公開日:2023/10/25
更新日:2023/10/26

人材育成ができる人とは|特徴や必要な能力、企業の取り組み例を紹介

人材育成ができる人とは|特徴や必要な能力、企業の取り組み例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織には「あの人の下に配属された部下は必ず成長する」といわれる人がいます。人を育てることが得意な人材です。中間管理職の多くが育成力を高め、若手人材が活躍するようになれば、業績が向上し組織の発展が見込まれるでしょう。人材育成ができる人には、共通した特徴があるようです。 この記事では、人材育成ができる人の特徴や必要な能力を解説し、企業の取り組み事例を紹介します。

 

01人材育成ができる人とは

人材育成ができる人とは、部下育成に対する意識が高く、正しい育成スキルを身につけている人材のことです。配属された部下が早く仕事を覚え、活躍してくれれば担当部署の業績は好転し、人員に余裕が出て新たな取り組みができるようになります。部下の側からすると、上司が「人材育成ができる人」であれば、仕事に意欲的に取り組み満足度も高くなるでしょう。 人材育成ができる人に共通しているのは、育成対象と信頼関係を構築していることです。理想的な上司と部下の関係のもと、部下の成長を心から喜べるような関係です。

 

02人材育成ができる人の特徴

人材育成ができる人の特徴は、いくつかの共通点があるようです。信頼関係構築力はもちろん、仕事の任せ方・指導の仕方やタイミングなども、どうすれば効果が上がるか経験を通じて体得しているのでしょう。 具体的には以下の4点が挙げられます。

  • ・仕事の目的を理解させている
  • ・部下に考えさせる機会を与える
  • ・適切な目標を設定し共有する
  • ・部下に挑戦の機会を与える

仕事の目的を理解させている

人材育成が苦手な上司は、たとえば部下に資料作成を依頼する際、単に「月末までの売上推移をまとめておいて」と、何のために使う資料か伝えずに指示を出します。 反対に人材育成ができる上司は仕事を命じるときには、なぜその仕事が必要なのか理由を説明していることが多いようです。 「〇〇の会議で使うので、月末までの売上推移をまとめてほしい」 「曜日ごとの傾向をつかみたいので、分かりやすくまとめてくれると助かる」 というように、依頼した資料で何を把握したいのか、目的もあわせて伝えるのです。

部下に考えさせる機会を与える

人材育成ができる人は、部下に考える機会を与えることを意識しています。先ほどの資料の例でいえば、目的だけを伝え具体的なフォーマット形式などは指示をしていません。部下が仕事の目的と上司の要望を理解し、自分で工夫する余地を与えているのです。 細かく指示を出し、仕事の手順を教えたほうが生産性は上がるかもしれません。しかし、それでは、部下はいわれたことをその通りにやるだけの指示待ち人間になってしまいます。人材育成ができる上司は、部下の成長のために時間を使うことの大切さを理解しているのです。

適切な目標を設定し共有する

人材育成ができる上司は、効果的な目標の立て方を熟知しています。本人の力量を把握し、今のままでは無理だが、少し頑張れば手が届くストレッチ目標を習慣的に立てさせるのです。もちろん、目標は上司と部下で納得して共有できるようにします。 適切な目標を設定し、それを達成することで成功体験が積めるようにしていくのです。もちろん行き詰ったときは、タイミングよくフォローも欠かしません。こうした関りが信頼関係を育んでいくのでしょう。

部下に挑戦の機会を与える

部下に挑戦の機会を積極的に与えているのも、人材育成ができる人の特徴です。部下の力量と適性を見極め、タイミングよく難易度の高い仕事を任せるのです。もちろん、部下が潰れてしまわないように、難易度の高すぎる仕事を任せることはありません。 そして、任せたのなら細かい口出しはせず、見守ることの大切さも知っています。仕事を任せることが主体性につながり、難しい仕事に挑むことで経験値が上がることを知っているのです。

 

03人材育成に必要な能力

人事部門の育成担当者と、現場を預かる管理職はいずれも人材育成の担い手となりますが、アプローチは異なります。現場の管理職は、職場のマネジメントの一環として部下育成をおこないますが、人事部門は、組織全体の人材育成を考え施策を講じます。 関わる範囲とレベルは違っても、人材育成に必要な能力はさほど変りません。以下に挙げる3つの力は、人材育成に携わるうえで必須のものです。

  • ・観察力
  • ・共感力
  • ・洞察力

観察力

観察力は人材育成に必要なスキルのなかで、もっとも基本的で根幹をなすものです。人材育成ができる人は、部下をよく見ています。部下の普段の仕事ぶりを観察し「得意なことや苦手なこと」「何を好み、何を嫌うか」など、行動特性や価値観、スキル・知識を把握します。 相手のことをまず知ることが、育成の第一歩だと分かっているのでしょう。相手を理解することで、部下一人ひとりにあわせ、関わり方を変えていくのです。

共感力

人材育成に必要なスキルのもう一つは、共感力です。部下が考えていることや、悩んでいることなど、気持ちに寄り添うスキルです。高い観察力により表面に見えている事象を把握できても、それに対して部下が考えていることに共感できなければ、どのように育成すればよいのか分からなくなってしまいます。 相手の気持ちに寄り添う共感力は、相手にあわせた育成をするために必要なスキルであり、信頼関係の構築には欠かせないものです。

洞察力

洞察力とは物事の本質を見抜く力のことです。人材育成を効果的に進めていくには、この洞察力が欠かせません。観察や共感の結果から深く洞察し、どのように接すれば部下がもっと成果を出せるか、成長させられるかといった本質を見抜く必要があるからです。 洞察力は、部下それぞれの本質的な課題を見つけるための重要なスキルといえます。本質的な課題を理解することで、効果の高い人材育成ができるようになるのです。

 

04人材育成ができる人を育てるポイント

人材育成ができる人が増えていけば、若手社員はすぐに戦力となり、企業の成長に貢献してくれます。人が育つ組織では、人材育成ができる人を育てることができているのでしょう。そのためには、組織として「人材の成長=企業の成長」というマインドを共有することが大切です。 人材育成ができる人を育てるポイントには、以下の5つが挙げられます。

  • ・管理者の育成力を高める
  • ・コミュニケーションを活性化させる
  • ・人材育成を意識した人事制度を構築する
  • ・チャレンジが称賛される風土を醸成する
  • ・仕事に裁量を持たせる

管理者の育成力を高める

現場における人材育成の担い手となるのは、主に管理職です。この層の育成力を高めることが、企業として人材育成を進めていくうえでの近道であり、最重要課題といっても過言ではありません。 まず、管理職のミッションとして「人材育成」を明確に掲げることです。業績を上げる管理職だけが優秀なのではなく、人を育てられる管理職こそが優秀であるという風土を作る必要があります。定期的に管理職研修を実施するなどして、部下との関わり方や具体的な育成テクニックを学ぶ機会を提供することも大切です。

コミュニケーションを活性化させる

人材育成を進めていくうえでは、上司と部下の信頼関係がベースになります。信頼関係を構築するには、コミュニケーションの質と量の向上が欠かせません。そのためには、対話の機会を増やすことです。 部下と上司の関わりを深める施策として有効なのが、1on1による定期的なミーティング機会を持つことです。制度化するなどして、コミュニケーションを活性化するとよいでしょう。

人材育成を意識した人事制度を構築する

人事制度そのものを、育成を主眼においたものに変革することも有効です。たとえば、人事評価に目標管理制度を導入するといった取り組みが挙げられるでしょう。 上司の側にも適切な目標設定と、納得を引き出すスキルが求められます。部下の側は、上司と話し合い納得して決めた目標に向け取り組むことで、モチベーションの維持と向上によい影響をもたらすでしょう。

チャレンジが称賛される風土を醸成する

適切なタイミングでチャレンジの機会を与えることが、部下の成長に大きく作用することは前述しました。積極的なチャレンジを促すには、組織としてチャレンジが称賛される風土を醸成することが必要です。 挑戦のないところに大きな成長はありません。前向きなチャレンジによる失敗が称賛される風土では、上司も安心して部下にチャレンジを促せるでしょう。

仕事に裁量を持たせる

いきすぎた管理は、モチベーションと生産性を大きく低下させるものです。ある程度仕事に裁量を持たせることで、モチベーションが保たれ、自分の頭で考える創意工夫が生まれます。 会社全体の方針として、部下に裁量を持たせ管理しすぎない方針を打ち出すとよいでしょう。管理職のなかには、細かく管理しないと不安になるタイプもいます。会社として方針を打ち出し研修を実施するなどして、マネジメントに対する意識の変革を図る必要があります。

 

05人を育てることに成功している企業事例

ここでは、人を育てることに成功している企業の事例を紹介します。いずれも現場での人材育成の担い手となる、中間管理職の育成に成功している事例です。企業としての人材育成を成功させるには、現場管理者の育成力を高めることが不可欠であるようです。

  • ・小田急電鉄
  • ・ヤフー株式会社
  • ・株式会社シグマクシス

小田急電鉄

小田急電鉄では主要部門である車両部の中間管理職である「助役」に対して、意識改革とモチベーション向上の施策を講じました。「助役」のポジションは現場で部下のマネジメントにあたる立場ですが、モチベーションに差が生じていることが問題視されます。部下育成の取り組みにも差が出てしまっており、しばしば起こるヒューマンエラーの原因になっていました。 助役に対するモチベーションアップの施策として「助役真髄塾」を開催します。ベテランや経験の浅い助役など、属性にあわせた編成で3期にわたり実施されました。これにより、コミュニケーションの質が向上し、意識改革が進みます。「自分たちで考えることが前向きな姿勢を生む」という意識が浸透し、組織全体の活性化に成功しています。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社の人材育成の取り組みとしては、1on1ミーティングの制度化が有名です。部下がいる上司は、すべての部下と毎週1回30分のミーティングをおこなうこととしました。30分という短い時間ではあるが、高い頻度で面談があることで、密な対話の機会が確保されています。 約束事として、上司の側は「できるだけ部下に話をさせること」と決められています。部下の話を引き出す必要があるため、管理職のコーチングスキルも向上していきました。

株式会社シグマクシス

コンサルティング事業を手がける株式会社シグマクシスでは、社内で活躍している社員を講師として社内研修を実施する取り組みをしています。講師となる社員は、自らの経験やノウハウを受講者に共有します。 同社の研修は全員参加ではなく、希望制で「参加したい」と手を挙げた社員のみが参加する形式です。自発的な学びを促すための取り組みで、社員の積極性や主体性を養うことにつながりました。研修講師をできるだけ多くの人に経験してもらうため、人選は人事部門と現場の管理職が連携しておこなっています。


 

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06まとめ

人材育成ができる人を多く育てた企業では、社員の成長スピードが早く、活気にあふれる組織風土が醸成されます。こうした職場は明るく風通しもよく、若年社員の離職も起こりにくいのではないでしょうか。 企業全体の人材育成力を高めるには、現場のマネジメント層に対するアプローチが欠かせないようです。部下と毎日接している中間管理職の育成力を高める取り組みを実施していきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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