企業が取り組むべきマミートラックとは?課題となる背景や対応策について解説する
女性の躍進を阻むとされているマミートラックは、企業が取り組むべき課題として認識されています。本記事では、マミートラックが課題となっている背景や、企業が行うべき対応策について解説しています。本記事を参考に自社におけるマミートラックへの対応策を講じていきましょう。
- 01.マミートラックとは
- 02.女性を取り巻く環境
- 03.マミートラックの問題点
- 04.マミートラックが起きる原因
- 05.マミートラックを抑制する方法
- 06.女性活躍推進ならSchooのオンライン研修
- 07.まとめ
01マミートラックとは
マミートラックとは、女性が出産後に職場復帰したにも関わらず補佐的な業務を割り当てられるなど出世コースから外れることを指します。出産後にも仕事に意欲的な女性の悩みの種になるだけではなく、企業においても優秀な人材を適材適所へ配置できないことによる機会損出を生む大きなデメリットになります。
02女性を取り巻く環境
女性がキャリアアップを目指したり、管理職に就くことなどは当たり前となっていますすが、女性を取り巻く環境がボトルネックとなり、マミートラックが発生してしまっていることも事実です。ここでは女性を取り巻く環境について具体的に解説していくので、しっかりと押さえていきましょう。
共働き時代
現在は共働きの時代となり、結婚後、出産後にも女性は働き続ける環境が出来上がっています。だからこそ、女性は出産後にも働き続けることを希望したり、昇進や昇格にチャレンジすることを希望することが増えています。しかし、マミートラックがおきることで、こうしたチャレンジをしにくい環境が起きてしまいます。女性のチャレンジ精神や管理職東洋制度などが充実したことにより、出産後の復職後におきるマミートラックが起きる背景となっています。
女性中心の家事・育児
日本独特の風土の特徴であるのが、女性が中心となり家事や育児を実施することです。総務省が2016年に行った「社会生活基本調査(全国の10歳以上の約20万人を対象)」の、6歳未満の子どもを持つ夫婦における1週間分の家事関連時間のデータを見ると、2016年時は夫側が「1時間23分」、妻は「7時間34分」であり、女性中院に行われていることが分かります。この様に、女性が働ける時間が物理的に少ない点もマミートラックを起こす要因となっていることが分かります。
03マミートラックの問題点
マミートラックによる問題点にはどのようなものがあるのでしょうか。マミートラックの問題点をより具体的に理解することで、その原因や抑制する方法の理解を促進していきます。実際におきる問題点を理解し対策を講じていくヒントにしていきましょう。
出世コースから外れる
子育てなどを理由に以前と同じ働き方ができないことでマミートラックが起きてしまいます。以前と同じように働きたいと考えていても、残業や出張ができないといった制約により出世コースから外れてしまうことが起きるケースです。これは、本人の意思には関係なくキャリア形成の道が変ってしまう問題がおきます。
評価や給与が下がる
環境の変化が起きていると言われていますが、現在の日本では勤務している時間に対しての評価が根強い風土が存在しています。他の社員に比べて働ける時間が短い、制限があると人には重要な案件を任せることができないと判断する場合もあります。こうした場合には、単純作業を分担されることで昇進や昇格の機会を得にくくなる可能性もあります。また、急用体系が時間に比例している場合には、時短勤務であることで給与面が下がる可能性も秘めています。
モチベーションの低下が起きる
昇進・昇格の機会がない、給料が下がるなどはモチベーション低下の大きな原因になります。また、時短勤務により周囲への遠慮などが重なることは大きなストレス要因にもなり、より一層モチベーションを下げます。他の社員に比べて成果を上げれない、社内でのコミュニケーションを円滑に進めることができない場合には、モチベーション低下に拍車をかけてしまい業務での成果を出しにくくなる問題があります。
離職率が高まる
昇進・昇格の機会がない、給料が下がることやモチベーションの低下は、結果的に離職率を高める要因となります。数年後には、以前と同じ様に勤務できる優秀な人材を退職させることは企業の大きな損失です。こうしたことを防ぐためには、退職前にしっかりとしたケアを行うことが必須の対策であり、企業としての責務にもなります。
04マミートラックが起きる原因
次にマミートラックが起きる原因について解説します。マミートラックが起きてしまう原因には、どの様なものがあるのでしょうか。原因を知ることは、対策を講じるために必ず必要になることです。原因を理解し対策を立てることに役立てていきましょう。
勤務時間が短くなる
子供の送り迎え、突発的な病気などにより、勤務時間が短くなることが最も大きな原因です。物理的な時間が短くなることで、従来業務を完遂することが難しくなったり、処理量が減ってしまいます。こうなることで、他社員と比較した際に評価が下がる、供与面が下がることが起きてしまいマミートラックが起きる原因です。
職場での理解不足
職場での理解不足もマミートラックの原因になります。マミートラックに悩む女性は、「育児と仕事、キャリアアップを両立させたい」と考えています。しかしながら、子育てを優先すべきという思い込みや発言、早く帰ることを促される行為、急な看病が生じても困らない仕事を任されるなど企業としての対応、部署での対応が原因となる可能性もあります。企業は、顧客に迷惑をかけない体制を取る責務があるため、従業員の思いだけを優先はできません。しかし、優秀な人材である女性スタッフが働きがいのある環境を構築する必要もあります。
環境整備が不十分
育児を行う際には、急な病気やけがなどにより予定を変更せざるを得ない場合が発生します。こうした際に、欠勤や早退を繰り返すことは人事評価にも影響を与えてしまいます。多様な働き方ができるリモートワークなどの環境が整っていない場合には、働きやすい環境ではないことがマミートラックを起こす原因です。仕事との両立に際して、家族のサポートや病児保育ができる施設の利用などができない場合には、マミートラックに陥りやすくなるため、環境整備が急務な課題として対応する必要があります。
託児所の不足
待機児童の問題は毎日のニュースでも目にする問題です。託児所の不足は、子育てをする上で大きな問題です。病児保育、延長保育の対応ができない場合には、時短勤務をせざるを得ないため、結果的に労働時間が短くなります。労働時間が少なくなることで、処理量の低下などが置き評価を下げてしまうことが起きることも大きな原因の1つです。
05マミートラックを抑制する方法
マミートラックを抑制する方法には、どのような方法があるのでしょうか。マミートラックを生まないためには環境面などの整備を行う必要があります。次に、こうしたマミートラックを抑制する方法について解説します。
フレックスタイム制・時短勤務制の導入
労働環境の整備として、フレックスタイム制や時短勤務制の導入を行い急な病気やけがなどに対応できる環境を構築します。これは、マミートラックの抑制だけではなく、従業員全員の働きやすさにも影響し福利厚生に対する満足度向上にもつながる仕組みです。
リモートワークなど働く場所の多様化促進
自宅での勤務を可能にするリモートワークなど、働く場所の多様化の促進もマミートラックを抑制する方法の1つです。多様化はマミートラックだけに影響するものではなく、遠方に住む優秀な人材の確保などを始め、介護などを行う従業員にも有効性の高い制度です
育休期間の延長を導入
育児休暇は、法令で最長2年間と定められていますが、企業独自に延長することには問題ありません。お子様が成長し延長保育なども受けられる年齢に達するまでなど、育休期間を独自で延長し、期間満了後には通常勤務と同様に勤務可能な制度を構築することも有効は施策です。
企業内託児所の設置
大手企業を中心に実施されているのが企業内に託児所を設置する制度です。子供と一緒に出勤し、仕事終わりに迎えにいくことができれば、休憩時間に様子を見に行くなども可能です。子供の緊急時にも対応が容易となる企業内託児所の設置は、マミートラックを抑制することに大きな期待ができる仕組みです。
キャリア志向に応じた業務転換
復職時には、今までのキャリアを含め、将来に向けたキャリア志向を勘案した業務転換を実施することも方法の1つです。子育てを中心に行うことで、キャリアアップに積極的にならない場合もあります。反対に、何としても両立しキャリアップを諦めたくないという場合もあります。求めるキャリア志向がどうなっているのか、どの程度の業務を担いたいかを復職前にしっかりとヒアリングして業務転換も1つの方法として取り入れていきましょう。
人事評価制度の見直し
子育て中の方の評価方法については、人事評価制度の仕組みから見直しを行う必要があります。時間が短くなっている点や急な早退などによる考慮が必要であること、出張などに参加できないことも会社としてマイナス点にだけ評価してしまうことを避けパフォーマンスに重きをおいた評価とします。物理的な時間のみでの評価ではなく、達成度合いなどをもとに評価することは、他の対象者にも有効です。公平な評価になるような評価軸を設けた後には、評価方法の公表を行うことも必要だと理解しておきましょう。
1on1やサーベイツールによるヒアリング
子育てをしながら働く社員にとっては、働き方に対して不安を抱えることが多いかと思います。そのため、1on1によるヒアリングを実施し、社員の不安や悩みを解消していくことも重要です。一方で、子供の病気などにより仕事を抜ける場合、ある程度の関係値を構築できていないと相談しづらいこともあるでしょう。こうした「聞こえない声」を拾うためにおすすめの方法がサーベイツールです。従業員のエンゲージメントやコンディションを測ることができます。
補助金制度の導入
ベビーシッターは保育園や託児所と比較して、高額になってしまいます。ですが、補助金制度を導入することで、個人がベビーシッターを雇うことができ、やる気のある社員を早期から会社に復帰させることができます。
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ジャーナリスト
1989年に朝日新聞社に入社。前橋支局、仙台支局、週刊朝日編集部を経て、99年からAERA編集部。記者として女性の生き方や働く職場の問題、また国際ニュースなどを中心に取材。米同時多発テロやイラク戦争などは現地にて取材をする。2004年からはAERA副編集長。その後、編集長代理を経て、AERA初の女性編集長に就任。編集長時代は、オンラインメディアとのコラボや、外部のプロデューサーによる「特別編集長号」など新機軸に次々挑戦した。 2016年5月より朝日新聞社総合プロデュース室プロデューサーとして、「働く×子育てのこれからを考える」プロジェクト「WORKO!」や「働き方を考える」シンポジウムなどをプロデュースする。2017年3月末で朝日新聞社退社。 2017年4月より世界17カ国に展開するオンライン経済メディアの日本版統括編集長に就任。2020年12月末に退任。 「羽鳥慎一モーニングショー」や「サンデーモーニング」などのコメンテーターや、ダイバーシティーや働き方改革についての講演なども行う。 著書に『働く女子と罪悪感』(集英社)。
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現在のキャリアに関する議論において意外と見落とされがちなのが家庭内の話です。夫婦で互いにキャリアの自己実現を果たすためには、それぞれの勤務先の制度のみならず家庭事情も大きな要因となってきます。もちろん企業・組織が個人の私生活まで踏み込めないので、家庭内の話は夫婦間で決めていくことになります。 しかしながら、そうした家庭の意思決定については、それぞれの夫婦での価値観、個人の価値観などが千差万別で「どうすればいいのか、わからない」かと思います。 そこで『共働きのすごい対話術』の著者・あつた ゆか先生から、これからの夫婦のあり方、家庭の共同経営者としてのコミュニケーションについて教えてもらいます。
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「共働きのすごい対話術」著者
株式会社すきだよ代表取締役。家族・パートナーシップに関する社会課題を解決し、ふたりらしい生き方を支援する事業を行っている。2022年に著書「仕事も家庭もうまくいく!共働きのすごい対話術」を出版。共働き夫婦の対話支援ツール「ふたり会議」を運営中。企業・自治体向けに、育休取得者向けキャリア研修・夫婦間のコミュニケーション講座・ジェンダー平等研修も提供している。TBS・フジテレビ・アベマTVほか、日経ウーマン・日経新聞などメディア掲載多数。
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07まとめ
本記事では、マミートラックをテーマに問題点や解決策について解説しています。マミートラックに陥らない対策は、企業の優秀な人材確保のためにも必要です。本記事を参考に対策を講じ人材確保やスキルアップを図っていきましょう。