ひとり人事になったら?成長期の企業に多い課題と解決ポイントを解説
成長期の企業などでは、ひとりで人事を行うこともあるでしょう。ひとり人事になったらどうするのか、ひとり人事の特徴と課題をご紹介します。人事業務は煩雑な業務が多くありますが、ひとりでもできる人事の解決ポイントを参考にしてみてください。
- 01.ひとり人事とは?
- 02.ひとり人事の特徴
- 03.ひとり人事のメリットとデメリッ
- 04.ひとり人事による課題
- 05.ひとり人事をうまく進めるポイント
- 06.人事業務に役立つSchooのオンライン研修
- 07.まとめ
01ひとり人事とは?
人事とは企業・組織を形成する人的資源を管理する業務です。「採用」「教育・研修」「人事評価」の3つが主な業務で、それを通して企業・組織を活性化する役割があります。
「ひとり人事」とはひとりだけで人事の仕事を担当することですが、「採用」「教育・研修」「人事評価」をひとりで担当することは通常難しいでしょう。ただ、成長期のベンチャー企業やスタートアップ企業では、ひとりで何でも行うことが多く、ひとり人事の場合もあります。
02ひとり人事の特徴
ひとり人事の特徴ですが、成長期のベンチャー企業やスタートアップ企業では「採用」に特に力を入れることが多くなります。
「採用」に関しては、通常「採用戦略」を立てて「今期何名、どういう人を採用する」と計画立てるのが一般的です。「いつまでにどんなことを行うのか」といった細かな戦略を立てる必要もあるでしょう。
また「採用戦略」を立てる際は、企業のビジョンをまず設定する必要もあります。ひとり人事では、そうしたことを一人で行わなければならないでしょう。
ひとりで行うことの大変さと同時に、人事だけに納まらない業務も入ってくる特徴があります。
03ひとり人事のメリットとデメリッ
ここで、ひとり人事のメリットとデメリットについてもご紹介します。ひとり人事をする場合には、ひとりでいろいろ決められるというメリットはあるでしょう。しかし、それに対して、ひとりで多岐の業務をやらなければならないデメリットがあります。詳しく見ていきます。
ひとり人事のメリット
ひとり人事のメリットは、会社の基盤作りをしていく「採用」「教育・研修」「人事評価」が主な業務となるため、やりがいはあるでしょう。また、ひとりで幅広い業務の経験ができるのがメリットです。
次に転職する場合なども、ひとり人事をしていたという経験は大きなスキルになるでしょう。
ひとり人事のデメリット
ひとり人事のデメリットとしては、「採用」「教育・研修」「人事評価」といった企業を成長させる部分を広く担当しますが、どうしてもひとりでは社内をコントロールできなくなることです。これらの業務を遂行するために、経営陣の力を借りなければならないことが多くなるでしょう。
また、人事業務では雑多な業務が多いのですが、誰かから教えてもらう機会がないため、慣れないうちは時間や手間がかかってしまうデメリットがあります。経営陣はこれらの内容について詳しくありませんので、相談はできても自分が中心となってやっていく大変さがあるでしょう。
04ひとり人事による課題
ひとり人事には、様々な課題が多いでしょう。ひとりでやらなければならないことで次のようなことが問題となっていきますので、気を付ける必要があります。
特に成長期のベンチャー企業やスタートアップ企業で、最初からひとり人事に取り組む場合に、人事業務の様々な課題に直面していきますので知っておくことが必要です。
ひとり人事による就業規則作成の課題
まず人事では、人を採用をする際に事前に就業規則を作成する必要があります。これをひとりでやるのはとても大変です。
「通常10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」と労働基準法第89条でなっています。
労働基準法等に基づいた内容の労働条件や服務規律を企業ごとに規則として定めておかなければなりません。
賃金の決定や計算、締切時期、支払方法、昇給に関すること、退職や退職手当などを細かく規則で最初に決めておかなければならないため、一人ではとても時間と手間がかかります。
ひとり人事による採用の課題
また、ひとり人事では、採用戦略を練り、年間計画を立て目標を達成していく必要がありますが、採用のための活動も労力が必要です。様々な媒体を使い、いろいろな所に出向いて働きかけをする必要があるでしょう。ひとりではとても手が回らないのが課題と言えます。
ひとり人事による新人教育の課題
また、ひとり人事では新人教育も行わなければなりません。これまでの新人教育のモデルがなければ、自分で教育日程や計画、研修プログラムを作っていかなければなりません。
新人教育では、座学や現場での研修などを通して早く実践力をつけるようにしますが、同時に業務の目的や必要性などの基本についても伝えなければならないでしょう。そうした研修のためには他の人の協力体制も必要となるのが課題です。
ひとり人事による社員研修の課題
社員研修は、社員一人一人を成長させていくために大事な人事業務の一つです。社員研修の予定を組んで計画的に進め、時には外部から講師を呼ぶことも必要な場合があります。
計画から実施、そして評価までする必要がありますので、一人で行っていくことが難しい場合も多いでしょう。多くの意見を聞いて実施し、様々な人の評価を聞きながら行うことも課題です。
ひとり人事による勤怠管理の課題
また、勤怠管理はとても煩雑で、従業員が多ければとても面倒です。多くの従業員の勤怠データをチェックして、漏れがないようにする必要があります。
また、最近のテレワークの勤怠管理は特に難しくなっています。テレワークで勤務時間をどのように把握するのかは難しいでしょう。ひとり人事では大変な面があります。
ひとり人事による労務管理の課題
そして、従業員の労務管理上の問題をチェックするのも人事の役割です。福利厚生の管理や労働安全衛生の管理をする必要があります。働きやすい職場環境を整えるためのリスク回避も考える必要があります。多くの従業員がいる場合や不規則な働き方、多様な働き方の場合には、特に労務管理が難しいでしょう。
最近のテレワークでは仕事のオンオフが付きにくく、働きすぎなどといった労務管理の問題も出てきています。課題が多くなっていると言えるでしょう。
ひとり人事による評価制度作りの課題
ひとり人事での評価制度作りも難しい点が多くあります。ひとりで従業員の評価制度を作り上げることは大変な業務です。
従業員の評価制度では、様々な業務の評価をする必要がありますので、経営陣と協力して評価制度を作り上げることが課題となるでしょう。また、テレワークによる評価制度も見直す必要があるでしょう。
05ひとり人事をうまく進めるポイント
様々な課題が多いひとり人事ですが、うまく進めるポイントについても見ていきます。ひとり人事を上手く進めるポイントとしては、次のようなポイントを大切にするといいでしょう。
経営陣との協力を図ったり、社内でのコミュニケーションを深めたり、外部委託やクラウドシステムを導入するなど、ひとりであるデメリットを他のことで補うのがポイントです。
- ・1.経営陣との協力を図る
- ・2.社内コミュニケーションの強化で全社的な体制作り
- ・3.採用や新人教育、社員研修を外部業者へ委託
- ・4.クラウドシステムの導入や活用
1.経営陣との協力を図る
採用や新人教育や社員研修、人事評価などでは、特に経営陣との協力を図ることが大切です。ひとり人事では行えない部分を経営陣と協力するようにし、企業のビジョン作りや面接や研修などに協力してもらうといいでしょう。
人事評価についてもどのような基準で評価するのかといったシステム作りや詳細を経営陣に考えてもらうことが大切です。
2.社内コミュニケーションの強化で全社的な体制作り
例えば、ひとり人事で採用を考える場合に、どんな従業員をどのように採用したらいいのかで悩む場合も多いでしょう。そんな場合に在職する従業員とコミュニケーションを深めて、採用のヒントをもらうのもポイントです。「こんな人材がこういう場所にいて採用するのにおすすめ」といった情報をもらうように努めてみませんか。
全社的な体制を強化して、「採用」「教育・研修」「人事評価」を行っていくようにするのもおすすめのポイントです。
3.採用や新人教育、社員研修を外部業者へ委託
さらに、ひとり人事の場合は、採用や新人教育、社員研修などは外部業者へ委託する方法もあります。これらを専門にしている外部業者が多くなっていますので、こちらの内容を伝えて委託するのもいいでしょう。
最終的な採用や教育・研修のチェックだけは自分で行い、そこまでを委託して仕事を軽減するのもポイントです。
4.クラウドシステムの導入や活用
そして、人事業務は煩雑な仕事も多いのが特徴です。就業規則作成や勤怠管理、労務管理、テレワーク労務管理、人事評価システムなどはクラウドシステムを導入し、システムやツールを活用してみるのもおすすめのポイントと言えます。
06人事業務に役立つSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
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人事業務に役立つSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、人事業務に役立つ授業を紹介いたします。
はじめての戦略人事〜もし戦略人事の責任者に就任したらどうする?〜
「戦略人事」とは、人事部門がこれまでのような管理的業務を中心とした対応から、経営戦略の実現を担う戦略部門へと転換すべきである、という考え方です。近年、人事部門が果たすべき重要な役割として、大変重要視されているテーマと言えます。人事白書2020によると、戦略人事の重要性自体は広く人事の間で認識されています(https://jinjibu.jp/keyword/detl/804/)。 しかし、各社、戦略人事に対する考え方は異なり、明確な定義がないからこそ、そもそもどう考えていくべきなのか、どのように進めていくべきなのか分からず、現場が混乱してしまうことも少なくないのではないでしょうか。そこで、本授業では戦略人事の考え方、アクションの起こし方について考えていきます。
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株式会社モチベーションジャパン 代表取締役社
人の気持ちや心の動きを重視し、心理面からアプローチする経営コンサルタント。リクルートでは、組織人事コンサルタントとして活躍。ファーストリテイリングでは、執行役員人事総務部長、執行役員マーケティング&コミュニケーション部長を歴任。ソフトバンクでは、ブランド戦略室長。福岡ソフトバンクホークスマーケティング代表取締役として球団立上げを行う。現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、キャリアコンサルタントの育成にも力を入れている。著書『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)
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人事評価に”自社の基準”はあるか〜設計思想の考え方から運用まで考える
基準に沿って従業員を評価して生産性を上げ、その先に企業の業績アップを目指すことが目的である「人事評価制度」。終身雇用が崩壊し、働き方の多様性も広がる中で、多くの企業が従業員が納得する制度は何か、試行錯誤しているのではないでしょうか。本来であれば、各企業によってミッションやビジョンが異なり、従業員に求めるスタンスが異なってくることから企業ごとに評価制度のカラーがあってもおかしくありませんが、グレードの設計や賞与の分配といった各論ばかりに目がいきがちです。 本授業では、このような具体的な指標を設計する前に必要な、「自社ならではの評価制度」の考え方と、制度を運用していく時に意識しておきたいポイントについて学んでいきます。
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株式会社キャスター取締役CRO
株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。
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社員研修のあるべき姿
日本の企業は人を育てることを大切にし、多くの企業で社員研修が実施されています。一方で、研修内容は前任者から引き継いだことを前年踏襲して実施しているなど、少し惰性で行ってしまっているケースも見受けられます。 ただ、コロナ禍といった突然の危機による働き方の変化をはじめ日々、社会環境(市場)が激しく変化する今となっては、従来どおりの研修だけでは社会(市場)に対応できる人材を育てるといった本来の目的を果たせなくなってきています。 また、今さら変化の激しい社会(市場)を鑑み、自社にあった研修をどう組み立てればいいのかわからないという悩みもあります。 そこで、研修担当者として「何のために社員研修を行うのか」「研修の役割と担当者としての立ち位置」など、研修の根本的な考え方をまず問い直すために、インストラクショナルデザイン(ID)をもとにした研修のあるべき姿について学んでいきましょう。
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熊本大学教授システム学研究センター 教授
1959年生まれ。Ph.D.(フロリダ州立大学教授システム学専攻)。ibstpi®フェロー・元理事(2007-2015)、日本教育工学会監事・第8代会長(2017-2021)、教育システム情報学会顧問、日本教育メディア学会理事・第7期会長(2012-2015)、日本医療教授システム学会副代表理事、日本イーラーニングコンソシアム名誉会員など。主著に「学習設計マニュアル(共編著)」、「研修設計マニュアル」、「教材設計マニュアル」、「教育工学を始めよう(共訳・解説)」、「インストラクショナルデザインの原理(共監訳)」、「学習意欲をデザインする(監訳)」、「インストラクショナルデザインとテクノロジ(共監訳)」などがある。
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07まとめ
ひとり人事の課題と課題解決のためのポイントを見てきました。人事業務は「採用」「教育・研修」「人事評価」と多岐に渡るのが特徴です。また、煩雑な業務も多く、就業規則作成や勤怠管理、労務管理などは従業員が多い場合には大きな課題となります。
「採用」や「教育・研修」「人事評価」で、経営陣に協力してもらえることは協力してもらうのがおすすめです。また、ひとり人事で難しい所は全社的に協力してもらえるようにコミュニケーションを図るようにするといいでしょう。外部委託できる部分は外部委託することも一つの方法です。
特に最近はテレワークで働き方も複雑化している面がありますので、クラウドシステムを活用して労務管理や人事評価もしていくと便利でいいでしょう。活用できるものは、活用してひとり人事を上手に行っていくのがポイントと言えます。