公開日:2022/10/06
更新日:2023/02/16

人事計画とは?その目的や効果的な計画の立て方、注意点について解説

人事計画とは?その目的や効果的な計画の立て方、注意点について解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人事計画とは、会社が持つ人事のリソースを効率的に活用するための計画のことをいいます。人材の採用、配置一つで業績に関わることも少なくないため、効果的な計画の立て方について悩む方は少なくないでしょう。本記事では人事計画の概要を初め、細かい人事計画の違い・導入する方法などを紹介します。

 

01人事計画とは?

人事計画とは、企業が事業を行うにあたって、どのような人材が量的、質的などの視点からどのくらい必要かを計画することを指します。英語では「manpower planning」「human resources planning」などと呼ばれています。具体的な内容として、会社が掲げる経営計画と連動させ、不要な人材の整理や既存の部署の整理などや、今後の会社の計画に合わせ新規部署の設立の計画なども行います。

正しい人員計画を立てることで、組織の生産性を最大化し、適切な配置・採用・異動をおこなうことで、結果的には人件費の削減も期待できるでしょう。

計画の立案や人事計画書の作成に基づいて行う

人事計画を実施するうえでは、まず人事計画の立案をおこない、人事計画書を作成して進める流れが一般的であるといえます。中には、ITツールなどを導入して人事計画を効率的に進めているケースもあります。

人事計画書の作成にあたっては、対象となる事業部や部門の責任者にヒアリングをおこない、現状の人員数や必要となる要員数、また求められる人材の要件を整理します。そのうえで、今後の会社の経営計画に基づいて人材の配置や異動を推進していきます。

 

02人事計画と間違えやすい用語との違い

人事に関連した計画について、様々な用語があります。次に、人事計画と間違えやすい「要員計画」「人員計画」「人事採用計画」についてそれぞれの定義を解説します。

要員計画とは?

要員計画とは、人材採用や人材配置・異動といった人員に関わる計画を指します。人事計画は、会社の経営目標を軸に人員を動かすのに対し、要員計画は、合理的な採用活動や適材適所への人員配置、中長期的な人材育成などを軸とする計画です。

要員計画を立案する最大の目的は、事業計画の遂行です。そのため、事業計画を実行するために「どれだけの人員が必要か」という数量的な視点に加え、どのような能力を持った人材が必要なのかという要件の定義、どのように人材を確保・教育するのかという具体的なプロセスやアクションも要員計画に含まれます。

また、要員計画を立てることで採用を合理的に行うことができます。現在「3人の離職者が出たから、3人採用しよう」というように採用を行っている場合は、頭数を揃えることに焦点を当てるのではなく、設定した事業計画を遂行するためには何人を採用すべきなのかという視点で進めていくことで、合理的な採用を行うことができます。

人材の能力開発・育成を行いたい場合も、要員計画が役に立ちます。将来的にリーダー人材やマネジメントが何人必要なのかを逆算することで、中長期的な人材育成計画を作成することができます。

人員計画とは?

人員計画と要員計画は、同義語で使われることが多いです。しかし、具体的な違いとして要員計画は、経営計画や事業計画などをもとに検討する計画で、人材の量的な側面をマクロに使うことが多いです。一方人員計画は、部署などの小さい単位の中で、どのような人材を求めているかといった能力的な側面も含めてミクロに使われることが多いです。

プロジェクトや委員会などの、一定期間に起こる業務を行う時に人材を選択・配置したい場合は人員計画を用いることで、効率よく立案することができます。

人事採用計画とは?

人事採用計画とは、採用活動の指標となる計画のことです。採用活動は、「母集団形成」「応募受付・書類選考」「面接選考」「内定対応」と4つのフェーズで進行します。その間で、どのような人材がスクリーニングに対応するのかや、母集団を形成するために広告をどこに出すのかなどを検討するための指標となります。

人事採用計画を立てるために、最初に必要なことは採用活動を行う目的を明確にさせることです。新しい人材を採用することで、何を実現したいのか、求めている人物像やいつまでに採用したいのかというスケジュールが見えてくるためです。

また、競合他者と自社の違いや強みも把握することでより効果的な採用計画を設定することができるでしょう。

 

03人事計画を行うメリットとは?

人事計画を行うことで、社内のリソースが明確になり生産性を上げることができます。その中でも、主なメリット4つについて解説します。

  • ・1.会社の人材を最大限活用するため
  • ・2.効率的な事業運営を行うため
  • ・3.不必要な人事コストの削減のため
  • ・4.後継者の育成するため

1.会社の人材を最大限活用するため

企業の経営資源は、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つといわれており、なかでも「ヒト」が一番重要とされています。そのため、企業が掲げた目標を達成するためには、ヒトを有効活用する計画が必要です。

また、社員にとっても配属はキャリアを形成するのに重要な点です。会社の都合と社員の都合が一番合うような人事計画を行うことで、社員のエンゲージメントを向上させることもできます。 そのため、定期的な社員へのヒアリングやキャリアについて把握しておくことが大切です。

2.効率的な事業運営を行うため

人事計画を行うことで、会社の事業と社員が持っている能力を一致させることができます。数字が得意な社員を経理に配属させることや、マネジメントが得意な社員を適切に配置するなどを行うことで、事業運営の効率を大幅に向上させることができます。 業務がスピードアップし生産性を上げることができたり、顧客への提供価値の向上が期待できたりするでしょう。

また、社員が持っている能力を業務で活かすことができるため、従業員のモチベーションをアップさせることができます。

3.不必要な人事コストの削減のため

今いる人材を整理や再配置させるだけでなく、人員を抑えるために、「テクノロジーの導入」や「業務のアウトソース化」なども考えることも人事計画の目的の一つとなります。 現在行っている入力作業を外部に委託させることや、毎月行っている作業をテクノロジーを使って自動化させるなどの業務変更で発生する効率の違いなどを算出させるのも人事計画の一つです。

また、人材を採用する場合は、即戦力の中途採用を積極的に採用し配属させることで、新卒の育成費を削減できます。しかし、新卒を育成することで組織の一体感や雰囲気を活性化させることができるため、組織のこれからに必要な手段を選ぶことが大切です。

4.後継者の育成するため

人事計画内で優秀な人材の能力開発などの教育を行うことで、質の高い後継者を育成することもできます。事前に人事調査を実施することで、社内で抱えている人材がどのような業務に就いているのか・向いているのかを詳細に把握できるため、将来の幹部候補の社員を事前に把握することができます。そのような将来性の高い人材に対し、「海外研修や駐在」「責任のある役職や仕事に就かせる」といった経験を積極的に与えることができます。

 

04人事計画に必要な人員を算出する方法

実際に人事計画の必要性がわかったところで、人事計画に必要な人員を算出させるための方法を解説します。

人員を算出させるためには、マクロ的手法とミクロ的手法の大きく2つの手法があります。必要人員数(量的)を算定する方法で、それぞれ方式が異なります。どちらか一方だけで計算してしまうと、不具合が生じる恐れがあります。目的に合わせて、どちらがより効果的か判断することが大切です。

1.マクロ的手法

マクロ的手法とは、企業の経営計画などの戦略を元に、人件費と採算の観点から要員数を決めていく手法のことです。トップダウン方式とも言われ、「売上高」「損益分岐点」「人件費率」などから必要な人員を割り出し、各部門や職種、階層などに割り振っていきます。いずれかの計算式を活用することで、簡単に算出することができます。

  • ・必要となる人員=(年間売上高×付加価値率×労働分配率)÷1人あたり人件費
  • ・必要となる人員=(目標売上高×適正人件費率)÷1人あたり人件費

しかし、人員が足りず改善できない可能性があります。その時は、採用やアウトソースを検討することで人員不足を補填することができます。その際、どのような事業を外部委託するのかや採用する場合はどのくらいのスケジュールで行うのかなども同時に計画しましょう。

2.ミクロ的手法

ミクロ的手法とは、現在ある業務量から適正な要員数を決めていく手法のことです。別名ボトムアップ方式とも言われ、各部門や職務、階層別に必要となる人員を、職務分析をもとに検討していきます。以下の計算式を活用することで、簡単に算出することができます。

  • ・「必要となる人員=総業務量÷(1人あたり標準業務量×所定労働時間)」

ミクロ的手法を用いることで、各部門の人員不足は解消できるものの、人員が増え過ぎてしまう状況も考えられます。そのため、現在必要な能力を洗い出し、今従事している社員の能力から足りない部分を算出します。

予算を考慮しながら、新しく採用したり、既存の社員を研修し能力開発を行うなどの検討をすることが必要です。

 

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「戦略人事」とは、人事部門がこれまでのような管理的業務を中心とした対応から、経営戦略の実現を担う戦略部門へと転換すべきである、という考え方です。近年、人事部門が果たすべき重要な役割として、大変重要視されているテーマと言えます。人事白書2020によると、戦略人事の重要性自体は広く人事の間で認識されています(https://jinjibu.jp/keyword/detl/804/)。 しかし、各社、戦略人事に対する考え方は異なり、明確な定義がないからこそ、そもそもどう考えていくべきなのか、どのように進めていくべきなのか分からず、現場が混乱してしまうことも少なくないのではないでしょうか。そこで、本授業では戦略人事の考え方、アクションの起こし方について考えていきます。

 
  • 株式会社モチベーションジャパン 代表取締役社長

    人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。リクルートでは、組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長を歴任。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役として球団立上げを行う。現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。著書『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)

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06まとめ

人事計画は、会社の経営計画を達成させるためだけでなく、実際の業務を効率よく進めるためにも欠かせない要素です。社内にどのような能力を持った人材がいるのかや不足している能力について、定期的に把握しておくことは大切です。本記事は、人事計画についてや目的、他の計画の違いについて解説してきました。必要な人材を適切に配置して、生産性の高い組織を目指しましょう。

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