公開日:2021/04/30
更新日:2023/04/23

メンター制度とは?導入方法や定着活用のポイントを紹介

メンター制度とは?導入方法や定着活用のポイントを紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

新入社員等の若手社員の育成や早期離職防止を目的とし、多くの企業でメンター制度を実施しています。しかし、制度の導入の仕方が分からない、なかなか社内でメンター制度が定着しないという声もあります。この記事では、メンター制度とはどのような制度か導入方法や定着活用のポイントをご紹介します。

 

01メンター制度とは

メンター制度とは具体的にはどのような制度なのでしょうか。メンター制度とは、新入社員や若手社員に対して、年齢や社歴の近い先輩社員が指導や支援をおこなう制度のことを指します。一般的には職場の上長は担当しません。業務を教えるOJTと違い、精神面でのサポート・キャリア形成をはじめ生活上の悩みを受け止めます。ここでは、更に詳しくメンターの由来、メンターとメンティとは何かをご説明します。

メンターの由来

メンターは英語では、「mentor」と表し、日本語に訳すと相談者や助言者という意味になります。古代ギリシャの叙事詩の登場人物「メントール」という賢者に由来するそうです。メントールは王に助言を与えたり、指導をする人物でした。このメントールという人物名から、助言を与えたり指導する立場の人を「メンター」と呼ぶようになりました。

メンターとは

メンター制度では、指導する側のことを「メンター」、指導される側のことを「メンティ」と呼びます。 一般的には、メンターはメンティとは違う部署の少し年上の先輩社員が担当することが多いでしょう。メンターはメンティの上司ではありません。仕事を直接与えることはしません。 自身の経験を活かし、キャリア形成をはじめ生活上のさまざまな悩み相談を受けながら、育成にあたります。メンターの役割は、仕事の意味を考えさせ、問題解決の支援をすることになります。尚、この対話により、個人の成長をサポートする指導法をメンタリングといいます。 比較的近い立場にある人がメンターとなるのは、精神的な部分のサポートをするにあたって、共感を得やすいことが理由のひとつとなっています。

メンティとは

メンティとはメンターの指導や助言を受ける人のことを指します。入社したばかりの新入社員がメンティとなるパターンが多いですが、近年では女性の活躍推進やキャリア開発のため、目的によって女性や中堅社員がメンターを持つケースもあります。 メンティにとってメンターは直属の上司ではなく、年や経歴が近いため、気楽に相談できる存在です。第三者の視点でアドバイスを受けることができるでしょう。また、入社間もない社員にとっては、メンターがいることで社内組織と繋がっているという安心感も得られるでしょう。更に、自身のキャリアを考える上でロールモデルにもなってくれます。

OJT制度との違い

OJT(On the Job Training)は、現場での作業を通じて知識やノウハウを身に着けさせる人材育成の手法です。メンター制度は仕事に対する悩みや課題解決をサポートすることに重きを置いているのに対して、OJTは効率的に知識や技術を教えることで、人材の早期戦力化を目的としています。そういった意味ではメンター制度とOJTは同じように見えて異なるものであると言えます。また、一般的に同じ部署の先輩・後輩、上司・部下など、利害関係のもとに成り立つものではなく、メンター制度は異なる部署の先輩社員が務めることが一般的です。

 

02メンター制度の目的

メンター制度は若手社員の離職防止を始め、色々な効果があると言われています。近年では、キャリア開発に活用する企業も増えてきています。ここではメンター制度を導入する目的を紹介します。

社員の定着

厚生労働省では、毎年、新規学卒者の離職状況データを発表しています。新入社員として入社後、約3割が1〜3年以内に離職しているというのが現状です。せっかく採用した新入社員が数年で辞めてしまっては、企業にとって大きな損失です。メンターがいることで、若手社員が一人で悩みを抱え込まず離職防止に役立ち、定着につながるという効果があります。

社内コミュニケーションの活性化

メンター制度を導入することで、通常の業務では関わることのない社員同士の交流の機会が増えます。部署の垣根を超えたコミュニケーションが行われることになります。社内のコミュニケーションの活性化に効果があるでしょう。企業活動を進める上で社員が共通の目標に向かい、仕事の成果を高めるためには、円滑な社内コミュニケーションが必要不可欠です。社内コミュニケーションの活性化は業績向上にも繋がるのです。

ダイバーシティの促進

近年のキャリアに対する価値観や働き方の多様化が進んでいます。それに伴い、「将来の自分」が描きにくくなり、ロールモデルの必要性も高まってきています。女性の就業促進や管理職への登用の不安を払拭するために、新入社員以外にもメンター制度を導入する企業も増えています。例えば上司部下とは異なる関係性であるメンター・メンティーとして自身よりレイヤーの高い社員と接することで、新しい視座の獲得やダイバーシティの促進に役立ちます。

将来のリーダー・マネジャーの育成

メンターのマネジメントスキルの向上に繋がります。 メンターは、仕事だけでなくプライベートの悩みの相談に乗り、キャリア形成を助けます。これらは人材のマネジメントに通じるものがあります。リーダーやマネジャーになったときに、メンターとしての経験が役立つでしょう。

組織の風土や文化の浸透

組織の風土や文化を伝えるのは難しいものです。 組織風土とは、「従業員間で共通の認識とされる、独自の規則や価値観など」です。組織文化とは、「従業員間で共有されている信念や前提条件、ルール」です。 明文化されていない企業独自の風土や文化をメンターとのコミュニケーションの中で自然と伝えることができます。

 

03メンター制度のメリット

メンター制度を導入することで、メンター・メンティともにメリットがあるので、ここで解説します。

メンターのメリット

メンターのメリットには、自分の経験に自信を持たせることやモチベーションアップにつながる事が挙げられます。メンターを任せることで、自身のキャリアや成功体験、失敗経験などを棚卸しするきっかけになります。キャリアの棚卸しから、自分の成長を感じられるだけでなく、自分のキャリアを見つめ直すことができます。自分がキャリアのどの位置にいるのかが把握できれば、メンター自身のモチベーションアップが期待できます。 また、その他にもメンターとしての傾聴や伝え方などのコミュニケーションスキルの向上もメリットの一つと言えます。

メンティのメリット

メンティ側のメリットとしては、早期に職場に馴染めることや、心理的な安全を確保できることが挙げられます。 入社したての段階などでは、一人で悩みを抱え込んだり、職場に馴染むのに時間がかかる人もいるでしょう。メンターに相談ができる環境があることで、味方がいるという安心感を持つことができ、職場での居心地が良くなることが期待できます。

 

04メンター制度のデメリット

メンター制度のメリットをお伝えしましたが、デメリットも存在します。ここではメンターとメンティにとってのデメリットを解説します。

メンターのデメリット

メンターは自分の業務をこなしつつ、メンティをサポートすることになるため、業務負荷が大きくなってしまうことがデメリットと言えます。メンターとして相談を受けることは、業務とは無関係なため、疲労が溜まってしまわないよう、会社としてメンターをサポートする体制が必要です。

メンティのデメリット

メンティはメンターとの相性によってパフォーマンスが大きく左右される可能性があることが考えられます。メンターによって相談できる頻度や接し方は異なるため、場合によっては信頼関係がうまく構築できない可能性があります。そのため、メンターとしての意識を全社で共有しておいたり、慎重なマッチングが必要です。

 

05メンター制度の導入方法

では、いざメンター制度を導入しようとする場合はどのようにすればいいのでしょうか。導入のためには、メンター制度の理解や社内での周知が必要となります。ここでは、どのような手順で導入すればいいかをご説明します。

メンター制度の理解

まずは、運営側はメンター制度とはどのようなものか、どのように活用すればいいか理解する必要があります。運営担当がメンター制度に関する研修を受けたり、他社の導入事例の話を聞くのもいいでしょう。

メンター制度導入の目的を設定

自社が何を目的として導入するのか明確にしましょう。その際、効果の測定方法についても予め設定しておきます。 効果の測定の指標には、メンター制度そのものに対する満足度や離職率などがあげられます。

トップ・社内への周知

メンター制度をスムーズに進めるためには、社内の理解と協力が必要です。理解がないと、メンターがメンティにかける時間を無駄だととらえる管理職もいます。 尚、トップの号令があれば、メンター制度も浸透しやすいでしょう。メンターやメンティだけでなく、全社員に、制度の目的や内容について周知することで重要性を認識してもらえます。メンターも活動がしやすくなります。

運用ルールの制定

メンターとして活動しようとしても、運用ルールが定まっていないと、どう活動していいか分かりません。 制度の開始の前に運用ルールを制定しておきましょう。 具体的な項目は次の通りです。 ・制度の期間 ・メンターとメンティの面談の頻度、回数、実施時間 ・実施場所 ・費用の援助 ・進捗の確認方法 ・守秘義務

関係者への教育

制度導入にあたっては、これまでメンターとしての経験が無い人が大多数であるため、教育が必要です。 教育には、メンター制度の概要・意義・目的の理解や進め方を盛り込みましょう。教育は一度だけでなく、継続的にフォローアップするようにしましょう。

メンター制度が効果的に運用されているかを調査

メンター制度を改善、より活用するために、メンター期間終了後に関係者を対象に調査を実施しましょう。方法としては、関係者へのヒアリングやアンケート調査、報告会等があります。そこでの意見が次年度のメンター制度の改善のヒントになるでしょう。

 

06メンター制度の定着・活用のポイントとは

せっかく、メンター制度を入れたとしても形骸化してしまい、活用されないと意味がありません。なかには、メンターの負担になるばかりで、効果がないと悩まれる企業もあります。では、メンター制度が社内に定着し、活用されるには、どのようなポイントに注意すればいいのでしょうか。

メンターの役割の明確化

メンターの役割を明確にして、メンターとなる社員、上長と共有しておきましょう。役割が不明確だと、メンターが何をすればいいのかわかりません。 メンター制度の目的に合わせて、メンターに何を期待するのか、負担の範囲を整理しておく必要があります。

メンターの適切な選出

メンターとメンティのマッチングは非常に重要です。メンターの選出方法には、運営側がメンティの年齢や経験等から指定する方法と、希望者をつのる方法があります。どちらの方法がよいかは企業によって違うでしょう。 メンターに適しているのは、傾聴力や受容力が高く、面倒見のよい人です。加えて、メンターとメンティの相性も重要です。あまりにも行動特性が違いすぎると、相性が合わず、適切なコミュニケーションが取れない可能性もあります。運営側がメンタ―、メンティのバックグラウンドや行動特性を把握しておくとスムーズです。また、前提として高い能力と業務実績を有していることも重要です。経験が豊富で育成に対して熱心であることなど、職務に対する姿勢が後輩社員のお手本になるかどうかも重要なのです。

メンターと運営側のコミュニケーション

メンター制度を定着させるためには、メンター側のケアも重要です。真摯に取り組むメンターであるほど、どのように取り組めばいいのか、自分の対応は正しいのか悩むことも多いでしょう。メンターが制度をストレスに感じてしまっては、元も子もありません。定期的に運営側とメンター、メンター同士で情報交換する機会を作りましょう。

メンターへの研修

メンターがメンティーと円滑なコミュニケーションを図り、意欲を引き出すために、コミュニケーションスキルや指導スキルを向上させる研修を行いましょう。詳細については、次の項目でご説明します。

 

07メンターに必要なスキルとはとは

研修を通してメンターに対して、どのようなスキルを習得して貰えば良いか悩む方も多いかと思います。メンター制度についての理解は大前提ですが、それに加え、研修を通して、傾聴力やコーチングなど、メンターに求められるスキルを習得してもらう必要があります。研修をより効果的な支援の場とするために、ここではメンターに必要なスキルを具体的に解説していきます。

傾聴力

傾聴とは、相手が話したいことを引き出す、カウンセリングの際にも用いられる技法です。 メンティの言いたいこと、伝えたいことをより深く引き出し、円滑なコミュニケーションをとるためには必須と言えるでしょう。

共感力

メンターに求められるスキルとして、傾聴力と似たものとして挙げられるのが、共感力です。共感力とは、他人の考えや意見を察したり、喜怒哀楽など、他人の感情に寄り添うことができるスキルを指します。必ずしもメンティが自分と同じ考えを持っている訳ではありません。むしろ違う考えや意見を持っているでしょう。そのため、メンターはメンティの考えや意見を想像し、気持ちを理解する共感力が求められます。

コーチング

コーチングとは問いかけて聞くことを中心に、相手の内面にある答えを引き出す目標達成の手法のことです。 コーチングスキルは前述した「傾聴力」を活かしたコミュニケーション手法です。メンターはコーチングスキルを活かして、傾聴したことに対する適切な質問をし、メンティを認めた上で能力や可能性を引き出します。そして、メンティに行動を促し、結果につなげていくのです。類似する言葉としてティーチングがあります。コーチングでは、ティーチングのように答えを与えることは行わず、あくまで答えは自分自身にあるという考えの元、メンティ自身の気付きに重きを置きます。

信頼関係の構築力

メンティとの信頼関係構築もメンターに求められるスキルの一つです。どんなに優秀な社員であってもメンティとの信頼関係がなければ、メンティ自身が自己開示をしてくれず、適切なサポートをおこなうことができません。信頼関係を得るためには、事前に得られる情報を元にメンティを知り、メンター自身も自己開示をおこなっていきましょう。


 

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08Schoo for Businessの特徴

Schoo for Businessでは約8,000本の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

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1.Schooのメンター研修の特徴

Schoo for Businessはメンター研修に最適なオンライン学習サービスです。Schooの授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、メンターに必要な「傾聴力」や「コーチング」などのスキルを全て学ぶことができます。また、スマホやタブレットでの受講もできるため、時間や場所を問わず、通勤中など、いつでも学ぶことができます。

2.メンター研修におすすめのコーチング研修パッケージ

メンター研修には、Schooのコーチング研修パッケージがおすすめです。コーチング研修パッケージでは、メンターに必要なコーチングスキルの基礎からコーチングに必要なコミュニケーションスキルまで、カリキュラムを組み合わせて網羅的に構成されており、コーチングスキルをおよそ3時間(各60分)で体系的に学ぶことができます。

さらに、社員に研修動画を受講してもらった後に、意見の共有会やディスカッションを行うことで、学んだことをより効果的に定着させることができます。

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3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる

Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。

管理画面の使い方1

まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。

管理画面の使い方2

この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。

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09まとめ

この記事では、メンター制度とは、メンター制度の効果と目的、メンター制度の導入方法、メンター制度の定着・活用のポイントをご紹介しました。 メンター制度は効果が出るのに時間はかかりますが、早期離職の防止やメンターにとっても成長のきっかけになるなど、様々なメリットのある制度です。未導入の企業様は、本記事を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか。すでに導入済の企業様は、ぜひ活用のポイントを参考にしてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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