公開日:2022/09/16
更新日:2024/06/24

HRDとは何か?人的資源から考える人材開発について|類似用語との違いも解説

HRDとは何か?人的資源から考える人材開発について|類似用語との違いも解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

HRDという言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは、日本語訳すると人的資源開発という意味で、主に人材開発と同じような意味合いの言葉です。この記事では、HRDに関して、周辺用語との違いや考え方などについて解説していきます。

 

01HRDとは人材開発を図るための活動の総称

HRDとは、Human Resource Developmentの略称で、直訳すると「人的資源開発」となります。企業における人的資源の育成や開発のために行われる手法や活動などの総称を指します。 人的資源の開発の例を挙げると、能力開発や社員教育、キャリア教育などの人材育成に関わる手法が挙げられます。 VUCAの時代と呼ばれる現代では、少子高齢化による労働人口の減少を受け、働き方改革をはじめ、従来よりも一層生産性を高めることが求められています。 現状を踏まえ、企業にとって社員の生産性を高めるために人材育成は大きな課題であるといえます。社員の育成は新入社員に限らず、職種や階層別のスキル向上や近年の技術に対応するための学び直しなども注目されています。 HRDは、組織の抱える人材の課題解決や中長期計画の達成のため、研修や組織開発などのあらゆる活動が該当します。

人的資源とは

HRDは基本的には人材開発と訳されますが、直訳的には「人的資源開発」です。 人的資源開発を理解するために、まずは人的資源についても少し解説します。 簡単に言うと、人的資源とは社員(=ヒト)を重要な資源であるとみなす、という考え方のことです。 かつての経営三資源に「情報」を追加し、経営四資源として「ヒト・モノ・カネ・情報」が語られるようになってきました。 新しく追加された「情報」に目が行きがちですが、依然として経営資源のうちもっとも重要なのは、今も昔も変わらずに「ヒト」なのです。 ヒトこそがモノやカネを動かし、情報を扱い、企業に利益をもたらします。 ヒトこそが最重要の経営資源であるため適切に管理しようという考え方に紐づいているのが、「人的資源」という用語なのです。 ヒトをただの労働力とみなすのではなく、重要な資源として管理し、運用し、教育や開発によってスキルアップさせていくという人材開発の考え方も、ここを起点にしています。

 

02HRD(人的資源開発)と人材育成の違い

HRDについては、似たような用語との違いを見ることによって、より本質を理解できるようになるのではないでしょうか。 HRD(人的資源開発)の類義語として良く語られるのが、人材育成です。 人材育成とは、どちらかというと「その会社で戦力になるような教育」として、最低限の業務知識やスキルを身につけてもらうこと、という傾向が強いものです。 すなわち、そもそもの最低限の社会人マナー、あるいは業務上絶対に必要となるスキルに関する教育です。「その会社で戦力になる」ことに主眼が置かれがちであるため、マナーやスキルの中には、その会社に特化させたものも含まれるのではないでしょうか。 一方で人材開発(人的資源開発)は、より汎用的なスキル開発が多いようです。人材の基礎的な能力やスキルをアップさせ、キャリア教育などによりキャリア論を身につけてもらい、自律した社員になってもらうために行います。人材開発は、人材そのもののレベルを上げるために行う教育です。 まず戦力になるために人材育成を行い、より社会人として成長してもらうために定期的に人材開発を行う、というイメージではないでしょうか。

 

03主なHRD(人的資源開発)の手法

ここからは、実際のHRDで行われる3つの手法について解説していきます。実際には、それぞれの方法の特徴を理解したうえで、人材育成の目的に沿って組み合わせることが重要となります。

  • ・1.OJT
  • ・2.Off-JT
  • ・3.研修やセミナーの開催

1.OJT

OJTとは、On the Job Trainingの略称で、現任訓練と訳されることもある研修用語です。実際に現場に入り、現場で働きながら先輩社員からの教育を受ける、という手法です。大抵は新人1人につき先輩社員1人がついて、マンツーマンで実務について教えることになるでしょう。 リアルな現場で学べることから、得られるスキルは活きた現場のスキルであり、即戦力になるために有用です。 一方で、戦力として育て上げることが目的となるため、人材開発というよりは人材育成に近い教育になってしまう可能性があります。すなわち、人材的な基礎力をアップさせたり、自律したキャリア観を育成することには向かないのです。加えて、自分が関わる業務に関する知見は得られるものの、それ以外の業務や会社の全体像を俯瞰できないという点も指摘されています。また、OJTを担う先輩社員は人材開発の専門家ではないため、先輩社員の教育に関するスキルにばらつきがあることも問題です。この課題に関しては、担当社員へ育成者としての教育を行うことで解決することもできます。

2.Off-JT

Off-JTとは、Off the Job Trainingの略称で、職場を離れて行う訓練、と呼ばれることもあります。現場から一度離れ、座学によって必要な研修を受けるという形式です。社内で作成された研修プログラムや、外部の研修会社に作成してもらった研修プログラムを提供します。 Off-JTは、OJTで挙げられた課題の多くを解決できます。業務を体系的に学ぶことができるため、業務の全体像を把握することもできます。また、社内外の人材開発に関する専門家が作成したプログラムを使うため、教える人の違いによる教育スキルのばらつきを抑えられます。内容によっては、自社だけに限らず汎用的に活用できるスキルを教えることができ、人材開発の要件を満たすこともできます。 ただし、現場を離れての研修であるため、どうしてもリアルな知見というわけにはいきません。また、研修している間は業務の手を止めるため、業績を気にする社員の理解を得るためには一定の説明が必要となります。

3.研修やセミナーの開催

研修やセミナーを開催するのも効果的です。 また、開催にあたっては外部の講師を招くなど、社外の知見を取り入れるのも効果的です。自社内だけで行うのも良いですが、どうしても社内だけの知見になってしまうかもしれません。そうすると、自社でしか通用しない知見の共有に終始してしまう可能性もあるためです。汎用的に人材のスキルアップを図るのであれば、積極的に社外の講師を活用していきたいものです。例えば、eラーニングや社会人向けスクール、オンライン講座などが挙げられるでしょう。

 

04HRD(人的資源開発)を成功させるポイント

これらのHRDを成功させるには、いくつかのポイントがあります。実施するうえで主なポイントである3つについて、解説します。

  • ・1.OJTやOff-JTなど複数の手法を組み合わせる
  • ・2.単発ではなく長期的に開発する
  • ・3.短期的な成果に注目しない

1.OJTやOff-JTなど複数の手法を組み合わせる

前項では、OJTやOff-JTにはそれぞれメリットとデメリットについて解説しました。手法については、どれか一つが正解というわけでも、間違いというわけでもありません。それらを組み合わせることで、お互いのデメリットを打ち消し合うことができます。 それに加えて、最後に紹介した外部講師なども招いた研修を行って社外の知見を加えることで、よりスキルアップを補強できるでしょう。 またOff-JTは、階層別研修などで定期的に実施することもできます。一度にすべてを教え込むのではなく、状況や理解度、職種などに合わせて実施することで、より効果的になるはずです。そして得られた知見をOJTで先輩社員と確認しながら身につけていく、という循環ができればスキルアップする実感も得られます。こういった好循環が生まれ、何度か回していくことで、キャリアやスキルアップ的に自律した社員が増えていくでしょう。

2.単発ではなく長期的に開発する

単発で勉強会などを行うだけでなく、中長期的なスパンで計画的に人材開発を行うことが重要です。 カリキュラムを組んだり、新卒社員であれば日本式のジョブローテーションを取り入れるのも良いかもしれません。マネジメント研修などでは行われていると思いますが、プログラムに特定のゴールを定め、そこまで進めていくように定期的に何度か開催する、といった手法も有効です。 こういった計画を立てられるのであれば、前述したようなOJT→Off-JT→OJT→Off-JT……といった循環と補完、そして要所で外部の知見を入れた研修を取り入れた補強もしやすくなるでしょう。

3.短期的な成果に注目しない

人材開発は取り組んですぐに目に見える成果がでるというよりも、中長期で企業を底支えするような性質をもったものです。 どうしても費用対効果に目が行くと、「この勉強会をしたら、いくらの売上が増えるのか」という短期的な議論になりがちです。人材開発に関して今すぐ目に見える成果を求めても、得られるものは少なく、逆に費用対効果が悪いと感じてしまうかもしれません。 そうではなく長期的な視野で考えて、未来のマネジメント人材が育成できた、新部署の立ち上げに対応できる戦力が増えた、といった「人的資源の厚さ」を指標にして考えるのがよいでしょう。

 

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人的資本を活かした自律型組織

この授業では、「人的資本」について学ぶとともに人的資本を活かした組織づくりのために何をすべきか。人事部としての役割は何かを学んでいきます。人事部のみならず、ビジネスパーソンとして「人的資本経営」に関する理解を深められる授業となっています。

 
  • 株式会社NEWONE 代表取締役社長

    大阪大学人間科学部卒業。 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者としてプログラム開発に従事。新人~経営層までファシリテーターを実施。2015年、代表取締役に就任。2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメント向上を支援する株式会社NEWONEを設立。米国CCE.Inc.認定 キャリアカウンセラー。

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在宅勤務下の新人受け入れは、リモートでのOJTが実施されますが、コミュニケーション不足などから、最悪、早期の離職につながるなど課題が多いのが実情です。どのような工夫をすれば、新人・若手がスムーズに業務遂行でき、モチベーション維持も担保できるのでしょうか。コミュニケーション活性化やマネジメント方法の転換といった対策が必要になる中、具体的な事例を通して若手の人生育成に効く組織づくりのポイントを学んでいきます。

 
  • 株式会社ガイアックス/管理本部人事総務部長

    山口県出身。立教大学経営学部2017年卒。新卒で入社した株式会社ガイアックスで人事総務部長を務めつつ、複数のスタートアップやコミュニティでHRや新規事業立ち上げを担当。全ての人の才能が最大限発揮される社会を目指し、人々の働き方や人生選択の自由度を高めるにはどうすればよいのかを日々模索して活動中。

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ビジネスパーソンとして押えておきたい「人材マネジメント」の基礎

AI活用が進む現代において、人間ならではの力を伸ばしたいというニーズは非常に高まっています。文脈を読み取る力、読解力などはまさにそうした「人間ならではの能力」の一つですが、とくに大人になってしまうと、読解力を鍛える機会がなく、また、鍛え方も分からなくなりがちです。本授業では吉田裕子先生が読解力の鍛え方をご指南くださいます。

 
  • 株式会社壺中天 代表取締役

    1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺』(2018)、『図解 人材マネジメント入門』(2020)など。

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06まとめ

HRDとは人材開発のことを意味しています。特に、経営資源のうちヒトを重視した「人的資源」の考え方に基づく人材開発の手法であり、今後の社会ではますます求められるようになる概念だと考えられます。ぜひこの機会に、自社の人材育成はどういった手法なのか、HRDの概念に照らして問題ないか、確認してみましょう。そしてもし問題がありそうなら、社内に働きかけ、人的資源による人材開発の考え方を紹介してみてください。

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