組織コミットメントとは?主な要素や高める方法について解説する

組織コミットメントとは、従業員が働く組織に対して抱く帰属意識や情緒的な愛着などと定義されます。組織開発において、重視される概念の1つです。本記事では、組織コミットメントに着目し、組織のパフォーマンスを発揮するメリットや注意点について解説しています。
- 01.ビジネスシーンにおけるコミットメントの意味
- 02.組織コミットメントの3要素とは
- 03.組織コミットメントを高めるメリット
- 04.組織コミットメントを高める方法
- 05.まとめ
01ビジネスシーンにおけるコミットメントの意味
組織コミットメントとは、従業員が所属する組織に対しての帰属意識や関係性を表す概念のことを指します。組織コミットメントが高い状態とは、従業員個々人と組織との心理的な距離感が近いことです。仕事の価値と自分自身の存在意義などの個人的価値が近い状態であれば、組織コミットメントが高い集団となります。その結果、従業員の満足度も高い集団とななりより効果を期待できます。相乗効果として、従業員の定着化なども効果として期待できるでしょう。
公約・承認
ビジネスシーンにおけるコミットメントには、「公約」「承認」という意味を持ちます。ビジネスシーンにおいては、約束よりも強い意味を持つ公約として利用されることが多く、契約行為などにおける場面で使われることがあります。具体的には、「上司にコミットメントされた」「取引先のコミットメントが必要」などのように利用されます。
責任をもって関与する
公約、承認以外にも、責任をもって関与するという意味でも利用されます。人事における目標設定においてもコミットメントという単語を使うことがあります。これは、目標に対して責任をもって関与し達成するという意味で利用されます。このように、コミットメントとは、組織コミットメント以外にも利用されるため、適切な意味を理解して利用することが必要です。
02組織コミットメントの3要素とは
組織コミットメントの種類とは、組織コミットメントを構成する3つの要素のことを示します。次に、組織コミットメントを構成する3つの要素について解説していきます。3つの要素とは、「情緒的コミットメント」「存続的コミットメント」「規範的コミットメント」の3つです。この3つの要素が、どう組織コミットメントに影響していくかを理解していきましょう。
情緒的コミットメント
その組織に居続けたいと思う気持ちからのコミットメントが、情緒的コミットメントです。組織が持つ目標や価値観が、自分が持つ価値観と近ければ近いほど、そのコミットメントは強くなり、企業への愛着が生まれます。組織やメンバーに対しての愛着が生まれれば、組織に属していることの誇りや好意的な態度に変り、定着率の向上にもつながります。
存続的コミットメント
対価や報酬を得るために、組織に居なければいけないと考え、組織に属し続けるコミットメントが存続的コミットメントです。今までの頑張りによる評価や得られる報酬、役職などがあるから、組織に残りたいと考える側面を持ちます。今あるポジションを維持する、安定したいという思考により生まれるコミットメントだと理解しましょう。
規範的コミットメント
組織には尽くすべきだと考えるコミットメントが、規範的コミットメントです。会社や組織が求めること、ルールこそが正しいと考え無条件で尽くす側面を持ちます。組織の変化には従順に従う反面、自らの意思での変革は苦手とする受け身的な考え方を持つことだと理解しましょう。規範的なコミットメントを持つ人は、自分から変化を起こすことや提案をすることが苦手だという特徴を持っている場合があります。
03組織コミットメントを高めるメリット
次に、組織コミットメントを高めることで企業が得られるメリットについて解説します。組織コミットメントにより、企業がどのようなメリットを得ることが可能であるのか、そのメリットで企業がどう変化していくかについて理解しましょう。自社において組織コミットメントの概念が有効であるか判断する材料になります。
コミュニケーションの活性化
組織コミットメントが高まることで顕著に現れるのが社内や組織におけるコミュニケーションの活性化です。相互間での信頼関係が高まることで、さまざまなやり取りが活性化します。コミュニケーションの活性化は、業務が円滑に運営されるだけではなく課題解決や新たなアイデアの創出などの相乗効果を期待できます。新たなアイデアの創出などは、企業の競争力を高めたり、企業の成長を促したりすることにもつながります。こうしたメリットは、企業に好循環をもたらすスパイラルとして繰り返し起きる特徴を持っています。
生産性の向上
組織との心理的な距離感が近いことは、業務への集中力を増していく期待効果があります。それだけではなく、成果に対して協力していく推進力が高まります。この相乗効果により、生産性を飛躍的に向上させることも可能です。生産性の向上が実現すれば、組織や企業の売上向上にもつながり企業成長の要因にもなります。
離職率の低下
組織コミットメントが高まると、企業と従業員の結びつきが強くなり愛着を持つようになります。その結果、長く勤めたいと考える従業員が増えることで離職率の低下も期待されます。離職率の低下によって、人材不足や優秀な人材の流出を減らすことができるため、企業の成長には欠かせない要素だといえるでしょう。人材不足が深刻化する中、離職率の低下によってより技術力やノウハウの蓄積にも効果を発揮していきます。
組織力強化によるサービス精度の向上
サービス精度の向上にも組織コミットメントは役立ちます。組織コミットメントが強まることで、組織目標に対しての理解が深まり、属している集団の中での結束力が高まります。この結果、総合的な組織力強化が図られるため、同じ目標に向ってのベクトル合わせや協力体制の強化も実現します。この一連の流れにより、組織は目標達成に向かって協力し合い、一致団結することができ、今まで以上のサービス、新しいサービスを創出することも可能になります。
04組織コミットメントを高める方法
次に、組織コミットメントを高める方法について解説します。組織コミットメントを高める方法にはいくつもがあります。単体での取り組みではなく複数を組み合わせて実施することが有益です。複数を組み合わせることで、よりその効果を高めることができる点を理解し計画的に実施していきましょう。
存在意義やビジョンの整備と共有
企業には、経営理念やビジョン以外にも存在意義である地域貢献などの目標を保有しています。組織コミットメントを高めるためには、企業の目指す姿について理解をすることが必要です。この存在意義やビジョン整備することや、従業員と共有することで個々人が目指す姿を想像し、それに向って進んでいくことができます。特に整備されたビジョンの共有は、繰り返し伝え続けることで、より深く企業の存在意義を理解し行動に移していくことができます。
働きやすい職場環境の構築
職場コミットメントを高める方法には、働きやすい職場環境の構築も必要です。全ての人が完全に満足できる職場環境を構築することは難しいことです。しかし、多くの方が喜ぶ施策とは何か、働きやすさとは何かを考え環境を構築し続ける必要があります。働きやすいと感じる人が増えてくることは、離職率の低下などにも効果を発揮します。働きやすい職場作りには、定期的なアンケ―ドなどによる意見の収集と分析による福利厚生の見直しなどが有効です。また、生産性の改善が結果的に働きやすい職場や、福利厚生の充実にも関わってきます。実務面での改善、人事施策として設けるべき制度の2軸でより良い職場環境の構築を進めることがポイントとなります。
コミュニケーション力の強化
従業員間のコミュニケーション力の強化も組織コミットメントの強化に役立ちます。コミュニケーション力が強化され、意見交換などが活発化すると、問題の解決策の立案や新しいアイデアの創出に役立ちます。意見交換が活発化することは、組織力強化だけに役立つわけではありません。従業員の心身の問題なども早期発見でき、離職率の低下などにも相乗効果を期待できます。こうした効果は、循環により相乗効果をもたらす良いスパイラルを構築することになり、企業成長にもつながります。
ボトムアップができる組織作り
コミュニケーション力の強化だけではなく、ボトムアップができる組織作りも有効な施策です。風通しよく意見を出すことができる、意見を伝えることができることは企業成長に大きな影響を与えます。ただし、体系だった仕組みを構築することが必要です。何でも自由に意見を出すことは良いことですが、従業員側の想いだけではなく、その意見により企業にどのようなメリットを生む出すかの視点が大事です。こうした観点も整理し、意見を経営層に上げることで、より検討しやすくなり採用される可能性を高めます。ボトムアップの仕組みは、採用される意見が増えれば増える程、意見を出しやすくなります。仕組みを構築し、まずは部署、チーム内での周知から始めることで徐々に組織全体へ浸透させていくようにするといいでしょう。
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05まとめ
本記事では、組織コミットメントをテーマにさまざまな内容を解説しています。組織コミットメントが高まることのメリットは大きく組織力や従業員のパフォーマンスを向上させる期待が持てます。組織コミットメントを高める方法は決して難しいことではなく、仕組みを理解し実施することで実現していきます。本記事では、組織コミットメントの概念だけではなく、そのメリットや向上のポイントまで解説していますので、自社における効果について検討し実施していきましょう。
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1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。