フォロワーシップ研修とは?具体的な内容や実施のポイントを解説

多くの企業において、チームは管理職と部下で構成されていることが多いかと思われます。部下の活躍がチーム全体の成果を大きく左右するため、管理職の責任が伴います。しかし、ビジネス環境の変化が激しい昨今では、必ずしも管理職の意思決定だけに基づいてチームを昨日させることは適切とは言い切れません。 そこで注目されているのがフォロワーシップです。この記事ではフォロワーシップの概要とそれがチームに与える効果、研修内容や実施する際のポイントについて解説します。
01フォロワーシップ研修とは
フォロワーシップ研修とは、組織の中でリーダーを支え、チームの成果を最大化するためのスキルや姿勢を習得する研修です。そもそも、フォロワーシップとは、単に指示を受けるだけでなく、自ら主体的に動き、リーダーやチームに積極的に貢献する能力や姿勢を意味しています。
近年、組織における役割の多様化やチームワークの重要性が増す中で、個々のメンバーがフォロワーシップを発揮することが求められており、このような背景から、フォロワーシップ研修の必要性が高まっています。
フォロワーシップ研修が注目される背景
フォロワーシップ研修が必要とされる理由は、変化が激しく、先行きが不透明なVUCAの時代において、組織全体で柔軟かつ迅速に対応する必要があるためです。
変化に柔軟に対応していくためには、リーダーの指示を待つだけでなく、個々のメンバーが自発的に行動し、主体的に貢献する姿勢が求められます。特に、リーダーだけでは変化に十分に対応しきれない場合、フォロワーがチームの連携を強化し、状況に応じて課題解決に取り組むことが重要です。
フォロワーシップ研修を通じて、メンバーが主体性や協調性を発揮するスキルを身につけることで、組織全体として変化に対応できる強さを持つことが可能となります。
02フォロワーシップ研修の効果
フォロワーシップ研修の効果として、次の3つが挙げられます。
- ・管理職の負担軽減
- ・生産性向上
- ・信頼関係の構築
フォロワーシップ研修は、管理職の負担軽減やチーム全体の生産性向上、リーダーとメンバー間の信頼関係構築に大きな効果をもたらします。研修を通じて、メンバーが主体性を持って動くことで、組織全体のパフォーマンスと職場環境の改善が期待されます。
管理職の負担軽減
フォロワーシップ研修を受講することで、社員1人ひとりが主体的に考え、行動できるようになります。その結果、上司の指示を待つだけでなく、自ら課題を見つけて取り組む姿勢が定着し、管理職の負担が軽減されます。
特に、チームの進捗管理や意思決定の場面では、フォロワーシップを発揮する社員がサポート役となり、情報整理や課題解決を積極的に行うことで、管理職が本来注力すべき業務に集中しやすくなります。
生産性向上
フォロワーシップ研修を通じて、メンバーは主体性を持って業務に取り組むスキルを習得します。これにより、リーダーの指示を待たずに状況を判断し、積極的に行動できるようになります。結果として、業務の遅延を防ぎ、チーム全体で効率的にタスクを行うことが可能です。
また、メンバーそれぞれがリーダーシップを補完する形で動くため、役割分担が明確化され、チーム全体のパフォーマンスが向上します。フォロワーシップの強化は、単なる業務効率化に留まらず、組織全体の生産性向上に寄与するといえるでしょう。
信頼関係の構築
フォロワーシップ研修は、リーダーとメンバー間の信頼関係を深める効果があります。研修を通じて、メンバーはリーダーの意図や方針を理解し、リーダーに対して建設的なフィードバックや、提案を行えるスキルを学びます。
一方、リーダーはメンバーの意見を尊重し、相互理解を深めることが可能です。これにより、コミュニケーションが円滑になり、心理的安全性の高い職場環境が生まれます。結果として、チーム全体が一丸となり、組織目標の達成に向けて協力する土壌が整うのです。
03フォロワーシップにおける5つのタイプ

フォロワーシップには、模範的、孤立型、順応型、消極的、実務型の5つのタイプがあります。チームが主体的に動くためには、高い積極性と批判的思考を兼ね備えた、模範的なフォロワーが重要です。
フォロワーシップ研修を通じて、社員が積極的に意見を出し、リーダーをサポートしながらチームの目標達成に貢献できるよう、模範的フォロワーを増やしましょう。
模範的フォロワー
模範的フォロワーは、高い積極性と、高い批判的思考を兼ね備えた存在です。彼らはチームの成功に対して主体的に取り組み、リーダーを支えながらも必要な場面で建設的な意見を提案します。このタイプのフォロワーは、リーダーに対して信頼感を与え、他のメンバーの模範ともなる行動を取るため、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。
孤立型フォロワー
孤立型フォロワーは、批判的思考度が高い一方で、積極的な関与の度合いが低い特徴を持ちます。彼らは問題点を鋭く見抜く能力を持っていますが、行動に移すことが少ないため、チーム内で孤立しがちです。
このタイプのフォロワーをうまく活用するには、彼らの意見を引き出し、具体的な行動に繋げる仕組みが重要です。たとえば、個別のミーティングや意見を集約するワークショップを通じて、チームに貢献できる機会を提供することが効果的です。
順応型フォロワー
順応型フォロワーは、積極的に関与するものの、批判的思考度が低い傾向があります。リーダーやチームの方針に対して従順で、与えられた指示に忠実に従う行動が特徴です。
順応型フォロワーは、計画通りに物事を進めるうえで重要な存在ですが、創造性や問題解決能力を引き出すには、リーダーが新たな視点を促すサポートが必要となります。そのため、新しいプロセスの提案を求める環境を作り、考える機会を提供することが有効です。
消極的フォロワー
消極的フォロワーは、積極的関与の度合いと、批判的思考度の両方が低いタイプです。指示されたタスクをこなすものの、それ以上の貢献は期待できない場合が多く、結果としてチーム全体の足を引っ張ることもあります。消極的フォロワーに対しては、定期的なフィードバックやモチベーションを高める取り組みが必要です。
実務型フォロワー
実務型フォロワーは、積極的関与度と批判的思考度の両方が、中程度のバランスを保つタイプです。彼らは状況に応じて行動を調整し、中立的な立場からチームをサポートします。
このタイプは、安定感を持ってプロジェクトを支える役割を果たしますが、時にはリーダーシップを発揮する場面を提供することで、さらなる成長が期待できます。
04フォロワーシップ研修の具体的な内容
フォロワーシップ研修は、以下のようなスキルを習得できる内容にすると良いでしょう。
- ・貢献力
- ・批判力
- ・リーダーシップ
- ・自己管理能力
- ・協働力
フォロワーシップ研修では、貢献力や批判力といった、模範型フォロワーが高く備えている能力を養います。
また、周囲と共に目標を達成するために重要な協働力や、リーダーシップといった能力もフォロワーシップにおいて重要であるため、これらの能力も、研修を通じて習得できることが望ましいです。
貢献力
貢献力は、チームや組織において積極的に貢献する力を指します。研修では、チームの目標を達成するために自分の役割を理解し、積極的に取り組む姿勢を養うためのワークショップやグループディスカッションが有効です。ケーススタディを通じて、個々の役割を意識しながら貢献する方法を学べると良いでしょう。
批判力
批判力は、物事を多角的に分析し、建設的な意見を述べる力です。研修では、クリティカルシンキングの基礎や、その応用方法を学び、問題を深く掘り下げて考えるスキルを身につけます。
また、実際の問題を取り上げての演習や、グループディスカッションを通じて、参加者が自分の意見を論理的に展開し、他者の意見と比較することで、批判的思考を実践的に養います。これにより、問題解決能力が向上し、建設的なフィードバックができるようになるでしょう。
リーダーシップ
フォロワーシップ研修では、メンバーが主体的に動き、リーダーをサポートし、チームや組織の目標達成に貢献するために、リーダーシップを養う必要があります。リーダーシップのスキルを身につけることで、フォロワーは自らの役割を超えて積極的に課題解決に取り組み、チーム全体の目標を達成する力が強化されるでしょう。
さらに、リーダーシップを理解することで、フォロワーがリーダーの意図や戦略に適切に対応し、共に目標を達成するための効果的なパートナーシップを築くことができます。
自己管理能力
自己管理能力は、自分自身の行動や感情を制御し、目標に向かって効果的に行動する能力です。フォロワーシップにおいては、自己管理能力が高いと、ストレスや課題に適切に対処し、自律して行動することができます。
また、自己管理能力が高い人は、リーダーシップを発揮することが期待される状況でも、責任感を持って行動し、他のメンバーに良い手本を示すことができます。
協働力
協働力とは、チームや組織内で他のメンバーと協力し、共に目標を達成する力を指します。フォロワーシップでは、チームや組織の一員として協力し、協働で目標を達成することが求められます。そのため、協働力は非常に重要なスキルです。協働力が高いと、他のメンバーとの協力やコミュニケーションが円滑に行え、チーム全体のパフォーマンス向上に繋がります。
05フォロワーシップ研修を実施するうえでのポイント
フォロワーシップを実施する際のポイントは、以下の通りです。
- ・研修対象者には管理職も含める
- ・研修後の行動目標は明確にする
フォロワーシップ研修は管理職も含めて実施する必要があります。組織において管理職もフォロワーの一員として、重要な役割を担っているためです。研修後は、学んだ内容が実践に繋がるよう、明確な目標設定と定期的なフィードバック、振り返りを行い、効果的な実行をサポートすることが重要です。
研修対象者には管理職も含める
フォロワーシップは部下が身につけるものと考えがちですが、中堅社員だけでなく、管理職も研修対象者に含めて実施することが望ましいです。その理由として、企業は経営者をトップとしたピラミッド型の組織構造であるため、管理職であっても、フォロワーの役割を持つことがあるからです。
各階層の社員がフォロワーシップの視点を持ち合わせていれば、すべての社員が自発的に行動し、リーダーシップを発揮する場面においても協力できる組織作りが可能になります。
研修後の行動目標は明確にする
研修を受講後、現場に戻ってからどのように行動するのかといった、行動目標を立てもらいましょう。 研修で学んで終わりでは実施した意味がないので、行動は具体的にかつ、取り組みやすい内容が望ましいでしょう。
また、実際に行動した結果のレポートなどを作成してもらい、それに対してフィードバックを行うことも、フォロワーシップに磨きをかける上で有効です。
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06フォロワーシップ研修|Schoo for Business

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フォロワーシップ研修に関するコンテンツ一覧
研修内容 | 時間 |
本質を見極める クリティカルシンキング入門 | 6時間 |
クリティカルシンキング実践演習 | 1時間 |
いまのメンバーで仕事が面白くなるチームビルディング | 2時間 |
“I”から“ We”へ踏み出すチームビルディング | 1時間 |
結果を出す人のチームワーク術 | 1時間 |
課題解決のための協働「ソーシャルプロジェクト」 | 2時間 |
協働的思考「コレクティブ・インパクト」 | 1時間 |
シンプルに問題解決へ導くリーダーシップ | 2時間 |
「自分らしさ」を武器にするこれからのリーダーシップ | 1時間 |
チームワークの教科書 | 2時間 |
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07まとめ
フォロワーシップはリーダーをサポートすることはもちろんのこと、チームとしての意思決定をより洗練させるために有効です。 部下がフォロワーシップを発揮するためには、自分のリーダーの考えを知り、自発的に考えて行動していくことが重要となります。 この記事で解説した内容をもとに、効果的なフォロワーシップ研修を検討してみてください。