新入社員研修の振り返りが重要な理由とは?適切な期間や効果的な方法をご紹介
多くの企業で実施される新入社員研修。新入社員研修は数週間から数か月と比較的長期間にわたって行われます。その中で、新入社員は大量の知識を得ます。残念なことに、ただ研修を実施するだけでは、多量に学んだことの何割かは忘れてしまいます。しかし、記憶が定着し、研修の効果をあげる方法があります。それは、振り返りの時間を設けることです。 この記事では、新入社員研修の効果をあげる「振り返り」の必要性や具体的な方法をご紹介します。
01新入社員研修の振り返りが重要な理由とは
まず、新入社員研修にはなぜ振り返りが必要なのでしょうか。単なる知識の定着のためだけではありません。企業側にとっても、今後の研修を組み立てるときに役立ちます。ここでは、振り返りの必要性について新入社員側と企業側に分けてご紹介します。
新入社員側:振り返りの必要性
新入社員研修は他の研修と比較すると、長期間にわたり一気に膨大な量の知識を吸収し、スキルを身に付けることになります。学んだことを忘れず定着させるためには、反復と実践、そして振り返りが必要です。 また、振り返りをすることで、知識の定着をするだけでなく、研修で学んだことを業務にどう活かせたか、課題は何かが明らかになります。新たに今後の目標設定ができるようになるのです。
企業側:振り返りの必要性
新入社員研修を実施するにあたり、自社の新入社員研修にどんな研修が必要か、意味があるのか研修の選定に苦慮する場合も多いでしょう。研修の振り返りをすることで、研修の効果が分かり、内容の適切さや課題が発見できます。今後の研修の改善やフォローアップにも役立ちます。
02新入社員研修の振り返りを行うタイミング
では、新入社員研修の振り返りはどのタイミングで行えばよいのでしょうか。一般的には、新入社員研修を実施している期間中は毎日振り返りを行います。加えて、効果的な研修にするためには一定期間経過後に行う必要があります。それぞれどのような項目を振り返ればいいのかご説明します。
毎日の振り返り項目
研修中は覚えることが多く、講義についていくだけで精一杯かもしれません。しかし、学んだことを身に付けるためには、研修内容を整理していくことが大切です。次の3点を中心に日々振り返るとよいでしょう。
- ・学んだことは何か
- ・分からない項目は何か
- ・どのように仕事に活かすか
学んだことは何か、分からないことは何かを振り返ることで、学んだことが記憶に残り、分からない項目は残りの研修期間でフォローすることができます。また、どのように仕事に活かすかを考えることで、まだ実践経験がなくても、知識を仕事に役立てるイメージができます。
一定期間経過後の振り返り項目
実際の業務を経験し、一定期間が経過すると研修で学んだことは定着しているか、できていないことは何かが見えてきます。一定期間経過後には、次の4点を中心に振り返るとよいでしょう。
- ・新入社員研修で学んだことは実践できているか
- ・仕事で困っていることは何か
- ・学び直したい項目は何か
- ・ステップアップするために学びたい項目は何か
これらを振り返ることで、どのようなフォローアップをすべきか、次にどのような研修を実施すべきかのヒントが得られます。
03日々の研修の振り返り:具体的内容
振り返りの重要性は分かっているが、実際に何をすればいいか分からない方も多いでしょう。ここでは、入社後の新入社員研修期間中に日々実施できる具体的な内容をご紹介します。日々実施するものですから、研修の運営担当と参加者のみで行え、難しいものではありません。
日誌の作成
新入社員研修開始前に、日誌を配布しておきます。そして、毎日学んだ項目、印象に残ったことを書かせましょう。日誌を後で読み返すことで、振り返りになります。また、研修担当者がコメントを書いてフィードバックするとより効果的です。
グループディスカッションと個別振り返り
学んだことをグループで話し合うことで、より深い学びを共有することができます。新たな気づきにもなるでしょう。さらに、新入社員同士の連帯感も生まれます。尚、グループディスカッションの前後は、個人で考えをまとめることも大切です。
確認テスト
確認テストは新入社員の理解度を測るためによく使われます。毎日の終わりに実施することで、理解していない部分が見えやすくなります。講師が確認テストを作る方法もありますが、受講生同士で問題を出し合う方法もあります。テストを作るということは、当然答えを分かっていないとできません。より、理解度が増すでしょう。
04一定期間経過後の振り返り:具体的内容
一定期間経過後の振り返りは、実際に業務を行ってから行います。配属された後の振り返りになるので、新入社員自身で行う振り返り以外に上司や先輩社員を巻き込んだ振り返りが実施できます。方法としては、次のようなものがあります。
アンケート
研修の振り返りの際に最も使用される方法がアンケートです。選択肢方式の場合は、最近では自動集計できるツールもありますので、手軽に集計することができます。理解度などが一目で見て分かるので、新入社員自身の振り返りだけでなく、新入社員研修の改善にも役立ちます。また、記述式で研修の前後にアンケートを取ると、どのように成長したかを見ることができます。
レポート作成
アンケートと同じく、研修の振り返りでよく使われます。新入社員がある程度時間をかけて作成するので、じっくり振り返りができます。 レポートのテーマは、研修の内容を理解し実践しているか、研修終了後に立てた目標を達成しているかということを中心にするとよいでしょう。
インタビュー
インタビューでは、新入社員の声を直接聞くことができます。研修を受講したことでどのような気付きや学びがあったかを研修担当者が聞くことで、新入社員の本音を知ることができます。研修の内容以外にも、新入社員の悩み等も聞く機会となり離職防止にも役立ちます。
配属先での行動観察
配属先での行動観察とは、研修受講後の実際の働きぶりをみることです。配属先の上司や先輩社員を対象に、アンケート・ヒアリングを実施することで、新入社員の様子を知ることができます。配属先には、新入社員研修の内容を共有し、どのような点に注意して見てもらいたいか予め伝えておきましょう。
プレゼンテーション
プレゼンテーションとは、研修で学んだ内容を実践した事例をまとめ、発表する方法です。入社時と1年経過後の比較や課題、今後目指したい姿等をまとめるとよいでしょう。2年目の社員の発表を新入社員が見学するのも効果的です。相手が分かりやすい資料を作成したり、分かりやすく伝えるために工夫することで、スキルアップにも繋がります。
05研修振り返りの手法とは
新入社員研修の振り返りの際、何が身に付いていないのか分からない、何を指標にすればいいかわからないという声も多く聞かれます。ここでは、新入社員研修の振り返りの際に役立つ手法をご紹介します
KPT
KPTとは、取り組んでいる活動や仕事について、振り返りによって改善を進める方法です。頭文字をとってKPT(ケプト)という次の3つの項目にしぼって振り返ります。
- ・Keep:良かったこと、今後も続けていきたいこと
- ・Problem:問題点や改善したいこと
- ・Try:問題点・改善点を踏まえ、今後実践したいこと
このように振り返るべき項目を整理することによって、振り返り後に「何をすればよいのか」が明確になります。1人でも大人数でも活用可能で、課題を共有し、改善すべきことを明確化できます。新入社員自身の振り返りだけでなく、新入社員研修の運営側の振り返りに使えます。
PDCA
PDCAとは、 Plan(計画)・ Do(実行)・ Check(評価)・ Action(改善)の頭文字をとった用語です。PDCAのサイクルを回していくことで、継続的な業務の改善をうながします。新入社員研修の振り返りには、次のように活用します。 まず、研修終了後、特定期間内に実施する計画を作成し、実行します。その際、評価できるように目標を立てておきましょう。そして振り返り、結果を整理し評価や気づきをまとめましょう。更に、次回に向けての改善策を考えます。
定量分析
定量分析は数値データを元に分析する手法です。例としては、選択式のアンケートや自社HPのアクセス解析などがあります。析数値データを用いるため、客観的な判断ができ、認識のずれが生じにくいというメリットがあります。数値の変化を見たり、比較することで問題点をあぶり出すことができます。 新入社員には、なかなか難しいかもしれませんが変化は分かりやすいでしょう。新入社員教育の振り返りに使える定量分析の例としては、研修前後のアンケートや、配属から一定期間経過後の不良品発生率の変化(新入社員作業分)などがあります。
06新入社員研修の振り返り後にはフォローアップ研修が重要
フォローアップ研修とは、研修の終了後一定期間が経過した後に再度同じメンバーが集められ開催される研修です。新入社員研修の振り返りで見えた、「定着していない知識やスキル」を学びなおすことができます。また、今後の目標設定などを実施するのもよいでしょう。さらに、配属後一定期間を経て行うので、配属後の不安解消や同期との連帯感の構築にも役立つでしょう。
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■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など
07Schoo for Businessの新人研修
Schoo for Businessでは8,500本以上の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自己啓発を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自己啓発にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自己啓発には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7,000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自己啓発の双方の効果を得ることができるのです。
2.Schooの新入社員研修カリキュラム
様々な研修に対応できるSchoo for Businessの研修パッケージですが、もちろん新入社員研修にも対応しています。Schooの新入社員研修パッケージには、新入社員がまず身につけなければならないビジネスマナーや報連相に関する知識から、ビジネスパーソンとして必要なOAスキルやコミュニケーションスキルまでがラインナップされており、新入社員に必要なスキルや知識をこの研修パッケージで網羅できます。
さらに、社員に研修動画を受講してもらった後に、意見の共有会やディスカッションを行うことで、学んだことをより効果的に定着させることができます。
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3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
08まとめ
この記事では、新入社員研修振り返りの必要性、新入社員研修の振り返りのタイミング、振り返り項目や手法をご紹介しました。新入社員研修の振り返りをすることで、新入社員は知識の定着ではなく、課題の発見ができます。今後のステップアップに向け、具体的な目標ができ、モチベーションの向上にも繋がるでしょう。企業側はよりよい研修の改善に役立てることができます。ぜひ、企業に応じた振り返りを実施してください
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登壇者:高木 一史 様サイボウズ人事本部 兼 チームワーク総研所属
東京大学教育学部卒業後、2016年トヨタ自動車株式会社に新卒入社。人事部にて労務(国内給与)、全社コミュニケーション促進施策の企画・運用を経験後、2019年サイボウズ株式会社に入社。主に人事制度、研修の企画・運用を担当し、そこで得た知見をチームワーク総研で発信している。