データサイエンティストに必要なスキルとは?取るべき資格までを解説する
企業の重要な役割を担うデータサイエンティストのスキルアップにはどのような資格を保有することが有効なのでしょうか。本記事では、データサイエンティストにとって必要なスキルや取るべき資格について解説していますので、今後のスキルアップの参考にしてください。
- 01.データサイエンティストとは
- 02.データサイエンティストの役割
- 03.データサイエンティストに必要なスキルとは
- 04.データサイエンティストに役立つ資格とは
- 05.スキルチェックの方法とは
- 06.データサイエンティストの知識を身に着けるならSchoo
- 07.まとめ
01データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、統計学・情報工学などの知見を活用しながら、膨大なデータを整理・分析し、意味のある解釈を導き出す仕事のことです。情報化社会となり、オンラインの活動、オフラインの活動ともに私たちの生活は様々なデータに転換されるようになりました。しかしそのようなデータも、ただ集めるだけでは活用に繋がりません。データを有効に活用するためには、適切に情報を整理し、解釈を加えることが必要です。また、膨大なデータの取り扱いには専門的な知見が必要になります。そのため、昨今の情報化社会の中で、これらデータ取り扱いの専門家であるデータサイエンティストは注目を集めています。
データサイエンスに関する専門部署・チームのある企業割合は48%
データサイエンティスト協会が2021年9月~10月に実施した調査結果によると、データサイエンスを専門に扱うチーム等がある企業は全体の48%となりました。また、過去1年でデータサイエンティストを1人以上増やした企業は41%となり、コロナ禍においても需要が大きかったと考えられます。 その一方で、データサイエンティストを目標通り確保できなかった企業割合は62%となり、高い需要の一方で人材確保に苦戦している企業比率が高く、需給ギャップがある状態だと言えます。
参考:一般社団法人 データサイエンティスト協会「データサイエンティストの採用に関するアンケート」
先端IT人材は今後も不足が予測されている
経済産業省が発表しているデータによると、2010年代の日本における労働生産性上昇率を前提とした場合、2030年時点で日本のIT人材は16.4万~78.7万人が不足すると予測されています。またその中でも、AIやビッグデータなど先端IT分野を担う人材の需要が増えると予想されており、それら先端IT人材に絞ると10.7万~73.7万人の不足が予測されています。前項でも記載の通り、企業におけるデータサイエンティストの需要は増えている一方、人材の供給は追いついていない状況です。企業における人材確保や人材育成は急務の課題となっています。
02データサイエンティストの役割
次にデータサイエンティストの役割について解説します。データサイエンティストには大きく分けて「データを使った課題定義」と「レポーティングと提言」の役割があります。人材育成の側面においても参考にし研修などの継続的な育成を行うようにしていきましょう。
役割1|課題定義
データサイエンティストは、数字データの分析結果を踏まえ課題解決の役割を担います。分析データがイコール問題解決の技法になるということではなく、問題解決の糸口となる見解を出すことを行い関連者と協議し問題解決を図ることになります。事象だけでは判断できない課題も分析結果をもとに裏付けを行ったり、他の可能性を見出す際にデータサイエンティストの役割は重要であることを理解しておきましょう。
役割2|レポーティングと提言
分析したデータをもとにレポーティングと提言を行うのもデータサイエンティストの重要な役割です。分析したデータから何が分かるのか、どのような問題が起きる可能性があるかを考察しレポーティングの形に整理し経営層などへ報告を行います。この際、数字の結果報告ではなく、そこから分かることや新たな取り組みへの提言などが重要になる点もおさえておきましょう。
03データサイエンティストに必要なスキルとは
次にデータサイエンティストに必要なスキルについて解説します。データサイエンティストの業務は多岐にわたるため、様々なスキルが複合的に必要になります。ここでは「ビジネススキル」、「データサイエンスに関するスキル」、「ITスキル」の3領域でそれぞれ詳しく説明します。データサイエンティストが保有すべきスキルとはどのようなものがあるのかを理解し、人材育成や自己スキルアップに役立てていきましょう。
ビジネススキル
ビジネススキルは、クライアント企業が抱える課題を把握し、解決に導くためのスキルです。ここでは、データサイエンティストに必要とされる主なスキルを解説します。
コミュニケーション能力
データサイエンティストは、営業担当やエンジニアといった社内に加え、クライアントに対してデータ分析に関する課題や要件をヒアリングしたり、分析結果をわかりやすく伝えることも多いため、コミュニケーション能力は必要不可欠と言えます。
マネジメント能力
データサイエンティストは、営業担当や技術担当などの他業務の担当者とチームになり、プロジェクト全体を管理するマネジメント能力も必要です。予算やリソース、進捗管理まで幅広く行うことも少なくありません。
ドキュメンテーション能力
ビジネス課題から適切なデータを抽出し、解決策を提案したり報告する機会も多いため、プレゼンの資料を作成する必要が出てきます。そのため、データサイエンティストは、ドキュメンテーション能力を身に着けておくことも重要です。
データサイエンスに関するスキル
データサイエンティストは、ビッグデータを扱い分析をするスペシャリストです。ここでは求められるスキルのうち、代表的なものを解説します。
分析・統計に関する知識
データサイエンティストは分析の目的を定義し、分析内容や分析方法の選定を行う分析設計スキルが必要です。そのためには、情報処理や数学、統計学の専門知識が必要なことに加え、分析内容をビジネスに応用するスキルも求められます。
データを最低な形式で集計し可視化するスキル
大量にあるデータを分析するためには、収集したデータの集計が必要です。データを時間軸や数値の大小によって並べたり、数値の範囲ごとにグループ分けしたり、データを理解しやすい形式で表現するために、集計と可視化の最適な手法を選択するスキルが求められます。
機械学習や統計モデリングのスキル
データに隠されたパターンを見つけ出すということは、統計的なモデルを構築する作業です。膨大な量のデータからパターンを見つけ出す作業を、人間の能力だけに頼るのには限界があります。そのため、データサイエンティストは機械学習やデータマイニングなどの手法を利用します。 機械学習や統計的なアプローチによる分析で、ビッグデータの中に想定外のパターンが数多く潜んでいることを発見できることは、データサイエンティストに必要なスキルとされています。
ITスキル
膨大なデータを分析する上では、ITスキルを保有し処理の効率化を図る必要があります。簡単なプログラム作成から、基本となるデータベース知識を高めると同時に広いITスキルを保有することで、仕組み作りにも活かすことが可能です。ここでも代表的なスキルを解説します。
PythonやSQLなどのプログラミング
機械学習や統計的手法を用いてデータを分析するためには、そのためのツールが必要です。その際によく使われるプログラミング言語は、人工知能と統計処理に強い「Python」や統計解析向けの「R言語」、データを抽出するための「SQL」などが主に必要となってきます。
機械学習・深層学習などのアルゴリズムの開発や実装
データサイエンティストによっては、高度なアルゴリズムの開発・実装を行うことがあります。人工知能が注目され、深層学習に関する知見が求められるケースも増えています。 通常の分析では事前に分析の切り口を考えて、それに合ったアルゴリズムを構築していました。一方、深層学習では人工知能が切り口そのものを発見することが可能です。人間の能力にはない着眼点で、統計モデルを構築することができるため、データサイエンティストにとって、深層学習を扱うスキルも求められることがあるのです。
システム開発・設計のコーディングスキル
データサイエンティストの仕事では、データの処理や管理、分析などのためにさまざまなツールを使用します。その際に、具体的にどのようなシステムが必要なのかを検討し、設計と開発を行う必要も出てくるでしょう。そのため、統計や人工知能のためのものではなく、より広範囲の開発が可能なプログラミング言語の知識が必要です。
04データサイエンティストに役立つ資格とは
データサイエンティストに役立つ資格には次のようなものがあります。
- ・統計士・データ解析士
- ・基本情報技術者試験(FE)・応用情報技術者試験(AP)
- ・データスペシャリスト試験(DB)
- ・オープンソースデータベース技術者認定試験(OSS-DB Exam)
- ・オラクルマスター
- ・Python 3 エンジニア認定基礎試験・データ分析試験
- ・画像処理エンジニア検定
継続的なスキルアップのためには、自分自身で目標を立てて1つ1つを確実に取得することが大事です。以下でそれぞれ解説します。
統計士・データ解析士
「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。データに基づいて客観的な判断を下し、科学的に問題を解決する能力について測る試験であり、取得後には仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認定されます。
参考:日本統計学会公式認定
基本情報技術者試験(FE)・応用情報技術者試験(AP)
ITスキルの基礎を学びその理解度を示す情報技術者試験は、知識のアウトプットだけではなくアウトプットについての知識も必要です。ITエンジニア専門の資格のように受取られがちですが、データサイエンティストの基礎力向上にも役立つ資格です。
参考:IPA 情報処理機構
データスペシャリスト試験(DB)
分析を行う際には、多くの場合に利用するデータベースを活用するため、この資格を保有することは業務の基礎作りを行うことができます。ただし、基本情報技術者試験(FE)・応用情報技術者試験(AP)よりも格段に合格率の最難関試験であるため、計画的な準備が必ず必要になります。
参考:IPA 情報処理機構
オープンソースデータベース技術者認定試験(OSS-DB Exam)
オープンソースデータベース技術者を認定する試験で試験内容はPostgreSQLを基準とした内容です。OSS-DB ExamにはSilverとGoldの二つのレベルがあり、Goldの取得にはSilverの合格が必要となりますが、合格率は比較的高い試験です。
オラクルマスター
データベースに関する資格で最も有名です。試験内容を理解することで、RDBの仕組みやSQLの基礎をマスターしているかを見極めることができます。2020年1月からOrachle Master新資格体系が導入されており、Silver SQL、Bronze DBA、Silver DBA 、Gold DBA の4段階に変更されています。
参考:日本オラクル
Python 3 エンジニア認定基礎試験・データ分析試験
データサイエンティストに人気のプログラミング言語Pythonの認定試験です。文法基礎を問う「Python 3 エンジニア認定基礎試験」と、主にPythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」に分かれています。
画像処理エンジニア検定
画像処理エンジニア向けの資格です。画像処理に関する開発・設計に必要な知識を問われベーシックは画像処理の基礎知識の理解、エキスパートは専門知識の理解とそれらを応用する能力を測ります。
参考:CG-ARTS協会
05スキルチェックの方法とは
データサイエンティストが保有するスキルチェックはどのようにしたらいいのでしょうか。現在、スキルチェックの基礎となる「データサイエンティスト スキルチェックリスト」を確認していきましょう。
一般社団法人データサイエンティスト協会
「新しい職種であるデータサイエンティストに必要となるスキル・知識を定義し、育成のカリキュラム作成、評価制度の構築など、高度IT人材の育成と業界の健全な発展への貢献、啓蒙活動を行っていきます。」を目的として、一般財団法人データサイエンティスト協会は設立されました。データサイエンティストのスキル向上、地位向上に向けた様々な取り組みを実施しています。
「データサイエンティスト スキルチェックリスト」第3版
2019年に「データサイエンティスト スキルチェックリスト」第3版が発行され、より具体的なスキルチェックを行える内容に変更されています。項目数は全528項目あり、不足している知識を明確にしスキル向上の具体的な活動ができる内容を展開しています。
06データサイエンティストの知識を身に着けるならSchoo
Schooビジネスプランは、階層別・職種別・テーマ別の研修を行うこともできる、社員研修・人材育成向けの定額制オンライン学習サービスです。生放送を毎日実施しており、最新のスキルや情報を動画で楽しみながら学ぶことができることが特徴です。データサイエンティストに必要なスキルに関する授業も多数ご用意しており、ここではおすすめの授業を紹介します。
「プロジェクトマネジメント入門~チームで目的達成を目指す方法~」
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ビジネスファイターズ合同会社 代表
愛知県生まれ。南オレゴン大学卒。インサイトテクノロジー入社。インド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会の標準本の出版翻訳に携わる。マーケティングに特化後は、データベース監査市場にて2年連続シェア1位獲得に貢献 (ミック経済研究所)。 外資系製造企業FAROでは、アジア太平洋地域でのマーケティングやプロジェクトに責任者として取り組む。人材育成や多様性のあるチーム作りにも力を入れ、1on1ミーティングは1,000回を超える。現在は、マーケティング支援や人材育成(研修・講習・執筆)など多方面で活動中。著書に『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)、『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)、『令和上司のすすめ』(日刊工業新聞社)、『まわるリモートチームのマネジメント術』(明日香出版社)などがある。
Pythonで学ぶ機械学習アルゴリズム:分類・回帰・クラスタリング
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株式会社フルネス/データサイエンティスト
気象データを用いた研究に従事した後、コンサルティング会社へ就職。 物理シミュレーションソフトウェアの技術営業、 コンサルティング、サポートデスク、マーケティングを経験後、 フルネスに入社しデータサイエンティストに転身。 現在はマーケティングデータ・金融データ・SNSデータの分析や、 AIによる予測システム構築・レコメンドシステム構築などに携わるかたわら、 データ分析・機械学習・深層学習系の研修に登壇
「AI人材に必要な統計学」
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株式会社すうがくぶんか 取締役社長
「株式会社すうがくぶんか」という大人のための数学教室で統計学、機械学習、量子コンピュータに関わる数学を教えています。データ分析業、機械学習関連事業の技術顧問などを経て、株式会社すうがくぶんかの取締役社長に就任しました。修士(理学)、統計検定1級(人文科学優秀者)取得。
「実践的データ活用」
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株式会社サイカ 代表取締役CEO
2012年慶應義塾大学総合政策学部卒業。幼い頃から音楽に触れていた生粋のバンドマン。自身の体験から「世の中にあるどうしようもない悲しみを無くしたい」と強く思うようになる。大学在学中に統計分析と出会い、卒業直前の2012年2月に株式会社サイカを創業。
「Pythonで機械学習とデータ分析」
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データ解析界隈の開発エンジニア
1992年生まれ群馬県出身。2016年東京工業大学社会理工学研究科社会工学専攻修士課程修了。Webサイトのマーケティング業務を経て、現在データ解析と開発業務を行う。 R言語のShinyというライブラリに関する技術ブログを書きながら勉強会等で活動を行っていたところ、C&R研究所から声がかかり、2018年に『RとShinyで作るWebアプリケーション』を出版。 翌年2019年には、理論と実践のどちらにもフォーカスを当てAIや機械学習について「ある程度、中身を知って使える」を目指す入門書として、『Pythonと実データで遊んで学ぶ データ分析講座』を出版。
「AIを使ったデータ分析のアルゴリズム概論」
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データエンジニア
国内企業にて、データエンジニア、データサイエンティストとして機械学習案件の開発や分析に携わっている。HR領域や広告配信に関連した案件に取り組んでいる。 翔泳社「見て試してわかる機械学習アルゴリズムの仕組み 機械学習図鑑」を執筆した。
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・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
07まとめ
本記事は、データサイエンティストのスキルをテーマに必要スキルからスキルチェックリスト等の内容を解説しています。継続的スキルアップが必要となるデータサイエンティストについて本記事を参考に人材育成や自己のスキルアップに役立ててください。