公開日:2021/09/09
更新日:2024/07/18

後継者育成の方法とは|計画の作り方や研修カリキュラム例を解説

後継者育成の方法とは|計画の作り方や研修カリキュラム例を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

サクセッションプランとは、特定ポジションにおける後継者を育成する計画のことを指します。本記事ではサクセッションプランのメリットや、成功させるためのポイントを紹介します。これからサクセッションプランを導入したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

01後継者育成とは

後継者育成とは、組織内でリーダーの後継者となる人材を育成することを指します。

後継者育成と同義で語られる言葉として、次世代リーダー育成があります。後継者育成は主に中小企業を中心に使用されることが多く、次世代リーダー育成は大企業で使われる傾向にあります。ただし、これらの言葉の使い分けが明確に決まっているわけではありません。

また、後継者育成計画のことをサクセッションプランと言います。本来、これは育成計画のことを指す言葉ですが、サクセッションプランが後継者育成の意味で使われることも多いです。

 

02後継者育成の目的

後継者育成の目的は、企業を安定的に成長させ、存続させるためです。経営者の引退や交代に備え、後継者候補を選定し、計画的に育成していくことが求められています。

上場企業においては、コーポレートガバナンスで以下のように後継者育成が義務付けられています。

取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである。

▶︎参考:株式会社東京証券取引所|コーポレートガバナンス・コード

上場企業で後継者育成が義務付けられている理由は、上場企業が急な廃業となった場合の社会的影響が非常に大きいためです。中小企業においては、後継者が見つからない、育たないといった理由で廃業を選択する企業も増えてきているようです。

 

03後継者育成における課題

後継者育成における課題として、人材不足・育成計画の立案・実行する人材の不足などが挙げられます。ここでは、それぞれについて具体的に解説していきます。

後継者となる人材の不足

中小企業庁によると、後継者不在率は2017年の66.5%をピークに近年は微減傾向にあります。2021年は前年比3.6ポイント減となる61.5%となっていますが、まだまだ6割以上の企業が後継者が不在という課題を抱えています。

以前は親族内で後継者を立てる企業も多くありましたが、近年は子供の意思を尊重して無理に継承しないという経営者も増えてきました。また、社員の中から選ぶ場合においても、そもそも人手不足であったり、人材不足であったりで後継者候補が見つからないということが多いようです。

▶︎参考:中小企業庁|後継者不在率の推移

育成計画を企画・実施するための体制が整っていない

後継者育成における課題で、「育成計画を企画・実施するための体制が整っていない」という企業も多いです。この背景には、そもそも経営戦略のなかで優先順位が低くなりやすいので、施策自体が後回しにされやすいという点が挙げられます。

また、後継者育成を本質的に担えるのは、経営陣だけということも背景にあります。人事部の課長や部長も、後継者候補になり得るので、自らが主導して後継者候補の選定を行いにくいのです。そのため、経営陣が主導して、後継者育成を推進しなければいけません。

長期的な取り組みとなる

後継者育成は、一朝一夕で終わるものではありません。候補者の選定を行い、研修で知識の習得を行いながら、ジョブローテーションで各部門の見識をつけていくので、後継者育成は長期的な取り組みになります。

家族経営で必ず継いでくれるとわかっていれば長期的な施策も問題ないですが、人材の流動化も進む中で育成しても辞めてしまうのではという懸念も完全に拭うことはできないでしょう。そのため、後継者育成をしたいが辞められるリスクを感じて、投資できないという企業も多いでしょう。

 

04後継者育成計画の作り方

後継者育成を推進するには、後継者育成計画(サクセッションプラン)が欠かせません。この章では、後継者育成計画の作り方を紹介します。

1.後継者の人物像を明確にする

最初に後継者の人物像を明確にします。具体的には、必要なスキルや能力、実績、期待する役割を定めます。その際、経営戦略などとも照らし合わせながら、育成の目的を言語化します。育成する理由がしっかりと説明でき、納得感のあるものであれば、全社内での協力が得やすくなります。

2.候補となる社員を選定する

次に後継者の人物像を基に、候補となる社員を選定します。そのためには、社内人材のスキル・能力の把握が欠かせません。タレントマネジメントシステムなどを活用しながら、次世代リーダーの人物像として定めたスキルや能力を保有している人材を候補者としていきます。

3.具体的な育成手法を決定する

候補者が決まったら、次は育成方法を決めていきます。育成というと座学中心の研修をイメージするかもしれませんが、配置転換で経験を積ませるというのも、1つの育成方法と言えます。いかに現場での経験資源を配分し、後継者としての能力やスキルを実務を通じながら伸ばしていけるようにするかは、後継者育成を担う人の役目と言えるでしょう。

 

05後継者育成の方法

後継者育成の方法として、多くの企業で用いられるものは「ストレッチアサインメント」と「研修」です。家族経営や企業規模が小さい場合は、経営者自らがOJTを行うこともあります。この章では、後継者育成の方法について紹介します。

ストレッチアサインメント

ストレッチアサインメントとは、現在の実力では達成困難と思われる役職・ポジションにあえて任せることで候補者の成長を促すという人材育成方法です。後継者に必要な判断力や行動力は座学だけでは身に着きません。ストレッチアサインメントで、新規事業の立ち上げや子会社の社長を任せるといった経験を意図的に積ませることによって、飛躍的な成長を遂げることが期待できます。

研修(OFF-JT)

研修は、後継者育成の手法として最も採用されることが多い手法です。後継者に必要なスキルや能力を学ぶ機会を提供することで、後継者候補に選ばれたという認識を持ってもらうこともできます。また、研修には他の後継者候補者も参加することになるため、健全な競争が生まれ、相乗効果を産むことも期待できます。

OJT

OJTとは略称で、「On The Job Training」を短縮した言葉です。企業や組織の中で実務に取り組みながら行う育成方法のことを指します。管理職や経営層の近くで仕事することで後継者に必要な新しい知識やスキルを養っていく方法です。後継者育成は座学だけで身に着くものではなく、実践経験を積んでいく必要がありますので、積極的にOJTを取り入れていくのが良いでしょう。

 

06後継者育成の事例

この章では、具体的な後継者育成の事例を紹介します。

1:ハウス食品グループ

ハウス食品グループでは2012年から、社長の浦上氏を塾長として、将来の経営幹部を養成する「ハウス経営塾」を開催しています。役員陣も折々で経営塾全般に関与しており、グループを挙げた次世代経営人材育成の場と位置付けているようです。ハウス経営塾では、単なる経営スキル、知識の学習だけではなく、経営者としての精神的軸(胆力)の養成も行っているそうです。

▶︎参考:やりがいを感じられる仕組み|ハウス経営塾

2:日立製作所

日立製作所では、若手経営リーダー候補119名を、社長がコミットして選抜・育成する取り組みを行なっています。OJTやOff-JTはもちろんのこと、経営幹部によるメンタリングや指名委員・社外取締役との議論などの機会も与え、次の日立の100年を牽引できる経営者の育成を推進しています。

▶︎参考:日立製作所|2024人財戦略説明会

3:積水ハウスグループ

積水ハウスグループは、次代を担うにふさわしい支店長候補の育成と選抜を目的に「積水ハウス経営塾」を開講しています。経営塾の参加メンバーには、教養を培い人格・人間性を高める「インテグリティ・マネジメント」、セオリーと事例に学び組織をリードする「戦略立案・組織マネジメント」、答えのない問題を考え未来を創る「新価値創造・イノベーション」等のプログラムを通じて、次代の支店経営を担うにふさわしい「見識」「人格」「マネジメント力」「リーダーシップ」を習得する機会が与えられます。この取り組みには、経営陣も参画。直接の対話を通じ、現場とは違った視点から人材を発掘する場ともなっているそうです。

▶︎参考:積水ハウスグループ|人材育成


 

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07後継者育成のポイント

後継者育成は、研修を一度実施すれば完了というものではなく、経営戦略と連携させながら長期的に推進する必要があるものです。したがって、後継者育成を行う上では、将来に期待する効果を明確にしたうえで、有効な方法を考えていくことが重要といえます。ここでは、後継者育成を行う際に、注意したいポイントを解説します。

候補者選定の時期を早める

後継者育成は早期から取り組むべきです。日本は課長になるのが平均で38歳、部長になるのが平均で44歳と、出世のタイミングが非常に遅い国ということがわかっています。中国では課長になるのが28歳、インドでも29歳、アメリカでも34歳と、日本よりも平均的に早いタイミングで出世するのです。

後継者育成には、多様な経験を積ませることが欠かせません。そのため、40歳を超えてから候補者になっているのでは遅いのです。早いタイミングで候補者として扱い、出来るだけ体力のあるうちに多様な経験を積ませることで、見識の深い有能な後継者を育成することができるようになります。

人物像の見直しを定期的に行う

後継者になるべき人物は、時代によっても変化します。昭和の時代に優秀だった経営者が、令和にも優秀とは断言できません。その時代に応じたリーダーシップの発揮の仕方もあれば、求められる知識・見識も変わってきます。

そのため、時代に左右されない普遍的なものを定義しながらも、定期的に人物像を見直して、必要なスキルや能力をアップデートしていくと良いでしょう。

アルムナイも候補者に入れる

後継者育成の対象者として、社内だけでなくアルムナイも候補者に入れると良いでしょう。複数の会社を経験し、様々な業種・文化に触れてきた人材は後継者候補として重要な多様な経験を持っているためです。

他社でも活躍できている人は、根本的なビジネススキルも高い水準であることが証明されているので、候補者として最低限のスキル・能力のラインも超えていることが多いでしょう。特に、他事業展開している企業では、経営戦略で今後注力する業界・事業の経験が豊富な社員をCEOにアサインしたいとなることが多いので、アルムナイも含めて候補者にしておくべきなのです。

 

08後継者育成の研修|Schoo for Business

Schoo for Business

Schooでは約8,500本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

受講形式 オンライン
(アーカイブ型)
アーカイブ本数 8,500本
※2023年5月時点
研修管理機能 あり
※詳細はお問い合わせください
費用 1ID/1,650円
※ID数によりボリュームディスカウントあり
契約形態 年間契約のみ
※ご契約は20IDからとなっております
 

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大企業から中小企業まで4,000社以上が導入

Schoo導入企業ロゴ

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで4,000社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。

導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。

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後継者育成研修のカリキュラム例

この章では、Schooが保有する8,500の授業の中から、後継者育成研修におすすめの授業を3つ紹介します。

実践のためのリーダーシップ理論 -伝統と最先端-

実践のためのリーダーシップ理論 -伝統と最先端-

第1回 リーダーシップ研究の流れ/代表的な理論を活用する
時間 60分
研修内容
  • ・リーダーシップの基礎
  • ・状況的リーダーシップ論
  • ・変革的リーダーシップ論
  • ・サーバンド・リーダーシップ論
第2回 職場を元気にする シェアド・リーダーシップ
時間 60分
研修内容
  • ・シェアド・リーダーシップ
  • ・リーダーシップ持論の重要性
  • ・効果的なリーダーシップ持論の構築
 

この授業では立教大学統括副総長の石川教授を講師に招き、リーダーシップの代表的な理論や最先端のリーダーシップ理論を解説いただいています。

  • 立教大学統括副総長/立教大学経営学部教授/博士(経営学)

    慶應義塾大学法学部卒。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士・博士課程修了後、山梨学院大学、米国・オレゴン大学客員教授を経て現職。2014-2017年の間、立教大学経営学部長。2014-2020年の間、立教大学リーダーシップ研究所所長。専門分野は組織行動論、リーダーシップ論。著書に『リーダーシップの理論』(単著)、『シェアド・リーダーシップ』(単著)、『グローバル研究開発人材の育成とマネジメント』(分担執筆)、『Organizational Leadership: Concepts, Cases and Research』(分担執筆)など多数。また、国際学会や国際学術誌での発表も多く、2014年にはPan-Pacific Conference XXXIにてOutstanding Paper Awardを受賞。現在、国内学術誌である『組織科学』および『人材育成研究』に加えて、国際学術誌であるAsia Pacific Business ReviewにてInternational Editorを務める。

チームビルディング-リーダーの振る舞いを学ぶ-

チームビルディング-リーダーの振る舞いを学ぶ-

第1回 チームが結成されたばかりの「同調期初期」のリーダーの振る舞い
時間 60分
研修内容
  • ・グループとチームの違い
  • ・チームビルディングとは
  • ・トランスフォーミング
  • ・チームの成長ステージ
第2回 心理的安全性が生まれた「同調期後期」のリーダーの振る舞い
時間 60分
研修内容
  • ・チームづくりの公式
  • ・フォーミング期にすること
第3回 チーム内が衝突し始めた「混沌期」のリーダーの振る舞い
時間 60分
研修内容
  • ・ストーミング期に意識すべきこと
  • ・ストーミング期のコミュニケーション方法
第4回 チームを自分ごと化し始めた「調和期」のリーダーの振る舞い
時間 60分
研修内容
  • ・グループの状態とチームの状態
  • ・グループとチームを客観的に判断する評価指標
  • ・ノーミングの際にしない方が良いこと
 

この授業では理論的な説明だけでなく、その状況でのリーダーの振る舞いや働きかけの仕方、NG行動を学びます。チームには成長段階があり「同調期」「混沌期」「調和期」「変態期」という形で、最初に集まった状態をグループとして徐々にチームへと変化していきます。メンバーが集められてすぐに自律するチームになるとは限りません。メンバー同士の関係性や全体の状況を俯瞰し原則で捉え、リーダーとしての振る舞いを学ぶことができます。

  • 組織開発ファシリテーター

    企業、団体、教育、スポーツの現場など、約20年にわたって3000回を超えるチームビルディングを実施、現在は複数の法人で「エア社員」の肩書のもと、事業開発やサービス開発、社内外との横断プロジェクトを通じた組織づくりをファシリテーションする。株式会社ナガオ考務店代表取締役、一般社団法人プロジェクト結コンソーシアム理事長、学校法人茂来学園大日向小学校の理事を兼任。著書に『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』がある。

組織を育てるリーダーのコーチング思考と対話法

組織を育てるリーダーのコーチング思考と対話法

第1回 チームを導くリーダーのセルフコーチング
時間 60分
研修内容
  • ・コーチングを知る
  • ・コーチングを学ぶ
  • ・コーチングで「する」こと
  • ・コーチングを触れる
  • ・セルフコーチングの全体像
第2回 メンバーを導くコーチングの聴き方
時間 60分
研修内容
  • ・コーチングのメリット
  • ・ケーススタディ
  • ・今年の目標について
第3回 動機づけを促すコーチングの技術
時間 60分
研修内容
  • ・コーチングの前提
  • ・コーチングの実践
  • ・コーチングの応用
 

この授業では、組織づくりやメンバーとの関わりに着目し、実践できる考え方と対話法を解説します。全3回(合計3時間)で、コーチングスキルの一部を紹介しながら、ビジネスの場で活かしていくためのポイントをお伝えします。

  • ㈱LEBEN CAREER CEO

    秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。

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09まとめ

後継者育成に重要なサクセッションプランの成功ポイントを、詳しく解説してきました。事業を引き継ぐサクセッションプランは、長期的な企業存続にとって欠かせません。 きちんと理解する事で、後継者問題への対応や長期的な企業戦略を実現できますので、ぜひこの記事を役立ててください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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