、即戦力とは見られないこともあります。「何を持って即戦力か」育成担当者や人事部間で認識を共有しておくことが、社員育成の方針を固めるうえで大切と言えるでしょう。
02企業が即戦力となる社員を採用する理由とは?
即戦力社員は多くの企業が欲しており、企業間で奪い合いになることも多くあります。企業が即戦力となる社員を採用する理由は以下の4つに分けられます。
- ・人材の流動性が高まっているため
- ・育成コストを削減したいため
- ・少子高齢化が進んでおり人材が不足しているため
- ・テレワークが普及したため
人材の流動性が高まっているため
昨今は人材の流動性が高まっており、1つの企業に長く勤めるよりも転職を繰り返し給料アップやスキルアップを図る人が増えました。転職サイトのマイナビが調査したデータによると、2021年の20~50代男女の正社員転職率は、過去6年間で最も高く7.0%という結果になっています。このように、転職市場が盛んであるため企業側はなるべく優秀な人材を外部から獲得しようとしています。
育成コストを削減したいため
企業が即戦力を欲しがる理由は、単純に育成コストを削減したいからというのもあるでしょう。1人の人間を1人前に育て上げるだけでも多くのコストがかかります。研修にかかる時間や手間だけでなく、育成担当者を最低1人は設けなくてはいけません。産労総合研究所のデータによると、2020年度教育研修費は1人当たり2万4,841円となっています。
特に中小企業では新人育成にコストをかけられない場合も多く、できるだけ育成コストを削減できる即戦力社員を優先して採用する傾向があると推測されます。
少子高齢化が進んでおり人材が不足しているため
現在日本では少子高齢化が問題となっており労働人口が不足してます。そして、少子高齢化は今後さらに悪化することが予想されています。財務書の資料には、2022年時点で20〜64歳である労働人口の割合は54%となっていますが、2065年には48%にまで減少すると書かれています。労働人口が不足している分、実力のある人材を多く雇いたいと考える企業が多いと推測されます。
テレワークが普及したため
新型コロナウイルスによってテレワークが普及したことも、即戦力社員が求められる要因の1つと考えられます。総務省の資料には、1回目の緊急事態宣言後の2020年6月時点のテレワーク実施率は31%と書かれており、緊急事態宣言後もそれなりにテレワークを継続した企業が多いことが分かります。
テレワークでは部下の仕事振りを直接確認できないため、隅から隅まで仕事を教えることが難しくなります。即戦力社員なら、自分で考えて仕事を進めることができるため、テレワークでも安心して働かせることが可能です。
03即戦力社員かどうかを判断する基準
採用した社員が即戦力かどうか判断することは大切です。その人が即戦力なのかを判断しないと、育成にどれほどの期間をかけるべきなのか、最初に任せる仕事はどのレベルが良いのか、などを決めることができないためです。即戦力社員かどうかを判断する基準は次の6つです。
- ・仕事をこなせるだけの実績があるか
- ・資格を保有しているか
- ・仕事に対するこだわりが感じられるか
- ・主体性を持っているか
- ・明確なキャリアプランを持っているか
- ・コミュニケーション能力が高いか
仕事をこなせるだけの実績があるか
仕事をこなせるだけの実績があるかどうかは、もっとも分かりやすい指標と言えるでしょう。例えば営業職なら、前職でどの程度の営業成績を残したのか、社内で表彰された経験はあるのか、などを尋ねることで、その人材の実力を図ることができます。ただし、前職の成果を盛って話す人もいるため、求職者の発言をそのまま受け取るだけでなく、「その成果を出すためにどのような工夫をしたのか」などを掘り下げて質問することが大切です。即戦力社員であれば、仕事で工夫したことを具体的に話すことができると予想されます。
資格を保有しているか
資格を保有しているかどうかも、即戦力社員を見極める基準の1つです。例えばエンジニア職であれば、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの資格を保有していれば、一定以上のスキルがあることは分かります。ただし、資格を保有していてもそれを業務で活かすにはコミュニケーション能力などのヒューマンスキルも必要になるため、資格の保有は即戦力であることの絶対的根拠ではありません。 そこで「資格でどんなスキルを得たのか」「資格で得たスキルを前職ではどのように活用したのか」などを掘り下げて聞くことが大切です。これらの質問に具体的に答えられるなら、前職でも資格で得たスキルを活用できていたことが分かります。
仕事に対するこだわりが感じられるか
仕事に対するこだわりが感じられるかどうかも、即戦力社員を見極める基準の1つでしょう。なぜならこだわりが感じられる人は、淡々と業務をこなすだけでなく、自主的に勉強を行ったり、制作物の質を高めようと工夫したりしている場合が多く、スキルが高いと推測できるためです。具体的には「主体的に取り組んだプロジェクトはないか」などを面談で尋ね、あるならその経験を活かした仕事を優先して任せるようにしましょう。
主体性を持っているか
即戦力社員かどうかを見極めるなら、社員の主体性の有無も確認した方が良いです。なぜならどんなにスキルが高くても、自分で考えて仕事を進められない人は結局教育係りを付けなくてはいけないため、即戦力社員とは呼べないからです。面談では「仕事を行ううえで工夫したことはないか。それによってどんな成果を得たか」など具体的な質問を行い、その人にどの程度の裁量権を与えるべきなのか吟味することが重要です。
明確なキャリアプランを持っているか
明確なキャリアプランを持っているかどうかも、即戦力社員かどうか見極める基準の1つです。キャリアプランが明確な方は、その仕事のトレンドや将来性について詳しく分析しており、今後身につけるべき技術分野なども考えていることが多いからです。入社直後に活躍してくれることも大切ですが、5年、10年と継続して成果を出してくれる人材を育成するにはキャリアプランを尋ね、極力そのプラン通りに歩めるように仕事を与えることが重要でしょう。
コミュニケーション能力が高いか
即戦力社員に限った話ではありませんが、コミュニケーション能力が高いかどうかはやはり重要です。どんなに優秀な人材でも、職場を変えれば仕事の進め方などで分からないことが出てきます。分からないことは周囲の人に相談できるだけのコミュニケーション能力がなければ、即戦力社員とは呼べないでしょう。
04即戦力となる人材を活躍させるためのポイント
即戦力社員の採用に成功できても、企業の環境によってはその人が力を発揮できない可能性があるだけでなく、場合によっては早期退職されてしまう恐れもあります。即戦力社員が能力を発揮できるように、企業側も力を尽くす必要があるでしょう。即戦力となる人材を活躍させるためのポイントは次の3つです。
- ・リファレンスチェックを行う
- ・働きやすい環境作りに努める
- ・企業文化が理解しやすいような体制をつくる
リファレンスチェックを行う
即戦力社員を活躍させるには、リファレンスチェックを行うことが大切です。リファレンスチェックとは社員の前職の上司や同僚などに、その人の仕事振りや実力について問い合わせることです。本人からの情報だけでは、客観的な意見を得ることはできないため、リファレンスチェックはその人の実力を図るうえで有効です。
働きやすい環境作りに努める
即戦力社員を長く活躍させるためにも、働きやすい環境作りに努めることが重要です。即戦力社員は他企業からも当然人気が高いです。そのため、働きやすい環境でなければ、即戦力社員が早期退職してしまう可能性があります。そこで、給料アップはもちろんのこと、フレックスタイム制やカフェテリアプランの福利厚生を導入するなど、働きやすい環境作りに努め、早期退職を防止することが重要でしょう。
企業文化が理解しやすいような体制をつくる
即戦力社員がいち早く実力を発揮できるように、企業文化が理解しやすいような体制をつくることが大切です。どんなに実力のある社員でも、企業文化が分からなければ、自分で考えて行動することは難しくなってしまいます。例えば、会議ではどの程度自分の要望を話して良いのか分からないと、積極的に発言することはできないでしょう。逆に、企業文化が分かればそれを軸に自分の行動を決めることができ、指示を仰がずとも動くことが可能です。
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リクルートグループに通算10年在籍し、リクナビの学生会員獲得、求人広告の制作ディレクター、自社採用を担当。 その後、Amazon Japan、プライスウォーターハウスクパースなどで人事マネージャーを経て、2015年より『日本の人事部』にて、人事・人材業界向け講座・HR Techメディアを立ち上げ。 2017年 LINE入社。Employee Success室副室長などを経て、2019年11月より現職。 著書『採用に強い会社は何をしているか』(ダイヤモンド社/2019年)
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式会社キュービック 社長室(HRチーム / PRチーム
リクルートエージェント(現 リクルートキャリア)で採用コンサルタントに従事し、インターネット業界を中心に、様々な業界の採用課題に向き合う。求職者の深層心理に向き合ったアプローチで功績をあげ、多数MVPを受賞。 2016年4月よりキュービックにジョインし、HRチームの立ち上げや戦略的な社内制度の設計など経営課題の解決に従事。ジョイン後3ヶ月で約50名の採用を成功させる。
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06まとめ
採用後は育成にかける期間や最初に任せる仕事などを決めなくてはいけないため、採用した社員がどの程度の実力なのか明確に判断することは大切です。社員の実力を図るうえで、特にリファレンスチェックなどは有効と言えるでしょう。また、即戦力社員を採用した後は、能力を発揮できるような環境づくりに努めることが重要です。