公開日:2020/12/04
更新日:2023/03/27

生産性を向上させるには?生産性の定義と算出方法、取組事例を紹介

生産性を向上させるには?生産性の定義と算出方法、取組事例を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、少子高齢化による人手不足や長時間労働に対する課題意識の高まりにより、働き方改革を推進する企業が増えています。これまでよりも労働生産性の向上が注目されるようになってきました。

 

01生産性向上とは

まず、生産性とはそもそも何でしょうか。生産性とは、労働・設備・原材料などの投入量と作り出される生産物の産出量の比率のことです。仕事における生産性とは、労働時間に対してどれだけ成果を得られたかという意味で表します。労働者1人当たりが生み出した成果を数値化したものは「労働生産性」と言われます。数値で見えるので、労働者が生み出した成果が労働時間や投資額にどれだけ釣り合っているかを判断できます。経営判断の基準に用いられます。

生産性の種類

生産性には、主に以下の3つがあります。

  • ・資本生産性
  • ・労働生産性
  • ・全要素生産性

さらに労働生産性は以下の2つに分類されます。

  • ・付加価値労働生産性
  • ・物的生産性

一般的に、働き方改革の文脈で生産性を意味するのは、付加価値労働生産性となります。

生産性向上と業務効率化との違い

生産性向上と似たような意味で使われるのが、業務効率化です。業務効率化は無駄な業務や工数を削減することを意味します。生産性向上を目的とするのであれば、その目的を達成する手段の1つが業務効率化なのです。つまり、生産性を上げるために業務効率化は存在しますが、業務効率化を実施するために生産性を向上するとは言わないのです。

 

02生産性向上の目的

では、なぜ企業は生産性を向上させる必要があるのでしょうか。生産性向上の目的は大きく3つ存在します。

  • ・利益率を上げるため
  • ・労働人口の減少への対応
  • ・ワークライフバランスの向上
  • ・国際社会で生き抜くため

ここではそれぞれについて解説していきます。

利益率を上げるため

生産性が高まれば、無駄な投資やコストを省きつつ収益を得られるため、競争力の向上にも繋がります。また、短い時間や少ない材料で同じ価値を生み出せるようになれば、余剰の資源を新製品や新サービスの開発に投入することができます。更なる企業成長が期待できるようになるのです。

労働人口の減少への対応

少子高齢化が進む近年、企業にとって問題と言えるのが労働人口の減少です。今後も人手不足に拍車がかかることが予想されます。少ない労働者でも成果が挙がるように、労働生産性改善に取り組む必要があるのです。

ワークライフバランスの向上

近年、ワークライフバランスを重要視する人が増えています。多様な働き方が求められています。労働生産性が改善されれば長時間労働が解消され、ワークライフバランスの向上につながります。労働者の定着率アップやモチベーションアップも期待できるでしょう。

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国際社会で生き抜くため

日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2022」によると、日本の労働生産性はOECD加盟国の中で38カ国中27位となっています。また主要先進7ヵ国で見た場合、1970年以降最下位の状況が続いています。先進国のうち、日本の労働生産性はかなり低い傾向にあります。日本の年間労働時間も、労働生産性が高い国と比較して2,000時間前後高くなっています。日本の労働者は長時間労働を強いられているということになります。

【参照】日本生産性本部「労働生産性の国際比較」

 

03労働生産性の計算式とは|算出方法を紹介

労働生産性は式を用いて算出することができます。数値で見るので、一つの製品を作るために、どのくらいの労働者が必要となるか、1時間あたりにどのくらいの労働量が必要となっているかが分かります。労働生産性を算出して、工場ごとやラインごとに比較することで、効率が良いところ、悪いところを把握できるようになります。

次に2種類の労働生産性の算出方法をご紹介します

労働生産性の計算式

労働生産性は、成果を何で表すかによって「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2つの種類に分かれます。

物的労働生産性の計算式

物的労働生産性とは成果を生産数や販売数、販売金額などの物的な生産量で表します。物的労働生産性を用いると、労働者がどれだけ効率的に製品やサービスを生産しているかを数値的に確認できます。計算式は次のとおりです。

物的労働生産性=生産量や販売金額÷労働投入量

1人あたりの物的生産性を求めるには、生産量÷労働者数となります。
例えば、1000本のI型鋼を生産するために10人の労働者がいた場合、労働者1人あたりの労働生産性はI型鋼100本です。物的な成果のみを対象としているので、数値や個数で測れない成果は対象外になります。

付加価値労働生産性の計算式

付加価値労働生産性とは、成果を物の量でだすのではなく、売上高から原材料費等を引き、労働によって新たに付け加えられた金額(付加価値)で成果を表したものです。計算式は次のとおりです。

付加価値労働生産性=付加価値額÷労働投入量(1人または1時間あたり)
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費≒粗利益

「労働者1人あたりがどれくらい付加価値の高い仕事をしているか」を見ることができます。つまり、労働者が付加価値を生み出すためにどれ程効率的な動きができているかを金額的に確認できます。
付加価値労働生産性は、異業種間での労働生産性の算出にも使用できます。また、物的労働生産性のように生産量で算出するわけではないので、サービス業などの測定にも使えます。労働生産性は「付加価値労働生産性」で測られることが国際的に多くなっています。

 

04生産性を向上させるためにすべきこと

企業が生産性を向上させるために取り組むべきことは、6つ存在します。

  • 1:ITの活用
  • 2:アウトソーシング
  • 3:活発な改善提案活動
  • 4:人材を適材適所に配置
  • 5:エンゲージメントやモチベーションの向上
  • 6:人材の育成・能力開発

ここではそれぞれについて解説していきます。

ITの活用

ITシステムの活用によって、これまで人が行っていた作業をシステム化することでも大幅な業務効率化が期待できます。例えば定型業務をロボットによって自動化することで、数時間の作業を一瞬で終わらすことができます。空いた人材や時間を別の業務に回すことができるため、生産性向上につなげられます。また、会計、労務管理、顧客管理の業務などについて各種クラウドサービスを利用することで効率化することが可能となります。実際に、給与計算についてシステム化を進めたところ、今までより計算業務に関わる人数を減らし、計算日数も2営業日短くなったという例があります。

アウトソーシング

コア業務でないところであれば、アウトソーシングという形で業務委託してしまうのも効果的です。アウトソーシングとは、一般的には、業務効率が低い仕事や、自社でノウハウを持たない仕事を部分的に切り出して、社外の専門性の高い会社や人材に代行してもらう手法のことです。グループ企業や部門ごとに分かれている経理、総務、人事などの業務を1ヵ所に集約するシェアードサービスも、アウトソーシングのひとつです。業務全体の効率化や品質向上にもつながります。人件費も下げることができるでしょう。

また、限られた人的資源を重要なコア業務に専念させることで、生産性や売上アップが期待できます。

活発な改善提案活動

特に製造業では労働生産性を高めるためにも、「改善提案活動」を推進している企業が多いでしょう。小集団活動やQCサークルも当てはまります。従業員の声を吸い上げ、日々の改善活動を積み重ねる仕組みを作ることで業務の効率化を図ることができます。上からの指示ではなく従業員自らが進めるので、モチベーションアップにもつながります。

人材を適材適所に配置

最適な仕事に従事できている人は、そうでない場合よりも生産性が高いといわれています。配属時や異動時には、1人1人の能力・経験・パーソナリティを把握してもっとも力を発揮できる部署・ポジションに配置させると効果的です。

エンゲージメントやモチベーションの向上

生産性向上には従業員の意欲も必要不可欠です。従業員エンゲージメントの向上を図ることで、優秀な人材の外部流出を防ぐことができます。また、社員一人ひとりのモチベーションを高めることができ、少ない労働時間内に多くの成果を得ることに繋がります。

目標管理や人事評価制度、福利厚生制度がエンゲージメントやモチベーションの向上に効果的です。

人材の育成・能力開発

従業員のスキルを高めることで、業務のスピードと質を向上させ企業としての労働生産性を高めることができます。企業側は人材育成がカギとなってくるでしょう。

【参照】経済産業省の調査「労働生産性の向上に向けた人材育成の取り組みと課題」

経済産業省の労働生産性に関する企業の意識調査によると「生産性が向上した」、他社と比べて「生産性が高い」と回答した企業では、人材育成の「成果があがっている」と回答した企業の割合が高いという結果になりました。

▼人材の育成・能力開発に関して詳しく知りたい方はこちら▼
【関連記事】人材育成を成功させる6つのポイント|社員の自発性を高めるコツを紹介

 

05生産性向上に取り組む際の注意点

生産性向上に取り組むにあたって、注意すべきことが3点あります。

  • 1:過度なマルチタスクを避ける
  • 2:長時間労働を防止する
  • 3:業務効率化に固執しない

過度なマルチタスクを避ける

複数の業務を同時進行するマルチタスクが得意な人は、どんどん自分で業務を抱えるようになります。マルチタスクが得意な人ほど、業務を捌くことに快感を覚えており、様々な業務に手を出してしまいがちです。そうすると、本当に集中すべき業務にかける時間が短くなり、求めていた成果が出ないという結果にもなりかねません。そのため、戦略思考が必要になります。目的から逆算して自分の時間をどこに分配すべきなのかを考え、この目的に直結しないものは着手しないと決めることが生産性向上につながります。

長時間労働を防止する

マルチタスクが常態化すると、自然と業務が長時間になります。過度な残業は過労死のリスクやメンタルヘルスの観点からも避けるべきであり、管理職がこの手綱を握る必要があります。各メンバーに与えている目標とプロセスだけでなく、業務内容も把握し、目的達成のためのリソース配分になっているか、関係のない業務を勝手に引き受けてきていないかなどを確認するようにしましょう。ただし、監視してはマイクロマネジメントと捉えられ、メンバーからの信頼を失う結果になるので、注意してください。

業務効率化に固執しない

生産性向上というと、業務効率化の施策を行いがちになってしまいます。とにかく無駄なものを削減する。効率良くできる部分を探す。これらは間違いではないですが、生産性向上の一部に過ぎません。同じ工数でより高いアウトプットを生み出すことも生産性向上であることを忘れず、目的達成に影響の大きい箇所を探す癖をつけていきましょう。


 

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06生産性向上の研修ならSchooで

生産性向上に繋げるためには、従業員のスキルアップが必要です。企業側は研修や自己啓発支援などの様々な施策が必要ですが、どのように取り組んでいいかお悩みの企業もあるのではないでしょうか。

Schooビジネスプランでは、生産性向上を行うために必要な組織マネジメントやコーチングスキルその他能力を高めるための研修をオンラインにて提供しています。

  • マネージャー向けのチームの生産性向上を目的としたカリキュラムです。 モチベーションに依存せずチームで成果を出し続けるために必要なことが学べる研修となっています。

また、個人が仕事の生産性を上げる術を身に着ける授業もございます。具体例としては次のとおりです。

成果につながる仕事のススメ

成果につながる仕事のススメ
担当講師:清水 久三子先生
株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長

大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成功しない」との思いから、専門を人材育成分野に移し、人材開発のプロジェクトをリード。 2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。ベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。講師として、大前研一ビジネス・ブレークスルー、日本能率協会、日経BPセミナー、大手銀行系研修会社などに多数のプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。 著書は「一流の学び方」など現在18冊を出版。東洋経済オンライン、プレジデントオンラインなど連載多数。

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効率化オタクに教わる生産性UP術

効率化オタクに教わる生産性UP術
担当講師:ヨス
プロブロガー

1976年香川県丸亀市出身のプロブロガー。データ入力のアルバイトをしていた20代のころ、頭を使わなくてもよい「単純作業」をいかに頭を使って効率化するかに情熱を燃やす。この経験から、自分が効率化に異常な関心があることに気づく。その後、7年間のネットショップ運営を経てフリーランスWEB制作として独立するも、バセドウ病を患い入院。2013年2月、病院のベッドの上でブログ「ヨッセンス」を開始し、月に100万回以上読まれるブログになる。ほかに、英語情報メディア「英語びより」の編集長。ブログを本気で書いている方に向けたオンラインコミュニティ「ヨッセンスクール」主宰。

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いい加減な人ほど生産性が上がる「超効率ハック」

いい加減な人ほど生産性が上がる「超効率ハック」
担当講師:羽田 康祐
株式会社朝日広告社ストラテジックプランニング部プランニングディレクター

株式会社朝日広告社ストラテジックプランニング部プランニングディレクター。産業能率大学院経営情報学研究科修了(MBA)。日本マーケティング協会マーケティングマスターコース修了。外資系コンサルティングファームなどを経て現職。「外資系コンサルティングファームで培ったロジック」と「広告代理店で培った発想力」のハイブリッド思考を武器に、メーカー・金融・小売り等、幅広い業種のクライアントを支援。マーケティングやブランディング・ビジネス思考をテーマにしたブログ「Mission Driven Brand」を運営。ハンドルネームはk_bird。著書に『問題解決力を高める「推論」の技術』(フォレスト出版)がある。

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07まとめ

今回は生産性の向上とは何か、社員の労働生産性を向上するためにどう取り組むか、そのポイントについてご紹介しました。 労働生産性が向上することによって、企業は業績向上、従業員はワークライフバランスの実現とそれぞれプラスになります。早速、取り組んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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