公開日:2022/03/11
更新日:2023/06/13

ITアーキテクトとは?必要なスキル・資格と育成の取り組みを解説

ITアーキテクトとは?必要なスキル・資格と育成の取り組みを解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

近年、企業のDXが進められるなか、「ITアーキテクト」という職種が注目を集めています。 ITアーキテクトは、企業のビジネス戦略におけるシステム関連のキーマンとして、重要なポジションを担う職種です。 本記事では、ITアーキテクトの概要と必要とされるスキルや資格、企業に求められる育成の施策について解説します。

 

01ITアーキテクトとは

ITアーキテクトとは、企業が求めるビジネス要件にマッチした、最適なシステム構成を設計する職種です。具体的にはシステム開発において開発の方向性を定め、全体像をデザインするところから、仕様や要件定義、運用や保守までの一連に携わる技術職といえます。 企業のDX化が推進されるなか、システムの設計者であるITアーキテクトのような高度なスキルをもった人材は、ますます需要が高まっています。

システムエンジニアとの違い

ITアーキテクトは、製品開発に必要になる要件を定義し、それらを実現するためのアーキテクチャ(論理的構造)を設計します。一方で、システムエンジニアは開発プロジェクトやチームの管理、プログラムの仕様書、システムの設計書、ソフトウェアの設計書などを作成します。そのため、ITアーキテクトは、幅広いスキルや豊富な経験が求められるという点がシステムエンジニアとの違いと言えます。


 

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02ITアーキテクトが担う専門分野

ITアーキテクトが担う専門分野は、以下の3つに分類されています。

アプリケーション・アーキテクチャ

アプリケーション・アーキテクチャは、主にシステム内で稼働するソフトウェア(アプリケーション)の設計に特化したITアーキテクトです。 必要な要件を定義し、ユーザビリティも考慮しつつ、求められる業務処理を実現するための機能を、アプリケーション設計に反映させるのがこの分野の役割です。

インテグレーション・アーキテクチャ

複数システムの統合的運用の実現に特化した役割を担うのが、インテグレーション・アーキテクチャです。部門ごとに異なるシステムを保有し、別々に運用する企業は少なくありません。こうした複数のシステムの連携・統合を図るのがこの分野です。

インフラストラクチャ・アーキテクチャ

インフラストラクチャ・アーキテクチャは、システムやアプリケーションの土台となるシステム設計に特化したITアーキテクトです。情報システムの分野でインフラとは基盤を意味します。サーバーやネットワーク環境、OSやクラウドサービスといった、さまざまなインフラ環境を構築する役割を担います。

 

03ITアーキテクトに必要な11のスキル

DX推進において、ITアーキテクトはシステム設計という重要な役割を担います。そのため求められるスキルは広範囲にわたります。 独立行政法人情報処理推進機構が発行する「ITスキル標準V3 2011」には、以下に挙げる11のスキルが必要とされています。

▶︎参照:独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011」

アーキテクチャ設計

アーキテクチャ設計とは、業務効率化をはじめとした経営課題を解決するシステムの基本設計や要件定義を行うスキルです。企業の課題を理解し、解決可能な機能をシステム上に盛り込みます。システムやアプリケーション開発には欠かせない、基本となるスキルといえるでしょう。

設計技法

多くのモデリング技法を習得し、業務フローやデータベースの構造に適用するのが設計技法です。モデリングとは、システム開発において業務構造を抽象化し、全体像を把握する技法を指します。案件に応じたモデリングを選択し、設計に取り入れるスキルです。

標準化と再利用

標準化とは、システム全体に適用する開発手法やルール・構成を標準化するスキルです。開発標準の定義ともいえるでしょう。 再利用とは、既存資産の再利用を検証するスキルです。高品質なシステム構築には不可欠なスキルといえます。

コンサルティング技法の活用

システム開発にはクライアントの課題を理解し、適切なコンサルティングにより解決方法を導くプロセスが欠かせません。コンサルティング技法の活用とは、分析ツールやモデルを把握しコンサルティングに活用するスキルです。案件に適した技法を選択するスキルも含まれます。

知的資産管理

企業内に点在する知的資産(独自のノウハウなど)を、収集・管理し必要に応じて活用するスキルが知的資産管理です。その企業にすでにあるノウハウだけではなく、当該プロジェクトの進行中に発生したノウハウも管理の対象としていきます。

テクノロジー

常に進歩する最新テクノロジを把握し、必要に応じて案件に活用するスキルです。ITアーキテクトは常にIT業界の動向にアンテナを張り、最新の技術を理解しておく必要があります。 案件に活用する場合は、関連技術標準の理解も必要です。

インダストリ(ビジネス)

インダストリとは競合各社をはじめとした、関連業界の動向を把握するスキルのことです。 具体的には競合他社が新しく始めたビジネスや、開発したシステム、新しい技術などを把握します。必要に応じて自社の案件に反映させることも求められます。

プロジェクトマネジメント

ITアーキテクトにもプロジェクトマネジメントのスキルが求められます。案件を進行する際には計画の立案や、資金や要員の確保・管理といった業務が必要となるからです。 プロジェクト全体を俯瞰し、常に最適な運営状況に保つ能力も求められます。

リーダーシップ

プロジェクトの進行には複数のエンジニアなど、多くのメンバーとの協働が欠かせません。 異なる立場のメンバーをまとめ、指揮するにはITアーキテクトとしてのリーダーシップが必要になります。指揮監督に説得力をもたせるためには、より技術的な裏づけをもった方針を示すことが必要です。

コミュニケーション

コミュニケーションスキルもITアーキテクトには欠かせません。チームメンバーへの情報伝達や、クライアントとの意思疎通など、コミュニケーションスキルを発揮する機会は多くあります。相手の主張を理解しつつ、適切に自身の考えを伝える能力を磨かなくてはなりません。

ネゴシエーション

システム開発のプロセスでは、複数の関係者の意見が対立するケースは少なくありません。適切なネゴシエーションにより、合意形成を図るのもITアーキテクトに求められる役割です。案件をスムーズに進めるために欠かせないスキルといえるでしょう。

 

04ITアーキテクトに役立つ資格

ITアーキテクトに求められる11の基本スキルについて見てきました。ITやデジタルに関する専門スキルから、マネジメントや対人スキルまで、幅広い能力が求められることが理解できました。 ここでは、ITアーキテクトに関連する資格を紹介します。 資格を保有しないとITアーキテクトの業務ができないわけではありませんが、もっておくと良い資格を2つ紹介します。いずれも、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格です。

システムアーキテクト試験

「システムアーキテクト試験」は、システム開発の上流工程を主導・監督する立場に求められるスキルを有していることを、証明してくれる資格です。 難易度は最高レベルであるレベル4に該当する難関ですが、ITアーキテクトとして保持しておけば説得力が増す資格といえるでしょう。

参照:独立行政法人情報処理推進機構ホームページ

プロジェクトマネージャー試験

「プロジェクトマネージャー試験」は、システム開発プロジェクトの責任者としての能力を有していることを証明してくれる資格です。 プロジェクトの全体計画の作成から、要員・資源・予算の確保。スケジュールや品質の管理まで一貫した管理能力が問われる試験です。 ITアーキテクトにもプロジェクトマネージャーの資質は求められます。取得して損はない資格といえるでしょう。

 

05ITアーキテクトのキャリアパス

ITアーキテクトには多様なスキルと、豊富な経験が求められます。この章では、ITアーキテクトのキャリアパス例を紹介します。

1.システムエンジニアとして経験を積む

ITアーキテクトには、システム設計の経験が求められます。そのため、ITアーキテクトのキャリアパスとして、最初にシステムエンジニアとして経験を積む人は多くいます。様々なプロジェクトの管理や進行を経験していく中で、ITアーキテクトになるためのスキルや経験則を得ていくのです。

2.チームマネジメントを経験する

ITアーキテクトは、ビジネス職を含め多くの人と協働する必要があります。周囲の人を巻き込んでプロジェクトを推進していく能力は、ITアーキテクトには欠かせません。リーダーシップだけでなく傾聴力や、ファシリテーション能力なども求められるので、開発スキル以外のポータブルスキルをチームマネジメントを経験することで習得しましょう。

 

06ITアーキテクトの給与・年収

令和3年に経済産業省が発表した「我が国におけるIT人材の動向」では、ITアーキテクトの年収は700〜900万円と記載されています。ただし、あくまでも目安なので能力や業界によっても給与は変動します。また、これからもDX人材の需要は高まっていくことが予想されるため、ITアーキテクトの給与・年収は少なくとも下がることは考えにくいでしょう。さらにジョブ型雇用も進んでいくことで副業としてもオファーがくる可能性があります。

参考: 経済産業省|我が国におけるIT人材の動向

 

07ITアーキテクトの育成に対する組織の取り組み

ここでは、ITアーキテクトを育成するために、組織として取り組むべき施策について触れていきます。 ITアーキテクトの育成について、詳細かつ簡潔にまとまっている資料を紹介します。 IPAが発行した「ITアーキテクト育成ハンドブック第2版」に挙げられている、5つの項目について見ていきましょう。

研修の体系化と実施

ITアーキテクトの育成には、キャリアパスに沿った体系的な教育が必要であるとしています。 IPAが発行する「研修ロードマップ」を参考に、自社の研修体系の構築と、計画的な研修の実施を勧めています。また、書籍による自己学習を推奨するのも良いでしょう。

参照:独立行政法人情報処理推進機構「研修ロードマップとは」

メンタリング・コーチング

ベテランITアーキテクトによる、メンタリング・コーチングも有効であるとしています。 しかし、メンタリング・コーチングを実施できる人材の確保が難しいのが問題点です。解決手段として、ベテランITアーキテクトの評価項目に、「技術伝承」を加えるなどして、後進の育成に意義をもたせることを提案しています。

ジョブアサイン

より高度なスキル習得を目指す施策として、ジョブアサインの必要性を挙げています。 ITアーキテクトの業務は複合的なスキルが必要となるため、定期的なジョブローテーションにより経験の幅を広げてもらわなくてはなりません。部署の都合で優秀な人材を抱え込み、成長機会を奪うことがないよう、社内人材公募制度の整備などを提案しています。

コミュニティ

研修やコーチングとは別に、コミュニティへの参加も推奨しています。 内外のITアーキテクトや、ITアーキテクトを目指す人材のコミュニティへの積極的な参加を促し、交流を図ることが望ましいとしています。 オンラインによるコミュニティ参加の可能性にも触れており、新たな教育手段として大きな期待を寄せているようです。

認定制度

現役ITアーキテクトのモチベーション維持や、目指す人材の動機付けとしての認定制度の必要性に触れています。 スキル習熟度や貢献度、ビジネスコミットメントなどを評価項目とし、論文や面接での評価を提案しています。ITアーキテクトは高度なスキルを要しビジネスをリードする専門職です。社内価値を高めるために、認定制度と処遇を連動させることについても言及しています。


 

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08まとめ

本記事では、ITアーキテクトの概要と必要とされるスキルや資格、育成の施策について解説してきました。 ITアーキテクトは、企業のDX推進におけるシステム整備のキーマンとして、重要なポジションを担います。高度なスキルを必要とするため、育成には長期的な視点が必要になります。 組織的な取り組みとして、ITアーキテクトの育成を考えてみてはいかがでしょうか。

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