接遇研修とは|実施する目的や研修会社を選ぶ際のポイントを紹介

接遇とは、相手に対しておもてなしの心で接することです。昨今、さまざまな業界や業種においてワンランク上の接遇力が求められていて、接遇の重要性について再認識した企業も多いことでしょう。本記事では、接遇研修を実施する目的や、接遇研修を選ぶ際のポイントを紹介します。
- 01.接遇研修とは
- 02.接遇研修を実施する目的
- 03.接遇研修の主な内容
- 04.接遇研修を選ぶ際のポイント
- 05.接遇研修|Schoo for Business
- 06.まとめ
01接遇研修とは
接遇研修とは、接遇力の向上を目指す研修です。接遇は接客マナーを身につけるだけでなく、お客様が求めるものを察知し、それにスマートに応える力を身につけることを目的に行います。
接遇研修では、言葉づかいやビジネスマナーといった基礎的な事項を学び、お客様満足度向上に必要な接遇トレーニングまでを行います。必要とされる接客スキルは業種によって多少異なるものの、接遇力は業種の垣根を超えて共通する部分が多いといえます。
02接遇研修を実施する目的
接遇研修の目的は、以下の通りです。
- 1:顧客満足度の向上
- 2:競合他社との差別化
- 3:ブランドイメージの向上
- 4:トラブル・クレームの抑止
- 5:取引先との良好な関係構築
接遇研修の目的は、顧客満足やブランド力の向上、競合との差別化、クレームの抑止、取引先との関係強化など多岐にわたります。企業価値を高める基盤として、組織全体に接遇力を根付かせることが重要です。
1:顧客満足度の向上
質の高い接遇は、顧客の満足度を高め、企業やブランドへの好印象を築くうえで重要です。たとえば、東京ディズニーリゾートのように、顧客に寄り添った対応を徹底すれば、「また来たい」と感じてもらえる体験を提供できます。その結果、リピート客の増加が見込まれ、企業の信頼性や売上向上にもつながるでしょう。
2:競合他社との差別化
接遇力を生かして、お客様への対応方法を工夫することで競合他社との差別化を図れます。オンラインで買い物を済ませられる昨今においては、商品やサービスの付加価値が求められます。同じ商品を販売していたとしても、担当者の良し悪しによって、購入するか否かを決定するお客様も増えています。 仮に、質のいい商品で他社より安い価格であったとしても、マナーが悪かったり、不親切であったりするとクレームへと発展し、お客様を失ってしまうかもしれません。接客では「この人から買いたい」と思ってもらえる対応力が求められているのです。その結果、他社との差別化を図ることができ、競争上の優位性を確立できます。
3:ブランドイメージの向上
リピート客が増え、SNSで良い口コミや評判が増加すると、企業としてのブランドイメージや信頼度がアップする可能性があります。結果的に企業の業績も上がります。反対に、クレームやお客様に対しておざなりな対応ばかりしていると、一気に企業の価値がダウンしてしまう可能性も否定できません。
4:トラブル・クレームの抑止
適切な接遇は、トラブルやクレームの発生を未然に防ぐ効果があります。顧客が不快な思いをすることなく、気持ち良くサービスを利用できるようになると、クレームの発生頻度が低くなります。また、万が一クレームが発生した場合でも、適切な応対で迅速に対応するスキルがあれば、顧客の不満を和らげ、トラブルが大きくなる前に収束させることができます。
5:取引先との良好な関係構築
接遇力の高い対応をすると、取引先と良好な関係を築くことができ、スムーズなやり取りが実現されます。接遇に重きを置いた社風は企業全体に浸透し、安心して取引できる会社として、社外からの評判も上がるでしょう。取引会社とWIN-WINの関係を築け、互いに利益を上げられるはずです。
03接遇研修の主な内容
接遇研修の内容は、以下の通りです。
- 1:表情
- 2:身だしなみ
- 3:挨拶
- 4:言葉遣い
- 5:立ち振る舞い
接遇の基本は「表情・身だしなみ・挨拶・言葉遣い・立ち振る舞い」の5原則にあります。どれもお客様に与える第一印象を大きく左右する要素であり、企業の信頼や満足度を高めるための土台です。研修担当者としては、それぞれの要素が現場でどのように機能し、組織全体の接遇品質をどう底上げできるかを意識して設計・実施していくことが求められます。
1:表情
「表情」は第一印象に大きく影響するため、研修冒頭で取り上げたいテーマです。無表情やこわばった顔は相手に不安や緊張を与える恐れがあり、好印象とはなりません。そこで、親しみや安心感を与える笑顔の基本をはじめ、状況に応じた表情の使い分けを実践的に習得できる内容にしましょう。鏡を使ったセルフチェックやロールプレイなどを通じて、自分の表情を客観的に確認できるよう導き、現場で即活かせるスキルとして定着を図ります。
2:身だしなみ
接遇の一環としての「身だしなみ」は、研修設計において軽視できないポイントです。清潔感のある服装や整った髪型は、言葉や態度以上に印象を左右します。受講者に対して、おしゃれと身だしなみの違いを明確に伝え、会社の代表としての自覚を促す内容が必要です。TPOに合った外見の整え方や、持ち物管理の基本を実例を交えて伝えることで、理解と納得を得る構成が効果的です。
3:挨拶
「挨拶」は、接遇の基本であると同時に、信頼関係の入口です。研修では、明るく、相手の目を見て、適切な距離感で行う挨拶の重要性を体感的に学ばせます。声のトーンやタイミング、姿勢に至るまでの所作を、ロールプレイなどで定着させることがポイントです。また、型にはまった挨拶だけでなく、状況に応じた柔軟な表現ができるよう応用力も養う設計が求められます。
4:言葉遣い
接遇の中核をなす「言葉遣い」は、企業イメージや顧客対応力を象徴する重要なスキルです。研修では、尊敬語・謙譲語・丁寧語を体系的に整理し、現場でよくある会話シーンを想定した演習を通して実践的に習得させます。誤用がクレームに発展するリスクもあるため、誤りやすい表現や言い換えのポイントも網羅的に伝えるとよいでしょう。
5:立ち振る舞い
「立ち振る舞い」は、非言語的な信頼感や誠意を伝える手段として、接遇研修に不可欠です。姿勢や歩き方、ドアの開け方、物の受け渡しなど、細かな動作一つひとつが印象を形づくります。こうした所作を、実演と実践を通じて自然に身につけてもらうことが大切です。洗練された動きは、受講者自身の意識を高めると同時に、顧客や取引先にも安心感を与える効果があります。
04接遇研修を選ぶ際のポイント
接遇研修を外部研修会社に依頼する際は、自社に適した研修会社を選ぶ必要があります。特に以下の点に留意して、研修会社を選定すると良いでしょう。
- ・自社の状況を適切に把握する
- ・研修会社に何を求めるのかを決める
- ・自社の業界に精通した研修を提供しているか
- ・ケーススタディやロールプレイングがあるか
まず、自社の状況を踏まえて研修会社に何を求めるのかを明確にした上で、出来るだけ自社の業界に精通した研修会社や研修講師を選ぶ必要があります。研修で学んだことを実務で活かせないと、研修をする意味がないので、出来るだけ受講者が実務をイメージしやすい研修にする必要があります。
自社の状況を適切に把握する
まずは、自社の状況を適切に把握する必要があります。主に以下のような項目を整理すると良いでしょう。
- ・社員は研修を受講する時間を確保できるか?
- ・人事(研修担当者)はどの程度の工数を割くことができるのか?
- ・社内に講師を担う人はいるか?
- ・社員の課題は?
- ・研修で身につけてほしいことは?
- ・実務でどのようなことを実践してほしいか?
研修を実施する前に、社員がそもそも研修を受講するような時間を確保できるのかを把握する必要があります。シフトを回すので精一杯という状況では、集合研修で半日を確保するだけでも大変です。
また、社内に講師を担うことができる人がいれば、外部会社に頼らずに自社で研修を実施するという選択肢も取ることができるでしょう。その上で、人事はどの程度の工数を研修に割くことができるのかも重要です。接遇研修を座学とロールプレイングに分けた場合に、座学は自社で実施することは難しいが、ロールプレイングは自社で行った方が実務での行動変容を起こしやすいという可能性もあります。
そのため、まずは自社の状況を適切に把握した上で、取りうる選択肢の中から最適な手段を選ぶようにしましょう。
研修会社に何を求めるのかを決める
自社の状況を適切に把握すると、研修会社に何を求めるのかも自ずと決まります。
例えば、座学の部分は外部会社に任せる必要があり、社員も研修の時間をまとまって確保することが難しいということであれば、研修の手法はオンラインを中心に検討した方がよく、社員がパソコンを持っていないという場合はスマホで受講できるeラーニングが選択肢として上がるでしょう。
このように、どの部分を外部に任せ、社員の状況を俯瞰して見ることができると適切な手段を選択することができるようになります。
自社の業界に精通した研修を提供しているか
接遇研修の座学部分は、どの研修会社・講師でも語る内容は大きくは変わらないでしょう。一方で、ロールプレイングやケーススタディとなると、自社の業界に特化した研修を提供しているかどうかは非常に重要なポイントになってきます。
特に、講師は重要なポイントとなります。自社の業界に精通した講師を選ぶと、受講者が実務で活かすことをイメージしながら研修を受講できるので、研修効果を高めることができるはずです。
ケーススタディやロールプレイングがあるか
実践的なスキルを身につけるためには、単に座学で学ぶだけでなく、ケーススタディやロールプレイングといった実践的なトレーニングが含まれているかどうかが大切です。実際のシチュエーションを想定したロールプレイングを通じて、学んだ理論を実際の場面でどのように応用するかを体得できます。また、ケーススタディでは、実際にあった事例をもとに、適切な対応を検討することで、より深い理解が得られます。これにより、知識としてだけでなく、行動の定着を図ることができ、研修の効果が実務に反映されやすくなります。
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■資料内容抜粋
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・自己啓発への活用方法 など

05接遇研修|Schoo for Business

Schoo for Businessでは、約9,000本の講座を用意しており、。階層別研修からDX研修、部署別の研修まで幅広いコンテンツで全てを支援できるのが強みです。
接遇に必要な相手の求めているものを察する能力や、コミュニケーション能力に関する知識の習得という面で活用いただくことが多いです。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年3月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,650円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
Schoo for Businessの資料をダウンロードする
研修と自己啓発を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約9,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
接遇研修だけでなく、その他の研修も実施したい。主体的に学ぶ社員を増やしたいという方はSchooのようなサブスクリプション型のサービスがおすすめです。一方で、接遇研修だけ短期間で実施したい場合は、単発型の研修会社が良いでしょう。
接遇研修におすすめのSchooの授業を詳しく紹介
Schoo for Businessには約9,000本のコンテンツがあります。本記事では、接遇研修に活用できるコンテンツを一部紹介します。
ビジネスでもプライベートでも選ばれる~愛されコミュ力~
この授業では、これからの時代に必要な力「選ばれる人」になる方法を「あなたの心に火をつける育成・コミュニケーション専門家」の桑野麻衣先生と学びます。 仕事の環境が大きく変化しても、あなたが必要とされる、「選ばれる」ためには、コミュニケーションはとても大切です。 コミュニケーションの方法が大きく変わる中でも、あなたが必要とされる「選ばれる」人になれば、大変な時代でも活躍し続けるでしょう。
授業名 | ビジネスでもプライベートでも選ばれる~愛されコミュ力~" |
時間 | 14時間(60分×14コマ) |
学べること |
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あなたの心に火をつける! 人材育成・コミュニケーション教育者
学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社(ANA)に入社。 グランドスタッフとして、7年間で100万人以上を超えるお客様サービスに携わる。 最重要顧客DIAMOND会員専用カウンターのサービス責任者、教育訓練インストラクターを務める。 ANA在籍中、オリエンタルランドに出向し、ディズニーのサービスや教育を学ぶ。 その後ジャパネットたかたや再春館製薬所グループ企業にて教育研修を担当し、独立。 現在では、コミュニケーション、リーダーシップ、接遇マナー等をテーマに新入社員から管理職、 学生から経営者、医療業界など幅広い層に向けて、企業研修や講演を行い、これまでの受講者30000名を超える。
人間関係が上手くいく双方向コミュニケーション
良好な人間関係を築くためのコミュニケーションの取り方は、ビジネス・プライベートどちらのシーンでも避けて通れないものになります。 そこで今回、2021年5月20日に発売された『一流のメンタル 100の習慣』(朝日新聞出版)の著者で、6000人ものCAを育てた日本航空の元管理職教官の山本洋子さんをお迎えし、「人間関係が上手くいく双方向コミュニケーション」について教えていただきます。
授業名 | ビジネスでもプライベートでも選ばれる~愛されコミュ力~" |
時間 | 1時間(60分×1コマ) |
学べること |
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株式会社CCI 代表取締役
短大卒業後、日本航空に入社。国際線客室乗務員として25年間在籍。その間、客室訓練部にて教官をつとめ、CA採用面接官も経験する。海部元首相や皇太子時代の天皇陛下特別便を乗務。チーフパーサーとしてファーストクラスを担当し、国内外のVIPを接客する。管理職に昇格後は、CAの模範となるサービスアドバイザーとして、機内サービスの企画立案、実施並びに約6000人のCAの指導育成、査察に携わる。退職後は、外資系保険会社にて7年間コンサルティング営業に従事する。接遇と営業の経験を活かし、研修会社CCIを設立。国土交通省を始めとした企業研修や経営者ビジネスサロン「エグゼクティブSTYLE」を主宰、女性向け講座も多数開催している。
ビジネスコミュニケーションの教科書
コミュニケーションは、相手が居てくれて成立するものなのでどんな状況にも対応できる正解はありません。 しかし、マナーや心構え、押さえておきたいポイントは基本的に変わりません。 そこで本コースでは、今さら聞けないコミュニケーションの基本をしっかり押さえていきましょう。
授業名 | ビジネスコミュニケーションの教科書 " |
時間 | 7時間30分(50分×9コマ) |
学べること |
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コミュニケーションアドバイザー/大学講師
大学講師、コミュニケーションアドバイザー。大手出版社で営業、編集経験を経て、2000年から大学で敬語、面接、マナー、コミュニケーション、就職講座の講師を担当。国際基督教大学、日本大学芸術学部、明治学院大学、東洋大学、上智大学、東北医科薬科大学など、全国の大学生に楽しくて分かりやすい熱血講義を展開中。 また、社会人研修やコミュニケーション講師として【オーダーメイドの伝え方】をアドバイス。
仕事がデキると思われるビジネスマナーの基本
仕事をする上でのスタンダードとして、新社会人からベテランまで押さえておくべきビジネスマナー。年代や環境が違っても、気持ちよく一緒に働くために必要不可欠なスキルです。 本授業では、全5回にわたって、電話、メール、チャットといったコミュニケーションの仕方から、身だしなみまで、ビジネスマナーの基本を学んでいきます。近年、オンラインでの仕事も増えてきていることから、オフライン・オンラインにおけるポイントなどもご紹介していきます。
授業名 | 仕事がデキると思われるビジネスマナーの基本 |
時間 | 5時間(60分×5コマ) |
学べること |
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株式会社スパークスラボ マスタートレーナー
株式会社スパークスラボ マスタートレーナー。国際コミュニケーション学学士、心理学学士。日本航空客室乗務員、研修会社講師を経て、枠に囚われない現場のニーズに即した学びと気づきの場を提供すべく、現会社設立に参画。その後、ホテル インターコンチネンタル東京ベイの研修支配人としても活躍した。心理学やコミュニケーション学に基づいたメソッドをもとに、新入社員研修、接遇研修、管理職研修などを企画から実施まで手がけ、研修を通じ企業の人材育成に携わっている
06まとめ
ワンランク上の接客である接遇は、日常業務をこなすだけの一朝一夕で身につくものではありません。接遇スキルが向上すると、自社製品やサービスに付加価値が付き、他社との差別化が図れるうえに、お客様満足度の向上や企業のブランドイメージアップにつながります。ぜひ、自社で接遇研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。