サーベイとは|アセスメントやリサーチとの違いや代表的なツールを紹介
サーベイという用語を利用することはビジネスシーンでも多々あります。本記事では、人事部門がおさえておくべきサーベイをテーマに解説しています。人事部門がおさえておくべきサーベイの種類や類似用語についての理解を深めていきましょう。
- 01.サーベイとは
- 02.サーベイと類似用語の違い
- 03.サーベイの種類
- 04.サーベイのメリット
- 05.サーベイのデメリット
- 06.サーベイを行う上での注意点とは
- 07.代表的なサーベイツール3社を紹介
- 08.まとめ
01サーベイとは
サーベイ(survey)とは、物事の全体像を捉えるために広範囲で実施される調査のことです。一般的には、従業員を対象にした自社に対する満足度やエンゲージメントに関する調査のことをサーベイと呼びます。
昨今は大企業から中小企業、スタートアップまで企業規模を問わず、サーベイを活用する企業が増えてきています。社員のエンゲージメントや満足度を定量化することによって、施策の立案や効果計測に活かすことができるためです。
02サーベイと類似用語の違い
サーベイの類似用語には、リサーチやアンケート、アセスメントなどがあります。これらに明確な違いは定義されておらず、ニュアンスや使う際の文脈が異なることが多いです。
リサーチとサーベイの違い
リサーチは、主に文献や情報を活用した調査・研究のことをいいます。サーベイが組織開発の文脈で使われることが多いのに対して、リサーチは、主にマーケティングの文脈で用いられることが多い言葉です。具体的には、競合他社や消費者の意識や嗜好性の調査をする際にリサーチという言葉は用いられます。
アンケートとサーベイの違い
アンケートは、情報収集における手法の1つです。一般的には、特定のテーマや事項を調査するために、不特定多数の人々に対して同じ質問をすることをアンケートと言います。一方で、サーベイは情報を収集するプロセス全般のことを言います。そのため、サーベイの手法の1つとしてアンケートがあるという整理が正しい認識です。
アセスメントとサーベイの違い
アセスメントとは、一般的に客観的に評価することを指します。人事領域におけるアセスメントは、 社員の適性や能力を定量的な基準で評価するテストやアンケートなどのことを言います。サーベイが、社員が組織や周囲の環境において、どのように思っているかを定量化するために用いられるのに対して、アセスメントはその社員自身の適性や能力を定量化するために用いられるという違いがあります。
03サーベイの種類
人事部門がサーベイを行うには、いくつかの種類があります。次に、人事部門が実施するサーベイの種類について解説します。人事部が主体となり実施するサーベイの種類を理解し、必要に応じて実施していきましょう。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイとは、働く従業員が会社や商品に対してどれくらい愛着心を持っているかを測定するサーベイです。愛社精神を判断する材料とされており、数値が高いほど離職率が低く、企業成長が高いと言われています。
パルスサーベイ
パルスサーベイとは、従業員に対して簡易的な質問を短期間に繰り返し実施する意識調査のサーベイです。比較的、質問数が少なく結果の変化や動向を調査する目的で実施します。質問内容は固定され、同じ質問を繰り返し実施する点に注意が必要です。
従業員サーベイ
エンゲージメントサーベイと同様に従業員の現状把握のために行われる従業員向け調査のことを指します。社内サービスや福利厚生などの満足度などをはかる際にもちいられるサーベイとなり、必要に応じて実施されます。
組織サーベイ
従業員のモチベーションや満足度、エンゲージメント、周囲との関係などの組織状況を特定するためのサーベイです。企業の健康診断とも言われ、現在の会社状況を把握するために実施されるサーベイを示します。
モラールサーベイ
従業員意識調査と呼ばれ、社員が組織や同僚に対して抱えている思いや社内改善へとつなげていく際に活用するサーベイです。現在では、パワハラなどの問題に対しての調査として実施している企業が増えてきています。企業において、モラル面での課題は経営課題として捉えられるため実施をしている企業は年々増加していると言われています。
04サーベイのメリット
人事部門が従業員に対してサーベイを実施するメリットはどんなものがあるのでしょうか。次に、サーベイを実施するメリットについて解説していきます。メリットを理解しサーベイの活用シーンを想定していきましょう。
課題の早期発見に繋がる
サーベイを実施することで社内における課題の早期発見につなげることができます。日常の業務中には見つけにくい課題であっても、サーベイを実施することで意見を吸い上げられることも多く、社内でおきている問題や課題の早期発見が可能です。課題を早期発見できたら、問題が大きくなる前に対応することができ、従業員の安心にもつながっていくメリットがあると理解しておきましょう。
従業員の定着率の向上
サーベイを行い課題の早期発見ができれば、従業員に対しての対応も早期に行うことができます。従業員にとっては安心できる印象を受けることにつながります。この安心感により従業員が会社に対しての信頼を高め、結果的には定着率の向上に寄与することが可能となります。逆に定期的なサーベイを実施しても、改善が実施されない場合には、不信感に繋がるためサーベイの結果の公開や対策の実施は必ず行う必要があると考えておきましょう。
会社変革の判断材料となる
サーベイで調査する内容にもよりますが、サーベイで集まった情報は会社変革の判断材料となる場合もあります。従業員からの意見を集め集約する中で、複数人からの意見や会社運営に影響すると判断できる意見については、会社変革の判断材料として扱う必要があり早急な対応を行うことが必要な場合もある点を理解しておきましょう。貴重な意見を収集できるサーベイの結果は、経営層が予測している結果と同じではないことが多々あります。こうした場合には、経営層は意見を事実として受け入れ変えるべきことと維持することを冷静に見極めて対応する必要がある点を理解しておきましょう。
05サーベイのデメリット
この章では、サーベイを実施することによるデメリットを紹介します。
社員の負担になる
サーベイの回答にかかる時間は、30分程度でしょう。しかし、その30分を負担に感じる社員がいる可能性もあります。「意味があるように思えない」・「忙しいのに時間の無駄」といった感情を抱き、反発や無回答、適当な回答をするといった社員がいても不思議ではないでしょう。このような状態では、実施する意味がなくなり、サーベイを実施するコストも無駄になってしまいます。
社員の不満に繋がる
サーベイを行うことが目的となってしまうことにも留意しなければなりません。サーベイの結果を受けて、社内が何も変わらなければ、回答する意味がないという思考になるだけでなく、会社への期待感・エンゲージメントも下がってしまう可能性があります。そのため、どのような結果であっても社員へ結果を説明する場を設けましょう。可能であれば、その結果を受けて何を実施するかまで含めて伝え、前回の結果から施策を実施して、どのような変化があったのかも説明すると社員の納得感も得られるでしょう。
06サーベイを行う上での注意点とは
次にサーベイを実施する際の注意点について解説します。サーベイを実施しても、従業員の考えが正しく収集できないとサーベイを実施する意味そのものがありません。従業員に率直な意見を出してもらう上でも、いくつかの注意点に留意してサーベイを実施していきましょう。
匿名制にする
サーベイを匿名にすることで、従業員は率直な意見を出しやすくなります。制服のサイズを聞くアンケートなどのように回答者を特定しなければいけない場合を除きサーベイは匿名制での実施が原則です。自分が言ったと知られたくない、記名制にするのであれば回答したくないという誰もが持つ心理を理解し匿名性でのサーベイを実施するようにしましょう。必ず匿名制にしなければいけないということではなく、回答しにくい質問や悪い意見を含めて率直な意見を収集したい場合には匿名制を適用すると理解してください。
質問設計の工夫を行う
質問の設計にも工夫が必要です。全てをフリーアンサーにしてしまうと回答率は格段に下がってしまいます。YES、NOで回答できる質問や、5段階で表すなどの数値を選択する質問にフリーアンサーを組み合わせる方法がベストです。ただし、5段階評価などは普通となる「3」を選択する人も多いため、無効とする基準も設けておく必要があります。サーベイやアンケートについては、回答することを面倒だと思う方もいるため、全てを「3」にしていう場合には無効等の基準を設けることも必要です。こうした基準は、サーベイを実施する際にあらかじめ調査対象者へ通知しておく必要があり、理解を促しておくことも大切だと考えておきましょう。
回答方法を複数用意する
回答方法については、WEB版、手書きなどのように複数の回答方法を選択できる仕組み作りも必要です。普段からPCを利用している人にはWEB版などのように回答しやすい方法を選択できる工夫も必要ですが、手書きなどが加わることで集計工程の負荷が増す可能性もあります。現在では、PC、携帯を利用し、自由な時間やタイミングで回答できる仕組みも提供されているため、全体の工程を含め回答方法を検討するようにしましょう。
回答期間は長めに設定する
回答期間は長めに設定する工夫も必要です。短期間の場合には、回答しわすれている、取りあえず出せばいいということが発生しがちになります。通常の業務で書類を提出する期間を意識し、通常よりは長めの期間を設定するようにしましょう。この間には、現在の回答率は何%であるかなどの情報を提供し未回答者へ回答を促す動きをする必要もあることに注意しておきましょう。
結果の開示を行う
回答の集計後には、結果の開示を行います。結果の開示がない場合には、答えるだけという風土となってしまい回答自体を適当に処理してしまいがちになります。こうしたことを防ぎ、疎直な意見を収集するためには、結果の開示を行う必要があります。また、結果の開示だけではなく、問題点などに対してどう対応していくのかについても公表をする必要があります。聞くだけで終わることではなく、貴重な意見を基に何かを変えるなど意見を出したことが反映されるということを従業員に理解してもらうことが必要です。これを繰り返すことで、積極的に意見を出そうという風土に繋がっていく大切なプロセスであると理解しておきましょう。
07代表的なサーベイツール3社を紹介
この章ではサーベイを提供している企業を紹介します。
モチベーションクラウド
モチベーションクラウドは、国内最大級の8,740社、237万人のデータベースをもとに組織状態を可視化・分析可能できます。アンケート調査により期待度と満足度の2軸でデータを取り、組織課題の優先度も可視化できます。他社との比較、部署・階層別での比較、過去との比較といった様々な角度から組織分析ができるのも魅力の1つです。
wevox
wevoxは、パルスサーベイによってリアルタイムな組織の現状を可視化し、社員のエンゲージメントを向上させることができます。組織の変化を実現するため、エンゲージメントを学ぶためのオンラインでの学習講座や、各組織に対しての個別の活用支援も提供しているのも魅力です。
タレントパレット
タレントパレットは、人事業務や人事戦略に必要な様々な機能を、ワンプラットフォームで提供しているタレントマネジメントシステムです。機能の1つに西川教授(甲南大学)監修の組織サーベイもあり、タレントマネジメントシステムも同時に検討している人におすすめのサービスです。
また、タレントパレットはSchoo for Businessとも連携しており、タレントパレットの研修管理画面にて、Schooの研修コンテンツが表示されます。さらに、タレントパレットに蓄積された人材情報から、社員一人ひとりに対して、各コンテンツのおすすめ度を算出し、Schooが提供している8,500本以上のコンテンツから、適したコンテンツをレコメンドします。受講結果はタレントパレット上に蓄積されるため、1on1面談や、育成方針や今後のキャリアプランの検討にも利用可能です。
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08まとめ
本記事では、サーベイをテーマに人事部門が実施するサーベイの種類や実施の注意点について解説しています。貴重な意見を回答してもらうサーベイは、企業成長や企業変化にとって重要な情報源です。意見を無駄にせず会社を変えていくためには、サーベイの持つ意味や実施に関する注意点を充分に理解しサーベイを活用していきましょう。
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登壇者:斉藤 徹 様ループス・コミュニケーションズ 代表取締役
1991年、日本IBMを退職、ICT技術を活かしてベンチャーを創業。携帯テクノロジーが注目され、未上場で時価総額 100億円超。その後、組織論と起業論を専門として 学習院大学 客員教授に就任。幸せ視点の経営講義が Z世代に響き、立ち見のでる熱中教室に。現在は ビジネス・ブレークスルー大学 教授として教鞭をふるう。2018年には、社会人向け講座「hintゼミ」を開講。卒業生は 600名を超え、三ヶ月毎に約70名の仲間が増えている。