公開日:2021/05/28
更新日:2023/04/28

始末書の書き方とは?人事評価の反映方法や繰り返させない指導法も解説

始末書の書き方とは?人事評価の反映方法や繰り返させない指導法も解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ビジネスシーンにおいてメンバーに始末書を提出させる場面があります。提出しないことが何よりですが、もしも始末書を出す場合にはどのような項目を記載し、始末書を出す意味をどう伝えればいいのでしょうか。本記事では、始末書の位置付けから記載項目、人事評価に反映させるためのポイントを紹介していきます。

 

01始末書とは

始末書とは、企業内でトラブルやミスを起こした際に提出し、作成者の反省を表す書類です。書いて出しておけば許されると考える方も多いのですが、始末書を作成することは「懲戒処分」の1つに該当します。多くの企業で、始末書の扱いは就業規則に明文化され、繰り返し始末書を出すことにより処罰が重くなるケースもあるため、安易に出しておけばいいという思い込みは間違っている点を理解しておきましょう。その他にも始末書はどんな時に求められるのか、作成する目的、似た書類との違いについても解説します。

始末書提出が求められるシーン

始末書の提出基準は各企業により異なりますが、一般的な事例をご紹介します。

  • ・業務上のミスや不手際
  • ・交通事故などのトラブル
  • ・セクハラやパワハラなどの問題
  • ・不正行為や違法行為
  • ・遅刻や欠勤などの就業規則違反

このように始末書を書く対象となる業務や事象は数多くあり、社内ルール違反や外部への迷惑行為は始末書作成対象となることを理解しておきましょう。

始末書の目的

始末書を書く主な目的は、事実確認のためです。問題の原因や経緯を客観的に記録することで、その後の調査や対応がスムーズに行われるようになります。場合によっては、裁判や法的手続きで利用されることがあるため、責任の所在を明確にできます。また、始末書は、問題の事実から原因分析を行い、再発防止策を検討することにも役立てられます。

始末書と混同しやすい書類と違い

始末書と似た書類には、「顛末書」と「反省文」の2種類があります。それぞれ内容や目的が異なりますので、ここで解説します。

始末書と顛末書の違い

顛末書は「事象がおきた経緯経過を説明する」ために作成する文書です。トラブルなどが生じた際に状況の経緯を説明し再発を防ぐための対策を記載します。顛末書の場合には、作成者の反省よりも再発防止策の立案や適用が重視され、事の経過を報告する際に利用するものとなります。

始末書と反省文の違い

始末書と反省文は、謝罪の対象が異なるという点で異なります。始末書は会社・組織に迷惑をかけてしまったときに使う傾向があり、反省文は個人や少人数に迷惑をかけてしまった場合に用いられます。一方で、始末書も反省文も提出する目的は変わりません。社員が勤務中に起こしてしまった問題のある行動・言動を反省するために提出するという書類という意味合いでは、どちらも同じように用いられます。

 

02始末書の書き方

始末書の書き方にもルールがあります。この章では始末書の書き方で押さえておくべきポイントを4つ紹介します。

“始末書のフォーマット
 

表題は「始末書」と書く

提出した文書の内容がわかるように、WordやGoogleドキュメントで提出する場合はファイル名の冒頭に「始末書」と入れておくと良いでしょう。紙で提出する際は、文書の上部に「始末書」と記載しておくと、一目で始末書と伝えることができます。

提出日付・宛先・自分の名前を記載する

始末書の冒頭に、提出日付・提出先となる上司の役職名と名前、自分の名前を記載しましょう。提出日付は文書の右側上部に記載します。西暦と元号はどちらでも問題ありません。

提出先(宛先)は文書の左側上部に記載するのが一般的です。

「〇〇(役職名)」
「〇〇〇〇殿(フルネーム、または苗字)」という形で記載します。

一方で、自分の名前は上部右側に記載します。役職もあれば役職を記載しても問題ありません。

年月日・日時を書く

読む人が何が起きたかを簡単に把握できるように、年月日や日時は正確に記載しましょう。その際、時系列に順序立てて記載してあると、読み手に優しい始末書となります。また、年月日や日時を時系列に箇条書きで記載する書き方も良いでしょう。全てを文章にしてすると接続詞が多くなり、かえって読みにくくなる可能性もあるので、状況に合わせて書き方も工夫してみてください。

事実を正確に記載する

事実を正確に記載するうえでのポイントはいくつかあります。ここでは、Schooで提供している授業である、「「お詫び」「ミスの報告」「断り」「指導・指摘」がスムーズに“伝わる”文章表現」からポイントを紹介します。伝える力[話す・書く]研究所の山口拓朗氏によると、「責任逃れをしない」ことをポイントとして挙げています。ミスをごまかさず、原因を明確に記載し、現在の状況や対応策についても記載することで、誠実に対応していることが相手にも伝わる、ということでした。言い訳のような文章では、上司からの印象も悪くなり、問題を深刻化させることにもつながりかねないため、注意が必要です。


「お詫び」「ミスの報告」「断り」「指導・指摘」がスムーズに“伝わる”文章表現

 

「お詫び」「ミスの報告」「断り」「指導・指摘」がスムーズに“伝わる”文章表現

  • 伝える力[話す・書く]研究所/山口拓朗ライティングサロン主宰

    出版社で編集者・記者を務めたのちに独立。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて「好意と信頼を獲得する伝え方の技術」や「伝わる文章の書き方」等の実践的ノウハウを提供。著書に『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(明日香出版社)ほか15冊以上。
 

03始末書の例文を紹介

この章では、始末書の例文を紹介いたします。代表的な3つのパターンを例に文章を紹介しますが、このパターンにあたらない場合でも謝罪表現や文章の流れは模倣いただけると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

例文|無断欠勤をした場合の始末書

無断欠勤をした場合の始末書の文例をご紹介します。

“私は、令和◯年◯月◯日から◯日間に渡り、無断で欠勤をいたしました。この日は体調が悪く、少し横になるつもりが深く眠ってしまい、気づいた時には始業時刻を過ぎておりました。また、そのことに動転し、会社に連絡をする勇気が出ないまま翌日も欠勤をしてしまいました。本来すぐに会社に連絡をするべきところ、社会人としての自覚を欠いた行動を取り、弁解の余地はございません。会社の皆様に多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。今後は二度と同じ過ちを繰り返すことの無いよう、ここに誓約いたします。尚、本件に関する処分には謹んで従う所存でございます。”

例文|交通事故をした場合の始末書

交通事故をした場合の始末書の文例をご紹介します。

“令和◯年◯月◯日の◯時◯分頃、国道◯◯線の〇〇市〇〇町付近にて、路肩停車中の車と接触事故を起こし、相手方の車両と社用車のボディの一部を損傷いたしました。取引先に向かう途中、アポイントの時間が迫っていたことで焦り、慎重さを欠いた運転をしたことが要因です。取引先、会社を含む関係各所に多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。今後は一層安全運転を心がけるとともに、二度とこのような事故を起こさないことをここに誓約いたします。“

例文|データを削除した場合の始末書

データを削除した場合の始末書の文例をご紹介します。

私は、令和◯年◯月◯日、顧客データの一部を削除してしまったことをお詫び申し上げます。私は当時、平成〇〇年〇月~令和〇〇年〇月までの顧客データの整理を行っており、不要なデータを削除する際、誤って必要なデータも削除してしまいました。この事態は仕事に対する私の集中力が欠けていたことが原因で起きたことであり、取り返しのつかない間違いをしてしまったことを深く反省しております。今後は十分に注意を払い、ひとつひとつの作業を確認しながら業務に当たることを誓います。

例文|物品を紛失した場合の始末書

物品を紛失した場合の始末書の文例をご紹介します。

私は、令和〇年〇月〇日、〇〇線〇〇駅発~〇〇駅着の電車内で、自身の社員証を紛失してしまったことを報告いたします。業務終了後、同僚たちと飲みに行き、帰宅する際には社員証を持っていることを確認しておりました。しかし、帰宅中の電車の乗り継ぎをした際に、社員証がないことに気付き、降車した電車に取り残されていることに気付きました。紛失が発覚した直後は、上司に報告し、詳細について説明しました。さらに、鉄道会社に問い合わせをして、調査を依頼しております。この度は私の不注意により、社員証を紛失してしまいましたことを深くお詫び申し上げます。今後はこのようなことがないよう、常に自己管理に努め、紛失しないように注意いたします。

例文|物品を破損した場合の始末書

物品を破損した場合の始末書の文例をご紹介します。

私は、令和〇年〇月〇日の〇時〇分頃、社用のノートパソコンを破損させてしまったことを報告いたします。打ち合わせのために、〇会議室に向かう際に、手を滑らせてしまい、持っていたノートパソコンを落としてしまいました。その結果、画面が割れて使用できなくなってしまいました。これに対し私は、ノートパソコンが破損したことを直ちに上司に報告いたしました。この度は私の不注意により、社用のノートパソコンを破損してしまいましたことを深くお詫び申し上げます。今回の破損を教訓に、今後の業務においては、万全の注意を払い、同様の事故が起こらないように努めます。

 

04始末書による人事評価への反映

始末書提出による人事評価への反映はどうすればいいのでしょうか。懲戒処分の1つである始末書の提出を人事評価では反映しなければ不公平な評価となってしまいます。実際に人事評価に反映する注意点を解説していきましょう。

評価制度への反映時の注意

始末書を出したことは事実ですが、この始末書提出をもって評価期間の活動に評価を下げることは避けましょう。人事評価制度に反映する際には、評価期間中の評価を行い始末書に該当する事案に関係する評価項目にマイナスを加えていく方法を取ります。できていることは評価することが大事です。

提出回数やレベルによる評価ポイントの反映

始末書の提出回収は賞罰のレベルに応じて評価ポイントに反映することも大事です。同じ内容の始末書を繰り返し出した場合と、1回のみ出した場合での評価が同じでは不公平になります。また、7つの賞罰のどの賞罰で提出したかに応じても評価ポイントを変える必要があります。この基準については、評価ルールの中であらかじめ設定し誰もが同一の評価ができる仕組みを作っておくことが必要です。

評価内容についての説明は必ず行うべき

評価査定の後に、メンバーに対して評価内容を必ずフィードバックします。この際、始末書を提出したことで、どの部分がマイナスされているのか。始末書の提出がなければどんな評価になっていたかを説明します。メンバーは、自分が本来評価される結果と始末書提出によりマイナスされた部分を理解し、次の評価では正当な評価を得れるようにモチベーションを上げるフィードバックを行うことが大事です。

 

05始末書を提出させるための方法

始末書を提出させることは社内における懲戒処分の1つとなります。懲戒処分は通常、軽いものから「戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、論旨解雇、懲戒解雇」の7段階に分けられており、始末書は2段階目の「譴責」から提出させることがほとんどです。企業において懲戒処分の1つとして始末書を出させるために、あらかじめ対応しておくべき内容について解説していきます。

始末書の記載項目や提出方法を決めておくこと

始末書の記載項目や提出方法については、あらかじめ取り決めを行い周知しておく必要があります。就業規則上には、細かな記載項目などを定義することはできません。社内統一のフォーマットを作成する、記載についての注意事項などをあらかじめ明文化し社内へ周知を行っておきましょう。

始末書提出に関する運用方法を周知しておくこと

始末書提出に関する運用方法についても取り決めを行い、周知しておく必要があります。始末書を作成後には、上司に提出する、ワークフローで提出するなど最終的には誰が確認し承認をするかまでのプロセスが必要です。また、提出期限についても明確に決め、期間内に提出が無い場合の対応についてもルール化しておきましょう。

分かりやすく簡潔に書くこと

始末書の内容は、分かり易く簡潔に書きます。始末書には、経緯を報告する側面を持っているため、読み手側に状況や経緯が分かるようにする必要があります。文章を簡潔にし要点を絞って記載することで、状況の整理が行われ、抜本的な課題を整理することも可能になります。文章を書く事が目的ではなく、状況の報告を行う意味でも簡潔に分かり易く記載することを意識しましょう。

提出するタイミングについて

始末書の提出期限については、自社のルールにより決まります。一般的には、主に事象のあった当日または翌日を定めています。始末書に記載する事象の経緯や状況を鮮明に覚えている間に記載することで、より詳しい状況を記載することが可能になります。賞罰委員会などの決定により、事象が起きた数日後に提出を求められた場合には、提出を求められた翌日には提出するようにしましょう。

 

06繰り返し始末書を提出させないための指導方法

最後に繰り返し始末書を提出させないための指導方法について解説します。始末書を繰り返し提出する人に対して、どのような指導を行うべきか、どうアプローチするべきかについて理解していきましょう。

根本的な原因の探求と改善方法の指導

始末書を繰り返し出す場合には、根本的な原因の探求と改善を指導する必要があります。遅刻を繰り返す人については、寝る時間が短いのではないか、何が原因で寝るのが遅くなるのか、体調を崩している可能性はないかについてヒヤリングを行います。根本的な原因が分からなければ、根本の解決策を導くことはできません。時には、プライベートな問題を聞く可能性もありますが、日々の業務での成果が無駄にならないためにも、改善策を導き出し解決できる指導を行っていきましょう。

根本的な原因の探求と改善方法の指導

始末書を繰り返し出す場合には、根本的な原因の探求と改善を指導する必要があります。遅刻を繰り返す人については、寝る時間が短いのではないか、何が原因で寝るのが遅くなるのか、体調を崩している可能性はないかについてヒヤリングを行います。根本的な原因が分からなければ、根本の解決策を導くことはできません。時には、プライベートな問題を聞く可能性もありますが、日々の業務での成果が無駄にならないためにも、改善策を導き出し解決できる指導を行っていきましょう。

動機付けを行う面談等の実施

始末書を出してしまった後は、メンバー本人のモチベーションは低くなります。起きてしまったことは戻せないため、これからどうしていくべきかという前向きな視点でのサポートを行いましょう。できていることを評価し、これから何に注意すればいいかを伝えメンタル面でのサポートを行います。起きたことを反省しながらも、前向きになる動機付けを行い業務を行えるよう指導していきましょう。


 

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07まとめ

本記事では、始末書をテーマに始末書の目的や記載に関する事項、人事評価反映への注意点について解説しています。実際に始末書を提出することで、メンバーのモチベーションは大きく下がります。始末書による戒めを行った後には、信頼回復につながる行動ができるように指導していきましょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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