問題解決とは|プロセスやフレームワークなどを解説

ビジネスパーソンに必須の問題解決力。身に着けるには基本が大事になります。定義や基本的な過程(プロセス)、を分かりやすく解説します。
- 01.問題解決とは
- 02.問題解決のプロセス
- 03.問題解決に役立つフレームワーク
- 04.問題解決能力が高い人の特徴
- 05.問題解決の能力を高める方法
- 06.問題解決力研修|Schoo for Business
- 07.まとめ
01問題解決とは
最初に「問題解決」の定義について解説します。ここで必ず理解しなければならないのは、「問題」とは何かです。
問題とは

問題とは、あるべき姿と現状の差がある状態です。何を問題として設定すべきかは、問題解決の根幹と言えます。なぜなら、ここがずれてしまうと、解決しなくてもよいことを問題として設定してしまうことがあるからです。
問題解決とは
問題解決とは、問題の背後にある「真の問題」を特定し、原因に対する解決策を講ずることで、解決することです。
例えば、売上が足らない。これは確かに問題です。しかし、それを引き起こしている真の問題があるはずです。それを突き止めない限り、売上を目標どおり到達させるための対策を講じるのは困難でしょう。このように、表層の問題ではなく、真の問題を特定し、原因に対する解決策を講じることが、問題解決には欠かせません。
問題と課題の違い
問題と課題は日常的には同義で使われますが、ビジネスの場においては明確な違いがあります。前述したように、「あるべき姿と現状の差」が問題です。
一方で、課題は「あるべき姿と現状の差を埋めるために、やるべきこと」を意味します。つまり、問題を解決するために起こす具体的な行動が課題なのです。
例えば、問題を「集客数が1,000人足らない」とした場合、課題は「広告費を増やす」や「チラシを配る」といった問題を解決するための行動を指します。
02問題解決のプロセス
問題解決のプロセスは以下のとおりです。
- 1:問題を定義する
- 2:真の問題を定義する
- 3:問題の原因を特定する
- 4:原因に対する解決策を立案する
- 5:解決策を実行する・解決策を評価する
問題解決のプロセスで肝となるのは、真の問題の特定です。解決すべき課題を見誤ると、戦略・戦術が的を得ないものになってしまうためです。この章では問題解決のプロセスを5つの段階に分けて紹介します。
1.問題を定義する
まず、最初のプロセスは「問題を定義する」ことです。そのためには、あるべき姿を具体的に設定しなければなりません。
例えば、「売上が足らない」という場合、どの商品が、どのくらいの単価で、どの程度売れている状態が「あるべき姿」なのか、最初に具体的に設定しておく必要があります。「あるべき姿」を具体的に設定しておかなければ、次のプロセスで「真の問題」を特定することが難しくなるためです。
2.真の問題を定義する
具体的に定義された「あるべき姿」と現状を照らし合わせて、どのような差が生じているかを見つけ、真の問題を特定します。
この時、「あるべき姿」に対して最も大きい差分が真の問題の候補となり、各問題の前後関係も加味しながら、「真の問題」を絞り込んでいきます。このプロセスは、改善すればインパクトの大きい問題を定義すると、言い換えることもできます。
3.問題の原因を特定する
次のプロセスは、問題の原因を特定することです。なぜこの問題が起きているのか、「なぜ」を繰り返して原因を追及していきます。ここで原因をきちんと特定できないと、問題は解決されないため、とても重要なプロセスです。
4.原因に対する解決策を立案する
次のプロセスは、原因を根本的に解決するための方策を立案します。プロセス1~3を経て、売上が足らない問題に対して、顧客群別で確認すると、大手顧客からの受注が目標に対して大きくギャップを生じているとします。解決すべきテーマが、「大手顧客の大型受注の促進」であれば、 現担当営業のスキルアップ スキルのある営業を担当にする(担当営業の配置変更) などが考えられます。リスクやメリット・デメリットを勘案して、具体的に計画していきます。
5.解決策を実行する・解決策を評価する
次のプロセスは、解決策を実行し、解決策を評価します。 この時、解決策の評価は、解決しようとしていた問題が解決されているかどうかで評価していきます。 計画では、できるだけ早く評価できるように、あらかじめ評価のジャッジポイントを決めておくと良いでしょう。 「大手顧客の大型受注の促進」という解決テーマが、全体売上にどれだけ寄与しているのかが、1年後に分かっても時すでに遅しです。 どの時期に、どれくらいの売上を上げていればいいのか設定しておき早めに評価できるようにしておきましょう。
03問題解決に役立つフレームワーク
問題解決の速度と精度を上げるために、フレームワークの活用は欠かせません。特に以下のようなフレームワークを使えるようにしましょう。
- 1:ロジックツリー
- 2:5W1H
- 3:6W3H
- 4:なぜなぜ分析
- 5:STP分析
- 6:PDCAサイクル
フレームワークを思考の補助線として使うことで、何を考えればよいか明確になり、必要なことだけに時間を割くことができます。
1:ロジックツリー

ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解していき、その原因や解決策を論理的に導き出すフレームワークです。ツリー状に分解していくことから、因数分解とビジネスの場で呼ばれることもあります。
ロジックツリーを効果的に活用するためには、MECEに考える能力が欠かせません。また、解決策や原因を既存の価値観や思考に捉われずに出すために、ラテラルシンキング(水平思考)も重要になります。
2:5W1H
5W1Hとは、以下の6つの言葉の頭文字を取った言葉です。
- ・Who(誰が)
- ・What(何を)
- ・When(いつ)
- ・Where(どこで)
- ・Why(なぜ)
- ・How(どのように)
5W1Hは、マーケティングや営業における問題解決で活用されることの多いフレームワークです。誰に何をどのように届けるのかといった本質に立ち返ることで、多くのマーケティングや営業における問題を分析することができます。
3:6W3H
6W3Hとは、5W1Hに、Whom(誰に)・How many(どれくらいの数)・How much(いくら)を加えたものです。
「誰に対して、どのくらいの数量を、どの程度の金額で」という思考を加えることで、5W1Hよりもビジネスの場に即したフレームワークとなっています。
4:なぜなぜ分析
トヨタ生産方式のカイゼンという取り組みを有名にした、「なぜ」を5回繰り返す問題の原因追及は、問題解決力を高めるには有効です。なぜなら、問題の原因が特定できないと、問題を解決できないからです 商品が売れない⇒商品をもっと売る 納期に間に合わなかった⇒間に合うように急ぐ 商品も売れないでしょうし、納期はまた遅れることになるでしょう。問題解決ができていないのは、原因がつかめていないためとも言えるのです。 このように、問題の原因をあぶりだすために「なぜ」を5回繰り返すのは有効です。
5:STP分析
STP分析とは、以下の3つの言葉の頭文字をとったフレームワークです。主にマーケティング戦略や経営戦略に関する問題解決に用いられることが多いです。
- ・Segmentation
- ・Targeting
- ・Positioning
市場を細分化し、その中でどの市場を狙うのかを決め、ターゲティングした市場において競合他社との違いを明確にして立ち位置を作ることによって、自社の戦略を洗練していくフレームワークがSTP分析です。セグメントの切り方に問題があるのか、それともターゲティングする市場に問題があるのかといったように、どこに問題があるのかを見定めるためにSTP分析を用いることもあります。
PDCAサイクル
PDCAサイクルは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の4つのステップから構成される継続的な改善プロセスです。問題解決や業務効率化において、計画を立て、それを実行し、結果を評価して次の行動につなげることで、より高い成果を目指します。このサイクルを繰り返すことで、プロセスの精度向上やリスクの最小化を図ることが可能です。PDCAサイクルは、個人のタスク管理から企業の戦略実行まで、幅広い場面で活用されています。
04問題解決能力が高い人の特徴
問題解決能力が高い社員にはいくつか共通した特徴があります。ここでは、主な特徴を3つ解説します。
客観的な視点から問題の本質を見抜くことができる
問題解決能力が高い社員は、客観的な視点から問題の本質を見抜く力を持っています。彼らは感情に左右されることなく、冷静に状況を分析し、真の原因を特定します。この能力により、表面的な症状にとらわれず、根本的な解決策を導き出すことができます。また、データや事実に基づいた判断を行うため、問題解決のプロセスがより信頼性の高いものとなります。これにより、再発防止や持続可能な改善が可能となります。
柔軟な対応ができる
柔軟な対応力も問題解決能力が高い社員の重要な特徴です。彼らは状況の変化や予期せぬ問題にも迅速に適応し、最適な解決策を見つけることができます。計画がうまくいかない場合でも、代替案をすばやく考え出し、実行に移す能力を持っています。この柔軟性により、予期せぬトラブルにも効果的に対処できるため、チーム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。
潜在的な問題にも考えを巡らせることができる
問題解決能力が高い社員は、潜在的な問題にも目を向けることができます。彼らは現状の課題だけでなく、将来発生し得る問題にも考えを巡らせ、予防策を講じます。この予見力により、リスクを事前に察知し、未然に防ぐことができます。また、潜在的な問題を意識することで、常に改善の機会を探し出し、業務の効率化や品質向上に貢献します。こうしたプロアクティブな姿勢が、持続的な成長を支える重要な要素となります。
05問題解決の能力を高める方法
問題解決能力は一朝一夕で身に着けられるものではありません。問題解決を高める方法には様々なものがありますが、ここでは主な方法を3つ紹介します。
書籍や身近な人を参考にする
社員の問題解決能力を高めるためには、書籍や身近な人を参考にすることが効果的です。優れたビジネス書や専門書を読むことで、問題解決の理論や手法を学ぶことができます。また、身近な先輩や同僚からのアドバイスや経験談も貴重な学びの機会です。こうした情報源から得た知識を実践に生かすことで、社員は自分のスキルを向上させることができます。
日常的に物事に対して疑問を持つ癖をつける
日常的に物事に対して疑問を持つ癖をつけることも、問題解決能力を高める方法の一つです。現状に満足せず、常に「なぜこうなっているのか?」と問いかける姿勢が重要です。この習慣により、問題の根本原因を探る力や、新たな視点から解決策を考える力が養われます。また、疑問を持つことで、新しいアイデアや改善点が浮かびやすくなります。社員が積極的に疑問を持ち、探求する文化を育てることが、組織全体の問題解決能力向上に寄与します。
研修の実施
社員の問題解決能力を高めるためには、研修の実施が有効です。専門の講師を招いた研修やワークショップを通じて、問題解決のフレームワークや実践的なスキルを学ぶことができます。研修では、実際のビジネスシナリオに基づいたケーススタディやグループディスカッションを行うことで、実践的な経験を積むことができます。定期的な研修の実施により、社員は最新の知識やスキルを習得し、問題解決能力を継続的に向上させることができます。
06問題解決力研修|Schoo for Business

Schoo for Businessは、国内最大級9,000本以上の講座を保有しており、問題解決に関するコンテンツも揃っております。
導入企業数は3,500社以上、問題解決力研修だけでなく、新入社員研修からDX研修まで幅広く活用いただけ、自律学習の支援ツールとしてもご利用いただいております。
受講形式 | オンライン (アーカイブ型) |
アーカイブ本数 | 9,000本 ※2023年5月時点 |
研修管理機能 | あり ※詳細はお問い合わせください |
費用 | 1ID/1,500円 ※ID数によりボリュームディスカウントあり |
契約形態 | 年間契約のみ ※ご契約は20IDからとなっております |
大企業から中小企業まで3,500社以上が導入

Schoo for Businessは、大企業から中小企業まで3,500社以上に導入いただいております。利用用途も各社さまざまで、IT人材育成もあれば階層別研修やDX研修としての利用、自律学習としての利用やキャリア開発の目的で導入いただくこともあります。
導入事例も掲載しているので、ご興味のあるものがあれば一読いただけますと幸いです。以下から資料請求いただくことで導入事例集もプレゼントしております。そちらも併せて参考にいただけますと幸いです。
問題解決力に関する研修カリキュラム例
Schooは汎用的なビジネススキルからDXやAIのような最先端のスキルまで、9,000本以上の講座を取り揃えております。この章では、問題解決力の習得に役立つ授業を紹介いたします。
マッキンゼー流 問題解決のためのノート術
第1回 | トップコンサルタントのノートのとり方 〜書く技術 |
時間 | 45分 |
研修内容 |
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この授業では、問題解決のために必要な「思考技術」と「書く技術」をトップコンサルタントが活用するノートのとり方から学びます。
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人材戦略コンサルタント・ライフデザインコーチ
科学的データをもとに、人と組織が幸せに成果を出す人材開発・組織作りをサポート。マッキンゼーなどの外資系コンサル会社などで、経営戦略、組織開発、リーダー育成プログラム開発などのコンサルティングやに従事。2001年に独立。経営幹部への戦略コーチング、チームビルディング、リーダーシップ開発を実施。
課題設定力の磨き方~本質的な課題を導き出す方法~
第1回 | ロジカルに課題の精度を上げる方法 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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第2回 | ラテラルに課題の精度を上げる方法 |
時間 | 60分 |
研修内容 |
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本授業では、生産性やアウトプットの質を高める上で重要な「課題設定力」をどのように磨いていくか、そのノウハウについて学ぶことができます。
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株式会社アンド・クリエイト 代表取締役社長
大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの変革プロジェクトをリード。 2005年に当時の社長から命を受け、コンサルティング&SI事業の人材開発部門リーダーとして育成プログラムを設計導入。
論点思考[入門]
第1回 | 良いイシューで業務成果を高める |
時間 | 40分 |
研修内容 |
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本授業は、イシューがなぜ重要であるか、適切な論点の原則はなにか、といった業務業界に関わらず使える論点思考の入門レベル授業です。
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職場のコミュニケーション研究家
株式会社メイクセンス 代表取締役。IT企業で情報通信システムの開発や提案業務に携わったのち、コンサルタントに転身。NTTデータ経営研究所や日本アイ・ビー・エムで民間企業に対する情報戦略や組織戦略領域のコンサルティング、中央省庁や地方公共団体、業界団体からの委託による調査・研究を行う。その後、総合人材サービスグループ傘下のシンクタンクの上席主任研究員として、働き方改革、第4次産業革命による雇用への影響、個人の生産性やクリエイティビティ向上を目的としたマネジメントのあり方などの研究に携わる。
07まとめ
問題とは、あるべき姿と現状の差です。まずは適切な問題を定義することが重要です。 次に真の問題と原因を特定し、解決策を立案し、実行・評価するのが問題解決の全体像です。 社員の問題解決力を高めるには、問題解決のプロセスを理解してもらうと同時に、ロジックツリーやMECEなど、基本的なフレームワークを学ばせることが重要です。