公開日:2021/12/02
更新日:2024/03/24

組織コミットメントとは?主な要素や高める方法について解説する

組織コミットメントとは?主な要素や高める方法について解説する | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

組織コミットメントとは、従業員が働く組織に対して抱く帰属意識や情緒的な愛着などと定義されます。組織開発において、重視される概念の1つです。本記事では、組織コミットメントに着目し、組織のパフォーマンスを発揮するメリットや注意点について解説しています。

 

01ビジネスシーンにおけるコミットメントの意味

組織コミットメントとは、従業員が所属する組織に対しての帰属意識や関係性を表す概念のことを指します。組織コミットメントが高い状態とは、従業員個々人と組織との心理的な距離感が近いことです。仕事の価値と自分自身の存在意義などの個人的価値が近い状態であれば、組織コミットメントが高い集団となります。その結果、従業員の満足度も高い集団とななりより効果を期待できます。相乗効果として、従業員の定着化なども効果として期待できるでしょう。

公約・承認

ビジネスシーンにおけるコミットメントには、「公約」「承認」という意味を持ちます。ビジネスシーンにおいては、約束よりも強い意味を持つ公約として利用されることが多く、契約行為などにおける場面で使われることがあります。具体的には、「上司にコミットメントされた」「取引先のコミットメントが必要」などのように利用されます。

責任をもって関与する

公約、承認以外にも、責任をもって関与するという意味でも利用されます。人事における目標設定においてもコミットメントという単語を使うことがあります。これは、目標に対して責任をもって関与し達成するという意味で利用されます。このように、コミットメントとは、組織コミットメント以外にも利用されるため、適切な意味を理解して利用することが必要です。

 

02組織コミットメントの3要素とは

組織コミットメントの種類とは、組織コミットメントを構成する3つの要素のことを示します。次に、組織コミットメントを構成する3つの要素について解説していきます。3つの要素とは、「情緒的コミットメント」「存続的コミットメント」「規範的コミットメント」の3つです。この3つの要素が、どう組織コミットメントに影響していくかを理解していきましょう。

情緒的コミットメント

その組織に居続けたいと思う気持ちからのコミットメントが、情緒的コミットメントです。組織が持つ目標や価値観が、自分が持つ価値観と近ければ近いほど、そのコミットメントは強くなり、企業への愛着が生まれます。組織やメンバーに対しての愛着が生まれれば、組織に属していることの誇りや好意的な態度に変り、定着率の向上にもつながります。

存続的コミットメント

対価や報酬を得るために、組織に居なければいけないと考え、組織に属し続けるコミットメントが存続的コミットメントです。今までの頑張りによる評価や得られる報酬、役職などがあるから、組織に残りたいと考える側面を持ちます。今あるポジションを維持する、安定したいという思考により生まれるコミットメントだと理解しましょう。

規範的コミットメント

組織には尽くすべきだと考えるコミットメントが、規範的コミットメントです。会社や組織が求めること、ルールこそが正しいと考え無条件で尽くす側面を持ちます。組織の変化には従順に従う反面、自らの意思での変革は苦手とする受け身的な考え方を持つことだと理解しましょう。規範的なコミットメントを持つ人は、自分から変化を起こすことや提案をすることが苦手だという特徴を持っている場合があります。

 

03組織コミットメントを高めるメリット

次に、組織コミットメントを高めることで企業が得られるメリットについて解説します。組織コミットメントにより、企業が得られるメリットとしては次が挙げられます。

  • ・コミュニケーションの活性化
  • ・生産性の向上
  • ・離職率の低下
  • ・組織力強化によるサービス精度の向上

そのメリットで企業がどう変化していくかについて理解しましょう。自社において組織コミットメントの概念が有効であるか判断する材料になります。

コミュニケーションの活性化

組織コミットメントが高まることで顕著に現れるのが社内や組織におけるコミュニケーションの活性化です。相互間での信頼関係が高まることで、さまざまなやり取りが活性化します。コミュニケーションの活性化は、業務が円滑に運営されるだけではなく課題解決や新たなアイデアの創出などの相乗効果を期待できます。新たなアイデアの創出などは、企業の競争力を高めたり、企業の成長を促したりすることにもつながります。こうしたメリットは、企業に好循環をもたらすスパイラルとして繰り返し起きる特徴を持っています。

生産性の向上

組織との心理的な距離感が近いことは、業務への集中力を増していく期待効果があります。それだけではなく、成果に対して協力していく推進力が高まります。この相乗効果により、生産性を飛躍的に向上させることも可能です。生産性の向上が実現すれば、組織や企業の売上向上にもつながり企業成長の要因にもなります。

離職率の低下

組織コミットメントが高まると、企業と従業員の結びつきが強くなり愛着を持つようになります。その結果、長く勤めたいと考える従業員が増えることで離職率の低下も期待されます。離職率の低下によって、人材不足や優秀な人材の流出を減らすことができるため、企業の成長には欠かせない要素だといえるでしょう。人材不足が深刻化する中、離職率の低下によってより技術力やノウハウの蓄積にも効果を発揮していきます。

組織力強化によるサービス精度の向上

サービス精度の向上にも組織コミットメントは役立ちます。組織コミットメントが強まることで、組織目標に対しての理解が深まり、属している集団の中での結束力が高まります。この結果、総合的な組織力強化が図られるため、同じ目標に向ってのベクトル合わせや協力体制の強化も実現します。この一連の流れにより、組織は目標達成に向かって協力し合い、一致団結することができ、今まで以上のサービス、新しいサービスを創出することも可能になります。

 

04組織コミットメントが低下する要因

組織コミットメントが低下する要因は多岐にわたりますが、主に次のようなものが挙げられます。

  • ・リーダーシップの不足
  • ・不公平な評価
  • ・働きがいの不足

従業員の組織に対するコミットメントを形成するためには、これらの要因を相互に関連させる必要があります。ここではそれぞれについて具体的に解説していきます。

リーダーシップの不足

組織のトップや上司が不適切なリーダーシップを展開すると、従業員は組織への信頼や尊重を失い、組織コミットメントが低下する可能性があります。また、組織が急激な変化を行ったり、変化への適切なサポートがない場合、従業員は不安や不満を感じ、組織へのコミットメントが減少することがあります。これらを防止するためには適切なコミュニケーションが重要です。適切な情報伝達は、組織の目標や方針の理解を促進し、組織への関与が低下します。

働きがいの不足

「仕事が単調で挑戦的でない」「スキルや能力が活かされない」といった場合、従業員のモチベーションが低下し、組織に対するコミットメントも低くなります。また、評価制度も働きがいに影響を及ぼします。従業員が公平に評価されない、報酬が不公平である、あるいは機会が不平等である場合、組織コミットメントは低下します。組織コミットメントの低下を防止するためにも適切な評価制度は必要不可欠です。評価制度は単に作成して終わるのではなく、適切な説明をもとに適宜改善を重ねていきましょう。

 

05組織コミットメントを高める方法

次に、組織コミットメントを高める方法について解説します。組織コミットメントを高める方法にはいくつもがあります。単体での取り組みではなく複数を組み合わせて実施することが有益です。複数を組み合わせることで、よりその効果を高めることができる点を理解し計画的に実施していきましょう。

存在意義やビジョンの整備と共有

企業には、経営理念やビジョン以外にも存在意義である地域貢献などの目標を保有しています。組織コミットメントを高めるためには、企業の目指す姿について理解をすることが必要です。この存在意義やビジョン整備することや、従業員と共有することで個々人が目指す姿を想像し、それに向って進んでいくことができます。特に整備されたビジョンの共有は、繰り返し伝え続けることで、より深く企業の存在意義を理解し行動に移していくことができます。

働きやすい職場環境の構築

職場コミットメントを高める方法には、働きやすい職場環境の構築も必要です。全ての人が完全に満足できる職場環境を構築することは難しいことです。しかし、多くの方が喜ぶ施策とは何か、働きやすさとは何かを考え環境を構築し続ける必要があります。働きやすいと感じる人が増えてくることは、離職率の低下などにも効果を発揮します。働きやすい職場作りには、定期的なアンケ―ドなどによる意見の収集と分析による福利厚生の見直しなどが有効です。また、生産性の改善が結果的に働きやすい職場や、福利厚生の充実にも関わってきます。実務面での改善、人事施策として設けるべき制度の2軸でより良い職場環境の構築を進めることがポイントとなります。

コミュニケーション力の強化

従業員間のコミュニケーション力の強化も組織コミットメントの強化に役立ちます。コミュニケーション力が強化され、意見交換などが活発化すると、問題の解決策の立案や新しいアイデアの創出に役立ちます。意見交換が活発化することは、組織力強化だけに役立つわけではありません。従業員の心身の問題なども早期発見でき、離職率の低下などにも相乗効果を期待できます。こうした効果は、循環により相乗効果をもたらす良いスパイラルを構築することになり、企業成長にもつながります。

ボトムアップができる組織作り

コミュニケーション力の強化だけではなく、ボトムアップができる組織作りも有効な施策です。風通しよく意見を出すことができること、意見を伝えることができることは企業成長に大きな影響を与えます。ただし、体系だった仕組みを構築することが必要です。何でも自由に意見を出すことは良いことですが、従業員側の想いだけではなく、その意見により企業にどのようなメリットを生むかの視点が大事です。こうした観点も整理し、意見を経営層に上げることで、より検討しやすくなり採用される可能性を高めます。ボトムアップの仕組みは、採用される意見が増えれば増える程、意見を出しやすくなります。仕組みを構築し、まずは部署、チーム内での周知から始めることで徐々に組織全体へ浸透させていくようにするといいでしょう。


 

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多文化チームで働く職場デザイン

近年、少子高齢化も相まって、企業で働くビジネスパーソンは多様化しています。このような環境下で組織コミットメントを高めるためには、異なる価値観を理解し、受け入れていくことが求められます。この授業では、共に働く仲間として、バックグランドの「違い」が 価値となるチームづくり、職場づくりの視点について学びます。

 
  • 株式会社An-Nahal 代表

    2019年高度外国人材を切り口に企業のダイバーシティ&インクルージョン推進を人材・組織開発の面から支援する株式会社An-Nahalを設立。創業前はグローバル人材育成分野における制度・研修の設計、新規事業開発、フリーランスコンサルタントとして世界銀行や国際機関との教育関連プロジェクト、またNPOにて難民申請者の就労支援にも携わる。世界経済フォーラム(ダボス会議)任命のGlobal Shaperとして横浜を拠点に、多文化共生、教育など幅広いテーマでプロジェクトに取り組む。ボストン拠点のフィッシュファミリー財団Japanese Women’s Leadership Initiativeのフェロー。

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いまさら聞けない 心理的安全性のつくりかた

コロナ禍でのリモート環境の普及も相まって、職場でのチーム全体の雰囲気や関係性は、以前より複雑になりました。組織コミットメントを高めるためには「コミュニケーション」は必要不可欠ですが、悩みや頼み事を言い合えない空気がある事も少なくありません。こうした環境下で求められているのが「心理的安全性」です。この授業は、株式会社ガイアックス/の管理本部長である流 拓巳先生に登壇いただき、組織やチームのコミュニケーションにおいて注目されている”心理的安全性”について学んでいきます。

 
  • 株式会社ガイアックス/管理本部長

    山口県出身。立教大学経営学部2017年卒。新卒で入社した株式会社ガイアックスで人事総務部長を務めつつ、複数のスタートアップやコミュニティでHRや新規事業立ち上げを担当。全ての人の才能が最大限発揮される社会を目指し、人々の働き方や人生選択の自由度を高めるにはどうすればよいのかを日々模索して活動中。

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07まとめ

本記事では、組織コミットメントをテーマにさまざまな内容を解説しています。組織コミットメントが高まることのメリットは大きく組織力や従業員のパフォーマンスを向上させる期待が持てます。組織コミットメントを高める方法は決して難しいことではなく、仕組みを理解し実施することで実現していきます。本記事では、組織コミットメントの概念だけではなく、そのメリットや向上のポイントまで解説していますので、自社における効果について検討し実施していきましょう。

【無料】心理的安全性の作り方〜統率から自走への組織変革法〜|ウェビナー見逃し配信中

心理的安全性の作り方〜統率から自走への組織変革法〜
 

組織の根幹を蘇らせ、健全な組織状態を作るための「心理的安全性の作り方」をテーマにしたウェビナーのアーカイブです。人事界隈で、組織の心理的安全性を確立するための方法論は広まっています。しかし、多くの企業が背景の理解もないまま、枠組みをそのまま組織に当てはめるような小手先の施策だけ行い、組織状態が改善されない事例を聞くことが多い現状です。本セミナーでは、同氏の調査・分析内容と、組織の機能不全の原因と組織づくりの方法をお話しいただきます。

  • 登壇者:斉藤 徹 様
    ループス・コミュニケーションズ 代表取締役

    1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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