OJT期間の理想の長さとは?失敗しないためのポイントを紹介

この記事では、OJTを実施するのにはどのくらいの期間が良いのか、充実したOJTを行うために気を付けるべきことは何か、などについて紹介しています。ぜひこの記事を参考に適した内容でOJTを行い、人材育成に役立ててください。
- 01.OJTの意義とは
- 02.OJT期間は一般的にどの程度の長さが多い?
- 03.OJT期間を長くするメリット
- 04.OJT期間を短くするデメリット
- 05.OJT期間を決めるためには計画の立案を
- 06.OJT期間を充実させるためのポイント
- 07.まとめ
01OJTの意義とは
OJTとは「On the Job Training」の略で、勤務する職場で実務を通じて行われる人材育成法のことです。 OJTは多くの場合、企業内で通常の業務と並行して行われます。上司や先輩社員からの実践的な仕事のノウハウを体感できるため、即戦力の育成に最適です。OJTは時代とともに変化しながら、現在も多くの会社で採用されています。
02OJT期間は一般的にどの程度の長さが多い?
OJTの期間は、明確なデータがあるわけではなく、適切な期間として設定されているものも特にありません。短期間の場合は2日間〜1週間程度でOJTを行っている企業もあります。一方で約1年と長期間のOJTを実施する企業もあります。 新入社員の育成を目的にOJTを実施する場合は、4月の入社期から翌年の3月まで、約1年にわたって行われることが多いものです。 仕事に必要なスキルを学ぶだけではなく、実践力として身につけるためには、最低でも3か月はかかるといわれています。多忙な職場事情があったとしても、OJTには最低でも3ヶ月以上の期間を設定するのが良いでしょう。
03OJT期間を長くするメリット
ここでは目安として「3ヶ月以上」のOJT期間を長いと設定した前提で聞いて頂ければと思います。 ある程度の時間をOJTにかけたほうがいいのはなぜでしょうか。OJT期間を長くした場合のメリットをお伝えしていきます。
計画的に新入社員を育てられる
長期間のOJT期間のメリットは、スケジュールも計画的にじっくりと立てられ、社員の育成を着実に行えることと考えます。 「1〜3か月目ではこの程度まで、6か月目にはここまで成長すれば独り立ちさせる」などと計画的に時間をかけ、育成することで、社員にも極度な負担をかけずに済みますし、育成担当側も社員一人ひとりの成長をじっくり見ることができます。
個人のトレーニングもできる
OJT期間を長く設定することで、個人トレーニングも可能となります。同じ研修内容で育成しても、やはり社員一人ひとりの習得度や理解度は違うものです。OJT期間を長く設定しておけば、その分スケジュールに余裕を持つことができます。 遅れている社員にはより手厚いフォローを、習得や理解が早い社員には次のステップへ進ませることができます。 一人ひとりにあったトレーニングを行うことで、人事担当者は配属先を決める際に、適切な配置が可能となり、個々の能力を発揮させやすくなるのです。結果として、企業の業績アップにもつながるでしょう。
人間関係を広められる
OJT期間を長く設定しておくと、社内での人間関係の構築に時間をかけられるはずです。新入社員が実践的な業務に入った時に、モチベーション高く仕事を続けられるかどうかは、スキルだけではなく人間関係も大きく影響してきます。 OJT期間内に尊敬できる社員や頼れる社員とつながることで、社員の離職予防も期待できます。
04OJT期間を短くするデメリット
OJT期間を短くした場合には、どのような影響が出るのでしょうか。デメリットとしては、以下の点が挙げられます。詳細を説明していきます。
新入社員のモチベーションが下がりやすい
OJT期間が短い場合、十分に社員が必要な知識を習得、理解できていない場合が多いものです。いざ現場に出たときに、先輩社員からミスや不慣れさを指摘される日々が続いた場合、精神的・肉体的に負荷がかかってしまいます。 そのことでモチベーションが低下し、早期の離職につながってしまうおそれがあります。
研修後のギャップに悩まされることも
OJTを受ける社員は、研修期間が短いと業務に対する具体的なイメージを持てないまま、実践業務に携わらなければいけないデメリットがあります。 自分がイメージしていた仕事とのギャップに悩まされ、業務に集中できず、能力を発揮できないという事態も招きかねません。そういったギャップをなくすためにも、OJTはしっかりと行う必要があります。
十分に必要な知識を教えられない
指導側としても、短い期間では、十分に必要な知識を教えられません。OJTとは実践的な現場で一人立ちし、即戦力となるための育成期間です。この期間内で十分な知識を身につけられず、現場に出てしまうと活躍の機会を見出せないかもしれません。
OJT担当者の業務負担がかかる
OJT期間が短く、余裕のないスケジュールで育成を行うことになると、OJT担当者に業務負担がかかることもあります。 育成を焦るあまり、指導する社員にパワハラ的な言動をしてしまったり、短期的な目線でしか成果を追えなくなってしまったりするケースも考えられます。
05OJT期間を決めるためには計画の立案を
効果的にOJTを進めるため、また適したOJT期間を決めるためには、計画の立案が重要です。ここからは抑えるべきポイントについてお伝えしていきます。
OJTの目標と計画を立てる
OJTを行うにあたって、まずは事前に研修へ参加する社員に習得させるべきスキルや作業を選定し、OJTの目標と計画を立てることが最初のステップです。 目標を立てる際には、目標の達成基準、期間、達成のための具体的な対策や手段・方法などを決めます。
トレーナーを選定して一度期間を決める
OJT対象となる社員の情報を人事部門から受けたあとは、トレーナーを選定します。選定にあたっては、それぞれのスキルや特性などを加味して行います。トレーナーの人柄も重要で、励ましや応援の仕方が上手だったり、問いかけをして思考や具体的な行動を促せたりできる方を選定するのが望ましいものです。 OJTはOJT担当の育成にもつながるため、あえて社会人3~5年目の経験の浅い若手を選ぶ企業も少なくありません。
OJTでは決まった内容を最初から最後までノンストップで行うよりも、週次や月次で定期的に振り返り、途中経過を見ながら研修内容や研修スピードを調整していくのが良いとされています。OJT対象社員の習得レベルや理解力に合わせて柔軟な対応を取りましょう。
OJT期間終了後はフィードバックを行う
OJT期間終了後には、ぜひフィードバックを行ってください。最初に立てた目標や計画内容に沿って、進捗状況を確認し、評価していきます。 フィードバックは、簡単に見えて意外と難しく、相手を傷つけてしまって信頼関係を損なうこともあります。 最初のうちは、受け手側の心情を慮りながら、伝える順番や伝え方を考えていくと良いです。1対1のミーティングと組み合わせて行うのもひとつの手です。
06OJT期間を充実させるためのポイント
せっかくOJTを行っても、ただの形式上のものになってしまっては、時間と労力を無駄にしてしまいます。ある程度の期間を設けたほうが良いこともありますので、実施するときにはしっかりと体制を整えて、充実したOJTを計画しましょう。
新入社員を放置させない体制を整える
OJTにおける失敗として、「新入社員を放置してしまう」という問題があります。OJTを導入したのに、トレーナーからの指導はほとんどなく、トレーニーが放置されてしまうケースが少なくないのです。 これを避けるためには、研修をトレーナーだけに任せず、関係部署が連携し合い、チームで適切なフォローを行うことが重要です。
トレーナーの事前研修を行う
OJTは、トレーナーとなる上司や先輩社員とのマンツーマンでのやりとりが基本スタイルです。社内で優秀といわれる社員をトレーナーに選出しても、いざOJTを実施すると、指導がうまくいかなかったということもあり得ます。 こうした事態を防ぐためには、指導法について研修を行うなど、会社側が責任をもってOJTをサポートする必要があります。
OJTを体系化させて目標を達成する仕組みをつくる
OJT期間を充実させるためには、体系化させて目標を達成する仕組みをつくることも重要です。OJTの指導内容やスケジュールが漠然としていては充実度も下がってしまうため、計画する段階で、明確な目標を設定し、フィードバックのタイミングなど、できるだけ細かな内容を設定しておくことが必要です。 最初に設定しておく内容が細かければ細かいほど、OJTの実情と計画とのズレを早期発見しやすいものです。OJTは会社に必要な人材の育成が目標ですので、目標達成に向けてOJTを継続していけるような仕組みをつくりましょう。
追加のトレーナーを確保しておく
トレーナーとトレーニーの相性は、OJTに良くも悪くも影響を与えます。計画通りにOJTを続けられなかった時のために、代わりとなるトレーナーを確保しておくことをおすすめします。
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07まとめ
この記事では、OJTの基本から、OJTを行う際に気をつけるべき注意点などを細かくお伝えしてきました。OJTは一般的な研修方法ですが、上手く機能しなかったり、ただ負担と時間がかかってしまったりするケースもあるため、気をつけて行う必要があります。 OJTは新入社員の即戦力化だけでなく、既存の人材の育成にも活用できます。今回の内容を参考にOJTに取り組み、ぜひ企業の成長に役立ててください。