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ポートフォリオマネジメントとは?最適な経営戦略のために手法と事例を解説

公開日:2021/05/27
更新日:2021/05/31
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ポートフォリオマネジメントとは?最適な経営戦略のために手法と事例を解説 | オンライン社員研修・eラーニング研修 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

経営活動において、資源の適切な配分は重要です。資源は有限であるため、有効に配分しなければなりません。ポートフォリオマネジメントは最適な投資の意思決定を、合理的に行うマネジメント手法です。分析により合理的な判断が可能ですが、そこには注意点もあります。当記事では、ポートフォリオマネジメントの手法について、事例を交えて紹介します。

 

ポートフォリオマネジメントとは?

そもそもポートフォリオとは、イタリア語のportafoglioに由来しています。元々の意味は紙ばさみや書類入れを意味しています。金融や証券業界では、投資家の有価証券を紙ばさみを使って運んでいたことから、投資家やファンドが保有している金融資産の一覧表、資産構成という意味で使われるようになりました。さらに転じて、事業会社が保持している事業や経営資源、プロジェクトの集合を指す言葉としても使われます。 ポートフォリオをマネジメントするとは、自社のもっている経営資源を最適に分配することです。主に投資や資産運用の領域で使われる場合は、そのままポートフォリオマネジメントと呼びます。また経営戦略の分野では、管理する対象によりプロダクト・ポートフォリオマネジメントもしくはプロジェクト・ポートフォリオマネジメントとも呼ばれます。以下でそれぞれの特徴と手法を解説します。

ポートフォリオマネジメント

主に投資・資産運用の世界で使われる言葉であるポートフォリオマネジメントとは、金融商品を組み合わせて、最適な資産の分配を考えることです。ここでいうポートフォリオとは、資産構成のことです。金融資産の最適な分配を考えるとは、リスクの少ない資産と、リスクの高い資産をどのような割合で組み合わせるのかを考えることです。この割合は、個人のリスク選好の度合いによって異なります。1952年にハリー・マーコウィッツが発表した『現代ポートフォリオ理論』では、投資の考え方を理論的に表現して展開しました。分散投資のメリットを数学的に表現して、適切な投資分配を数学で証明しています。

プロダクト・ポートフォリオマネジメント

プロダクト・ポートフォリオマネジメントとは、ボストンコンサルティンググループが提唱した戦略フレームワークです。アメリカにおいて、企業の多角化戦略を支援するために登場しました。企業戦略における経営資源の最適な分配を知るためのフレームワークです。 まずは、自社の製品・サービスを市場シェアと市場成長率を計算して分類します。成長性が高い市場は魅力的ですが、競争が激しくなりがちです。成長性が低い市場は成熟しており、市場のシェアは既に固定化されている傾向にあります。この二軸に自社の製品やサービスを当てはめて分類します。分類は全部で4つです。

1.問題児

市場シェアが低く、市場成長率が高い。今は収益が少ないが、今後伸びる可能性が高い分野です。 この分野で競争するには積極的な投資が必要です。しかしながら、市場シェアが低いため投資費用は大きくなってしまいます。

2.花形

市場シェアも市場成長率も高い。収益が伸びている事業です。今後も伸びる可能性があります。 この分野にも積極的な投資は欠かせません。また、市場シェアも高いため投資効率が高く、利益を出しやすいという特徴があります。

3.金のなる木

市場シェアが高く、市場成長率が低い。収益がピークに達している分野です。 既に市場シェアが高い上に競争が激しくないため、積極的な投資を必要としません。事業コストが低く利益を出しやすい分野です。

4.負け犬

市場シェアも市場成長率も低い。収益が乏しく、市場がのびる可能性も低い分野です。 この分野に投資をしても利益創出が難しいでしょう。そのため、事業を整理してほかの事業に経営資源を分配することを検討するべき領域です。以上のように、プロダクト・ポートフォリオマネジメントでは、自社の経営資源を投入する製品やサービスを合理的に決定する際に役立ちます。

プロジェクト・ポートフォリオマネジメント

プロジェクト・ポートフォリオマネジメントはプロジェクトの管理方法です。各プロジェクトの価値を見極め、戦略的重要性、資源の仕様、実収益と予測される収益を評価します。評価をもとに、全プロジェクトに対しての資源の分配を検討します。プロダクト・ポートフォリオマネジメントと異なる点は、既にある製品ではなく、プロジェクト単位で分類することです。 プロジェクト・ポートフォリオマネジメントにおいて大切なことは情報です。開発現場から得られる情報や市場の動向など、実行中のプロジェクトに関わる情報をリアルタイムに収集して分析し、素早い判断を下す必要があります。 プロジェクトの管理は複雑なため、管理ツールとしてのソフトウェアが複数リリースされています。プロジェクト同士で単純な比較ができない、大小合わせると膨大な数のプロジェクトがある、予算やスケジュールなどすべてがバラバラなプロジェクトである、といった場合はポートフォリオ化しての管理が必要です。成功率の低いプロジェクトを撲滅する、コストが超過しているプロジェクトへの投入資源を削る、価値の低いプロジェクトはあらためて収益性を確認するなど、無駄を無くすことで投資回収率が上がることが期待できます。

ポートフォリオマネジメントの注意点

効率的な資産配分を実現できますが、ポートフォリオマネジメントは完璧な指標ではありません。以下のポイントに注意を払い、分析結果を運用することが求められます。

事業間の関係を考慮していない

各事業間でシナジーが発生している場合を考慮していません。最終的な分析結果に合わせて事業間の関係を考慮する必要があります。「負け犬」に分類された製品が「金のなる木」にプラスの影響を与えていることも考えられます。

現時点での情報しかない

現段階での市場成長率や市場シェアしか考慮していません。例えば現在は市場成長率が低くても今後は確実な成長が見込める事業もあります。宇宙開発事業などもその典型です。ひとたび宇宙開発にイノベーションが起これば、各企業が競って参入するでしょう。

イノベーションが起こらない

イノベーションは市場を根本的に変化させるほどの技術革新です。「負け犬」の事業は市場シェアも低く、市場成長率も低いと解説しました。そのため、多くの企業はその分野から撤退します。しかしイノベーションは成熟していない市場ほど起こりやすいものです。イノベーションを起こすためには、たとえ赤字であろうとも開発・研究を断行することが必要です。

 

ポートフォリオマネジメントは分析が大切

ポートフォリオマネジメントは分析結果に基づいて合理的に判断します。そのため、分析に使う情報や指標が間違っていたら、すべての判断が間違ってしまいます。適切な指標を使い、正しく計算し分析することが求められます。

プロダクト・ポートフォリオマネジメント分析

プロダクト・ポートフォリオマネジメントにおいて必要なのは市場シェアと市場成長率です。分析において必要な手順は以下の通りです。

1.市場シェアを算出する

市場シェアは売上高を市場規模で割ることにより算出できます。 市場シェア=売上高/市場規模 自社の情報だけでなく、競合他社の情報も必要です。競合他社が東証一部上場企業であれば、有価証券報告書から数値を集めることが可能です。市場シェアは相対的な指標です。自社のシェアと他社のシェアを比べて分布することが大切です。

2.市場成長率を計算する

市場成長率は本年度の市場規模と昨年度の市場規模で割ることで算出できます。 市場成長率=本年度の市場規模/昨年度の市場規模 市場規模は公的機関やシンクタンクが発表している統計データから入手が可能です。もし入手が困難な場合には、自社の売上高を市場シェア率で割ることによって推定することもできます。市場シェアとは異なり、相対的な指標ではないため、自社のなかに基準となる数値を算出します。

3.自社の事業を分類する

上記の数値をもとに、各事業を分類します。分類する際には図表を作成することがおすすめです。市場成長率をy軸、市場シェアをx軸にとった図を作成し、各事業を割り振ります。分類する際に、各事業の売上の大きさに比例して、マーカーの円の大きさを変更するとよりわかりやすい図表が完成します。

4.他社と自社の位置を確認する

他社と比べて撤退する事業、投資をする事業など判断を下します。この際に、分析結果だけではなく、将来性やほかの事業とのシナジーなども加味して検討しましょう。

プロジェクト・ポートフォリオマネジメント分析

プロジェクト・ポートフォリオマネジメントはプロダクト・ポートフォリオマネジメントと違い、決まった算出方法はありません。どのデータを選択して比較するかが一番重要です。見るべき情報はいくつもありますが、すべての情報を盛り込んでしまうと比較困難となってしまいます。重要な指標を決め、適切な情報の取捨選択も行いましょう。 また、情報が複雑になってしまうため、管理ツールを使っての管理が一般的です。製品とは違いプロジェクト情報は属人化してしまうことが多いため、自社だけで管理を行うと情報収集だけでも一苦労です。ツールを導入して関連企業にも情報入力を義務付ければ管理コストを大幅に削減できます。もしツールを使わない場合は参考となる指標は漏れなく、正確な情報を集めましょう。評価に利用する指標は以下の4つの視点で分類されます。

  • 1.財務評価 正味現在価値や累積利益など
  • 2.客観的評価 開発成功確率、市場規模、市場成長率など
  • 3.戦略的評価 競争優位性、知財活用度、自社ブランドへの影響など
  • 4.リソース評価、人件費、設備投資、コストなど

重要指標をピックアップし、プロダクト・ポートフォリオマネジメント同様に計算して比較したうえで戦略を決めていきます。

 

ポートフォリオマネジメントの事例を紹介

株式会社ソニーは多くのAV機器を販売して、世界屈指のブランド力をもっていました。しかし、2000年以降に業績が低迷してしまいます。それまで「花形」、「金のなる木」となっていたAV事業が、市場の縮小により「負け犬」となってしまったのです。そこでAV機器であるVAIOを売却し、新たにゲーム、音楽などの「花形」、「問題児」に投資をします。選択と集中の結果、2015年に復活を遂げました。現在株式会社ソニーが提供しているサービスは全部で8つです。

  • ・ゲーム&ネットワークサービス
  • ・映画
  • ・音楽
  • ・ホームエンタテインメント&サウンド
  • ・イメージング・プロダクツ&ソリューション
  • ・スマートフォン
  • ・半導体
  • ・金融

このなかでスマートフォン事業は、「負け犬」と分類されました。


参考:株式会社ソニー2018年度第三四半期連結業績概要

スマートフォンの市場はある程度成熟していて、株式会社ソニーの市場シェア率は低い状態です。しかし、それでもソニーはスマートフォン事業を残す決断をしました。第5世代移動通信方式(5G)の到来による新たな成長とほかの事業との連結を考えた結果です。 スマートフォンの例はポートフォリオマネジメントに従っていませんが、ポートフォリオマネジメントの結果をもとに、多事業との連結性やイノベーションの可能性を加味したうえで判断した結果です。

 

まとめ

以上のように、ポートフォリオマネジメントは合理的な判断を行うために重要な考え方です。ですが、完璧ではありません。市場には常に予測不可能な問題が待ち構えています。分析結果を一つの情報として、ときには別の行動をとることも必要でしょう。しかし、依然としてポートフォリオを整理することが重要であることに変わりはありません。これを機に一度自社の情報を整理してみてはいかがでしょうか。

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