公開日:2022/02/01
更新日:2023/02/25

経験学習のサイクルとは?活用するメリットや注意点を紹介

経験学習のサイクルとは?活用するメリットや注意点を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

経験学習のサイクルとは、自分が実際に経験した事柄に対し、「経験→内省→教訓→実践」という4段階のサイクルを繰り返してこそ、人は成長できるとの考えに基づく理論です。本記事では、経験学習のサイクルを活用するメリットや、注意点について解説します。

 

01経験学習のサイクルとは?

経験学習のサイクルとは?

経験学習とは、自分が実際に経験した事柄からの学習を意味し、米国の教育理論家であるデイビッド・A・コルブが提唱した学習方法です。重要なポイントは、ただ経験をして終わりではなく、経験を次に活かすことであり、そのプロセスの理論を「経験学習のサイクル」と呼びます。 「経験→内省→教訓→実践」の4段階で構成されていて、サイクルを繰り返すことで、人は学習し成長すると考えられています。4段階の内容を詳しくみていきましょう。

具体的な経験

経験学習は、まず具体的な経験をすることです。具体的な経験とは、実際に自分が「現場」で「現物」を観察し、「現実」を体験することに他なりません。三現主義とも呼ばれる3つの「現」は、物事の本質を捉えるのに効果的です。 自分が経験をしていない机上の空論では、いくら議論を交わしても、本質的な学びにはつながりません。自分で動き自分の頭で考え、自分でその結果を受け入れてこそ、多くの気付きが生まれるのです。とくに、自分では予測しきれない結果をもたらした経験に注目すると、さらなる成長につながるはずです。

内省的省察

内省はリフレクションとも呼び、失敗した経験だけでなく、成功した経験に対しての内省も行いましょう。省察とは、何が起こったのかを多面的な視点で振り返ることです。 内省的省察は、単なる経験としてではなく、その経験を通して何かを学び取ろうという意欲を持ち、次の経験に活かすことこそが重要です。

教訓にする

内省的省察の次に行うべきステップは、今後経験するであろうさまざまな場面や事態に対し、どのような行動をとるべきか概念化することです。 たとえば、「今回は失敗してしまったが、次はこのようにすればよいのではないか」といった仮説を立てて、方針転換や行動をします。概念化し、教訓を得ないことには、次に経験する機会に活かせないといえます。

積極的な実践

いよいよ教訓をもとに実際に行動を修正し、挑戦するプロセスです。具体的な経験から得られた考察と、次に生かすため概念化した理論を、新たな場面で試行・検証していきましょう。 経験から学んだ内容を実践することで、さらに新たな経験ができます。このように経験を内省し、教訓に変換してさらに実践することで、人が成長するサイクルを生み出せるのです。

 

02経験学習サイクルとPDCAとの違い

PDCAは、計画(Plan)を立てて実行(Do)し、その結果をチェック(Check)、改善(Action)をします。そして、また計画(Plan)を立て、実行(do)する、といった具合にPDCAを繰り返していくことで、継続的な業務改善につながっていく手法です。 PDCAが主に「業務改善」を重視する一方、経験学習は「経験から気付きを得て、深く掘り下げていき学習する」ことを重視しています。手法自体は似ていますが、目的が異なっているのです。

 

03自分で経験学習サイクルを回す

経験学習サイクルを自分で回すには、リフレクションの習慣を身につけることが必要です。リフレクションとは、通常業務から一旦離れて自分の行動や考え方を振り返り、見つめ直すことを意味します。この章ではリフレクションの具体的な方法やポイントを紹介いたします。

リフレクションの具体的な方法

リフレクションを習慣づけるための方法として、KPT法があります。KPT法はKeep(継続)、Ploblem(問題)、Try(改善に挑戦)のイニシャルを取ったものです。Keepでは、続けていきたいことを考えます。例えば「作業が早く終えられた」「レポートを丁寧に書けた」などです。 次のProblemでは、日々の業務から仕事の課題を抽出します。TryではKeepとProblemの内容を受けて、新たに実践することや課題の解決策を考えます。最後にまとめたら、アクションに移し、定期的に振り返りをするのが一般的なKPT法の流れです。

リフレクションのポイント

リフレクションの目的は、振り返りを行うことで自信を持って次の行動に臨むことです。そのため、リフレクションをする際は、成功点と失敗点の両方を確認しましょう。失敗ばかりに注目してしまうと反省になってしまい、次の仕事へのモチベーションを上げられません。 リフレクションでは、失敗が多い場合であっても成功した点についても振り返り、ここは良かったから継続しようという部分も見つけることが重要です。

【関連記事】リフレクションとは?企業における重要性と人材育成方法を紹介

 

 

04部下・後輩の経験学習サイクルを回す

部下・後輩の経験学習サイクルを回すには、上司・先輩がサポートしてあげることが有効です。1on1や日報への返信などでリフレクションを正しく行えているかをフィードバックしながら、自走できるまで伴走してあげましょう。

フィードバックを行う際の注意点

フィードバックを行う際は、事実に基づいた具体的な行動や成果で語るように注意しましょう。抽象的であったり、事実とは異なっていたりするフィードバックは、リフレクションの内容を抽象的なものにしてしまう可能性があります。また、主体性を奪うフィードバックも避けましょう。正解を押しつけたり、至らない部分を露骨に否定したりすると、部下や後輩は指示待ち人間になってしまいます。対話をしながら自ら気づかせるような問いかけを心がけましょう。

 

05経験学習サイクルの導入事例

経験学習サイクルを活用するメリット、注意点について解説してきました。ここからは実際に経験学習サイクルの導入事例についてみていきます。経験学習サイクルは、評価制度、人材育成に活用できます。また、研修で経験学習サイクルのプロセスを学び、実務に活かすのもよいでしょう。

評価制度に活用する

経験学習サイクルを評価制度に活用すると、社員の成長を促進できるでしょう。評価制度のなかに、プロセス評価を取り入れ、定期的に面談を行います。面談のなかで目標に対して到達できたか否かの内省をしてもらい、次に活かしていくのです。この繰り返しにより、本人の成長につながっていくはずです。

人材育成に活用する

人材育成もまた、経験学習サイクルの活用に適しています。たとえば、営業活動のなかで顧客へのプレゼンという経験をした後に、毎回振り返りを行うと、良かった点や改善点を知識に変換でき、次回以降に活かせます。 効果的な振り返りを行い、概念化し、教訓とすることで、さまざまな状況において使える知識へと変化していくのです。このような取り組みは人材育成の基本的な考え方といえます。

研修でプロセスを学び実務に活かす

経験学習サイクルを業務でいきなり実施しようとしても、実際の流れやポイントを理解するのは難しいものです。そのため、経験学習サイクルのプロセスを研修で学び、内省的省察や概念化の流れを学びます。研修でのシミュレーション後に、実務で活用してみましょう。

 

06経験学習サイクルを成功させた企業事例

経験学習サイクルが評価制度や人材育成に効果的であることがわかりました。最後に、経験学習サイクルを成功させた企業事例として、GoogleとYahoo! JAPANを紹介します。自社で活用する際の参考にしてください。

Google

Googleは、経験学習サイクルを活用し、組織運営につとめています。とくに従業員同士のフィードバックに重きを置いていて、社員同士で教え合うトレーニングや上司と部下による1on1ミーティングを積極的に実施しています。その結果、研修を行う手間やコストの削減が実現でき、組織パフォーマンスの向上につながっています。

Yahoo! JAPAN

Yahoo! JAPANでは、経験学習モデルに基づき、さまざまな研修制度や育成制度を設け、社員の能力開発を支援しています。1on1ミーティング、ななめ会議、人財開発会議、ジョブチェン、Yahoo!アカデミアなど社員一人ひとりが成長できる機会を増やしているのです。

 

07人材育成ならSchooのオンライン学習サービス

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これだけは押さえたい社会人マナー

コミュニケーションを取る上での心構えとマナーから学んでいきましょう。 当たり前に行っている挨拶や敬語ですが、きちんと基礎を押さえられているでしょうか。 実践パートではみなさんも是非動画を見ながら一緒にお試しください。

 
  • コミュニケーションアドバイザー/大学講師

    大学講師、コミュニケーションアドバイザー。大手出版社で営業、編集経験を経て、2000年から大学で敬語、面接、マナー、コミュニケーション、就職講座の講師を担当。国際基督教大学、日本大学芸術学部、明治学院大学、東洋大学、上智大学、東北医科薬科大学など、全国の大学生に楽しくて分かりやすい熱血講義を展開中。 また、社会人研修やコミュニケーション講師として【オーダーメイドの伝え方】をアドバイス。 実務教育学会所属。イノベーションコンテストでビジネス企画賞を受賞。著書に10万部突破ベストセラー『さすがと言われる話し方・聞き方のビジネスマナー』、『敬語すらすらBOOK』など90冊。 近著に『大学生からはじめる社会人基礎トレーニング』、『きちんと伝える全技術』がある。またTBSテレビ『クイズ日本語王』『マツコの知らない世界』『王様のブランチ』、フジテレビ『ノンストップ』、テレビ朝日『SMAPがんばります』など多くのテレビ番組にも出演。

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「人材マネジメント」について -理論と実践のツボ-

本授業では、「人材マネジメント」について解説します。 いまさら聞けない「人材マネジメント」の言葉の意味や目的、効果的な方法、今後のマネジメントを皆さんで学んでいきましょう。

 
  • 株式会社壺中天 代表取締役

    1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺』(2018)、『図解 人材マネジメント入門』(2020)など。

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論理的に聞く力〜「論理的に話す」前に大切なこと

本授業は、普段「わかりやすく説明ができない」「相手に意図がちゃんと伝わっている気がしない」など、コミュニケーションに課題意識を持つ方に向け、論理的に話す以前に意識しておきたい「論理的に聞く力」について学んでいきます。

 
  • コミュニケーション・スピーチコンサルタント、CCO代行

    福岡のTV局・ラジオ局で年間300日以上の生放送に出演。その経験を元に独立し、現在は企業向けの人材育成研修や人材育成コンサルティング、経営者や元アスリートなどのスピーチコンサルティングを行う。組織活性、営業成績4倍UP、スピーチ力向上による顧客獲得率UPなど成果を上げるためにとことんクライアントに寄り添う。 企業研修:200社以上、個別コンサルティング:300名以上の実績あり。 趣味は読書と音楽鑑賞と筋トレ。無類のチョコレート好き。

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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
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08まとめ

「経験→内省→教訓→実践」という4段階のサイクルを繰り返していく経験学習は、社員が日々成長していくための効果的な理論といえます。経験学習サイクルの注意点をふまえつつ、ぜひ自社の人材育成や評価制度で活用してみてはいかがでしょうか。

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働き方に関する制度改善を多数行ってこられた株式会社クロスリバー 代表取締役 越川慎司氏をお招きし、「残業削減ではない方法で働き方改革を行い、社員の自発性と意欲を著しく向上させ、離職率を低下させるための自律学習の制度設計」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。同社の調査・分析内容と自律学習の制度設計を深堀ります。

  • 登壇者:越川 慎司様
    株式会社クロスリバー 代表取締役

    ITベンチャーの起業などを経て2005年に米マイクロソフト本社に入社。業務執行役員としてパワポなどの責任者を経て独立。全メンバーが週休3日・リモートワーク・複業の株式会社クロスリバーを2017年に創業し、815社17万人の働き方と成果を調査・分析。各社の人事評価上位5%の行動をまとめた書籍『トップ5%社員の習慣』は国内外で出版されベストセラーに。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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