人材育成を成功させる6つのポイント|社員の自発性を高めるコツを紹介

近年、急速的に変化する社会に対応できる人材が求められています。「人材育成」は企業の経営課題として常に挙がるテーマではありますが、グローバル化や多様化が進む社会においては、より重要なテーマとなりつつあります。この記事では、企業の人材育成を考える際に重要な育成の目的やポイントなどを解説します。
- 01.人材育成とは
- 02.人材育成の目的
- 03.人材育成の目標設定を適切に設定するコツ
- 04.人材育成の課題と解決策
- 05.人材育成を成功させる6つのポイント
- 06.人材育成の手法
- 07.人材育成に活用できるフレームワーク
- 08.これからの企業における人材育成の方針
- 09.人材育成の設計を練り直そう!
- 10.人材育成の手法としてのSchooビジネスプラン
- 11.まとめ
01人材育成とは
コトバンクによると、人材育成とは下記のように定義されています。
長期的視野に立って現実に企業に貢献できる人材を育成すること。単に教育,訓練といった狭義の活動ではなく、主体性、自立性をもった人間としての一般的能力の向上をはかることに重点をおき、企業の業績向上と従業員の個人的能力の発揮との統合を目指す。人材育成の意識は、日本企業の特徴の一つであり、1980年代以降外国企業から大いに着目された。引用:コトバンク
つまり、主体性・自律性を持った人間としての普遍的な能力の向上・企業の業績向上と社員の個人的能力の発揮という2点が、人材育成の目的と言えます。
02人材育成の目的
経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室によると、近年の人材育成について下記のように記されています。
日本企業は、長期安定雇用による高い集団的能力を発揮し、経営競争力を強化し てきたが、経営を取り巻く環境が不断に変化していく社会においては、その優位性が相対的に低下している。多様な個人が活躍し、変革に対応する経営を実現するために、 経営トップ自らが率先して、人材マネジメントのアップデートや組織文化の改革に、ス ピード感を持って取り組まなければならない。引用:経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室:変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言 ~日本企業の経営競争力強化に向けて~
終身雇用が当たり前だった一昔前の人材育成制度は、確かな目的を持って社員を育成するものではありませんでしたが、年功序列と終身雇用という前提によって問題視されていませんでした。
しかし、転職をすることで白い目をされることもなくなった今の日本社会において、その終身雇用を前提とした一昔前の人材育成では効果的でないことが可視化され、企業も明確な目的を持って人材育成に力を入れなければならない時代に突入したのです。
目的1:企業の業績向上
人材育成の目的の1つは企業の業績向上です。ただし、長期的な期間での業績向上を念頭にした人材育成だけではなく、短期的に業績を向上させるための人材育成が重要とされています。
転職が普通になった時代だからこそ、半期や四半期で区切り、その中で足りていないスキルや必要とされるスキルを集中的に伸ばすことが重要でしょう。
目的2:社員の個人的能力の発揮
企業の業績向上はもちろんですが、社員個人にも注目しなければなりません。これには2つの理由があります。
1つは離職率の改善です。社員が個人的能力を発揮できることで、自分の存在価値を感じ取ることができます。自分にしか発揮できない価値があるという強みは、企業内での評価も得やすく、優秀な人材が外部に流出することを防ぐ一助にもなるでしょう。
もう1つは、バリューの最大化です。企業が求める能力と自分が本当に得意としている能力が異なる場合に、企業の業績向上のためだけの人材育成では、最大限のバリューを発揮できない恐れがあります。
そのため、企業の業績向上のための人材育成はしつつも、個々人が最大限のバリューを発揮できるような人材育成も並行して行う必要があるのです。
03人材育成の目標設定を適切に設定するコツ
人材育成の目標設定は、社員が正しい目標を設定できるよう促していく必要があります。ここでは、人材育成における目標設定のコツをご紹介します。
1.できるだけ具体的に
目標が抽象的な場合、どんな行動をすれば良いかという具体的なイメージが見えてきません。そのため、どのような行動をして、どのようなことを達成するのかを目標設定の際には明らかにすることが重要です。
また、目標の中に具体的な数値が含まれていると具体度が増します。例えば、行動目標として「関連書籍を3冊読む」のように具体的な目標があると良いでしょう。
2.達成できない目標にしない
社員がどれだけ努力をしても達成できないような目標では意味がありません。
その目標設定が間違っていたと自戒し、下方修正することが出来れば救いがありますが、「頑張りが足りないのが悪い」と責任転嫁をしてしまうケースも少なくないでしょう。そのため、目標設定は達成できそうなレベルにする必要があります。
また、業務によっては目標設定をする上で肌感が必要な場合もあるはずです。そのような場合は、社員にこの目標設定で大丈夫か聞いてしまうことも1つの手でしょう。
「いけそうか無理そうか」だけでも聞くだけで、そこで合意を取ることができ、達成できなかった場合の不満を他責でなく自責にしやすくなります。
3.期日は明確にする
「いつまで」という明確な期日が決まっていることで、スケジュールから逆算して行動をすることができます。期日が決まっていないタスクほど、どんどん後回しになり、最悪の場合は記憶から消し去られる可能性もあるでしょう。
そのため、その目標はいつまでに達成しなければならない目標で、そのための行動はいつすべきなのかを具体的に決めてしまうと、管理する側もされる側も楽になるはずです。
▼人材育成の目標設定に関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】人材育成の目標例を紹介|効果的な目標を設定するための3つのポイント
04人材育成の課題と解決策
人材育成における課題とは、主に次の4つが挙げられます
- ・育成時間の確保が難しい
- ・管理職が人材育成をする意識が低い
- ・研修に対して社員がネガティブ
- ・効果測定がしにくい
課題1:育成時間の確保が難しい
人材育成には時間が必要です。
研修やセミナーで人材育成をする場合、個々のスケジュールを合わせ、まとまった時間を確保しなければなりません。
そのため、売上を追い求める営業部はまとまった時間を確保することが難しく、管理職としても研修よりも売上を優先という判断をしてしまうケースは少なくないでしょう
解決策:好きな時間で学べる環境を与える
まとまった時間での研修が難しいからといって、人材育成をしなくてもいいということにはなりません。
そのため、好きな時間や場所で研修を受けられる環境づくりが必要になります。例えば、研修を受けることができなかった人のために研修を動画で撮影したり、研修内容をテキストに起こして送ったりなどの方法があります。
ただし、このような方法だと動画やテキストを見ない人も出てきます。そのため、研修を受講したかどうかの可視化はセットで考える必要があるでしょう。
課題2:管理職が人材育成をする意識が低い
管理職が人材育成をする意識が低いことも、よくある課題の1つです。正確に言えば管理職は部下のマネジメントをしているつもりだが、人材育成に繋がっていないというパターンかもしれません。
そのような場合は、管理職が人材育成という軸で部下の管理をしていないので、結果的に数値だけの目標設定になり、個人的能力の発揮という人材育成の目的が果たされないという課題に繋がります。
解決策:管理職向けの研修を実施
管理職には管理職向けの研修を実施する必要があります。管理職と言えども、部下の成長に対して熱心なタイプもいれば、あまり関心がないタイプもいるでしょう。
そのため、管理職が人材育成の上で必要とする考え方や知識を習得する機会を与える必要があります。管理職が人材育成に対して熱量をかけることで、社員にもその熱量は伝播し、この会社に入れば成長できるという感覚を社員に伝えることができるはずです。
課題3:研修に対して社員がネガティブ
研修に対して社員のモチベーションが低いことも珍しくありません。これは、研修を受けたことで自分の成長・評価に繋がらないと感じているという証明でもあります。
したがって、社員がネガティブになることは社員に問題があるのではなく、企業側に問題があるという認識をしましょう。
解決策:環境整備で意識を変える
研修を受けても成長できない・評価されないという気持ちを変えることで、社員が研修に対してポジティブになります。
つまり、研修を受けることで自分が成長でき、その成長が実績となって企業に還元された時に評価されることが認知されれば、研修への取り組み方や意欲も改善されるはずです。
例えば、すぐに業務に落とし込めそうな研修を受けさせたり、四半期や半期の評価軸に研修をどの程度受けたか、その効果がどれだけ業務で発揮されたかの項目を追加したりすることも効果的かもしれません。
課題4:効果測定がしにくい
どのように研修の効果測定をするべきかという課題は常に人事を悩ませています。人の成長を数値化して可視化できれば、人材育成に関しての予算投資も、または人材育成担当者に対する評価設定も簡単になるのですが、そもそも人の成長を数値化することは難しく、さらにはROIを考えようとすると変数が多すぎるという課題も出てきます。
多くの企業では研修を受講した後にテストを実施したり、アンケートで満足度や習熟度を計ったりすることで研修の効果測定を実施していますが、果たしてその方法が研修の効果測定と本当に言えるのかという疑問は、人材育成担当者の中で常に拭えていないのが現状です。
解決策:行動変容を目標にする
テストの点数やアンケート結果では研修効果を測定できません。研修受講者の行動が変わり、実務に活きた段階で、研修の効果があったという判定をするのが正しい効果測定ではないでしょうか。ただし、この行動変容を効果測定の指標にするためには、現場の管理職やメンバーの協力が欠かせません。というのも、研修受講者の行動が変わったかどうかは現場でしか判断をすることができず、その変化を人事が常に追いかけ続けることは不可能だからです。
▼人材育成の課題と解決策に関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】なぜ人材育成がうまくいかないのか?研修における課題と解決策
05人材育成を成功させる6つのポイント
人材育成を成功させるには、成長したいという社員の気持ちが重要になります。しかし、新しいスキルや能力を得る必要のない業務しか与えていなければ、成長する必要がないので成長意欲も低下するでしょう。そのため、社員が成長を必要とする環境や、成長したいと思った時のツールを用意することが人材育成をする上で不可欠になるのです。そこで、本章では人材育成を成功させるポイントを6つご紹介します
ポイント1:社員の自発性を高めることが鍵
いくら人事部や上司が「勉強しろ。スキルを上げろ」と言っても、社員に自発的な姿勢がないと学習効率は低いでしょう。そのため、自発的に成長したい社員を増やすことが最初のステップと言えるかもしれません。自ら成長を望む社員ほど、自分で課題を見つけてきて自分でその課題を解決していくものです。このような社員を量産することができれば、成長意欲がない人でも焦燥感を抱き、自ら学習し始めるかもしれません。
ポイント2:自発性を高める環境作りが人事の役割
自ら成長したい社員を増やすためには、自ら成長したいと思う環境が大事になります。その環境や仕組みを作るのが人事の役割です。社員が研修に対して前向きになる環境作りと、何かを自発的に学習したいと思った時のツールの準備が主な業務と言えるでしょう。評価制度の見直しや書籍購入制度・e-learningなどの導入が代表的な例です。また、環境整備を進めると同時に、それらが形骸化しないような認知の施策も同時に考える必要があります。
ポイント3:個人に特化した研修にするため1on1を行う
1on1を実施していても、なんとなくやっているだけの人や、前期の振り返りだけをするような人も少なくありません。人材育成という面で言えば、過去の話よりも未来の話をすべきです。もちろん実績を振り返るのも大事ですが、その振り返った内容から今後どうしていくのかを主軸で話し合う方が生産的な1on1になるでしょう。しっかりと1on1で社員それぞれの目標や理想像をヒアリングし、どのような行動をとれば理想に近づくのかまでを議論・アドバイスすることで、個人に特化した研修・学習の機会を与えるべきという発想になるはずです。
Schooの授業から、部下を動かすためのコツを紹介
schooの講座の組織に変革をもたらすマネジメント入門では、企業のマネジャー、リーダーは勿論のこと、チームに関わるすべての人を対象に、誰もが持っている組織やチームに関する悩みを独自の視点で解き明かします。
-
株式会社リンクアンドモチベーション 取締役
慶應義塾大学法学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。 2010年 中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング部門の執行役員に当時最年少で着任。同社最大の事業へと成長させる。 2013年 成長ベンチャー企業向け投資事業立ち上げ。HR Techを中心にビズリーチ、ネオキャリア、あしたのチーム、Fond, Inc.(旧AnyPerk)など20社近くに投資。 2016年 組織改善クラウド 「モチベーションクラウド」立ち上げ。国内HR Techの牽引役として注目を集めている。 2018年 株式会社リンクアンドモチベーション取締役就任。 著書に「すべての組織は変えられる〜好調な企業はなぜ『ヒト』に投資するのか〜」(PHPビジネス新書)。
ポイント4:環境が人を育てる
環境が人を育てるというポイントを意識して人材育成を行うことが大切です。ここでいう環境とは、「社員がのびのびと自分のやりたいことをやれる」という環境です。もちろん全てを自由に行える環境ではありませんが、ある程度の自由度があり、上司が適切にバックアップしてくれるという環境では、社員は自分の力をメキメキと伸ばすことができるため、環境づくりは重要なのです。
ポイント5:決断経験を増やす
決断力は、どんな職種のビジネスパーソンにとっても重要な力です。何か重要な局面で決断するということは悩むことも多く、非常に難しいでしょう。しかし、このような「難しい局面での決断」の経験を増やすことで、社員の決断の質がだんだん上がってくるのです。それだけでなく、悩みを解決するプロセスが社員を成長させるというメリットもあるので、決断をする経験を多く与えるようにしましょう。
ポイント6:セカンドチャンスを提供する
人材育成を設計する上で、セカンドチャンスを与えるようにしましょう。成長の過程ではミスを避けることができませんが、ミスは人を成長させてくれます。しかし、ミスを犯したときに頭ごなしに叱ってしまうと、そこからミスを避けるようになってしまい、成長するチャンスを逃してしまうでしょう。そのため、ミスをしないように指導するのではなく、ミスをしても、もう一度チャンスがあるという環境を作ることが、社員を成長させる上でとても大切です。
▼人材育成を成功させるポイントに関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】企業における人材育成のポイント|目標や計画の立て方を解説
06人材育成の手法
人材育成の手法と言えば、OJTやOff-JTという話になりがちですが、そもそもの環境づくりの方が重要という企業も珍しくないでしょう。そのため、人材育成を企業で取り組むために必要な環境づくりの手法をご紹介します。
OJT
OJTは「On the Job Training」の略称です。実務をしながらスキル・知識の向上を目指す手法で、多くの企業で採用されています。特に研修(Off-JT)に多くの時間を割くことができないベンチャー企業や中小企業で人気のある手法です。
OFF-JT
OFF-JTは、OJTと逆の意味を指す言葉で、実務から離れてセミナーや研修を講習する人材育成の手法です。OJTと異なり、実務を離れてスキルや知識を集中して身につけられるため、普段の実務では学ぶことのできないコンプライアンスに関する知識習得や、マネジメントスキルなどの習得に適しています。
SD(自己啓発)
SDは「Self Development」の略称で、自己啓発を意味します。近年では働き方改革やキャリア自律の文脈から、このSDに注目が集まっています。社員が自ら学びたいことを選択し、それを企業が費用負担・カリキュラム提供などの形でサポートをするというのが一般的です。以下では主にSDとして企業に導入される施策を紹介します。
書籍購入制度
取り組みやすいSDの手法が書籍購入制度です。エンジニアのみの制度にしている企業も少なくないですが、全社員に適応することをお勧めします。
エンジニアのみにしている理由として、新しい言語の習得が実務に直接的に影響するからというものが多く、これは評価制度次第で営業職や事務職にも同じ考え方ができるはずです。
例えば、営業職がクロージングに関する書籍を読み、そのノウハウを実務で活かして受注率が改善されたとします。大事なことは書籍を購入して、その書籍で得たノウハウを実務にどのように活かすのかという仕組みです。
オンライン学習サービス
オンライン学習サービスも取り組みやすい人材育成の手法です。サブスクリプション型・買い切り型の2つのパターンがありますが、自発的な学びという観点からいうと、サブスクリプション型で自由に自分の学習したい研修を受ける方が効果的でしょう。
買い切り型の場合は追加費用がかからないので、キャッシュフローという面では利点があります。しかし、どの研修を購入するかの決定権は管理職に委ねられることが多く、結局は自分が学びたいことが学べないという社員の不満に繋がる可能性もあります。
Schooのオンライン学習サービス
Schoo for Businessでは、動画配信という形でさまざまなニーズに応えられる授業を提供しています。授業へのご登壇には、各業界における第一人者や著名な専門家の方々をお迎えしています。ご登壇される講師の方々は、ビジネス現場での経験に基づいた事例などを教えてくださるので授業は具体的でわかりやすく、受講者はチャットなどを通じて講師に直接質問をすることもできるため、オンライン学習サービスであっても、実際の研修を受けるのと限りなく近い状態で学習することが可能です。受け身型の学習にならないようなコンテンツが多いのも、Schooの特徴です。
資格取得支援制度
資格取得をバックアップする仕組みもあります。その資格を取得したら給与に反映されるという評価制度も設計しやすいため、資格の有無が業績に対して影響を与える企業の場合、非常にお勧めの手法です。
資格取得のための書籍購入代を負担する企業も少なくないですが、資格を取得したら代金を還元するという条件付きの場合もあり、特に難しい試験だと社員の意欲低下を招く恐れがあるので注意しましょう。
また、資格の有無が業務にあまり影響を与えない場合は、資格取得制度を導入しても業績という面での貢献がないので効果はあまり出ないかもしれません。
▼人材育成の手法に関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】人材育成の手法一覧|Schooを導入した2社の事例も紹介
07人材育成に活用できるフレームワーク
思考の6段階モデル
思考の6段階モデルとは、教育学者のベンジャミン・ブルームが提唱したモデルで、思考の段階を6段階に分け、教育にはそれぞれの能力を伸ばしていくことが重要であるという考えです。
- Lv.1 記憶→事実・言葉・方法などを知識として持っている
- Lv.2 理解→内容を解釈したり、説明・言い換える能力
- Lv.3 応用→知識を他の場面にも活用できる能力
- Lv.4 分析→全体の中から要素を区分けしたり1つ1つを説明する能力
- Lv.5 評価→内容を分析し、批評する能力
- Lv.6 創造→Lv.5までの能力を活かして新しいものを作り出す段階
ブルームが提唱した6段階は人が物事を理解し、成長する基本の形です。レベル1の記憶から、発展させて応用し、最終的にはこれまでの学びを活かして新しいものを作り出すという流れです。この6段階に乗っ取って研修メニューを考えることで、人材を確実に、かつ効率的に成長させることができます。
ロバート・カッツの理論
ロバート・カッツの理論とは、ハーバード大学教授のロバート・カッツが1955年に発表した、マネージャーに求められるスキルをまとめた理論で、 新人からマネージャーに至るまでの育成方法の検討のフレームワークとしても活用されている理論です。どのようなスキルを磨く必要があるのか、今の育成方法は適切であるかを検討するときにはこのフレームワークを活用することができます。下記のスキルはあらゆる職種・階層に求められるものですが、新人社員研修ではテクニカルスキルが重視され、階層が上がるにつれてコンセプチュアルスキルが重視されます。
ロバート・カッツの3つのスキル
ロバート・カッツは、マネージャーに必要とされるスキルを「コンセプチュアルスキル」「ヒューマンスキル」「テクニカルスキル」の3つとしています。
コンセプチュアルスキル
このスキルは起こっている事象を正確に把握し、問題の本質を見極める力のことです。問題を把握するだけではなく、問題解決のための具体的な筋道を立てることができる力も求められます。
テクニカルスキル
特定の業務を進めていく上でのスキルや知識のことで、新人研修の際はこのスキルを重視することが多いと言われています。
ヒューマンスキル
このスキルは、いわゆる対人関係能力のことです。相手の言動を注意深く分析し、相手の次の行動を予測して動きます。この能力があることで、上司や部下、同僚、顧客などの様々な相手とうまく協働することができます。
▼人材育成のフレームワークに関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】人材育成にフレームワークを活用する際に意識すべき3つのポイントと具体例
08これからの企業における人材育成の方針
企業においてどのようなことを人材育成の方針とすべきなのか、判断がつかないという方もいらっしゃるかと思われます。ここでは、Schooで行った調査をもとに、今後の人材育成の方針となりうる内容についてご紹介します。
企業規模別の今後の人材育成の方針アンケート
Schooでは、「人事学びゼミ」に参加していただいた各企業の人事の方に、「今後の人材育成・研修において重要度が増すと思う事柄」についてのアンケートに答えていただきました。
従業員数1001人以上の会社

従業員数1001人以上の会社では、「マネジメント層の強化」「リモートワークに適応したコミュニケーションスキル」「社員のモチベーション維持」「組織のチームワーク向上」などを育成・研修を行う重要度が増すと答える割合が高いことがわかります。
従業員数101人〜1000人の会社

従業員数が101人から1000人の会社では、「組織のチームワーク向上」「社員のメンタルケア」などについての研修を重点的に行うことが重要と答える割合が高くなっていることがわかります。
従業員数100人未満の会社

従業員数100人未満の会社では、「リモートワークなど新しい働き方の浸透」「社員のメンタルケア」「社員のキャリア形成」などについての育成・研修が重要であるとする割合が高いことがわかります。
09人材育成の設計を練り直そう!
上記のアンケートからもわかるように「リモートワークに適応したコミュニケーションスキルや働き方の浸透」などの比較的新しいと言える項目の重要性が高まっており、人材育成の方針のトレンドは徐々に変わりつつあると言えます。もちろん人材育成の方針は会社によってそれぞれですが、働き方改革やコロナ禍の影響で育成の方針を転換せざるを得ない会社も多いと思います。そこで本章では、人材育成の方針を整理して、新しい方針を作るための表をご紹介します。

事業環境の変化
コロナ禍や働き方改革、その他の要因で、どのように事業環境が変化したのか。さらにはどのような課題に直面したのかを詳しく書きます。
組織・働き方の変化
事業環境の変化と同じように、組織や働き方も変化してきていると思います。ここでは、組織や働きかたがどのような要因でどのように変化したのかを詳しく書きます。
変わるもの・変わらないもの
そして、事業環境・組織・働き方の変化を受けて、「求められる人材要件」「人材開発方針」「人材開発施策」において何が変わるのか、変わらないのかを具体的に書きます。
求められる人材要件
ここでは、働き方や事業環境の変化によって変わる・変わらない社員の能力や姿勢などを詳しく書きます。
人材開発方針
ここでは、必要となる人材開発する際の人材開発方針が変わるのか、変わらないのかを詳しく書きます。
人材開発施策
ここでは、どのように人材開発をしていくのか、という具体的な施策が変わるのか、変わらないのかを詳しく書きます。
ソフトバンク株式会社の例を紹介
表の記入例として、ソフトバンク株式会社の例をご紹介します。この表のように、全ての項目において、具体的に詳しく書くようにしましょう。

「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

10人材育成の手法としてのSchooビジネスプラン
Schooビジネスプランでは約7000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schooビジネスプランの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
Schooビジネスプランは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.自発的に学ぶ人材を育成できるSchooの講座
上記でも説明したように、Schooでは約7000本もの動画を用意している上に、毎日新しいトピックに関する動画が配信されるため、研修に加えて自ら学び、成長する人材の育成が可能です。近年の社会のグローバル化やテクノロジーの進化などにより、企業を取り巻く環境が刻々と変化しています。それに伴い、社員の業務内容や求められるスキルも早いスパンで変化しています。このような予測のつかない時代の中で会社の競争力を維持するためには、社員一人一人が自発的に学び、成長させ続けることができる環境、いわば「学び続ける組織」になることが必要です。
Schooビジネスプランの講座では、体系的な社員研修だけでなく、自己啓発を通じて自発的に学び、成長できる人材を育成することが可能です。
ここでは、人材育成に活用できるSchooの講座をご紹介します。
指示待ち部下が自ら考え動き出す!

「最近の若いものは……」というのは、人類永遠のテーマ。 上司と部下との間で起こるミスマッチ。 そこからくる人間関係のストレス。 この悪循環を断ち切る方法をお伝えします
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役。 第一線で活躍するリーダーのためのメンタルコーチ。 目標実現の専門家。中央大学卒業。長野県出身。 脳科学とアドラー心理学を組み合わせた、独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。 その卓越したアプローチによって、これまで1万人以上のリーダーの人材育成に関する悩みを解決してきたほか、経営者、オリンピック出場選手、トップモデル、ベストセラー作家、ビジネスリーダーなど各界で活躍する人々の目標実現・行動革新サポートを実施。 その功績が話題となり、各種メディアからの依頼が続出している。 リーダー向けの企業研修やパーソナルコーチングは、現在3カ月待ちとなっている。 さらに2018年からは年間セミナーである「行動イノベーションアカデミー」を運営。 「行動イノベーション・メソッド」により業績を上げる人に留まらず、人間関係や心身の健康にも効果を実感する人が続出。 数多くのリーダーに、研修、講演、個人サポートを提供している。 これまでサポートしてきた企業は、IT、通信教育、商社、医療、美容、小売りなど40以上の業種にわたる。 8冊の著作の累計発行部数は18万部を超え、中国、台湾、韓国など海外でも広く翻訳されている。 おもな著書に、『本気で変わりたい人の行動イノベーション』( だいわ文庫)、『先延ばしは1冊のノートでなくなる』(大和書房)「指示待ち部下が自ら考え動き出す!」(かんき出版)などがある。 日刊メルマガ「行動イノベーション365・ネクストステージを目指す! 行動のヒント」を毎日配信中!
決算情報を読み解きながら学ぶ財務スキル

この授業では「決算情報から、企業を研究する方法を学び、事業・戦略・財務などを読み解く力」を解説します。
2014年にDeNA入社。フィンテックベンチャーを経てStockclip株式会社(現・株式会社ストレイナー)を創業。「経済情報をもっとシンプルに」をミッションに掲げ、決算資料を中心とした"ファクト情報"を中心に社会のトレンドを考える経済メディア『Strainer』を運営。
アイデア量産の思考法

本授業は、努力しているのにアイデアが浮かばない人のために新しいマーケティング手法の1つである「新奇事象」を通じて「アイデアの種」をゲットしてもらう授業です。
1984年生まれ。龍谷大学法学部卒業後、データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院で"学び直し"。 その後、株式会社デコムなどでデジタルマーケティング、消費者インサイト等の業務に携わり、現在は「テクノロジーで『今起きていること』を明らかにする報道機関」を目指す報道ベンチャーJX通信社にてマーケティング全般を担当している。 政治、経済、文化など、さまざまなデータをデジタル化し、分析・予測することを得意とし、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌にも登場している。 ◇主な著書 「なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~」(光文社)2019 「誤解だらけの人工知能」(光文社)2018 「データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」(毎日新聞出版)2018
3.受講者の学習状況を把握し、人材育成に役立てることができる
Schooビジネスプランには学習管理機能が備わっているため、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、受講者がどんな内容の講座をどれくらいの長さ見ていたのかも把握することができるため、社員のキャリアプランの傾向を掴むことも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面では受講者それぞれの総受講時間を管理者が確認できるようになっており、いつ見たのか、いくつの講座を見たのか、どのくらいの時間見たのか、ということが一目でわかるようになっています。

さらに、受講履歴からは受講者がどのような分野の動画を頻繁に見ているかが簡単にわかるようになっており、受講者の興味のある分野を可視化することが可能です。これにより、社員がどのようなキャリアプランを持っているのかを把握できるだけでなく、社員のモチベーションを高めながら人材育成するためのヒントを得ることができます。
さらに、社員に自己啓発を目的として受講してもらっている場合、社員がどのような内容の授業を受講する傾向があるのかを把握できるため、社員のキャリアプランを把握することができます。
11まとめ
人材育成は企業成長の柱です。良い人材を社内で育て作り上げる仕組みを構築できれば、新卒採用や中途採用にも良い影響を与えるでしょう。 人材育成に取り組む場合は環境づくりが肝心です。社員が成長したいと思い、成長できる環境を整えることが人事の役割であり、企業の満足度を向上させる一助にもなります。 また、各種制度の導入で満足するのではなく、その制度の利用率を増やすためにどのような施策を打てば良いのか、その制度によって業績にどのような影響を与えたかも同時に検討・検証できるような仕組みを作りましょう。