相談力とは?相談力のある人材育成のメリットから研修のポイントまでご紹介
自社の人材は仕事に課題が出てきた時に1人で抱え込む傾向にあるので、どうにか相談力を身につけさせたいと頭を抱えることはないでしょうか。この記事では相談力のある人材を育成するメリットから、研修のポイントまで詳しくご紹介します。
- 01.相談力とは?
- 02.相談力の発揮に必要なコミュニケーションスキル
- 03.相談力のある人材を育成するメリット
- 04.人材の相談力を高めるための方法とポイント
- 05.相談力を向上させるSchooのオンライン研修
- 06.まとめ
01相談力とは?
相談とは相談者と相談を受ける人の2つの立場から成り立っているため、それぞれの立場に基づいた2つの相談力があります。1つめは相談者が持つ相談に乗ってもらい何らかのメリットを得る力のことで、「相談する力」と呼べるでしょう。2つめは相談を受ける人が持つ相談を受けることで相手を支援する力で、「相談される力」だと言えます。相談する力と相談される力について、それぞれもう少し詳しく解説します。
相談する力の活用に必要なポイントと能力
相談する力を活用するためのポイントと、それぞれを行うのに必要な能力は次の通りです。
相談する力を活用するためのポイント | 必要な能力 |
必要な能力 | ・相談をする前に相談をする目的とゴールを明確にする |
・整理した相談内容を相談相手にわかりやすく伝える | ・伝える力(説明力) |
・相談相手のアドバイスや支援内容を理解し不明点があれば確認する | ・傾聴力 ・質問力 |
相談する力を活用するためには、伝える力、傾聴力、質問力といったコミュニケーションスキルやロジカルシンキングのスキルが必要であることがわかります。
相談される力の活用に必要なポイントと能力
相談される力を活用するためのポイントと、それぞれを行うのに必要な能力は次の通りです。
相談される力を活用するためのポイント | 必要な能力 |
・相談者の相談の目的と相談内容を相手の立場や視点に立って聴き、内容を理解すること | ・傾聴力 |
・相談者に自分の理解を確認したり、相談者の考えを共有したりするために効果的な質問をすること | ・質問力 |
・相談者の意図や目的に合わせて必要な支援やアドバイスをすること | ・伝える力(応答力) ・質問力 |
相談される力を活用するためにも、相談する力と同じく傾聴力、質問力、伝える力といったコミュニケーションスキルが必要だとわかります。
02相談力の発揮に必要なコミュニケーションスキル
ビジネスの場において相談力を発揮するためには、相談する側にとっても相談される側にとっても傾聴力、質問力、伝える力、ロジカルシンキングの4つのスキルが大切だとわかりましたが、この中の傾聴力、質問力、伝える力とはどのようなコミュニケーションスキルのことを指すのか、具体例を用いて解説します。
傾聴力
傾聴力とは話の背景や相手の感情を理解するために、相手に寄り添いながら話を聴くスキルのことを指します。傾聴力はアメリカの臨床心理学者カール・ロジャーズによって提唱され、ロジャースの3原則と呼ばれる次の3つの構成要素から成り立っています。
ロジャースの3原則 | 概要 |
自己一致(congruence) | ・自分が感じていることと相談者の話すことや感情が一致していること |
共感的理解(empathic understanding) | ・相談者の話を聴く時に相談者の考え、立場、気持ち、個性などに共感しながら理解しようとすること |
無条件の肯定的配慮(unconditional positive regard) | ・相談者の話を善悪のどちらかに決めようとせずありのままを受容すること ・質問力 |
傾聴力を身に着けると、ビジネスにおけるコミュニケーションで次のようなメリットがあります。
- ・相手を深く理解することができる
- ・周囲の人と信頼関係が構築できる
- ・人間関係が良くなる
- ・自己理解ができる
- ・相手の気持ちを楽にできる
傾聴力を身に着けることで、相談をする側になった時もされる側になった時も、相手の立場や感情を尊重しながら話を聴くことができるでしょう。
質問力
質問力とは、不明点や疑問点を解消し事実を正しく理解するために問いかける力のことを指します。また質問力をビジネスにおける信頼作りの一貫として考えると、相手の世界を理解し広げることとも言えるでしょう。質問力を身に着けることで、相談をする側もされる側も相手の考えや感情をより深く理解することができます。
伝える力
伝える力とは、自分の考えや感情を正確に相手に伝える力のことです。伝える力を構成する要素として「説明」と「表現」の2つがありますが、それぞれのポイントは次の通りです。
伝える力の構成要素 | ポイント |
説明 | ・「誰に」「何を」「どのように」伝えるのかを意識する |
表現 | ・「わかりやすく」「簡潔に」「印象深く」伝えることを意識する |
伝える力を身に着けることで、相談をする側もされる側も自分が納得して次の行動に踏み出すことができるでしょう。
03相談力のある人材を育成するメリット
相談力のある人材を育成するメリットとしては、以下の3つを挙げることができます。以下で、期待できる効果や詳細について解説します。
- 1.仕事が効率化する
- 2.課題解決が素早くできる
- 3.人材のメンタルヘルス向上につながる
1.仕事が効率化する
相談力のある人材は自分1人では進められない仕事だと気づくとすぐにそれを周囲の適切な相手に相談し、助けを求めるため仕事が滞ることなく前に進んでいきます。現代のビジネスにはスピード感が求められるため、相談力がない人材が少し仕事を滞らせたことが、大きなビジネスチャンスを逃すといった結果につながりかねません。このようなことを避けるためにも、日頃から人材の相談力を鍛えておくのは大切なことです。
2.課題解決が素早くできる
相談力のある人材を増やすことで、ビジネスにおける課題が発生した際にその解決を素早く行うことができます。担当者が課題の解決のために思い悩んでいる間にも時間は経過するため、課題がさらに大きくなったり、その担当者では手に負えなくなったりするといった事態も想定されます。相談力を身に着けることで、このようなリスクを軽減することができるでしょう。
3.人材のメンタルヘルス向上につながる
心の中に貯め込んだ悩みを何らかの形で発散することで気持ちを軽くすることをカタルシス効果と呼びますが、ビジネスにおける相談もカタルシス効果を生むため、人材のメンタルヘルス向上につながります。カタルシスには健康的なものと不健康なものがあり、健康的なカタルシスには相談やスポーツ、趣味などへの取り組みが含まれますが、不健康なカタルシスにはSNSでの暴言、喧嘩、虐待などが含まれます。もし不健康なカタルシスで人材が自分の悩みを解決しようとすると、企業にとってもハラスメントやブランドイメージの低下など、さまざまなリスクを背負うこととなります。人材が自らの仕事における悩みを健康的な方法で解決できるようにするためにも、相談力を身に着けさせることが重要なのです。
04人材の相談力を高めるための方法とポイント
人材の相談力を高めるためには、以下の3つの方法が有効だと考えられます。以下では、実施する際のポイントを踏まえて解説します。
- 1.議事録やメモを取ることを習慣づける
- 2.1on1やメンター制度を活用する
- 3.研修を行う
1.議事録やメモを取ることを習慣づける
議事録やメモを取るのは発言者から正確な情報を聞き取り、決定事項や今後すべきことなどの重要なことを簡潔にまとめることが求められるので、傾聴力、質問力、伝える力の向上につながります。議事録やメモを取る際に意識させたいのが次の5W1Hです。
- ・When(いつ)
- ・Where(どこで)
- ・Who(誰が)
- ・What(何を)
- ・Why(なぜ)
- ・How(どのように)
社員に5W1Hを意識させて議事録やメモを作成することで、抜けや漏れがなく必要事項を記載できるようになるでしょう。
2.1on1やメンター制度を活用する
社員が周囲の人に相談しやすい環境を作るために、1on1やメンター制度を導入するのも効果的です。
1on1とは上司と部下が1対1で行う定期的な個人面談のことで、従来の面談とは異なり対話型のコミュニケーションを行うのが特徴的だと言えるでしょう。1on1型のミーティングでは、上司が次のようなポイントに気を付けることでより部下が相談しやすい環境を作り出すことができます。
- ・上司は聞き役に徹し丁寧な傾聴をする
- ・建設的な会話をする
- ・継続的に行う
部下が相談しやすい環境を作ることで主体的に課題解決に取り組むよう促すことができるため、組織全体の成果にもつながるでしょう。
メンター制度とは所属部署の上司とは別に年齢の近い先輩社員が新入社員や若手社員をサポートする制度で、サポートする側を「メンター」サポートされる側を「メンティー」と呼びます。メンター制度を導入することで人材の相談力が向上するのはもちろんですが、社内のコミュニケーションが活発化するため、離職率を低下させるといったことにもつながります。
3.研修を行う
人材の相談力を鍛えるためには、社内で研修を行うのもよいでしょう。研修をする際は相談する力を高めたいのか、相談される力を高めたいのかによって内容や対象者を変えるのが望ましいと言えます。座学だけでは身に着けるのが難しいので、ロールプレイングやワークショップ形式なども導入して自分の職場で相談をしたり、されたりするイメージが湧きやすいように配慮しましょう。最後に人材1人1人が研修を振り返り今後の課題を洗い出すようにすると、職場でもスムーズに実践できるようになるのではないでしょうか。
05相談力を向上させるSchooのオンライン研修
Schoo for Businessは、国内最大級8,500本以上の講座から、自由に研修カリキュラムを組むことができるオンライン研修サービスです。導入企業数は4,000社以上、新入社員研修や管理職研修はもちろん、DX研修から自律学習促進まで幅広くご支援させていただいております。
Schoo for Businessの特長
Schoo for Businessには主に3つの特長があります。
【1】国内最大級8,500本以上の講座数
【2】研修設定・管理が簡単
【3】カスタマーサクセスのサポートが充実
相談力を向上させるSchooの講座を紹介
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、8,500本以上の講座を取り揃えております。この章では、相談力を向上させる授業を紹介いたします。
要点がつかめる人の「脳内整理」
経営者の意思決定支援や次世代リーダーの育成で支持されている鈴木進介先生に、思考の整理法を教わる授業です。「頭の中がごちゃついて集中できない」といった課題の解消が本授業のゴールです。ビジネスシーンでのケースを用いたワークショップを通して、「要するに、何が問題か?」をスピーディかつ端的に明らかにし、物事の本質をつかむ力を身につけていきます。
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思考の整理家®/株式会社コンパス 代表取締役
株式会社コンパス 代表取締役。 現在は「思考の整理術」を使った独自の手法で人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活動中。 難しい問題を優しく解きほぐす「思考の整理術」は、フリーランスや起業家など幅広く支持され、コンサルティング実績は100社以上、セミナー受講者数は累計3万人を超す。特に「思考の整理ノート」メソッドは、経営者の意思決定支援や次世代リーダーの育成で圧倒的な支持を得ている。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
伝わるための言語化トレーニング
この授業では、要点を言語化し、適切に伝えるための要点整理の方法を学び、ボキャブラリや伝え方を理解することでより仕事が円滑に進められたり、日常生活のストレスを少なくするための言語化トレーニングを行います。
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株式会社アットリーチェ 代表取締役
8 年間局アナとしてのキャリアを積んでフリーアナウンサーに。現在は、一瞬で人を魅了する伝え方を約 800 人の経営者・起業家・会社員に直接指導。 局アナ流の相手をファンにする“スピーキング技術”と心理的アプローチから思考や行動を変える“言葉の選択”を組み合わせたオリジナルメソッドを伝える。その他、パラレルキャリアの女性の活躍推進事業などにも取り組んでいる。
※研修・人材育成担当者限定 10日間の無料デモアカウント配布中。対象は研修・人材育成のご担当者に限ります。
ビジネスを成長させる「聞く」技術
プレゼンテーション能力や交渉術など、多くのビジネスパーソンは「話し方」を磨きたいと考えているかもしれません。 しかしながら、話すためにはまず「聞く」ことが重要になってきます。より良いアウトプットを行うには、より良いインプットが起点に必要なのです。そのためにも、これからビジネスパーソンに求められるのは「聞く」技術です。 今回は3つの「聞く」技術について、外資系のトップコンサルとして活躍してこられた清水久三子先生と一緒に学んでいきます。
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株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。 2005年にコンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。2013年に独立し執筆・講演活動を開始。講師として、大前研一ビジネス・ブレークスルー、大手銀行系研修会社などに多数のプログラムを提供し、高い集客と満足度を得ている。
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06まとめ
相談力とは相談する力と相談される力の2つを指し、企業においては人材に身に着けてもらうことで仕事が効率化し素早い課題解決ができたり、人材のメンタルヘルス向上に役立ったりとさまざまなメリットがあります。この記事も参考にし、ぜひ自社に合った形で相談力の向上に取り組んでみてください。