合理的思考とは|論理的思考との違いや鍛える方法を紹介

合理的思考とは、目的に沿って無駄がなく理屈に合った判断を行う思考のことです。ビジネスにおいて欠かせない一方で、身につけるのは容易ではありません。本記事では、合理的思考の特徴や鍛え方、そして企業が人材育成に活用できる方法について解説します。
- 01.合理的思考とは
- 02.合理的思考と論理的思考の違い
- 03.合理的思考の特徴
- 04.合理的思考を鍛える方法
- 05.合理的思考を学べるSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01合理的思考とは
合理的思考とは、目的に沿って無駄がなく、理屈に合った判断を行う思考のことです。感情や思い込みに左右されず、冷静かつ効率的に結論を導く特徴があります。例えば「なぜその行動を取るのか」「どの手段が最も効果的か」といった観点から物事を検討し、必要な要素だけを残して行動に移す姿勢を指します。組織においては、時間やコストを最小限に抑えつつ成果を最大化するための重要な思考法といえます。
02合理的思考と論理的思考の違い
合理的思考と論理的思考は混同されやすい概念ですが、着目する視点が異なります。合理的思考とは、目的を達成するために無駄を省き、効率的かつ現実的な手段を選択する考え方です。一方で論理的思考は、物事の因果関係や筋道を明確にし、理屈として整合性を持たせることを重視します。例えば、合理的思考では「限られた予算内で最適な方法を選ぶ」ことに重点を置きますが、論理的思考では「結論に至るプロセスを説明できるか」を重視します。どちらも組織に必要な能力ですが、合理性は実効性、論理性は説明責任に直結するため、場面に応じた使い分けが求められます。
03合理的思考の特徴
合理的思考にはいくつかの特徴があります。無駄な時間や人間関係を避け、感情に左右されず冷静に判断する姿勢が代表的です。また、目的を明確に設定し、その達成に向けて欲求をコントロールできる点も挙げられます。さらに、複雑さを排除して物事をシンプルに捉えることで、意思決定を素早く行える点も大きな特徴です。これらの特性を理解することで、合理的思考をより効果的に実践できるようになります。
無駄な時間を嫌う
合理的思考の持ち主は何事も効率的に進めたいと考えています。なぜなら無駄なことに時間を取られると目的達成が難しくなることを理解しているためです。 例えば、同僚とダラダラと話して時間を潰したり、長時間何かを探す時間などを避けるでしょう。無駄な時間を取られ続ければ、自分の業務に支障が出てしまい、効率的に業務を進めることができなくなります。 合理的思考を身につけたいと考えているのであれば、自分が何に時間を使っているのかを洗い出し、その中で業務の成果に繋がらない時間を積極的に排除することをおすすめします。
無駄な人間関係を嫌う
合理的思考の持ち主は、生産性のない時間を嫌います。また、感情よりも理論によって冷静な判断をします。 そのため、一緒にいることや関わることの目的がはっきりしない相手とは距離を置く傾向があります。一見、冷たい人という印象を受けるかもしれません。しかし、「なんとなく距離を取りにくい」「なれ合いで仲良くしている」ような人間関係からは、業務上でもプライベートでもあまりいい効果を得られないため、周りに流されず人間関係においても冷静な判断をすることはメリットも大きいです。
感情を抜きにして考える
合理的思考の持ち主は、感情を一旦横に置きドライに物事を考えます。
目標達成のために自分が楽をすることを捨てる、感情に振り回されない、利益にならないと判断すれば素早く損切りするなどです。合理的に判断することができない人は、過去の成功に執着してしまいなかなか前に進めなかったり、人を切り離すことができない場合があります。しかし合理的思考を持つようになると、目標達成のために多少の犠牲は仕方がないと考えるのです。
目的が明確化している
合理的思考の持ち主は目標が明確になっており、達成に近づくのであれば自分の欲をコントロールすることができるのです。 例えばダイエットをし痩せることが目標であれば食べたいことを我慢したり、副業でお金を稼ぎたいと考えているのであれば、睡眠時間を削るなどです。 目標が明確でないと欲をコントロールすることはなかなか難しいでしょう。合理的思考を身につけたいのであれば、目標を明確にすることを意識してください。
意思決定のスピードが速い
合理的思考を身につけると、無駄な時間、人間関係、感情を捨てることができ物事が非常にシンプル化されます。シンプルに物事を捉えることで何か判断をする時に迷うことが少なくなり、素早く意思決定をすることができます。いつも優柔不断でチャンスを逃している、判断した後に後悔することが多いと感じている人は合理的思考を身につけ、意思決定のスピードを上げることをおすすめします。
04合理的思考を鍛える方法
合理的思考を身につけるには、具体的な鍛え方を意識することが重要です。目標を定量的に設定し、異なる意見を取り入れる姿勢を持つことが第一歩となります。さらに、物事を簡略化して考える習慣や、慣行にとらわれず批判的に捉える視点も欠かせません。加えて、説明力の向上や曖昧な表現を避ける工夫は、組織での成果を高めます。こうした方法を継続的に実践することで、合理的思考は日常的に鍛えられていきます。
目標を定量的に設定する
数字を意識していない目標設定は、達成、未達の判断が曖昧になってしまいます。 例えば、歌手を目指している人が目標を立てたとしましょう。世界中の人を幸せにできるような歌手になりたいという目標と、youtubeで1億回再生されるような歌手になりたいという目標のどちらが達成したかわかりやすいでしょうか。 前者は世界中の人を幸せにしているかという判断が難しく、目標に近づいているのかわかりません。しかし後者はyoutubeの再生回数を見れば一目瞭然です。このように目標を数値化することでなにが必要で何が不必要かを瞬時に判断することができ、合理的判断力を高めることができるでしょう。
異なる意見も取り入れる
続いて異なる意見も取り入れるという方法です。 世の中には自分と違う意見が無数に存在しており、どれが正しいという明確な基準はありません。100人いれば100通りの意見があるのです。自分と違う意見だからといってその意見を無視することはもったいないことです。なぜなら、ひとつの意見から物事を考えても1通りの見方しかできず、他の方向から見ることができないからです。課題に対して、周りの方がよい解決方法を思いつくことも当然あります。 頑固に自分だけの意見に拘らず、他の意見も目的に合っていると考えたならば積極的に取り入れるように心がけてください。
物事を簡略化して考える
合理的思考の人は常に最短最速で目標達成することを心がけています。 最短最速で目標を達成するには、無駄な事象を取り除き、物事を簡略化して考えることが重要です。 物事を簡略化するには、自分の目標を明確にして、その目標に対して優先度を判断することが必要です。自分が大切にしていることを優先すれば、判断が早くなり、物事を簡略化して考えることにつながります。そうして合理的思考を磨いていくことができるのです。
あらゆる事象を疑う
合理的に判断するためには、批判的な思考も必要です。なぜなら、それまでの慣行が、必ずしも目的に最短距離でたどり着くための方法とは限らないからです。逆に、これまでの常識を覆す発想で大きな効率化が図れることも多いでしょう。また、世の中の変化のスピードは年々上がっており、昔の常識がこの先も通用するような時代ではなくなってきています。人は慣れ親しんだことに影響されやすいため、経験や慣行に捉われないことを意識して柔軟な発想を持つことが大切です。
わかりやすい説明を意識する
他者に対してわかりやすい説明を行うことも、合理的判断力を高めるトレーニングになります。わかりやすく説明をするには、過不足なく相手に必要なことを伝え、シンプルにする必要があるからです。 何度説明しても伝わらなかったり、間違った理解をされたりするということは過不足なく説明ができていない証拠です。合理的思考を身につけるために、説明をシンプルにわかりやすくすることを日々意識しましょう。
曖昧な表現をしない
合理的思考をしている人は曖昧な表現を嫌います。 例えば、業務があと少しで終わると言われると、それぞれの受け取り手に誤差が生じます。10分で終わると考える人もいれば、1時間で終わると考える人もいるはずで、捉え方に差が出るでしょう。 このように曖昧な表現の問題点は、伝える側と伝えられる側の捉え方に乖離ができて後々にトラブルの原因となることです。このようなトラブルを避けるために、業務はあと1時間で終わります。など誰でもわかるような明確な数値などを積極的に使うようにしてください。 合理的に物事を進めるためには効率的に考える必要があり、無駄なコミュニケーションコストをかけている時間はないのです。
ビジネス研修やセミナーを活用する
合理的思考が大事だからと「合理的思考が大事だ」を促したとしても、従来どおりの指示出し・指示待ちのワークスタイルの企業では合理的思考を理解することは難しいでしょう。また、業務に支障をきたすかもしれません。 そのような場合に備えて合理的思考の定義や模範行動などが分かるような研修を実施することで、自分の目指すべき合理的思考の型を理解するようになるでしょう。その結果、合理的思考に対する理解を深めることができます。
05合理的思考を学べるSchooのオンライン研修
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合理的思考に関するSchooの講座を紹介
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株式会社朝日広告社 プランニングディレクター
株式会社朝日広告社ストラテジックプランニング部プランニングディレクター。産業能率大学院経営情報学研究科修了(MBA)。日本マーケティング協会マーケティングマスターコース修了。外資系コンサルティングファームなどを経て現職。「外資系コンサルティングファームで培ったロジック」と「広告代理店で培った発想力」のハイブリッド思考を武器に、メーカー・金融・小売り等、幅広い業種のクライアントを支援。マーケティングやブランディング・ビジネス思考をテーマにしたブログ「Mission Driven Brand」を運営。ハンドルネームはk_bird。著書に『問題解決力を高める「推論」の技術』(フォレスト出版)がある。■Mission Driven Brand:https://www.missiondrivenbrand.jp/
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株式会社朝日広告社ストラテジックプランナー
株式会社朝日広告社ストラテジックプランナー。リサーチ・データ分析・戦略立案業務に従事。食品・エンタメ・アパレル・小売り企業・不動産・教育系など幅広くクライアント事業を支援。ウェブ解析士協会認定ウェブ解析士。『ブランディングの教科書: ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる』(kindle direct publishing)共著。
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インバスケット思考で仕事を効率化
ビジネス書大賞2012書店賞受賞『究極の判断力を身につける インバスケット思考』の著者である鳥原隆志が、限られた時間の中で結果を出す仕事の優先順位のつけ方をご紹介します。 基本的なインバスケット思考についての解説はもちろん、時間をかけるべき仕事とそうでない仕事の分け方、優先順位をつけるための基準やマトリクスの使い方についてもお話します。
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株式会社インバスケット研究所 代表取締役
大学卒業後、株式会社ダイエーに入社。販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する食品担当責任者(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に努める。 管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、自己啓発としてインバスケット・トレーニングを開始。 日本で唯一のインバスケット教材開発会社として、株式会社インバスケット研究所を設立し代表取締役に就任。 日本のインバスケット・コンサルタントの第一人者としてテレビやラジオに出演し、ビジネスマンの行動分析をするなど活動中。 これまでに執筆した著書は40冊以上累計70万部を超え、国内外での講演や、研修実績も多数。延べ受講者数は15,000人以上を数える。
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06まとめ
合理的思考の具体例、手法等について解説しました。 合理的思考を持つビジネスマンは会社に重宝され、パフォーマンスも高いでしょう。合理的思考を独学で磨くことは難しいですが、合理的思考を持つ人材を育成することにはさまざまなメリットがあることを理解していただけたのではないでしょうか。効果的に合理的思考の人材を育成して企業の価値向上と社員の成長につなげていきましょう。