分析力とは?求められる理由や分析の主な手法から鍛える方法までを解説
分析力とは、問題点の抽出や原因追究において求められるスキルです。企業や組織が抱える課題の抽出や意思決定に必ず必要であり、分析力のある人材育成が重要になるといえるでしょう。本記事では、分析力とはどのような能力か、求められる理由や分析の主な手法、社員の分析力を鍛える方法について解説します。
- 01.分析力とは?
- 02.分析力が求められる理由とは
- 03.分析の主な手法
- 04.社員の分析力を鍛える方法
- 05.分析力を向上させるSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01分析力とは?
分析力とは、問題点の抽出や原因を特定・把握をするために、集めた情報の要素を分類し、その構成を明らかにする能力を指します。ここでは、分析力に欠かせない4つの能力について解説します。
- ・分析に必要なデータを準備する情報収集力
- ・効果的な解決策を見つけ出す問題解決能力
- ・分析内容を客観的にとらえる論理的思考力
- ・ツールや言語を使い分析結果を出す能力
1.分析に必要なデータを準備する情報収集力
分析をするためには、分析に必要なデータを効率よく準備する情報収集力が重要です。分析対象となるデータは多岐にわたりますが、顧客データや自社の業績を把握するための売上や販売、営業活動データなどが挙げられるでしょう。 情報収集力は、単にデータを収集するだけでなく、さらに取捨選択して整理しなければなりません。分析力には、より質の高い情報を見極める情報収集力が求められるのです。
2.効果的な解決策を見つけ出す問題解決能力
分析力には、効果的な解決策を見つけ出す問題解決能力も必要になります。分析の目的が、企業の課題解決や目標達成にあるためです。また、より効果的な解決策を考案する過程において、いくつかの仮説とその検証をしなければなりません。 さらに、解決策が予想される結果に結びつかない場合には、採用した分析方法や仮説の再検証も不可欠です。そのため、分析力には、粘り強く問題を解決に導く能力が必要になるといえるのです。
3.分析内容を客観的にとらえる論理的思考力
分析力には、分析内容を客観的にとらえる論理的思考力が欠かせません。集めた情報の要素を分類し、その構成を明らかにするために、物事を体系的に整理し、論理的に考える必要があるためです。論理的思考力があれば、解決策に対する根拠が客観的で、なおかつ漏れや飛躍がなくなることで、説得力を持たせることができます。
4.ツールや言語を使い分析結果を出す能力
分析をする際には、分析技術がなければデータの分析はできません。分析技術とは、ツールや言語を使いこなし分析結果を出す能力のことです。 企業によっては、Excelのような表計算ソフトを用いた分析を採用していたり、オープンソフトウエアであるR言語を用いたデータ分析ツールの活用をしている場合もあります。企業の課題や業務に合わせて分析するためには、ツールや言語を使いこなす能力が不可欠といえます。
02分析力が求められる理由とは
ビジネスにおける分析力の必要性は、今後も高まるといわれています。企業が様々な課題を抱える現代では、分析力の有無が経営戦略の鍵となるでしょう。ここでは、分析力が求められる理由について解説します。理由は、以下の2つです。
- ・正確な現状分析と将来予測が可能になる
- ・意思決定の遅れを防ぐことにつながる
1.正確な現状分析と将来予測が可能になる
分析力があることにより、正確な現状分析を実行し、将来予測が可能になります。実際には、将来予測は、不確実な要素が多く、正確に見通すことは容易ではありません。しかし、高い分析力があれば、各データの関連性や因果関係などから、不確実性の高い情報をより精度を高めて収集することができるでしょう。その結果、継続的な売上やシェアの拡大などの解決策の検討が容易になるのです。
2.意思決定の遅れを防ぐことにつながる
分析力は、意思決定の遅れを防ぐことにつながります。ビジネスにおいて、意思決定を行う機会は多く、その遅れが企業に悪影響をおよぼすケースがあることは否めません。高い分析力によって、企業が抱える課題や問題点を抽出し、データに基づく根拠を明らかにすることが可能です。そのため、意思決定のサポートとなり、迅速な判断が下せるようになるのです。
03分析の主な手法
分析力は、データ分析を主業務とする社員以外も高めたい能力です。そこで、様々な分析方法を知っておくと良いでしょう。同じデータでも分析方法を変えることで、異なる結果が得られる場合もあるため、分析の目的に合わせて、適切な分析の手法を活用できることがベストです。ここでは、分析に用いられる主な手法について解説します。
分析の主な手法は、以下のようなものがあります。
- ・定量・定性分析
- ・統計分析
- ・市場分析
- ・課題分析
定量・定性分析
定量分析と定性分析は、ビジネスにおける現状分析をおこなう手法です。ここでは、2つの手法について解説します。
定量分析
定量分析は、数値データに基づく分析手法のことです。企業の売上・業績、Googleアナリティクスのアクセス解析や選択式アンケートの調査結果といった数値上のデータを分析し、客観的に現状把握とその評価ために用いられてます。数値データを扱うため、誰もが同じように解釈でき、認識のズレが起こりにくいというメリットがあります。
定性分析
定性分析は、数値データでは表せないような質的データに基づく分析手法のことです。データには、ユーザーインタビューや自由回答式アンケートの結果、SNS上の口コミなどが挙げられます。必要なデータ量が少なくても分析ができ、定量分析で分からない課題もしくは裏付けにもなるというメリットがあります。評価基準を明確にし、主観的な判断を取り除くことが必要です。
統計分析
統計分析は、ビジネスのあらゆるシーンで活用されています。例えば、マーケティング分析や顧客分析を行う際も基礎となる分析手法です。ここでは、回帰分析と分散分析について解説します。
回帰分析
回帰分析は、関数をデータに当てはめることによって、1つの要因から、結果を分析する統計的手法です。主に、将来予測や影響関係を検討するために活用できます。回帰式は、図示すると直線になるため関係を見るには分かりやすいという特徴があります。売上予測や因果関係の要因分析などをするときに用いられます。
分散分析
分散分析は、3つ以上の異なるデータ群の平均に違いがあるかを比較するための統計的手法です。各データ群の平均値が異なった場合、その差が偶然か必然かを検証し、さらに詳細な分析には、多重比較を併用します。
市場分析
市場分析とは、市場の動向を分析し把握するための手法です。マーケティングや経営戦略に活用することができます。ここでは、市場分析に使える2つのフレームワークについて解説します。
3C分析
3C分析とは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)、の3つの要素を分析し、外部環境の市場と競合の関係性を把握する方法です。市場規模や変化を把握し、競合がそれらにどのように対応しているのかを知ることで、今後の経営戦略に活かすことができます。市場の中で、競合他社よりも競争優位性のあるポジションを獲得するために役立つ方法といえます。
SWOT分析
SWOT分析は、企業が直面しているビジネス環境を、外部環境と内部環境に分け、それぞれ強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つを組み合わせて分析する方法です。自社を取り巻く状況を明確にし、自社の強みや弱みといった経営環境を整理することで、経営戦略を効率的に進めることができます。
課題分析
課題分析とは、業務を構成する作業工程を明確にし、どの工程に課題があるのかを把握し分析する方法です。ここでは、汎用性が高い2つのフレームワークについて解説します。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、課題の本質がどこにあるのか深掘りし、ツリー状に分解して解決策を導き出す方法です。問題点を木の幹とし、いくつかの選択肢を枝として広げていきます。これにより、問題点に対して抜け漏れのない検討ができることになります。頭の中だけで考えるよりも、すっきりと論理的に進められる点がメリットです。
PDCA
PDCAは、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Action)を1つのサイクルとして、継続的に業務を改善していく方法です。Planでは外部環境の分析を行い、実現可能な目標・計画を作成し、Doでは目標に向かって業務を進め、Checkでは評価項目に基づいて正確に評価し、Actionでは課題について論理的に分析するという流れになります。長期プロジェクトや通常業務など、継続的な改善が求められるシーンでの活用が有効です。
04社員の分析力を鍛える方法
分析の主な手法をご紹介しましたが、これらを扱うためには分析力を鍛える必要があります。なぜなら、分析力には、分析技術はもちろん、筋道立てて考える力が必要になるためです。ここでは、社員の分析力を効率よく鍛える方法として、以下の3つを紹介します。
- ITスキルを身につける
- 論理的思考を学ぶ
- 社員研修を実施する
1.ITスキルを身につける
ITスキルを身につけると、分析力を鍛えることにつながります。分析力には、Excelのスキルが欠かせません。Excelの分析ツール機能を使うと、分散分析・回帰分析・t検定・分散分析・因子分析などの日常業務に必要な分析のほとんどを実施できます。さらに、分析結果を表やグラフの形式で出力してくれるため、分析を効率よく進めることができるのです。ITスキルは、人によってスキルに大きな差があることも珍しくありません。基本から、しっかりと身につけることが重要です。
2.論理的思考を学ぶ
分析力を鍛えるには、論理的思考を学ぶ必要があります。論理的思考とは、物事を論理的にとらえ、矛盾なく考える思考法です。言い換えれば、誰が見ても合理的な結論を導き出す思考法ともいえます。正しく分析するためには、複雑に絡み合う要素を詳しく調べ、それぞれの関係性を検討しなければなりません。論理的思考があれば、課題に対して適切に要素を分解し、要素間の関係を見極め、妥当な解決策を導き出すことが可能になるのです。
3.社員研修を実施する
より実践的に分析力を鍛えるには、社員研修の実施が有効な方法です。社員研修の実施方法は、職場で業務を通して行うOJTと職場を一時的に離れて学ぶOff-JTがあります。 分析力を業務を通して学ぶことは非常に重要ですが、分析手法が限定的になりがちです。その点、外部講師による研修では、実務演習をはじめとした、分析力に関する幅広いカリキュラムがあります。実務ですぐ役立てられる汎用的な知識やスキルを体得できるでしょう。また、レポート提出の義務付けなど、積極的に参加できる体制を整えることも重要です。
05分析力を向上させるSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級8,500本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実
分析力に関するSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、分析力に関する授業を紹介いたします。
問題解決のためのデータ分析
「データ分析の考え方と手法について学ぶ授業です。」 何事もデジタルで管理する現代、ビジネスのあらゆる局面は数字で管理されています。 だからこそビジネスパーソンは、「数字で語る」ことを求められます。そこで本授業は、Excelを使ったデータ分析の方法について学びます。
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KUROCO株式会社 代表取締役
慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。小売業、飲食店、メーカー等、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。 2013年9月「問題解決のためのデータ分析」(2019年2月に新装版)、2019年10月「会社の問題発見、課題設定、問題解決」を出版。 KUROCO株式会社では、中小企業向けのデータ活用支援(分析、可視化、教育)を展開。 https://kuroco.team/
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
データ分析力を磨く‐ 仮説の構築と検証
この授業では、データ分析のプロセスを「仮説構築」と「仮説検証」の大きく2つにわけて、それぞれのプロセスでのポイントを学んでいきます。
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マーケター
1984年生まれ。龍谷大学法学部卒業後、データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院で"学び直し"。 その後、株式会社デコムなどでデジタルマーケティング、消費者インサイト等の業務に携わり、現在は「テクノロジーで『今起きていること』を明らかにする報道機関」を目指す報道ベンチャーにてマーケティング全般を担当している。 政治、経済、文化など、さまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とし、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌にも登場している。 ◇主な著書 「なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~」(光文社)2019 「誤解だらけの人工知能」(光文社)2018 「データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」(毎日新聞出版)2018
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
データ分析の手順 - 仮説設定からビジュアライゼーションまで
データ分析は今後、業界/分野にかかわらず多くのビジネスパーソンが備えておくべきスキルとなり得ます。 このコースでは、データ分析の基本的なスタンス/考え方に始まり、分析の工程から結論を視覚化するところまで、成果を出すためのデータ分析の手順を学びます。
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マーケター
1984年生まれ。龍谷大学法学部卒業後、データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院で"学び直し"。 その後、株式会社デコムなどでデジタルマーケティング、消費者インサイト等の業務に携わり、現在は「テクノロジーで『今起きていること』を明らかにする報道機関」を目指す報道ベンチャーにてマーケティング全般を担当している。 政治、経済、文化など、さまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とし、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌にも登場している。 ◇主な著書 「なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~」(光文社)2019 「誤解だらけの人工知能」(光文社)2018 「データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」(毎日新聞出版)2018
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06まとめ
分析力は、問題点の抽出や原因を特定・把握をするために、集めた情報の要素を分類し、その構成を明らかにする能力のことです。企業にとって、正確な現状分析と将来予測や意思決定の遅れを防ぐためにも、データを分析する能力を持つ人材育成が重要になります。社員の分析力を鍛える方法には、ITスキルや論理的思考を学ぶ方法、社員研修の実施が挙げられます。社員研修を上手に活用し、社員の分析力向上を支援していきましょう。