公開日:2022/10/05
更新日:2023/02/01

人材流出によるリスクとは?原因と防止対策についても徹底解説

人材流出によるリスクとは?原因と防止対策についても徹底解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

優秀な人材の流出は、企業にとって大きな損失です。働き方の価値観が多様化している昨今、人材の流動性は高くなっており、優秀な人材ほど自社に留めることが難しくなっています。 どれだけ新しい人材を獲得しても、根本的な人材流出の原因が特定できなければ、人材流出が繰り返されてしまいます。では、どのような原因が考えられるのでしょうか。本記事では、人材流出のリスクや、防止対策などを詳しくご紹介します。

 

01人材流出とは?

人材流出とは、自社の人材が他社に流出してしまうことを指します。 ​​

これまでの日本社会は、新卒入社した会社に定年まで勤める終身雇用制度が一般的でした。しかし、2019年には経団連が「今後、終身雇用制度を維持していくことは難しい」とメッセージを発し、実質終身雇用制度は崩壊していることが分かります。環境変化の激しい現代において、入社した社員を定年まで雇い続けるという前提を持つことは企業にとっても難しくなっているのです。

そのため働き手については、キャリアを企業に依存せず自ら考える必要性が増しています。​​実際に現在は働き方の価値観が多様化し、転職することは珍しいことではなくなりました。そのため、企業は常に人材流出のリスクに晒されることになったのです。

 

 

02人材流出によるリスク

では、人材流出にはどのようなリスクがあるのでしょうか。代表的な例を5つほどご紹介します。

1.ノウハウの流出

人材はこれまでの自社の業務で獲得したノウハウを持っています。業務を遂行する上で役立つ個人的なノウハウだけでなく、企業として培ってきたノウハウも把握しています。このようなノウハウが他社へ流出してしまうと、自社の売上低下などのリスクがあります。

また、人材が競争企業へ転職する場合には、自社のウィークポイントなどが全て漏れてしまう可能性があります。退職者との間の秘密保持に関する取り決めや、競業禁止に関する取り決めを整備する必要があります。

コスト増加

人材が流出することで、これまで費やしてきた教育や採用コストが無駄になる可能性があります。自社の在籍期間が短い場合、損出はより大きなものと言えるでしょう。

また、これまでのコストが無駄になるだけでなく、新しい人材を雇うための採用コストや、人材を教育するための教育コストも発生します。人材が流出しなければ不要だったコストが必要となるため、人材の定着率が高い場合と比べて高コストになりやすいです。

3.重要ポストの後継者が不在になることがある

例えば事業責任者など、重要なポストの後継者として育成してきた人材が流出する場合、これまでの教育コストが無駄になるだけでなく、早急に次の人材を育成、もしくは採用する必要があります。

業務の中には、一定の研修期間を経ることで誰もが取り組めるものと、特別なスキルが必要になるものがあります。後継者の育成をしている以上、特別なスキルが必要となる業務の可能性が高く、すぐに新しい対象者が後継者として活躍できる可能性は低いでしょう。

うまく新たな人材を教育できなければ、最悪の場合業績の悪化に繋がる可能性もあるため注意が必要です。

4.顧客の流出

外部との接点が多い営業などの人材が流出した場合、培ってきた人脈が流出する可能性があります。この場合、顧客の離脱などに繋がる可能性があります。

特に顧客との接点が強い人材ほど、顧客の信頼が企業ではなく人材に付随している場合があります。このような場合、可能な範囲で事前にリスクをキャッチし、顧客との接点を絶やさない工夫を持つことや、そもそも顧客を個人で管理しないなどの工夫が必要です。

5.組織力の低下

特に高いスキルを持つ人材は競合との争奪戦にもなるため、より流出しやすくなります。そして高いスキルを持った人材が流出すると、そのスキルやノウハウを社内に伝播していくことが難しくなり、組織力の低下に繋がります。

社内で高い影響力を持っている人材であれば、周辺社員の士気にも関わるでしょう。対外的な影響だけではなく、社内的な影響も十分に懸念する必要があります。

 

03人材が流出してしまう原因

では、なぜ人材は流出してしまうのでしょうか。代表的な原因を見ていきましょう。

業務と報酬が見合っていない

業務量に対して報酬が見合っていない場合、退職の原因になり得ます。人事としては十分な報酬を支払っているつもりでも、報酬に対する感覚は従業員によって異なるため注意が必要です。

また、業務と報酬が見合っていないと一言に言っても、様々なパターンが考えられます。そもそも手取りの給与が少ない、残業代が支給されていないなど、なぜそのような不満が生まれるのかをきちんと考えることが大切です。原因に応じて対応策が異なるため、慎重に原因究明を行うことが大切です。

社風や文化に不満がある

社風や文化に不満がある場合には、人材流出の原因となる可能性があります。

企業にはそれぞれ独自の社風や文化があります。自社にしか視野が及んでいない時には気付かなくても、他社に目を向けたときに自社の特性に気付く可能性は少なくありません。 声を発さずに流出してしまう人材は多いものの、不満を企業へ伝える人材もいます。社風や文化は全ての社員にマッチさせることは難しい可能性もありますが、組織としての課題が見つかる場合もありますので不満を伝えられた際には、今一度耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

入社前のイメージとギャップがある

近年、採用ブランディングに力を入れる企業が増えています。そのため外から見ると、とても良く見える企業が増えています。

しかし実際に入社してみると、入社前に抱いていたイメージと異なるというケースは少なくありません。採用時と入社後のギャップを生まない工夫が必要です。 ​​

スキルアップ・キャリアアップができない

ただ勤務するだけで、スキルアップやキャリアアップの機会がない場合は人材流出に繋がりやすいと言えます。

従業員が新たなキャリアを検討した際、必要なポジションやポジションの空きがない場合には、外部の企業を検討せざるを得ません。必ずしも全てを叶えることは難しくても、従業員の希望に寄り添った仕組み作りが必要です。

人事評価制度に不満がある

人事評価制度への不満は、人材流出の大きな原因です。そもそも人事評価制度が確立していない場合や、構成ではない評価が横行している場合には、優秀な人材ほど転職を検討してしまうでしょう。

年功序列で評価する企業は徐々に少なくなり、実力主義の社会へと変化しています。自社の評価制度を振り返り、時代に適した内容か確認してみましょう。

人間関係の不満やトラブル

人材流出の大きな原因となるのが人間関係です。上司や同僚とそりが合わなかったり、チームに馴染めないといった理由も十分に人材流出の原因になり得ます。

近年はリモートワークが進み、従業員同士直接顔を合わさないことも増えました。しかし、オンライン・オフライン問わずコミュニケーションの不和は人材流出の原因となることを理解しておくべきです。

 

04人材流出防止対策

では、人材流出を防ぐためにはどのような対策が必要なのでしょうか。 例をご紹介します。

評価制度や運用を見直す

「業務と報酬が見合っていない」「人事評価制度に不満がある」といった声が多く聞かれる場合、評価制度や運用の見直しが必要になる場合があります。この時、人事目線で見直しを行うのではなく、従業員の目線に立ち、納得感がある制度となっているのかを検討することが重要です。

なぜこのような給与や待遇なのか、昇給・昇進するためには何が必要なのかを明確に提示することで、従業員の納得感を得やすくなります。また、それを伝達する評価者とのコミュニケーションに起因して不満が生まれる可能性もあるため、制度内容だけではなく運用が狙い通りに行われているのかを意識することも大切です。

労働時間の調整

「業務と報酬が見合っていない」「業務量が多すぎる」といった声が多く聞かれる場合、労働時間や働き方の調整に改善の余地があるかもしれません。そのためにはまず、全社的な就業時間や残業時間の把握を行う必要があります。

また、一言に労働時間と言っても就業時間に言及しているとは限りません。フレックス勤務を希望している、半休を取れるようにしてほしいなど、様々な要望が想定できます。業務内容によっては導入できない制度・勤務形態もありますが、きちんと従業員へヒアリングを実施することが大切です。

福利厚生を充実させる

「労働環境に不満がある」といった声が多く聞かれる場合、福利厚生を充実させてみるのも一つかもしれません。直接的な不満解決には至らない可能性があるものの、例えば育児や介護のサポートが叶う福利厚生を導入すると、家庭の事情で働きにくさを感じている社員のモチベーションアップや不安解消を期待することが可能です。

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多様化する働き方を受け入れる

「社風や文化に不満がある」といった声が多く聞かれる場合、多様化する働き方を受け入れてみるのも良いでしょう。リモートワークや地方在住、フルフレックスや副業など、働き方の選択肢は多岐に渡ります。

事業内容や体制によって適切な形態は様々ですが、既存の従業員に対して多様性を受け入れる姿勢を示すだけでなく、新たな人材獲得にもポジティブな材料として機能する可能性があります。

人事配置を見直す

従業員に対する新たなキャリア提示のため、人事配置を見直してみてはいかがでしょうか。もしも人間関係が上手くいっていない場合などには、所属部署を変えることで大きな効果を期待できるかもしれません。

匿名アンケートを行う

従業員の生の声を知るという観点から、匿名のアンケートを実施してみるのも良いでしょう。対面でのヒアリングや記名式アンケートの場合、従業員の本音を聞き出せない可能性があります。本当の声を知るためには、匿名での実施がおすすめです。

ビジネス研修やセミナーを活用する

ビジネス研修やセミナーを自社で実施したり、外部で実施されているものに参加機会を提供することも、人材流出の防止策となる可能性があります。

従業員が自社に在籍しながら、新たなキャリア構築の糸口を掴むことができれば、人材流出を防止することができるでしょう。

 

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  • 株式会社ガイアックス/管理本部人事総務部長

    山口県出身。立教大学経営学部2017年卒。新卒で入社した株式会社ガイアックスで人事総務部長を務めつつ、複数のスタートアップやコミュニティでHRや新規事業立ち上げを担当。全ての人の才能が最大限発揮される社会を目指し、人々の働き方や人生選択の自由度を高めるにはどうすればよいのかを日々模索して活動中。

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  • 株式会社キャスター取締役CRO

    株式会社キャスター取締役CRO。(株)リクルートHRマーケティング入社。09年6月に当時5名の(株)リブセンスに転職し、ジョブセンスの事業責任者として入社から2年半で東証マザーズへ史上最年少社長の上場に貢献。その後、DeNAのEC事業本部で営業責任者ののち、新規事業、採用責任者を歴任し、2016年より現職。2019年7月より「bosyu」の新規事業責任者も兼任。

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  • 株式会社カイラボ 代表取締役

    大学卒業後、(株)日本能率協会コンサルティングにて企業の業務効率化などに従事。ストレスが原因で入社2年で退職。 2011年に社会人教育のベンチャー企業でマネージャーを務める。 2012年株式会社カイラボを設立。新卒入社後3年以内で辞めた若者100人インタビューをおこない、その内容をまとめた「早期離職白書」を発行。 現在は多くの企業の若手社員定着率向上支援を行うほか、 講演、管理職・OJT担当者向け研修、採用コンサルティングなどを行っている。

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06まとめ

人材の流動性が高まっている社会では、人材流出の危険はどの企業にもあります。しかし、従業員の声に耳を傾け、適切な対策を取ることができれば、人材流出の被害は最小限に抑えることができるでしょう。今一度、自社に人材流出のリスクが無いか、確認してみてはいかがでしょうか。

 

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