公開日:2022/12/21
更新日:2023/02/02

有期実習型訓練とは?メリットや制度についてを詳しく解説

有期実習型訓練とは?メリットや制度についてを詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

有期実習型訓練とは、非正規雇用の人材を正規雇用にするために必要な能力を訓練をし検討することができるシステムです。企業内での人材の採用・育成は、社内の発展に欠かせない重要課題です。本記事では、有期実習型訓練の概要や制度の特徴、さらにジョブカードについて紹介します。

 

01有期実習型訓練とは

有期実習型訓練とは、パート・アルバイトなどの有期の労働契約を結んでいる労働者(有期契約労働者)や新しく入社する労働者に対して、正社員(正規雇用労働者)として採用する上で必要な能力を習得・見極めを行うために実施する訓練のことです。

求職者は、同じ分野で過去5年以内に3年以上正規雇用をされておらず(かつ、分野を問わず過去10年以内に同一企業で、概ね6年以上継続して正規雇用としての就業経験がなく)、キャリア・コンサルタントにより有期実習型訓練が必要と判断され、ジョブ・カードの交付を受けた人が対象になります。有期契約労働者扱いで訓練を行う企業に雇用されている必要がありますが、企業に雇用されていない場合でも、ジョブ・カードを応募書類として利用し有期実習型訓練を実施している企業に応募することが可能です。

参考:厚生労働省|雇用型訓練とは

有期実習型訓練のメリットについて

有期実習型訓練には、企業側と有期契約労働者側両方にメリットがあります。

企業はこの訓練を行うことで、自社に適した人材が確保できます。現在有期契約として雇用している労働者を正規雇用にしようと考えている場合、仕事内容が変更してもちゃんと結果を出してくれるのか・仕事を早く覚えてくれるのかなど心配が多くなります。有機実習型訓練を行えば、正規雇用を行う前に訓練を通じて適性を確認することができます。また、企業が有期実習型訓練への参加申請をすると、人材開発支援助成金を取得することができます。そのため、国の助成制度を活用することにより、訓練にかかる負担を軽減できます。その他、本制度の利用を通じて、自社の人材育成・研修体制の構築が可能となるため、労働者のスキルアップにも効果的です。キャリアアップを考えている求職者に向け、人材育成に取り組む企業として魅力を発信することができるため今後の採用にも有利に働くことでしょう。

求職者は正規雇用のチャンスが増えるというメリットがあります。また、自分にあった仕事かを訓練中に判断することができるため、想像していた業務とのミスマッチを減らすことができます。

 

02有期実習型訓練で使用するジョブ・カードとは?

有期実習型訓練はジョブ・カードを使用し、訓練は社内で行うOJTと外部の訓練機関等で行うOFF-JTの両方を行います。ジョブカードとは「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールとして、厚生労働省が様式を定め広く普及を進めています。

ジョブカードとは?

ジョブ・カードとは、求職者の生涯を通じたキャリア・プランの作成や職業能力の証明をするために活用できるツールです。具体的な内容として、職務経歴シートやキャリア・プランシート、職業能力証明(訓練や実務の成果・学習や訓練の履歴・免許や資格)シートなど、各種シートで構成されています。訓練を実施する企業は、訓練の目標設定や実施成果の確認・評価などにジョブ・カードを活用します。

参考:ジョブ・カード制度

ジョブカードを使うメリットとは

ジョブカードは使用する立場(労働者、求職者等の個人、事業主の方)によって、様々なメリットがあります。

まず労働者や求職者等個人のメリットとして、長期間のキャリア・プランニングのためのツールとして、個人の履歴や、キャリアコンサルティング等の支援を通じた職業経験の棚卸し等の情報を、ジョブ・カードに蓄積することができます。また、キャリアに行き詰まった時に過去の情報を参考に活用できるメリットがあります実務能力の証明や研修の成果を振り返るのにも使用することが可能です。

企業側のメリットとして、ジョブ・カードを履歴書の追加資料などとして求職者に提出を求めることで、履歴書だけでは判断できない応募者の職業能力に関する情報を、得ることができます。なお、応募書類として活用されるジョブ・カードの情報は労働者本人の意思により提出されるものなので、本人の意思に反して提出を求めることはできません。また、指標が明確なので訓練の成果を業界共通の「ものさし」として判断することができます。

 

03人材開発支援助成金について

有期実習型訓練を行うことで「人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)」の助成金を受け取ることができます。人材開発支援助成金とは、雇用している従業員に対し、業務で使用する専門的な知識や技能のための訓練等を実施する事業主を支援するための助成制度となります。OFF-JTと呼ばれる机上研修やOJTと呼ばれる実施研修にかかる経費や研修期間中の賃金の一部を負担してもらえます。助成金をもらうためには計画的な人事育成計画を提出する必要があります。そのため、会社が抱える現在の課題や将来的に必要となるであろう人材への育成などを考えるきっかけにもなるでしょう。

参考:人材開発支援助成金 (特別育成訓練コース)のご案内(詳細版)
 

04人材開発支援助成金で支給対象になる訓練とは?

人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)は、期間に定めのある労働契約をしている労働者に対して、正社員転換や処遇の改善を目指す制度です。そのため人材開発支援助成金を受給する場合は、定められた要件に沿った訓練を行う必要があります。対象となる訓練は、1.一般職業訓練、2.有期実習型訓練、の2タイプあります。

OFF-JTとOJTの違いとは?

OJTとは「On-The-Job Training」の略称で、実際の職務現場で業務を通して行う教育訓練のことです。部下が業務を行ううえで必要な知識やスキルを、上司や先輩社員などが指導し二人三脚でスキルを与えることで教育・育成する方法です。 OFF-JTは「Off-The-Job Training」の略称で、職務現場を一時的に離れて行う教育訓練のことをいいます。具体的には、外部の講師を招いて行う企業内研修や外部スクール、セミナーへの参加、通信教育やe₋ラーニングなどです。近年ではOFF-JTのニーズが高まっているため、多くの企業が人材育成に力を入れていると言えます。

1.一般職業訓練は専門的な知識や技能習得のためのOFF-JT

一般職業訓練とは、有期雇用者の待遇改善につなげるためのOFF-JTのことです。一般職業訓練として認定を受ける際の基本条件として、

  • ・OFF-JTであること
  • ・1コースあたり1年以内の実施期間であること
  • ・1コースあたり20時間以上であること
  • ・適格な外部講師による事業内訓練、または社外の教育訓練期間に委託して行う事業外訓練に該当すること

という条件を満たす必要があります。

2.有期実習型訓練はOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練

有期実習型訓練は現場を離れて行うOFF-JTと、直接業務を行いながら指導を受けるOJTを組み合わせて実施します。有期実習型訓練として認定を受けるためには、

  • ・OJTとOFF-JTが効果的に組み合わせられていること
  • ・実施期間が2ヶ月以上6ヶ月以下であること
  • ・総訓練時間が6ヶ月あたりの時間に換算して425時間以上であること
  • ・総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること
  • ・OFF-JTは20時間以上であること
  • ・訓練後にジョブ・カードにより評価を実施すること

などの要件を満たす必要があります。

また、ここでのOJTは誰が指導するのでもよいわけではなく、職業訓練実施日の出退勤時刻を確認でき、かつ該当する事業の事業主・役員や従業員が担当します。加えて、有期実習型訓練のOJTは基本的にオフラインで実施されることが想定されています。オンラインでのOJT実施が認められているのは、職場でテレワークが制度化されており、かつ特定の業務(労務管理・経理・システム開発など)である場合に限られます。

 

05有期実習型訓練を通して人材開発支援助成金を受給するステップ

有期実習型訓練を通して人材開発支援助成金を受給するためには、決められた手順で書類の提出や労働者の訓練を行わなければいけません。主なステップは以下の通りです。

  • 1:訓練計画届の作成と提出
  • 2:キャリアコンサルティングの実施(ジョブ・カード作成)
  • 3:訓練の実施
  • 4:支給申請

手順に関しては、厚生労働省のホームページに詳しく書いていますので参考にしてください。

特に必要な訓練計画届の作成・提出

訓練開始日の1ヶ月前までに管轄の都道府県労働局に訓練実施計画について提出し、 その確認を受けます。また、届出には訓練が必要要件を満たしていることを確認するための様々な書類添付が必要です。具体的には、実施するOJTやOFF-JTの詳細カリキュラム、OFF-JTで利用する訓練機関や講師の確認、外部教育機関の受講料確認などです。

訓練実施計画は、有期契約労働者に対するキャリアアップをどのように行うのか、その概要をまとめたキャリアアップ計画に基づいて作成しましょう。また、計画については「人材開発支援助成金で支給対象になる訓練とは?」の章でご紹介した、有期実習型訓練の条件を満たす必要がありますので、訓練時間やOJTとOFF-JTの割合などに留意して作成をします。


 

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06まとめ

有期実習型訓練は企業の人材育成・採用を有利にするためのシステムです。複雑な制度でもありますが、使用することで企業側だけでなく、求職者・労働者のキャリアアップにも効果的です。本記事では、有期実習型訓練の特徴、実行するためのステップや関わる制度について紹介してきました。今回の記事を参考に、効率的な採用を行っていきましょう。

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