IT人材とは|人材不足を解決する採用・育成のポイントを紹介
IT人材とは、AIやビッグデータといったIT分野の知識やスキルが豊富な人材のことです。本記事では、IT人材に求められるスキルや育成における課題点、具体的な育成手法を解説しています。IT人材の育成を検討している人事担当の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.IT人材とは
- 02.IT人材とデジタル人材・DX人材の違い
- 03.IT人材の現状
- 04.IT人材に必要なスキル
- 05.IT人材不足の対処法
- 06.IT人材育成のステップ
- 07.IT人材育成の手法
- 08.IT人材の育成ならSchoo for Business
- 09.まとめ
01IT人材とは
IT人材とは、ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材のことです。
また、IT人材は従来型IT人材と先端IT人材に分類されます。従来型IT人材とは、主にシステム開発やインフラ構築、ネットワーク管理などの基本的な技術を持ち、業務システムの保守・運用を行う人材のことです。一方で、先端IT人材は、AIやIoT、ビッグデータなど最新技術に精通し、それらを活用した新しいサービスや製品を開発することができる人材を指します。
IT人材不足という文脈で語られるIT人材は、先端IT人材のことを指します。経済産業省『IT人材需給に関する調査』内の試算によると、先端IT人材の不足は今後も予想されていますが、従来型IT人材は2030年には9.7万人も余ると言われています。
▶︎参考:IT人材需給に関する調査 -調査報告書|みずほ情報総研株式会社」
▶︎参考:中小企業庁|中小企業白書(2016年版)
先端IT人材
先端IT人材とは、AIやビッグデータを使いこなし、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化を通じて生産性向上等に寄与できるIT人材のことです。つまり、最先端技術の知見を持っているだけでなく、その技術を活用して業務やビジネスに対して付加価値を与えることができる人材のことを、先端IT人材と呼んでいます。
従来型IT人材
従来型IT人材とは、これまで利用されてきたITの保守・運用や受託開発に携わるIT人材のことです。IT技術に関する知識はもちろん、システムの保守・運用に必要なチームワークやコミュニケーション能力、問題解決力なども求められます。ただし、先端IT人材のようにビジネス職のような働きまでは求められていません。
02IT人材とデジタル人材・DX人材の違い
IT人材と同様に語られるのが、デジタル人材・DX人材です。これらは明確に違いを定義できず、経済産業省の発表した資料などを見ても、DX人材とデジタル人材の違いは明記されていません。
本記事では、以下のようにIT人材・デジタル人材・DX人材を定義しました。
IT人材 | IT企業及びユーザ企業情報システム部門に所属する人材 |
デジタル人材 | デジタル技術やデータを活用して、業務を遂行できる人材 |
DX人材 | デジタル技術やデータを活用して、ビジネスモデルの変革(DX)を担える人材 |
以下で、それぞれ詳しく紹介します。
IT人材とデジタル人材の違い
IT人材と類似した言葉にデジタル人材がありますが、経済産業省はデジタル人材の定義を明らかにしていません。
一般的に、デジタル人材は「デジタル技術やデータを活用して、業務を遂行できる人材」とされています。一方で、IT人材は「情報システム部門に従事する人材」なので、企業が業務で使用するネットワークそのものや、ルータやPCなどのIT機器、業務システムなどを構築・運用を担う人材です。
つまり、IT人材はデジタル技術を活用できる環境を整え、デジタル人材はその環境の下でデジタル技術を活用しながら業務を遂行できる人材という違いがあります。
IT人材とDX人材の違い
DX人材は、「デジタル技術やデータを活用して、ビジネスモデルの変革(DX)を担える人材」のことを指します。
つまり、IT人材が整備した「デジタル技術を活用できる環境」の下で、ビジネスモデルの変革(DX)を推進する人材がDX人材なのです。
03IT人材の現状
経済産業省が発表した「IT人材育成の状況等について」によると、若年層の人口減少に伴って、2019年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、IT人材は減少に向かうと予想されています。また、IT人材の平均年齢は2030年まで上昇の一途をたどり、高齢化が進展することも予想されています。将来的には40~80万人の規模で不足が生じる懸念があることも試算されており、IT人材の供給が不足しているのが現状です。
▶︎参考:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課
IT人材の求人倍率
IT人材は不足しているものの、採用で補填しにくいという現状があります。レバテック社の調査によると、ITエンジニア・クリエイターの正社員求人倍率は、2023年6月時点で12.9倍となっており、高水準の状態が2021年4月から続いています。
このように、IT人材は不足しているが採用も難しいというのが現実です。また、採用に成功してもIT人材は需要が高いため、人件費も高くなる傾向があります。さらには、需要が高いので転職すれば給与を増やしやすく、サービスや企業に対してのエンゲージメントが低ければ離職されやすいという危険性もあります。
▶︎画像引用:レバテック株式会社|調査レポート
04IT人材に必要なスキル
IT人材は、IT分野に関する知識だけではなく、非常に幅広いスキルが求められます。また、育成対象となるIT人材の業務内容や育成目的に応じて、伸ばすべきスキルを見極めることが重要です。 それでは、IT人材に求められるスキルの例と、必要となる場面や理由について解説します。
データベースやネットワークに関する知識
IT分野に関する基礎知識は、すべてのIT人材に必要なスキルです。例えば、データベースの方式や設計手法といったデータベース関連知識、通信プロトコルやネットワーク管理といったネットワーク関連知識が挙げられます。 社内SE部門で社内ネットワーク構築に携わる場合には、上記のスキルに加えてセキュリティの最新情報や基礎的な知識、自社で扱うソフトウェアについての知識も重要です。
プログラミングスキル
プログラミングスキルとは、システム開発におけるプログラム構造についての理解や、プログラミング言語の知識のことです。新規事業の一環としてアプリケーション開発を行う場面や、社内システムの構築を担当する場面では、特に必要性が高いスキルです。 業務システムやスマホアプリといった開発領域、案件内容に応じて、育成対象とするプログラミング言語の選択を行うようにしてください。
ドキュメント作成スキル
ドキュメント作成スキルは、要件定義書や詳細設計書、総合テスト仕様書といったさまざまなドキュメントを作成する能力です。具体的には、ドキュメントを作成するプロセスやコツがドキュメント作成スキルに該当します。 アプリケーションやシステムの開発時には、ドキュメントの作成業務が必ず発生するため、IT人材が身に付けておきたいスキルのひとつです。
コミュニケーションスキル
IT人材は業務上、社内外の担当者とコミュニケーションを取る場面が非常に多いものです。システム要件を定義するためのヒアリングや開発内容の伝達、各所とのスケジュール調整といった場面で、コミュニケーションスキルが必要となります。 伝わりやすい話し方ができる、あるいは相手の意見を正しく理解できるといったコミュニケーションスキルを身に付けることで、業務効率化や生産性の向上につながります。
05IT人材不足の対処法
IT人材不足の対処法は、「採用」・「育成」・「外部人材の活用」の3つがあります。即戦力人材を求めるのであれば、採用か外部人材を活用するしかありません。
採用や外部人材の活用で短期的な人員補充を行い、育成体制を整えて中長期的な人員不足を予防するのが理想的です。
1:採用
IT人材を早急に集めたい場合は、中途採用が有効です。他社で活躍していた人材を採用できれば育成コストもかからず、すぐにでも実施したい施策やサービスを進めることができるようになります。
一方で、人材のミスマッチには注意が必要です。業務に求められるスキルはもちろんのこと、社風と合っているか、既存メンバーと協働できそうかなど、多角的な視点で採用を進める必要があります。
2:育成
IT人材は需要が非常に高く、採用が難しいという現実があります。そして、今後もIT人材の需要は下がらないでしょう。そのため、中長期的にIT人材を確保するためにも、自社で育成する体制を整えておく必要があります。
外部研修会社を活用したり、育成もできる管理職層を採用したりすることで、社内でIT人材を育成できる環境づくりを整えることが出来ます。特に社内でのOJTは欠かせないため、優秀なIT人材の採用は中長期的にも欠かせないでしょう。
3:外部人材の活用
採用や育成が難しい場合は、業務委託やアウトソーシングなど外部人材を活用して、急場を凌ぐという手段もあります。特にフリーランスで生計を立てていたり、副業で業務を請け負っていたりする人はスキルも高く、即戦力で活躍してもらえる可能性も高いです。
一方で、費用が高くなる傾向にあるという短所もあります。期間限定での雇用となる場合、生計が安定しないため、支払う給与は通常よりも高くなります。そのため、外部人材は一時的な対応での活用がおすすめです。
06IT人材育成のステップ
ここまではIT人材育成の全体像を説明してきましたが、ここからは育成のおおまかな流れや注意点、育成手法の一例を紹介していきます。まずは、IT人材育成で踏むべきステップと、各ステップにおけるポイントを解説します。
IT人材育成の目的を明確にする
IT人材育成はそれ自体が目的ではなく、業務効率化や生産性向上といった結果につなげることが最重要です。そのため、育成の目的や目指すべき人材像を明確にするプロセスが欠かせません。 経営層も交えて、自社に必要なIT人材の定義を明らかにしたうえで、育成の目的を選定します。また、育成効果を高めるために、設定した目的やビジョンは必ず育成対象者に理解してもらうようにしてください。
育成対象の従業員を決める
次に、明確になった育成の目的に照らし合わせて、育成対象とすべき従業員の範囲を考えます。IT人材と一口に言っても、実際の業務内容や担当領域はさまざまです。 業務実態や所属部門に加えて、若手や中堅社員といったキャリアも考慮して、対象者を詳細に決めてください。
スキルマップを作成する
スキルマップとは、育成したいスキルを時系列にまとめた表で、体系的な育成体制の構築に役立つツールです。スキルマップ作成時には、現場の従業員や経営層へのヒアリングを踏まえて、育成したいスキルの内容や優先順位を検討します。 この際のポイントは、スキルの内容があいまいにならないように、「〇〇業務ができる」と具体的に定義することです。IT人材の場合、「要件定義書を一人で作成できる」「システム開発のスケジュール調整ができる」などが好例です。
育成手法を決める
育成の全体像が明確になった後は、社内研修やeラーニングなどの育成手法から最適なものを選定します。それぞれの育成手法にはメリット・デメリットが存在するため、育成目的や予算、育成対象者の特性を総合的に考慮して決めるようにしてください。
07IT人材育成の手法
IT人材育成の手法には、社内研修のほかに公開型講座やeラーニングが存在します。ここでは、それぞれの手法の特徴やメリット・デメリットを解説します。また、それぞれの手法がおすすめな場面も紹介していきます。
社内研修
社内研修とは、社内の従業員が講師を担当して行う研修のことです。メリットは、コストが安く抑えられる点と、自社の業務内容を踏まえたカリキュラムの設計ができる点です。一方で、講師を担当する従業員の負担が大きくなりがちです。 社内にIT人材が豊富に存在し、講師の適任者がすぐに見つかる企業におすすめな手法です。
公開型講座
公開型講座は、特定の研修会場にさまざまな企業の受講者が集まって受講する研修です。メリットは、自社における育成ノウハウが不要な点と、異業種交流が図れる点です。デメリットは、業務と研修の日程の調整が必要な点と、コストが高くなりやすい点です。 公開型講座は、研修で異業種交流をしたいケースにおすすめです。
eラーニング
eラーニングとは、PCやタブレットなどのツールを用いて、オンライン上で研修動画を視聴する研修です。公開型講座のような異業種交流は期待できませんが、各自の都合に合わせた時間で、場所を選ばずに研修を受講できる点がメリットです。また、コストは安く抑えられるうえに、学習理解度に合わせて繰り返し研修動画を視聴できる点も魅力的です。 実務と平行して研修を行いたい、またコストを安く抑えたいといった企業におすすめの手法です。
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09まとめ
IT人材の育成に取り組むことが、社内におけるDX推進の活性化やIT活用事業の後押しにつながります。また、IT化が急速に進む昨今では、IT人材の育成が多くの企業の急務となっています。 社内にIT人材育成のノウハウがない場合には、日常業務と両立可能な外部の専門講師が行うeラーニングがおすすめです。IT人材育成を考えている人事担当者は、ぜひeラーニングでの研修を検討してみてはいかがでしょうか。
▼【無料】経済産業省が取り組む デジタル人材育成プラットフォーム|ウェビナー見逃し配信中
経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課でDXリテラシー標準化の検討会を行っている同課の金杉 祥平氏をお招きし、「経済産業省が取り組むデジタル人材育成プラットフォーム」について語っていただいたウェビナーのアーカイブです。デジタル人材要件の定義や、リスキリングするための構造化された項目、さらに経済産業省で構想している人材育成プラットフォームについてもお話しいただいております。
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登壇者:金杉 祥平様経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長補佐(企画)
2006年に経済産業省に入省。過去には、再生可能エネルギーの推進、家電製品の安全基準の整備、電気事業制度のルール整備、福島第一原子力発電所の廃炉推進に従事し、2021年5月から現職。情報技術利用促進課では、地域企業・産業のDXの実現に向けて、デジタル人材の育成を推進するため、デジタル知識・能力を身につけるための実践的な学びの場を提供する「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計を担当。