公開日:2021/04/30
更新日:2023/02/02

OKRとは?導入の手順からメリットまで詳しく解説

OKRとは?導入の手順からメリットまで詳しく解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

企業における目標管理の手法はたくさんありますが、近年アメリカのシリコンバレーにあるGoogleやFacebookなどの大手企業が次々と導入したことで注目を集めているのがOKRです。この記事ではOKRとはどのような手順で導入すれば良いのかから、そのメリットまで詳しく解説します。

 

01OKRとは?

OKRとはアメリカのインテル社で誕生した目標管理手法で、企業の目標から逆算して部署や個人の目標を設定します。 Objectives and Key Resultsの頭文字を取って名付けられ、日本語の直訳では「目標と主要な成果」です。 OKRは1つのObjectives(目標)に対して、複数のKey Results(主要な成果)が付随するという形で成り立っているので、優先順位をつけて主要な成果を一定のペースで計画的に上げていけば目標も達成できるという仕組みです。 従来の目標管理手法と比較すると高い頻度で目標設定、追跡、再評価を行うのが特徴的と言えるでしょう。

 

02OKRの要素

OKRとはObjectives(目標)とKey Results(主要な成果)で成り立っていますが、この2つの要素について少し詳しく解説します。

Objectives(目標)

Objectives(目標)とは組織が達成を目指す目標を意味します。 シンプルで覚えやすく、定性的(数値で表すことができない)な目標を設定しましょう。 Objectives(目標)を設定する際のポイントは次の通りです。

  • ・個人やチームの意識
  • ・モチベーションを高める目標であること
  • ・1か月~四半期で達成可能な目標であること
  • ・簡単すぎず、全社で取り組んだ結果達成度が60%~70%程度となりそうなこと

 

Key Results(主要な成果)

Key Results(主要な成果)とは設定したObjectives(目標)に対して進捗度を計るための具体的な指標です。 チーム内のコミュニケーションを阻害しない2個~5個程度で、定量的(数値で表すことができる)な指標を設定しましょう。 Key Results(主要な成果)を設定する際のポイントは次の通りです。 ・ベストを尽くせば達成できるといった、ストレッチがかかった指標であること ・達成できる可能性が50%程度の指標であること ・60%~70%の達成度で本来の目的は達成できる指標であること

 

03OKR・KPI・MBOの違い

OKRとよく混同されがちなのがKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)とMBO(Management by Objectives=目標管理手法)です。 OKR・KPI・MBOの違いを表にまとめてみました。

  OKR KPI MBO
目的 従業員育成・会社の目標達成 プロセスのチェック 人事評価
目標の
共有範囲
全社 部署 上長と本人
期待される
達成度
60%〜70% 100% 100%
評価や振り返りの頻度 1ヶ月〜四半期に1回 毎月
(毎週や毎日の場合もある)
半年〜1年に1回
さらなる
メリット
企業文化の形成 PDCAサイクルの促進 従業員のスキルや能力の向上

OKRとKPIの違い

KPI(Key Performance Indicator)の目的は、プロセスのチェックにあります。一方でOKRは目標達成を達成することが目的であるため、OKRを達成するために細かくKPIを設定するというような意味合いで使うことが正しいでしょう。 また、KPIは基本的に部署やプロジェクト単位で数値目標を設定しますが、OKRは組織全体での目標設定となる場合が多いです。中には部署単位でのOKRを設定している企業もありますが、そのOKRは組織や部門全体のKPIである必要性があります。

OKRとMBOの違い

まず、MBOはP. F.ドラッカー氏によって提唱されたマネジメント理論と言われています。「目標による管理」と訳され、目標管理手法として認識されている人が多いですが、この認識は間違っています。ドラッカー氏が提唱したMBOはManagement By Objectives and Self-controlであり、「社員自らが自分で目標を決める」という部分が抜け落ちているのです。 自ら目標を決めて、その目標達成に向けて取り組むことで社員のモチベーションアップを促すというのは、MBOの本来の目的です。従って、MBOとOKRの違いは目標を決めるのが、社員なのか企業なのかという大きな違いがあります。

 

04OKRのメリット

OKRは有名企業での導入を皮切りに、実施・導入を検討する企業も少なくありません。この章ではOKRのメリットを紹介します。

1.目標設定やその達成が容易になる

OKRではObjectives(目標)とKey Results(主要な成果)が1セットとなっていてわかりやすいため設定が容易で、Key Resultsの成果を上げればObjectivesも達成できます。 そのため従業員が自発的に行動しさえすれば、全社が一体的になって目標に近づいているという実感を得やすく、個人目標も組織目標も達成しやすいのです。 このことから、OKRは大規模なプロジェクトを多数の人が集まって行う場合などに有用だと言われます。

2.従業員のエンゲージメントが高まる

OKRを導入すると企業目標、チーム目標と個人の目標が明確につながり、会社に貢献している内容が可視化されやすいので従業員のエンゲージメントが高まります。 組織から何を期待されているかも従業員に伝わりやすく、振り返りを定期的に行うことで信頼関係も構築されるので企業として成果が上げやすくなるでしょう。 従業員のエンゲージメントが高まるほど真剣に会社のことを考えて業務に取り組む人が増加するため、会社の成長にもつながります。

3.個人のミッションが明確化する

企業が成長するためには個人が優先順位をつけて業務に取り組む必要がありますが、リソースは限られるためしなくてよい業務の切り分けにも目を向けた方が良いでしょう。 例えば何らかの新しい業務やアイデアが発生した際にOKRと照らし合わせてみると、目標達成につながるのかや成果指標を高めるのかどうかが瞬時にわかるので、取り組むかどうかが判断しやすくなります。 個人のミッションがこのように明確化することで、会社全体の効率も高まるでしょう。

4.社内のコミュニケーションが活発化する

OKRでは期待される達成度が60%~70%となる目標を設定するため、達成度100%を目指すためには個人の潜在能力を引き出すことはもちろん、各チームがスムーズに連携して業務を行う必要があるでしょう。 そのためには社内で活発なコミュニケーションを行い、知識や経験を共有してより業務を効率化する新しいアイデアを生みだすことが重要です。 このようにOKRを導入することで企業は一体化して目標を達成しなければならなくなるので、結果的に社内の風通しは良くなり、積極的にコミュニケーションを行うようになるでしょう。

 

05OKRのデメリット

OKRには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。この章ではOKRのデメリットについて紹介します。

1.規模の小さい企業には向いていない

OKRは組織の役割分担がしっかりと出来ていて、マネジメント体制が整っている大規模な企業では機能しやすいですが、個人がマルチタスクを行う必要があるような小規模な企業では導入が難しいでしょう。 また期待される達成度が60%~70%となる目標を設定するため、小規模な企業の場合それが個人への負荷を増やし過ぎてしまう可能性があります。 OKRを導入する際は、自社にOKRが適しているかどうかを事前に検討し、見極める必要があると言えるでしょう。

2.見直しやフィードバックの時間が必要

OKRでは週に1回、または隔週に1回チェックイン・ミーティングを開いて進捗の確認を行うのが重要ですが、このチェックイン・ミーティングを行う時間的余裕のない企業では導入が難しいと言えます。 また、チェックイン・ミーティングにはOKRに慣れていない時ほど目標設定の見直しなどで時間を多く割く必要があります。 OKRを導入する際はチェックイン・ミーティング、中間レビュー、最終レビューを行う時間的余裕があるかどうかを事前に検討しておくのが望ましいでしょう。

3.定着までに時間がかかる

従来の目標管理手法とOKRは内容がかなり異なるため、企業全体がOKRとそのメリットについてしっかりと理解し、現場での実践につなげられるまでには多くの時間を要するでしょう。 いざOKRを導入するとなったら経営陣にも協力を依頼し、全社が一体となって取り組む姿勢が重要です。

 

06OKRの導入手順

OKRとはどのように導入・運用を進めていくのが望ましいのでしょうか。 10段階に分けてご紹介します。

1.企業(組織全体)OKRの設定

最初に企業(組織全体)のOKRを設定しましょう。 1つの企業につき1つのOKRを設定しますが、1つの企業で複数の事業を行っている場合などは事業単位でOKRを設定しても構いません。 経営者がトップダウン形式でOKRを設定するのではなく、従業員の意見やアイデアを取り入れたボトムアップ形式で設定するのが望ましいでしょう。

2.企業OKRの調整

企業OKRを設定したら、各チームに展開しましょう。現場の感覚と異なる場合も往々にしてあるため、各チームが納得した状態でチームOKRを決められるようにするのが目的です。各チームからフィードバックを吸い上げ、必要があれば再度企業OKRを修正・調整しましょう。

3.チーム(部署)OKRの設定・共有

最初に決定した企業OKRを踏まえて、次はチーム(部署)OKRを設定しましょう。 企業OKRと連動させる形で部門、部署、チームと順番にOKRを設定しますが、企業OKRと同じくボトムアップ形式で設定します。 その後他部門と共有し、整合性を保つために適宜修正や調整を行いましょう。

4.チームOKRの調整

自部署のチームOKRを設定したら、他部署のチームOKRや企業OKRとの整合性を確認しましょう。自部署の目標があまりにも低いと他部署が負担を負うことになりますし、その逆も起こりえます。また、実情に即した目標値になっているかも他部署間で確認しないといけません。例えば、営業の受注率が下がっている場合は、前のファネルを担う部署が企業OKRを達成できるように目標値の見直しをする必要があるでしょう。

5.個人OKRの設定・共有

企業OKR、チーム(部署)OKRを踏まえて、最後に個人OKRを設定します。 上長や他のチームメンバーとも相談し、決定したら共有して整合性を保つために必要に応じて修正しましょう。

6.個人OKRの調整

個人OKRを設定した後も、調整が必要です。チーム内で各メンバーの個人OKRを確認し、チームOKRを満たしているか、現実的に各メンバーの個人OKRが達成できるラインに設定されているかなどを確認し、必要上がれば再調整しましょう。

7.週1ミーティングで進捗を確認する

週に1回、または隔週に1回「チェックイン・ミーティング」を開いて進捗の確認を行います。 具体的にはその週における優先事項、達成の自信度、達成阻害要因、次にやるべきことの確認をし、結果を良くするための方法について話し合いをするので、OKRの運用でチェックイン・ミーティングが果たす役割は重要だと言えるでしょう。

8.中間レビューを行う

OKRを行う期間の中間地点(例えば四半期の場合は1.5か月~2か月が経過した時点)で中間レビューを行います。 この時点で進捗に遅れがあれば改善点の検討を行い、場合によっては目標の変更をしても構いません。

9.最終レビューを行う

OKRを行う期間の最後にスコアリングを行い、OKRの結果を評価します。 結果の要因を分析し、達成度が高すぎたり低すぎたりしていないかを確認するのです。 そして今後同じ目標を続けるか、それとも別の目標に切り替えるかを判断しましょう。

10.来期の企業OKRを設定

最終レビューの結果を振り返った上で、来期の企業OKRを設定しましょう。大事なことは目標設定にもミスは生じるということを意識することです。目標が未達だった際に、目標設定は完璧なものだったが、ある部署が未達だったからと思考停止してしまうことは避けなければなりません。また、反対に目標が緩すぎた場合も同様です。頑張れば達成できるラインの目標設定を適切に行うことは難しく、何度も振り返りをしながら精度を上げていくことが求められます。


 

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GoogleやFacebookをはじめとした、シリコンバレーの大企業が積極的に取り入れていることから注目を集めている 目標設定・管理のフレームワーク「OKR」 本授業では従来、多くの企業、組織で運用されてきたMBOの違いを織り交ぜながら、OKRの基本や具体的な運用方法を学びます。

 
  • OKRコンサルティングリーダー シニアコンサルタント

    西大和学園中学・高校、立命館大学経営学部卒業 上場建設業の経営企画、大手機械製造業の人事制度運用・企画担当、関係会社の人事責任者を経てセレクションアンドバリエーション入社。 複数の学校法人での人事制度構築に加え、通信建設業、ITベンダー、映像制作会社、大手製薬業、給食業等の人事制度設計に携わる。 また、経営層・管理職・中堅社員・新卒入社社員など幅広い年齢層に対する連続研修にも多数登壇。 中小企業診断士。

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08まとめ

OKRとは目標管理手法の1つで、1つのObjectives(目標)に対して、複数のKey Results(主要な成果)が付随するという形で成り立っているので、個人の成果を積み上げていけば企業の目標も達成できるという仕組みだとわかりました。 チェックイン・ミーティングで進捗を定期的に確認し、期待される達成度が60%~70%のため社内のコミュニケーションが活発化し、従業員の仕事へのモチベーションアップが期待できます。 定着するのにやや時間はかかるものの、企業として一体化して成長していきたいならばぜひOKRを導入してみてはいかがでしょうか。

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組織マネジメントや目標設計、人事評価についてのウェビナーアーカイブです。20年以上、人事領域を専門分野としてきた実践経験を活かし、人事制度設計、組織開発支援、人事顧問、書籍、人事塾などによって、企業の人事を支援している、株式会社壺中天の代表である坪谷氏をお招きし、働きがいと成果を同時に実現する人材マネジメントについてお話しを伺います。

  • 登壇者:坪谷 邦生 様
    株式会社壺中天 代表取締役

    立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。その後、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、人材マネジメントの領域に「夜明け」をもたらすために、アカツキ社の「成長とつながり」を担う人事企画室を立ち上げ、2020年「人事の意志をカタチにする」ことを目的として壺中天を設立し代表と塾長を務める。

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