公開日:2022/09/09
更新日:2023/02/02

ビジョンとは?共有するメリットからビジョンマネジメントの方法まで詳しく解説

ビジョンとは?共有するメリットからビジョンマネジメントの方法まで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業活動をする上でビジョンを掲げ、従業員に浸透させるのは大切だと聞くけれど、それがビジネスにどんな良い影響を与えるのかがイメージできないという人も多いのではないでしょうか。 この記事ではビジョンとは何かからビジョンマネジメントの方法まで詳しく解説します。

 

01ビジョンとは?

ビジョン(vision)は直訳すると「視覚」「未来像」といった意味がありますが、企業におけるビジョンとは将来に向けてありたい姿を明文化したものです。 ビジョンを掲げることで従業員の行動の方向性を定めたり、顧客、株主、取引先、地域社会といったステークホルダーにメッセージを発信したりすることができます。

ビジョン・ミッション・バリュー・パーパスの違いとは?

ビジョンとは何かを理解する上で、混同しやすいミッション・バリュー・パーパスとの違いを考えてみるとわかりやすくなるので、それぞれの意味を表にまとめてみました。

項目 キーワード 意味
ビジョン when・where(いつ・どこ) ・企業がいつ(中長期的に)どこを目指して活動するのか
ミッション what(何) ・企業が何をするのか
バリュー how(どんな) ・企業がどんな価値基準や行動基準を大切にするか
パーパス why(なぜ) ・企業やブランドがなぜ存在するのか

特にミッションとビジョンは密接に関係しており、この表でも混同しやすいですが、一般にミッションは「何をするのか」にフォーカスしており会社が現在行っていることすべてを示す一方、ビジョンは企業が将来に渡って何を目指しているのか・どんな状態を実現したいのかを示しているという違いがあります。

企業理念や経営理念との違い

企業理念(経営理念)は企業が何をするのかを示すものであるためミッションに近い意味ですが、企業の創業者・経営者の価値観や思いが込められているという違いがあります。 ミッションは個人の価値観より企業全体の方向性を示す言葉なので、ニュアンスの違いでそれぞれの言葉を使い分けるのが望ましいでしょう。

 

02会社のビジョンを浸透させるメリットとは

会社のビジョンとは、社内外に浸透させることでどのようなメリットがあるのでしょうか。 以下のメリットについて、詳細を解説します。

  • ・1.事業の生産性が向上する
  •  
  • ・2.自主性を持って動く従業員が増える
  •  
  • ・3.ステークホルダーに対してのPRになる
  •  

1.事業の生産性が向上する

従業員は目標や何を目指して仕事をしているのかがわからない状態では、次第にモチベーションが落ちるため、企業全体の生産性が低下することにつながります。 しかしビジョンを浸透させることで、従業員は担当する仕事における自分の存在価値を見出すことができるので、積極的に業務に取り組むようになり、離職率の低減や優秀な人材の確保にもつながるでしょう。

2.自主性を持って動く従業員が増える

ビジョンとは時代背景によって変化する現実的な目標とも言えるため、従業員がそれを目指して自主的に活動しやすくなります。 ビジョンが示されることで、従業員がそれに基づいて意思決定をするため、異なる業務や部署であっても判断にぶれが生じず、同じ場所を目指して進むことができるのです。

3.ステークホルダーに対してのPRになる

ビジョンを掲げることで顧客、株主、取引先、地域社会といったステークホルダーに自社で提供するサービスの延長上にどのような未来があるのかというイメージをしっかりと伝えることができるため、それぞれから信頼を得ることにつながります。 もちろんビジョンを掲げるだけではなく、継続的にステークホルダーとコミュニケーションを図り、説明責任を果たしていく姿勢が重要です。

 

03ビジョンを浸透させるための手順と実施方法

企業におけるビジョンを社内外に向けて浸透させるにあたってどのような手順や実施方法を取るのが望ましいのでしょうか。 ビジョンを現場に共有・浸透させるためのビジョンマネジメントの準備と、そのプロセスにわけて見ていきましょう。

  • ・1.ビジョンマネジメントを実施する前の準備
  • ​​
  • ・2.ビジョンを浸透させるためのプロセス

1.ビジョンマネジメントを実施する前の準備

ビジョンマネジメントを実施する前には、どのような準備をするのがよいのでしょうか。

  • ・1-1.ビジョンに沿った行動を評価する仕組みを作る
  • ・1-2.ビジョンを基に判断する練習の機会を作る
  • ・1-3.ビジョンの浸透を歓迎しない従業員がいることも理解する

上記の3つについて、それぞれ詳細を解説いたします。

1-1.ビジョンに沿った行動を評価する仕組みを作る

ビジョンマネジメントをする事前準備として、ビジョンに則した行動を取ったり、その行動で成果を上げたりした従業員に対して評価する仕組みを作りましょう。 人事評価制度の中に昇給・昇格・賞与などにつながる評価項目として組み入れるという方法や、社内顕彰する方法などいろいろなやり方があるため、会社の社風に合わせた仕組み作りをすることが大切です。

1-2.ビジョンを基に判断する練習の機会を作る

従業員が明文化したビジョンを基に、物事を判断することができるようになるための練習をする機会を設けましょう。 社内のイントラネットなどに課題を掲示するといった方法ではなく、研修や勉強会を開催し、従業員にディスカッションなども含めて行ってもらうとビジョンの重要性がより伝わりやすくなります。

1-3.ビジョンの浸透を歓迎しない従業員がいることも理解する

従業員の中にはビジョンに対し自分とは関係ない、日常業務をするのに支障がないといった理由でビジョンが浸透するのを歓迎しない人もいるでしょう。 ビジョンを提示されると組織から拘束されているように感じる従業員の場合、ビジョンを浸透させようと何度も働きかけるとかえって会社との信頼関係を損ねてしまいます。 経営層がそのような従業員を頭ごなしに否定するのではなく、現場を視察し意見に耳を傾ける姿勢を持つことが、ビジョンを浸透させる上では重要なことだと言えます。

2.ビジョンを浸透させるためのプロセス

ビジョンとは、どのようなプロセスを経るとより効率的に浸透させることができるのでしょうか。

  • ・2-1.ビジョンの理解・共有
  • ・2-2.ビジョンの具体化
  • ・2-3.ビジョンを実践し成果を出す

上記の3つについて、詳細を解説いたします。

2-1.ビジョンの理解・共有

まずは明文化したビジョンを、背景も含めて従業員が理解できるよう勉強会や研修などの機会を設けた後、経営層や管理職が現場を見回って意見に耳を傾けたり、ミーティングを開催したりすることでどの程度共有できているかを把握しましょう。 現場の仕事を見る上では、ビジョンに基づいて判断できているかという観点で細かくチェックすることが大切です。

2-2.ビジョンの具体化

ビジョンに基づいて行動や判断ができる従業員が増えてきたら、制度に基づいて評価を行いましょう。 評価制度を作ったものの、有名無実化するようではビジョンは組織に浸透していきません。 具体的に何が評価されるのかを示すと、従業員が具体的にどのような行動や判断をすればよいのかイメージしやすくなります。

2-3.ビジョンを実践し成果を出す

最後に会社のビジョンと合致した目標を従業員自らが立て、自主的に行動して成果が出せるようにマネジメントをしていきましょう。 会社のビジョンと個人の目標が合致するのは、ビジョンが企業内で共有され浸透していることと同じです。 ビジョンを実践し従業員が成果を出すためにも、会社と従業員、上司と部下の信頼関係をしっかりと構築しておくことが大切です。

 

04会社のビジョンを設定する際のポイントとは

自社に共有・浸透させやすいビジョンを設定するには、どのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。

  • ・1.市場や事業を取り巻く環境を整理する
  • ・2.会社が推奨する価値観や行動指針を明確にする
  • ・3.中長期で目指すべき姿を構想する

上述する3つのポイントについて、詳細を解説します。

1.市場や事業を取り巻く環境を整理する

ビジョンとは時代背景などによって変化するものでもあるため、まずは自社のビジネスにおける市場の様子や事業を取り巻く環境を整理しましょう。 具体的には次のようなことを客観的に把握するのが望ましいと言えます。

  • ・自社を取り巻く市場の現状
  • ・競合他社の様子
  • ・今後の成長性

ターゲット市場を顧客の立場から分析する4C分析、売る側の視点から分析する4P分析、業界構造を分析できるファイブフォース分析、ビジネスを取り巻く環境を切り口に分析するPEST分析などを行うとより正確な現状を知ることができるでしょう。

2.会社が推奨する価値観や行動指針を明確にする

ビジョンを設定する際には、経営層と従業員が議論して会社が推奨する価値観や行動指針を少しずつ明確化していきましょう。 会社の歴史、伝統、企業文化などのバックグラウンドを共有した上で、会社が何を大切にして事業を行っていくのかを率直に話し合うのです。 価値観や行動指針が不明確なままビジョンを設定しても、運用した際に意識のずれが生まれてしまうため、しっかりとした内容を作るのが望ましいでしょう。

3.中長期で目指すべき姿を構想する

ビジョンはミッションのように不変なものではなく定期的に見直すのが前提となるため、中長期で現実的に何を目指すかという地に足の着いたものでなければいけません。 そのため近い将来実現できそうなことかどうかというのも、設定する上では重要な観点であると言えるでしょう。


 

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05まとめ

企業におけるビジョンとは将来に向けてありたい姿を明文化したもので、従業員の生産性を高め、顧客、株主、取引先、地域社会といったステークホルダーへのPRにもなるため、設定したら現場にしっかりと共有・浸透させましょう。 この記事も参考にして、自社にとってよりよいビジョンマネジメントを進めてみてください。

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