接遇研修とは?実施する目的や接遇研修を選ぶ際のポイントを紹介

接遇とは、相手に対しておもてなしの心で接することです。昨今、さまざまな業界や業種においてワンランク上の接遇力が求められていて、接遇の重要性について再認識した企業も多いことでしょう。本記事では、接遇研修を実施する目的や、接遇研修を選ぶ際のポイントを紹介します。
- 01.接遇研修とは?
- 02.接遇研修を実施する目的
- 03.接遇研修で得られるメリット
- 04.接遇研修の主な内容
- 05.接遇研修を選ぶ際のポイント
- 06.まとめ
01接遇研修とは?
接遇研修とは、接遇力の向上を目指す研修です。接遇は接客マナーを身につけるだけでなく、お客様が求めるものを察知し、それにスマートに応える力を身につける点がポイントです。研修では接客のプロである講師から、言葉づかいやビジネスマナーといった基礎的な事項から、お客様満足度向上に必要な接遇トレーニングまでを行います。必要とされる接客スキルは業種によって多少異なるものの、接遇力は業種の垣根を超えて共通する部分が多いといえます。
接遇マナーの5原則
接客から一歩踏み込んだ接遇を身につけるためには、基本となる5原則を押さえておく必要があります。接遇マナーの5原則は、以下の通りです。 1.親近感と安心感を与える「表情」や「笑顔」 2.清潔感のある整った「身だしなみ」 3.明るく、自発的な「挨拶」 4.お客様の年齢、性別、地位、ご愛顧歴にふさわしい「言葉遣い」 5.品のある、さわやかな「立ち振る舞い」 このほかにも電話応対、お辞儀の仕方、お茶の出し方などがあります。まずはこの5原則のマナーを身につけるとともに、偶発的な事柄に対しても臨機応変に対応することが重要です。
接客マナーとの違い
接遇マナーと比較されることの多い「接客マナー」ですが、このふたつには一体どのような違いがあるのでしょうか。接客とはお客様に対して不快感を与えないよう、必要なサービスを提供することです。一方、接遇とは必要最低限のサービスを提供するだけではなく、特別なおもてなしを提供し、お客様満足度をアップすることにあります。 接遇マナーの例は以下の通りです。 お土産を購入したお客様から、「他県からの出張でこれから帰る」という話を耳にしたスタッフが、手提げ袋にビニールをかけました。購入した場所は晴れていましたが、帰る方面の地域は雨の予報だったためです。このスタッフは、事前に全国の天気予報をチェックして、店頭に立っていたのです。この行動はお客様の立場に立って、「今」だけでなく「未来」のことまで考えた結果といえます。 接客マナーはマニュアルの作成や模範動作を示すことで社員教育が可能なものです。ただし、画一的な教育だけでは身につきにくいものといえます。
02接遇研修を実施する目的
接遇マナー5原則についてみてきましが、ここからは接遇研修を実施する目的について考えます。接遇研修では競合他社との差別化を図り、自社商品やサービスの付加価値を高め、社内外での円滑なコミュニケーションを促進する目的を掲げている企業が多数です。
競合他社との差別化を図るため
接遇力を生かして、お客様への対応方法を工夫することで競合他社との差別化を図れます。オンラインで買い物を済ませられる昨今においては、商品やサービスの付加価値が求められます。同じ商品を販売していたとしても、担当者の良し悪しによって、購入するか否かを決定するお客様も増えています。 仮に、質のいい商品で他社より安い価格であったとしても、マナーが悪かったり、不親切であったりするとクレームへと発展し、お客様を失ってしまうかもしれません。接客では「この人から買いたい」と思ってもらえる対応力が求められているのです。その結果、他社との差別化を図ることができ、競争上の優位性を確立できます。
社内外での円滑なコミュニケーションのため
接遇研修の目的で注意すべき点は、関わる相手の対象をお客様だけと認識してはならないことです。接遇の対象、ともに働くスタッフや部下、社員に対する関わり方も含まれます。 接遇力がアップすると、その相乗効果として会社内で従業員相互の心配りや円滑なコミュニケーションにもつながり、仕事の効率化や従業員のモチベーションも上がります。上司が接遇力を発揮できれば、部下からの信頼も厚くなるでしょう。
03接遇研修で得られるメリット
接遇研修を受け、接遇力がアップすると多くのメリットをもたらします。ここでは、そのなかでも特に大きなメリットである、お客様満足度の向上や企業のブランドイメージアップ、取引先と良好な関係を築ける点について解説します。
お客様満足度の向上につながる
接遇力がアップすると、お客様満足度の向上につながり、リピート客の増加を見込めます。接遇力は業績や売上げの数字のように目に見えるものではありません。しかし、高い接遇力で対応すると、お客様との良好な関係が生まれ、おのずと自社のファンが増えると予想されます。 お客様の満足度が高いほど、商品やサービスの購入意欲に直結しますので、「この人から買いたい」と思ってもらえるおもてなしを心がけましょう。
企業のブランドイメージがアップする
リピート客が増え、SNSで良い口コミや評判が増加すると、企業としてのブランドイメージや信頼度がアップする可能性があります。結果的に企業の業績も上がります。反対に、クレームやお客様に対しておざなりな対応ばかりしていると、一気に企業の価値がダウンしてしまう可能性も否定できません。
取引先と良好な関係を築ける
接遇力の高い対応をすると、取引先と良好な関係を築くことができ、スムーズなやり取りが実現されます。接遇に重きを置いた社風は企業全体に浸透し、安心して取引できる会社として、社外からの評判も上がるでしょう。取引会社とWIN-WINの関係を築け、互いに利益を上げられるはずです。
04接遇研修の主な内容
接遇研修を実施する目的と、研修で得られるメリットについて解説してきました。ここからは、接遇研修で行う主なプログラムを紹介します。基本となる接遇スキルからお客様満足度向上のための接遇トレーニング、ケーススタディについて詳しい内容をみていきましょう。
基本となる接遇スキル
基本となる接遇5原則(表情 ・挨拶 ・身だしなみ ・話し方 ·仕草)をベースに、基本の立ち振る舞いやTPOに合わせたトレーニングを行います。また、接遇用語の使い方、電話応対のマナー、来客応対などお客様対応のマインドセットを学びます。 接客基本マナーに加え、より高度な専門的知識や技術を学ぶことで、お客様からの多様なニーズに対して、期待以上の提案ができるようになるでしょう。
お客様満足度向上のための接遇トレーニング
受講者がお客様目線に立って、お客様満足(CS)とは何かについて考えます。「対応」と「応対」の違いとは何か、お客様の心情を推察するには、どのようにしたら良いかなどを学びます。個人だけでなく、企業全体でCSの向上を考えることも重要なポイントです。 専門知識が豊富で質の高い従業員の育成は、お客様の期待に感動レベルで応えられる人材育成につながります。同業他社との差別化に有効なだけでなく企業のイメージアップに効果を発揮し、新たな強みを生み出すのです。
事例をもとにしたケーススタディやロールプレイング
自社のなかで起こる事例をもとにしたケーススタディやロールプレイングを行うことで、知識としてだけでなく、行動の定着を図れます。時間や場所、役柄、状況などのシチュエーションを設定し、役割分担をしてやり取りをします。ロールプレイング後は、必ずフィードバックをし合い、接遇力に磨きをかけていきましょう。
05接遇研修を選ぶ際のポイント
接遇研修を実施する際に気をつけるべきポイントについてみていきます。効果的な研修を行うためには、適任の講師陣を選ぶ点や、時代のニーズをつかんだ研修を行っているか否かをチェックする必要があります。詳しく解説しますので、自社で接遇研修を選ぶ際の検討材料にしてください。
経験豊富な講師陣を選ぶ
接遇研修には、経験豊富な講師陣を選びましょう。接遇力は業種の垣根を超えて、共通する部分が多いものですが、自社の業界に精通した講師を選ぶと、効果的な接遇研修になるはずです。カスタマーサポートの経験者、サービス業のスタッフ、小売店・販売スタッフ、医療・介護職員、官公庁・自治体職員向けのものなどから、実績のある経験豊富な講師を選択してください。
時代のニーズに合わせた研修を行っているかチェックする
時代のニーズにマッチした接遇研修を行っているかどうかもまた確認してください。グローバル化やダイバーシティが重要視される現代において、お客様ニーズはかつてないほど多様化しています。考慮すべき点も多く複雑化していて、求められる接遇のレベルも、おのずと高まる一方です。そのため、最新事情に精通したプログラムが組まれているかを確認するようにしましょう。
オンラインやeラーニング形式の研修の検討
多くの接遇研修は、同一会場で講義を受け、ロールプレイングを行う集合型研修です。最近では新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンライン研修やeラーニング形式の研修も人気です。eラーニング形式は、忙しい日常業務の隙間時間を利用して受講できる点がメリットといえます。進捗状況を把握するため、定期的な効果測定を行うようにしましょう。
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06まとめ
ワンランク上の接客である接遇は、日常業務をこなすだけの一朝一夕で身につくものではありません。接遇スキルが向上すると、自社製品やサービスに付加価値が付き、他社との差別化が図れるうえに、お客様満足度の向上や企業のブランドイメージアップにつながります。ぜひ、自社で接遇研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。