公開日:2021/02/22
更新日:2024/06/20

研修制度を導入するメリットや設計・運用のポイントを解説

研修制度を導入するメリットや設計・運用のポイントを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業では研修制度を社内で用意し、人材育成に取り組んでいます。これから研修制度を整えていく企業としては、そもそも研修制度を整える必要があるのか、研修方法やその内容など、様々な疑問があるかと思います。 そこでこの記事では、研修制度の設計・整備を検討している企業に向けに、目的やメリット、具体的にどのような設計にすればよいのかなどを解説します。

 

01研修制度を導入する目的

研修制度の大まかな説明として、社員一人ひとりが自分のキャリアビジョンを考え、その実現に向けてスキルアップを図れるよう、企業側で全面的にバックアップする制度と言えます。 それでは、企業が社内で研修制度を設計・導入する目的として何が考えられるのかを解説します。

研修制度を導入する目的には以下の2つがあります。

  • 1:市場競争に負けない強い組織を作る
  • 2:必要な知識・スキルを体系的に学べる環境の構築

1.市場競争に負けない強い組織を作る

昨今では、IT技術の進化や市場の変化が激しいことから、競争に負けないために常に新しいスキルを取り込んでいくことが求められています。 もし、スキルアップを支援する研修制度が整っていなければ、スキルやノウハウが陳腐化してしまう可能性があるだけでなく、現状以上の生産性向上も見込めなくなってしまいます。 研修制度は社員のスキルのアップデートをサポートし、個々の社員のパフォーマンスを高めることで、結果的に企業の業績向上につなげていくことが大きな目的です。

2.必要な知識・スキルを体系的に学べる環境の構築

企業規模に関係なく、多くの企業では実務を通してスキルや経験を積むOJTを研修として実施しているところがほとんどだと思われます。 OJTは座学で知識をインプットする場合と異なり、業務に対するイメージがしやすいメリットがある一方で、学べる内容はその時に担当する業務に限られるため、抜け漏れが生じてしまいがちです。 研修制度として、業務に必要な知識を体系的に網羅し、学べる環境があればOJTではカバーできない内容を補完できるだけでなく、業務全体に対する理解も深めることができます。

 

02研修制度を導入するメリット

“研修制度を導入するメリット” “研修制度を導入するデメリット”

研修制度は単に人材育成のコストがかさんでしまうといったデメリットが考えられますが、それ以上に多くのメリットがありますので、ここで解説します。

研修制度を導入すると以下の3つのメリットがあります。

  • 1:社員の学習意欲の向上
  • 2:社内の風土を改善できる
  • 3:人材育成に注力していることを社外にアピールできる

1.社員の学習意欲の向上

研修制度がない場合、社員自ら必要なスキルを身に着けるには時間や費用の面で大きな負担となり、学習に対するハードルが高く感じてしまうものです。 例えば、社員が個人で外部のワークショップに参加するには、1回数万円の費用が発生するケースが多いです。また、ビジネススクールに通うとなると数十万円と高額になることもあります。 社内で研修制度として外部セミナーの参加費をバックアップしたり、社内で独自に研修を実施すれば、ハードルを下げることができるだけでなく、むしろレベルの高い内容にチャレンジしてみようという学習意欲の向上にもつながります。

2.社内の風土を改善できる

どのような企業にも独自の社風が存在し、長年をかけて社内で培われたものですが、時代の流れに合わせて変化が必要となるケースもあります。 研修制度を導入することで、社内風土にも変化をもたらすことが可能です。 例えば、管理職の育成に課題を抱えている企業は、部下を育てることに対して関心が薄い社内風土であることが要因となっており、そのことで管理職を志望する人材が減少する状況に陥っているケースがあります。 そういった場合には、マネジメントスキルやコーチング研修を制度として設けることで、管理職や管理職候補の人材育成に対する意識や行動を改善させることができます。 そして、人材育成に対する重要性が社内で認識され、管理職の育成の課題解決につなげることができるでしょう。 研修制度を導入することは、人材育成だけでなく社内の風土の改善にも役立てることも可能なのです。

3.人材育成に注力していることを社外にアピールできる

新卒、中途採用の希望者は研修制度の充実度も就職先を選ぶうえで参考としていることも少なくありません。 特に新卒採用であれば、社会人に必要な基礎スキルがまだ身についていないことがほとんどですから、研修制度が整っていないとなると不安を与えてしまいかねません。 また、中途採用の場合であっても、入社後も自分のキャリアアップを支援してもらえる環境であるかどうかも重要視しています。 そのため、研修制度が充実していることを社外にアピールすることで、社内の人材育成だけでなく採用面でもメリットを発揮することが期待できるでしょう。

 

03研修制度の設計に必要な要素

研修制度を導入するメリットを解説しましたが、実際に研修制度を設計するうえで「具体的に何をすればいいのか?」わからないという方も少なくないと思われます。 そこで、ここでは研修制度を設計するうえで必要な要素について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

研修制度の設計に必要な要素は、以下の4つに分けられます。

  • 1:目指す組織像・人物像
  • 2:人材育成の方針
  • 3:研修体系
  • 4:研修方法

1.目指す組織像・人物像

人材育成の目的を考えるにあたり、目指すべき組織像・人物像を先に明確にしておく必要があります。 どの企業にも経営理念があり、その経営理念をもとに経営戦略・事業戦略が作成されています。そして、その戦略を遂行するための組織像・人物像を考え、目指すべき姿になるためにどのような育成が必要なのかを検討する流れになります。 組織像・人物像がぶれてしまっていると、その次の研修制度も行き当たりばったりな施策となってしまい、うまくワークしなくなってしまう可能性が高まります。 そのため、まずは目指すべき組織像・人物像を明確にしてみましょう。

2.人材育成の方針

次に必要な要素は、研修制度における人材育成の方針です。 目指すべき経営理念や経営戦略・事業戦略をもとに一貫性のある方針を立てる必要があります。 それは、さまざまな社員のキャリアプランに合うように複数の綿密な研修プログラムを用意するのか、社員が自分の興味のある分野を好きに学べるような自由な形にするのかなど、さまざまな方針が考えられます。 自社の課題と照らし合わせて、検討してみるのもよいでしょう。

3.研修体系

研修体系とは、ある組織や集団に属している人材に対して、必要とされる知識やスキルを習得させるために構成された研修プログラムやカリキュラムのことを指します。 新入社員・中堅社員・管理職といった階層別に分けたり、職種や部門別に分けてプログラムを構成するなどさまざまな方法があります。 いずれにしても、短期的な視点だけでなく、中長期でじっくりと育成するためのプログラムも同時に作成することで、研修制度がうまくワークしやすくなります。

4.研修方法

研修体系が固まれば、具体的にどういった方法で研修を実施していくのかを検討します。 研修方法は座学で知識やスキルをインプットするOff-JTをメインに検討することになると思われますが、一口にOff-JTといっても主に3つの種類に分けられます。

1.社内研修

研修資料の作成や研修会場を抑えるためのリソース負担が発生しますが、独自の内容を盛り込めるといったメリットがあります。

2.外部研修

公開されているワークショップなどに参加します。プロの講師による専門性の高い指導が受けられる一方で、人材育成のコストがかさんでしまうデメリットがあります。

3.オンライン学習サービス

スマホやPCを使って動画を視聴して学習する形式です。時間や場所を選ばないため、社員の都合に合わせて学習できるだけでなく、外部サービスでも安価で利用可能です。一方で、集合研修ならではの緊張感がなく、モチベーション維持が難しいというデメリットがあります。 このように、Off-JTにもさまざまな種類があり、それぞれメリット・デメリットも異なります。そのため、自社に合った研修方法を採用することが重要です。

 

04研修制度を運用する際のポイント

完成した研修制度を導入し、ただ単に運用するだけでは高い効果を発揮できないことも少なくありません。 研修制度を運用するにあたって最低限押さえておきたいポイントをここで解説します。

研修制度を運用する際のポイントは以下の2つです。

  • 1:研修制度の導入は小規模から始める
  • 2:研修制度を利用した社員からフィードバックをもらう

1.研修制度の導入は小規模から始める

ある程度規模が大きな組織の場合、設計した研修制度をいきなり全社的に導入してしまうと、混乱を招いてしまう可能性があります。 また、研修制度の設計にミスがあった場合に見直すための負担も大きくなってしまいます。 そのため、まずは一部の役職や部門だけに絞って試験的に導入して、成果が出れば全社に展開していく形が望ましいでしょう。

2.研修制度を利用した社員からフィードバックをもらう

一度導入した研修制度も、より効果を高めるために改善していく必要があります。改善にあたって重要となるのが、実際に研修制度を利用した社員からのフィードバックです。 研修はわかりやすかったか、研修のタイミングは適切であるか、学んだ内容は実務に生かせそうかなど、さまざまな意見を取り込み改善を加えていくことが大切です。

 

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これだけは押さえたい社会人マナー

コミュニケーションを取る上での心構えとマナーから学んでいきましょう。 当たり前に行っている挨拶や敬語ですが、きちんと基礎を押さえられているでしょうか。 実践パートではみなさんも是非動画を見ながら一緒にお試しください。

 
  • コミュニケーションアドバイザー/大学講師

    大学講師、コミュニケーションアドバイザー。大手出版社で営業、編集経験を経て、2000年から大学で敬語、面接、マナー、コミュニケーション、就職講座の講師を担当。国際基督教大学、日本大学芸術学部、明治学院大学、東洋大学、上智大学、東北医科薬科大学など、全国の大学生に楽しくて分かりやすい熱血講義を展開中。 また、社会人研修やコミュニケーション講師として【オーダーメイドの伝え方】をアドバイス。 実務教育学会所属。イノベーションコンテストでビジネス企画賞を受賞。著書に10万部突破ベストセラー『さすがと言われる話し方・聞き方のビジネスマナー』、『敬語すらすらBOOK』など90冊。 近著に『大学生からはじめる社会人基礎トレーニング』、『きちんと伝える全技術』がある。またTBSテレビ『クイズ日本語王』『マツコの知らない世界』『王様のブランチ』、フジテレビ『ノンストップ』、テレビ朝日『SMAPがんばります』など多くのテレビ番組にも出演。

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「人材マネジメント」について -理論と実践のツボ-

本授業では、「人材マネジメント」について解説します。 いまさら聞けない「人材マネジメント」の言葉の意味や目的、効果的な方法、今後のマネジメントを皆さんで学んでいきましょう。

 
  • 株式会社壺中天 代表取締役

    1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルート社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立。 20年間、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、人材マネジメント講座などによって、企業の人材マネジメントを支援している。 主な著作『人材マネジメントの壺』(2018)、『図解 人材マネジメント入門』(2020)など。

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論理的に聞く力〜「論理的に話す」前に大切なこと

本授業は、普段「わかりやすく説明ができない」「相手に意図がちゃんと伝わっている気がしない」など、コミュニケーションに課題意識を持つ方に向け、論理的に話す以前に意識しておきたい「論理的に聞く力」について学んでいきます。

 
  • コミュニケーション・スピーチコンサルタント、CCO代行

    福岡のTV局・ラジオ局で年間300日以上の生放送に出演。その経験を元に独立し、現在は企業向けの人材育成研修や人材育成コンサルティング、経営者や元アスリートなどのスピーチコンサルティングを行う。組織活性、営業成績4倍UP、スピーチ力向上による顧客獲得率UPなど成果を上げるためにとことんクライアントに寄り添う。 企業研修:200社以上、個別コンサルティング:300名以上の実績あり。 趣味は読書と音楽鑑賞と筋トレ。無類のチョコレート好き。

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06まとめ

研修制度は変化の激しい市場環境で競争に負けないために必要な制度です。導入時にはリソースや費用面で負担がかかってしまうものの、社員の学習意欲の向上や社内風土の改善といったメリットも多く享受できます。 研修制度を設計するうえでは、経営理念や経営戦略・事業戦略といった全体から人材育成の方針や方法に落とし込むことが重要です。 また、研修方法にもさまざまな方法があるので、メリット・デメリットを比較しながら自社に合ったものを採用することが望ましいでしょう。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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