公開日:2022/11/25
更新日:2023/03/18

戦略的学習力を身につける方法とは?企業が社員の学びを支援するポイント

戦略的学習力を身につける方法とは?企業が社員の学びを支援するポイント | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

戦略的学習とは、マイケル・オズボーン教授によって提唱された概念です。全てのビジネスパーソンに求められるスキルとして注目を浴びています。本記事では、戦略的学習力の概要、必要とされる理由、身につける方法、企業が社員の戦略的学習を支援するポイントについて解説します。

 

01戦略的学習力とは

戦略的学習力(Learning Strategies)とは、2030年に最も必要になるスキルのことです。マイケル・オズボーン教授は、2017年に「スキルの未来」と題する論文を公表しました。その中で、2030年に必要とされるスキルをランキング形式で公表し、1位に掲げられたのが戦略的学習力です。

新しいことを学ぶときに使用されるスキル

戦略的学習力の意味としては、「新しいことを学ぶ際に、状況に応じて最適な学習内容や方法を選択・実践できる力」と定義されています。新しいスキルや知識を習得したいと考えたとき、アプローチの仕方によって、習得までの時間が大きく異なります。なぜなら、アプローチが、学習効率に影響を及ぼすためです。つまり、自分に最適な学習内容や方法について分析する力、効率的な学習内容や方法を選択する力、学び続ける力を合わせて、戦略的学習力といえるでしょう

▶︎参考:THE FUTURE OF SKILLS EMPLOYMENT IN 2030

 

02戦略的学習力が必要とされる理由

なぜ、戦略的学習力が必要になるのでしょうか。戦略的学習力が必要とされる理由について解説します。その理由は以下の2つです。

  • 1.AIが発展しても自動化されないスキルである
  • 2.急激に変化する社会に対応するために有益である

1.AIが発展しても自動化されないスキルである

オズボーン教授らの研究により、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIに代替することが可能との推計結果が得られました。その一方で、AIやロボットによる自動化が難しい職業には、創造性、協調性、コミュニケーション能力が必要な業務や、非定型な業務が挙げられ、将来においても人が担うとされています。

戦略的学習力は、上記に示した創造性や協調性、コミュニケーション能力と同じく、目に見えない定性的なスキルの1つです。これらはソフトスキルと呼ばれ、明確な基準で定義することが非常に難しいとされているスキルでもあります。たとえAIが発展しても、AIに置き換えたり、自動化したりすることのできない、人間特有の能力なのです。

▶︎参考:AIと共存する未来 ~AI時代の人材~|株式会社野村総合研究所

2.急激に変化する社会に対応するために有益である

急激に変化する社会において、人に求められるスキルや知識も速いスピードで変わり続けることが予測されます。そのためには、新しいスキルのインプットからアウトプットするまでの期間を、できる限り短くする必要があります。

具体的には、いくつかの選択肢から優先的に何を学ぶのかと問いを立て、学ぶべきことを見極め、効率的な方法で学び続けることが求められるということです。そのために必要な力が戦略的学習力であり、急激な変化に対応するために有益なスキルであるといえます。

 

03戦略的学習力を身につける方法

ここでは、どのような方法で戦略的学習力を身につけられるか解説します。 戦略的学習力を身につける方法は、以下の5つです。

  • 1.学ぶ目的・目標を明確にする
  • 2.学習計画を立てる
  • 3.自分のレベルに合った内容を学ぶ
  • 4.学び方を検討する
  • 5.実践後にフィードバックを実施する

1.学ぶ目的・目標を明確にする

戦略的学習力を身につけるには、学ぶ目的や目標を明確にすることが、最初に検討すべき重要事項です。なぜなら、学ぶ内容と方法に整合性をもたせる必要があるためです。この段階では、学びたいスキルが将来的に役立つスキルか、つまり社会的ニーズが高いスキルであるかを長期的な将来を見据えて検討します。

加えて、現在持っているスキルをリストアップし、強みや弱みもすべて洗い出すことも大切です。強みを活かせる分野であれば、習得までのスピードが早く、レベルの向上も見込まれるでしょう。また、弱みを克服することで、別のスキルの獲得につながるようであればチャレンジするのも良いでしょう。

2.学習計画を立てる

目的や目標が明確になった後は、達成するためのルートを計画すると効率が上がります。優先順位をつけ、目標とする期日までに完了できるよう計画します。大切なのは、無理なく確実に実行できる計画が立てられていることです。あまりに理想的な計画を立てると、学び続けることが難しくなり、計画倒れになってしまいかねません。効率には時間も重視されますが、持続可能な計画を立てるようにすることが重要になります。

3.自分のレベルに合った内容を学ぶ

学ぶ目的や目標が明確になったら、自分のレベルに合った内容を選びます。何か新しいことを学ぼうと思った時は、学習に対するモチベーションが上がりがちです。自分の適正よりもレベルの高い内容のテキストを選んでしまう可能性があります。そういった内容を学ぶのは、効率的ではありません。新しいことを学ぶ際には、学習する前に学ぶ対象について、どの程度知識があるのかを考えましょう。その上で、自分のレベルに合った教材を選ぶようにします。ただ、簡単すぎても、難解すぎてもいけません。選ぶべきは、自分が知っていることよりも少しだけ難しい内容の教材です。そうすることで、理解するスピードが上がります。

4.学び方を検討する

戦略的学習力を身につけるためには、学習方法の検討も非常に重要です。効率的な学習方法でなければ、戦略的学習力とはいえません。専門書を何度も読むといった受動的な学習法よりも、記憶に定着する方法を取り入れる方が効率的であり戦略的です。具体的には、覚えたことを口に出して説明する自己説明法、自分でテストを作成し回答するアクティブ・リコールなどの方法が挙げられます。学習の進度が遅れがちな場合は、学習方法そのものを修正していくことも戦略的学習といえます。

5.実践後にフィードバックを実施する

実践後には、フィードバックを実施することも、戦略的学習には必要です。専門家や上司、先輩といった信頼できる人材を確保しておきます。フィードバックによって、スキルが上手く発揮されているか、業務の中でどのように修正すべきかなど、あらゆる観点から振り返ることに価値があるのです。フィードバックによって、正しく改善ができるようになり、実践の精度が向上するでしょう。フィードバックは、戦略的な学びの機会になるといえます。

 

04企業が社員の戦略的学習を支援するポイント

企業が社員の戦略的学習を支援するポイントはいくつかあります。中でも重要なポイントは以下の3点です。この3点を踏まえて支援することで、急激に変化する社会に対応できる戦略的学習力を高めることができます。

  • 1.戦略的学習に取り組む企業風土をつくる
  • 2.定期的な振り返りの場を設定する
  • 3.社員に学習機会を提供する

1.戦略的学習に取り組む企業風土をつくる

戦略的学習に取り組む企業風土をつくることが、社員の戦略的学習を支援するポイントとして挙げられます。戦略的学習は、向上心の高い社員のさらなる成長を促すことが可能です。AI時代に柔軟に対応し、組織の成長を停滞させない戦略的学習力を持つ人材を育てるのは有益になります。一方で、戦略的学習の意味や意義が浸透しているとはいえないため、戦略的学習を前向きに捉える企業風土づくりから取り組む必要があります。戦略的学習が、自社の組織や事業にどのように活きてくるのかメリットを周知し、気軽に学習する風土を醸成することが大切です。

2.定期的な振り返りの場を設定する

定期的に振り返りの場を設けるのは、戦略的学習に取り組む社員の実践において有効な支援です。すでに解説したように、戦略的学習にはフィードバックが必要であり、あらゆる観点から振り返ることで、実践の精度が向上します。定期的な場として、上司と部下による1on1ミーティングを実施しているケースが多いです。上司に実践のポイントなどのアドバイスがあれば、成長のスピードが速くなり、効率良く実践に活かせるでしょう。定期的なミーティングによるフィードバックは、戦略的学習に欠かせない支援なのです。

3.社員に学習機会を提供する

戦略的学習には、様々な学習方法があります。テキストを購入し独学する方法やスクールに通う方法などです。しかし、どれも時間がかかる学習方法であり、短期間で無駄のない学習をするには適さない場合もあります。それを補う施策として、できるだけ多様な学習コースを設定し、社内研修やeラーニング、外部研修などの学習機会を提供し、社員が自由に選べるようにすることが重要です。そうすることで、スキル向上やモチベーション向上にもつながるでしょう。

 

05戦略的学習力向上ならSchooのオンライン研修

Schoo for Businessは、国内最大級8,000本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は2,700社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。

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Schoo for Businessの特長

Schoo for Businessには主に3つの特長があります。

【1】国内最大級8,000本以上の講座数
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戦略的学習力向上に関するSchooの講座を紹介

Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、戦略的学習力向上に関する授業を紹介いたします。

京大首席から学ぶインプット術

本授業では、京都大学首席合格で競技かるた日本一の名人、粂原圭太郎先生を先生としてお迎えして、効率的かつ定着しやすい学習方法やインプット方法を解説していきます。 インプットとはそもそもどう捉えれば効率的かつ定着率の高いものになるのか、 そして、実際どのように実践して日々トレーニングしていくことが良いのかを皆さんと一緒に学んでいきましょう。 仕事のインプットの場面や本を読んだりSchooを見ているときでも、知識やノウハウをどのようにインプットするべきか知り、明日から活用していきましょう。

 
  • 京大首席/かるた名人

    京都大学経済学部経済経営学科卒業。高校時代は最高偏差値 95を出し、京都大学に入試トップで合格。2014年から3年連続で『最強の頭脳 日本一決定戦! 頭脳王』(日本テレビ系)FINALISTになる。小学生の頃より競技かるたを始め、現在八段。2019年1月には競技かるたの日本一、第65期名人の座につき、 昨年、今年と名人の座を防衛。現在は論理力、記憶力、没頭力を同時に上げるエキスパートとして全国各地で講演活動も行っている。また、全国どこからでも京大生の指導が受けられるオンライン個別指導塾「となりにコーチ」の代表として、数多くの受験生を第一志望合格へ導いている。「1ヵ月で TOEIC® 550点から750点にアップ」「1年で偏差値35が70にアップし、一流大学に合格」「3ヵ月で定期テスト200位から2位に浮上」など実績多数。『偏差値95の勉強法(ダイヤモンド社)』『第一志望に受かる勉強法(二見書房)』、『京大読書術(KADOKAWA)』をはじめ、著書7冊。やる気と集中力が出る勉強法(二見書房)』は、2万5000部を超えるベストセラーとなり、海外でも翻訳され出版されている。

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アンラーニング論 -変革をリードする人の働き方-

アンラーニングという概念をご存知でしょうか。 "あたらしい人や環境、価値観に触れる"、いわゆる「越境」の経験を通じて、自身のアタリマエを揺さぶり、自身の働き方を見つめ直すことができます。その結果として生じるのがアンラーニングです。ビジネスを取り巻く環境の変化から、スキルの陳腐化が加速する中で、その必要性が語られます。なぜなら、そこには優秀な人ほど陥ってしまう罠が存在するからです。与えられた問題を解決することが得意、しかし気付いたらキャリアが閉ざされていた。そうならないための理論を学びましょう。 本授業は、表面的な手法論ではなく、その本質を捉えるための概念にフォーカスして授業を進行します。

 
  • 法政大学 経営学部教授

    東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、英国ランカスター大学大学院・博士課程修了(Ph.D.)。専攻は組織社会学、経営学習論。 組織論、社会論、コミュニケーション論、学習論の視点から、多様なステークホールダーが織りなす関係の諸相を読み解き、創造的な活動としての「学習」を再構成していく研究活動に取り組んでいる。現在、アンラーニング、サードプレイス、ワークショップ、エスノグラフィーといった概念を手掛かりとして、「創造的なコラボレーション」の新たな意味と可能性を探るプロジェクトを展開中。 共著に『企業内人材育成入門』『ダイアローグ 対話する組織』『越境する対話と学び』などがある。   法政大学 2020年度「学生が選ぶベストティーチャー賞」 コンピュータ利用教育学会 2020 PCカンファレンス「最優秀論文賞」 法政大学経営学部 創設60周年事業・実践知フォーラム「総長大賞」 日本シミュレーション&ゲーミング学会 2009年「論文賞」

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意欲が高まる学習目標デザイン

この授業では、学習することの自分なりの意義を見出すための目標設定の仕方について学びます。

 
  • ㈱LEBEN CAREER CEO ㈱MEXUS CCO

    秋田県は男鹿市の生まれ。 大学卒業後、小売流通業界にて店舗運営責任者として従事。 前社退職後、東南アジアにて半年間のバックパッカー生活。 帰国後、製薬業界にて、人事戦略室、社長秘書室、人事総務業務に従事。 2014年に人材開発事業「LEBEN CAREER」を創業し、法人設立後は代表取締役に就任。 同社では「コーチングを受けたい・学びたい」というビジネスパーソン向けにコーチングサービスの『LCPコーチング』及び、コーチングスクール『LCPコーチングアカデミー』を運営。 株式会社MEXUSでは、CCOとしてパーソナルコーチングサービス『REEED』を企画運営。専門領域は、キャリア変革を目的とした行動変容的アプローチ。

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06まとめ

本記事では、戦略的学習力の概要、必要とされる理由、身につける方法、企業が社員の戦略的学習を支援するポイントについて解説しました。戦略的学習力とは、新しいことを学ぶときに使用されるスキルを指し、2030年に最も必要になるスキルであるといわれています。戦略的学習力は、AIが発展しても自動化されないスキルであり、どの分野にも適用可能です。そのため、企業においても全ての社員に身につけさせたいスキルの1つといえるでしょう。戦略的学習に取り組む企業風土を作り、定期的なミーティングの実施や学習機会の提供などの支援が企業に求められています。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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