公開日:2022/10/20
更新日:2023/07/24

組織を最適化する人員配置とは?目的・手順・注意点を簡潔に解説

組織を最適化する人員配置とは?目的・手順・注意点を簡潔に解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

人員配置は、各部門の人員構成をどのようにするか考え、実際に人事異動や役職変更により配置を行うことです。また、社内での人事異動・役職変更だけでなく、採用による配置も人員配置にあたります。 経営戦略としても重要とされる人員配置について、目的・手順・注意点について解説します。

 

01人員配置とは

人員配置とは、個人の適性や能力に応じて、適材適所に配置することです。 適切な人員配置は、企業としての事業目標の達成を実現させます。 実際に従業員の異動が伴う人員配置には、トラブルも起こりやすいですが、重要なポイントをおさえることで組織にとって適切な人員配置ができるようになります。

人材配置の種類

人材配置と一口に言っても、人事異動によるものだけではありません。人材配置には以下の種類があります。

  • 人事異動
  • 昇格・降格
  • 新規採用
  • 解雇

社員に様々なスキルを身に着けてもらいたい、という場合には人事異動で違う部署を経験させるケースが多いでしょう。また、組織が拡大している時期には、新規採用を積極的に行い、社員の増加に伴って既存の社員は昇格などでマネジメントポジションに配置するケースが一般的です。そして、事業再編などが必要になった際には、解雇の選択肢を採るか、別の部署への配置転換を行うことが多いです。

人材配置に課題感を持っている企業は少なくない

リクルートマネジメントソリューションズが2021年に公表した「人材マネジメント実態調査2021」では、人材配置に関する課題について調査結果を出しています。そこには、「配置が固定的になっており、従業員の能力が向上しない」、「場当たり的な移動が多く、従業員の中長期的なキャリア開発が難しい」、「変革人材や異能人材を発掘するよい方法がない」、「職務要件や人材の能力・適性の情報が不足し、適材を配置しにくい」などの課題が多いとしています。人材配置は行っているものの、組織全体としての効果や社員の能力向上に寄与していないと感じている企業が多いようです。これらの課題を解決するためには、適切なアプローチで人材配置を実施することが重要になります。

参考:人材マネジメント実態調査2021
 

02人員配置の4つの目的

人員配置を効果的に行うと、企業の業績向上と従業員のスキルアップにつながります。 同じ従業員でも、所属する部門や担当業務によって仕事の成果が大きく変わるためです。 人員配置の「従業員」に対する目的と「企業全体」に対する目的について解説します。

従業員のスキルを最大限発揮してもらうこと

社内の適材適所に人員を配置することで、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮できるよう​​になります。「営業スキルをもった実績のある採用担当者がほしい」「現場への理解がある事務担当者が必要」となった際、人事異動によって必要なスキルをもつ人材を配置し、活躍を促すことができます。

また、長期間同じ部署にいてあまり成果があがっていない従業員を異動させることによって、新たな一面を見出せるケースもあります。例えば、営業部では売上目標が達成できないものの事務処理能力が高い従業員について、管理部門へ異動させれば、最大限にスキルを発揮してもらうことができるようになるでしょう。 さらに、他の業務に挑戦したい従業員を希望の部署へ異動させることで、モチベーションの向上や離職の防止にもつなげられます。

このように、従業員に能力を最大限発揮してもらう環境を作ることは、人員配置の大きな目的の一つです。

企業としての事業目標を達成すること

組織の人員構成を最適なものにすれば、効率的に事業目標を達成できます。 専門性のある知識を持つ従業員はそのような知識を使う部門、事務処理能力の高い従業員は、数字を扱う部門等、より自身の持ち味を活かして働ける場所の方が従業員の生産性もアップします。その結果組織全体の業績向上につながり、事業目標達成が可能となります。 また、急な退職で人手不足となりその部署の人員計画が崩れ目標達成が難しくなってしまうのを防ぐためにも人事異動は有効となります。社内で適任と思われる人材を見つけられれば、新規採用を行う必要もありません。

様々な経験をもつ従業員を育成すること

1つの部署で同じ業務のみを経験するのではなく、様々な部署を経験することでゼネラリストを育成することができます。 一般的に管理職に昇進するための条件として、複数の部署で業務経験を設けている企業も少なくありません。複数の部署で培った多角的な視点を業務に活かすことで、業務効率化や生産性の向上にもつながります。他の部署での経験があることで社内間の調整の際にもコミュニケーションが取りやすくなるなど、人員配置によって経験豊富な従業員を育てることは企業にとっても有益だといえます。

不正・トラブルを防ぐこと

長期間、同じ部署・役職についていると業務が属人化し、不正が行われやすくなる傾向にあるといわれています。例えば、経理担当者が会社の経費を不正に横流ししていたり、営業課長が長年懇意にしている取引先と不正な取引を行っていたりする事例は、たびたびニュース等でも話題になります。また、同じ人物が長期間とどまることで人間関係のトラブルも深刻化しやすいといわれており、組織の衰退にもつながりかねません。人員配置は、不正を未然に防ぎながら組織の活性化にも寄与しています。

 

03人員配置を進めるための手順とポイント

人員配置を行うには、現状の把握や人選、実際の人事異動の際に重要なポイントがあります。どのような点に注意して人員配置を行えばよいか、実務的な視点で手順を詳細に解説します。

人員配置を進めるための手順とポイント

各部署の人員配置状況を確認

まずは各部署の人員配置状況を詳細に把握する必要があります。現在の人員数、配置されている業務内容、負荷などを調査し、部署ごとの人員需要と供給のバランスを確認します。これによって、業務の優先順位やリソースの不均衡を特定し、適切な人員配置を行うための基盤を構築します。

社員のスキルや適性を整理する

各社員のスキル、経験、資格、適性などを評価・整理します。個々の社員の能力や強みを把握することで、最適な役割やプロジェクトに適切に配置することができます。スキルマトリックスやパフォーマンス評価などのツールを活用し、客観的なデータを元にした判断を行います。

社員のキャリアプランニングをヒアリング

個別の面談やヒアリングを通じて、社員のキャリア目標や成長意欲を把握します。社員が自身のキャリアパスや成長に対してどのような希望やニーズを持っているのかを明確にすることが重要です。また、長期的なキャリアプランや組織の戦略に沿った人材配置を考慮するため、社員とのコミュニケーションを重視します。

ヒアリング内容をもとに人材配置計画を作成

社員のヒアリング結果を分析し、人材配置計画を策定します。社員のスキル、適性、キャリア目標などを考慮しながら、各部署やプロジェクトに最適な人材を配属するための計画を練ります。各部署のバランスを取りながら、効率的かつ効果的な人材配置を実現するためのガイドラインを設定します。

人材配置を実施

作成した人材配置計画を実際に実施します。これには異動や配置の手続きを行い、関係者とのコミュニケーションや調整が欠かせません。社員への適切な情報提供や意思疎通を図りながら、人材の移動や配置を円滑に進めます。また、組織全体の利益や成果に対する最適化を考慮し、人材配置を柔軟に調整することも重要です。

 

04人員配置を行う際の注意点とは

人員配置の際は、単に人事異動を行うだけでなく、従業員に対しての配慮も必要です。 ここでは、従業員に対する配慮が必要とされる背景について、それぞれの項目ごとに記載しています。

家庭の事情への配慮が必要

かつての日本では終身雇用制度かつ年功序列で右肩上がりの給与のため、会社に献身する従業員が多数派でした。そのため、急な転勤も許容されていました。

しかし、現代では不景気の長期化により、業績が安定して伸び続けることが難しくなっています。頑張ったからと言って会社の業績があがり、給与が右肩上がりとなるケースも少ない現代において、仕事よりも自分自身の趣味やライフイベント・家庭を重視する傾向が増えつつあります。また、介護や育児などの状況によっては転勤をきっかけとして、止むを得ず退職してしまうケースも存在します。 急な退職を防ぐためには、その従業員の家庭の事情についても、可能な限り把握しておくことが重要です。コミュニケーションを普段からとりやすい信頼関係を従業員とつくり、このようなプライベートな情報も入手しておくことが重要です。

従業員のキャリアビジョンを尊重することが必要

また、現代では仕事のやりがいやその会社で何の仕事ができるのかを重視する人が増えています。 従業員がどのようなキャリアを描いているのかを十分に理解する必要があります。「一つの部署で経験を長く積み、専門性をつけスペシャリストになりたいのか」「幅広い経験を積んで、部下を持つゼネラリストとなりたいのか」をキャリアプランに関する面談を定期的に行うことで把握しておく必要があります。

これは社内の異動だけでなく、中途従業員を採用する際も重要なポイントとなります。面談や面接の際に、本人の想像するキャリアプランをよくヒアリングし、大きく乖離しないように配慮することで、従業員のモチベーションアップ、定着率アップにつながります。

着任後のフォローがされずトラブルとなるケースが多い

人員配置の際に、事後フォローがきちんとされずにトラブルとなるケースがも多いです。 着任後すぐは、まだ緊張感がある時期でもあるので、トラブルが可視化されづらいですが、後々に「異動後なじめておらず、コミュニケーションがうまくとれていない」「スキル不足により、引き継ぎがうまくいかず業務が滞っている」等問題が大きくなる可能性があるので、時間はかかってしまいますが、長期的にフォローをする必要があります。

一つ一つの人員配置の事後フォローをすることで、今後に活きる教訓が見つかったり、これまで表面化していなかった組織の問題を認識したりすることができるため、フォローはしっかりと行いましょう。

 

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    新卒でワークスアプリケーションズに入社。グーグルに転職後は採用·人材開発業務に従事し、2015年よりグーグル米国本社にて人事戦略部における シニアプロジェクトマネジャーとして、グーグルの全社的な人事制度改革、人事戦略業務に従事。2014年のAPAC People Operationsサミットで MOST INNOVATIVE & CREATIVE AWARDを受賞。現在はピープルアナリティクス専門のソリューション、パナリットの日本法人社長を勤める。

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  • 株式会社人的資産研究所 代表取締役

    株式会社人的資産研究所 (株式会社セプテーニ・ホールディングスのグループ会社) 代表取締役。 2011年に早稲田大学創造理工学部を卒業後、株式会社セプテーニ・ホールディングスに新卒入社。採用・育成・配置の分野にアナリティクスの技術支援を行う。 グループ内研究機関である人的資産研究所の所長を経て、2021年よりHRテクノロジー事業を開始。セプテーニグループの研究成果の社会提供をミッションとして活動。 一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員 / 個人情報保護士。

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06まとめ

人員配置とは人材を適性や能力に応じて、各部門へ配置することです。適切な人員配置を行うことで企業としての事業目標を効率的に達成できます。従業員の能力を最大限発揮し、新しい風を生み出すことも可能となります。 組織を最適化する人員配置について、注意点をおさえながらぜひ考えてみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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