CDO(最高デジタル責任者)とは?求められる理由や必要なスキルも解説

デジタル戦略を推し進めるため、CDO(最高デジタル責任者)を設置する企業が増えています。そもそもCDOとは何なのか、なぜ今増えているのかの理由、そして求められるスキルについて解説します。
- 01.CDOとは最高デジタル責任者のこと
- 02.CDOが重要視されるようになってきた理由
- 03.CDOに必要とされるスキル
- 04.Schoo for BusinessのDX研修
- 05.まとめ
01CDOとは最高デジタル責任者のこと
CDOとは、最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)のことを意味します。 CDOは、主にDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の中心になり、自社のDX化を担うことが多いでしょう。 詳しくは後述しますが、急激な状況の変化やリモートワークの推進、消費者行動の変化により、ここ数年でDXへの対応は企業にとって急務となりました。 まだ道半ばである日本企業のDXですが、思うように進まないのには様々な理由があります。それらのDXが進まない要因の解決に寄与すると考えられているため、CDOに注目が集まっているのです。
CIO(最高情報責任者)との違い
CDOと似たような役職として、CIOがあります。 CIOとは、最高情報責任者(Chief Information Officer)のことです。 社内システムの保持・運用や、情報セキュリティをはじめとしたIT関連の業務の責任者として設置されることが多い役職です。
本来は、自社の情報資産の活用やIT戦略を担うことが期待されていましたが、どうしても「保持・運用」や「セキュリティ」といった守りの面が強い性質があり、経営陣として事業を推進するという役割を担えないケースがありました。 そのためか、CIOと呼ぶ場合には積極的に事業に関わるというよりは、情報的な防御の責任者を担ってきました。 近年、DXが推進されるにあたって、ITを活用した自社の業務最適化にとどまらず、デジタル技術を活用したマーケティング施策の推進や新規事業の開発など、IT領域における攻めの施策推進が求められるシーンが増えています。 そのため、他部署や経営にも影響できるような権限をCIOに付与し、CDOに設置替えしたり、CIOの名でCDOと同じ業務を行うようになったりするケースも増えています。
CDO(最高データ責任者)との違い
同じCDOという略称ですが、最高データ責任者(Chief Data Officer)であるCDOも存在します。 最高データ責任者は、文字通り「データ」の管理と活用に責任を追う役職です。自社が扱うすべてのデータを管理、統合し、それらをビジネスで活用するための活動を行います。 最高デジタル責任者が、DXに関連して自社のデジタル業務全般を統括できることに対して、同じくデジタル領域を扱うものの、最高データ責任者は「データ」に関する領域に特化しているという特徴があります。 こちらも、データ領域の管理・活用だけではDX推進は難しいため、経営に関する権限を増やして、最高デジタル責任者が行うべき業務を担当してもらうようなケースがあるようです。
02CDOが重要視されるようになってきた理由
CDOが重要視され、設置する会社が増えていることには理由があります。 前述のとおりCDOはDX戦略を担うため、基本的にはDXに関連した理由です。ここでは、なぜCDOが注目されているのか、簡単に3つの理由をもとに解説します。
- 1.DXの重要性が高まっている
- 2.DX戦略には経営陣の参画が必要であるため
- 3.DXの社内浸透と監視・調整を中長期的に取り行うため
1.DXの重要性が高まっている
社会に存在する企業のうちおよそ9割が中小企業である日本において、デジタル化は世界に遅れてしまっている状況でした。 そこで、政府が主体となって宣言を出し、DXを推し進めるという方針を打ち出しました。DXに適応することは、政府からの要請でもあります。 しかしそれらに加え、もう一つ大きなDX推進が求められる理由が加わりました。 それが、感染症の流行による消費者と従業員の大きな意識変化です。 通販大手各社はこの機に大きく業績を伸ばし、ECサイトをもたずデジタル戦略を事業に取り入れていない企業は出遅れることになりました。 また、リモートワークや緊急時の在宅業務など、従業員の働き方に対しても見直しが必要になってきています。 感染症の急増という半ば強制的な外部要因が影響して急激なDX推進が必要となったため、多くの企業では想定しないほど急進的なDXへの対応が求められているのです。
2.DX戦略には経営陣の参画が必要であるため
急激なDX推進かつデジタル領域の拡大となると、どうしても経営的な判断が多くなります。 また、業種によっては現場一筋でやってきたベテラン社員との軋轢などもあるでしょう。 DX戦略に適した組織作りを行うためには、経営面からDXに関する意見を通すことができ、なおかつ実行できる権限が必要なのです。 前述した最高情報責任者や最高データ責任者、あるいは経営陣ではないIT部門長では、どうしても経営に関する権限が足りず、DXを推進しきることができないのです。 DXの概念が提唱されてからすでに日本でも多くの企業がDX化に挑戦してきました。その結果として、経営陣の目線をもったIT人材がDXには不可欠であり、CDOのような役職が必要である、ということが分かってきたのです。
3.DXの社内浸透と監視・調整を中長期的に取り行うため
DXは取り入れて終わりではなく、監視し、浸透させ続け、ブラッシュアップしつづけなければならないものです。 CDOは、自社内のDXプロジェクトを立ち上げて実施するだけでなく、DX化されて以降の運用においても中心に立つ必要があります。そして全社的にDXを浸透させ、問題なく運用されているか監視しつづけ、また問題があれば解決もしなければならないのです。 今後も、デジタルマーケティングをはじめとしたIT関連の技術はほぼ確実に向上していきます。 IT関連の進歩を止めてしまうと、実質的なIT技術の後退になります。周辺企業や業界のIT規格に合わせられなくなっていくことは、業務上でも多くの不具合を生じさせるでしょう。 それを避けるためには、一過的にDXに関わるのではなく、経営陣としてしっかりと中長期的に自社のDXの中心を担い続けるCDOのような人物が必要なのです。
03CDOに必要とされるスキル
ここまでは、CDOの役割と求められる理由について紹介してきました。では、実際にCDOにはどのようなスキルをもった人物がふさわしいのでしょうか。 ここからは、CDOに必要とされるスキルについて解説していきます。
- 1.IT関連の知識
- 2.経営者としての高い視座
- 3.社内調整を可能にするコミュニケーション能力
- 4.教育・育成能力
1.IT関連の知識
DXはその多くがデジタル領域であるため、当然ながらIT関連の知識は必要です。できるならば、実際に現場でプログラミングなどを経験していると望ましいでしょう。 IT関連の知識は、常に業界の常識が変わり続けているため、知識の吸収を止めた瞬間に陳腐化してしまいます。過去の知見同士が複雑に絡まり合いつつ、場合によっては最新技術がすぐに浸透し、次の瞬間には過去のものになっています。 そうであるにもかかわらず、過去のものになったかつての最新技術が、次の最新技術の基盤になっているため、どこかで情報収集の手を休めるとついて行けなくなるということがよくあります。「これさえ覚えておけば安泰である」というものがないのです。
デジタルマーケティングスキル
DX推進という場合、社内のDX化に終始するのではなく、多くの場合でユーザー向けの事業利用も並行して考えられるでしょう。 その筆頭が、デジタルマーケティングです。こちらも、次々に新しい手法やツールが生まれ、また守るべきガイドラインが更新されたりと変化が激しい領域です。 多くの場合において、CDOはデジタルマーケティングについても精通していることが求められます。
2.経営者としての高い視座
DX化に関して、既存の最高情報責任者や最高データ責任者、IT部門長に足りなかったもの、それが経営的な権限でした。 CDOには、経営陣の一員として多くの経営的な権限が与えられ、同時に事業への責任が課せられています。 当然ながら、「経営陣の一員としての視座」も求められます。 CDOが推進するDXは、DX化だけが目的なのではなく、事業や業績とも大きく関わっています。もちろん、コーポレートガバナンスや業界のガイドラインの遵守など、守りに関する面も担っています。 CDOには、これらの複雑に絡み合った事象を経営的な視点から判断し、決定していくことが求められるのです。
3.社内調整を可能にするコミュニケーション能力
社内にDXを浸透させるためには、現場社員との軋轢も乗り越えなければならない、という話は前述したとおりです。 仕組みを変え、新しいものを取り入れる際、必ず反対する者は現れます。場合によっては、特定の部署や部署群、支部一つがまるごと反対することもあり得ます。 CDOは、様々な勢力と調整しなければならないため、部署を超えた関係性の構築ができなければならないのです。 またCDOの難しさは、ITに関する概念や用語と切っても切れないことにあります。IT知識が乏しかったり、必要としない部署の従業員とも折衝し、説明し、納得してもわなければなりません。特に伝統的な中小企業では、この部分が大きなネックになるでしょう。 場合によっては経営陣としての権限も用いながら、剛柔織り交ぜたコミュニケーションが必要になるため、そういったコミュニケーションスキルが必須なのです。
4.教育・育成能力
日本のIT人材は慢性的に不足しているといわれています。その中でもデジタルに精通したDX人材は、需要も高いことから最も不足している人材の一つではないでしょうか。 DXは導入して終わりではなく、中長期的な監視と運用が必要である旨は前述したとおりです。社としてDX施策を推進していくためには、組織としてデジタル人材を育成することが必要です。 CDOには、高度化された専門知識・経営陣レベルの経営スキル・コミュニケーション能力が求められ、担当する業務領域も広いです。 自分の不足分を補ったり、共同してDXを進めていく仲間、あるいは重大な決定も任せられるような後進を育成していくことは、CDO自身にとっても不可欠な要素なのです。
04Schoo for BusinessのDX研修
Schoo for Businessでは約7000本を超える数の授業をご用意しており、様々な種類の研修に対応しています。その上、自己啓発にも効果的な内容の講座を毎日配信しているため、研修と自己啓発の両方に対応することができるシステムになっています。研修と自己啓発を掛け合わせることにより、誰かに要求されて学ぶのではなく、自発的に学び、成長していく人材を育成することが可能になります。ここでは、Schoo for Businessの具体的な活用方法と、特徴、さらにはどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.研修と自律学習推進を両方行うことができる
Schoo for Businessは社員研修にも自律型学習にも利用できるオンライン学習サービスです。通常の研修動画は、研修に特化したものが多く、社員の自律型学習には向かないものも少なくありません。しかし、Schooの約7000本にも上る授業では、研修系の内容から自己啓発に役立つ内容まで幅広く網羅しているため、研修と自律型学習の双方の効果を得ることができるのです。
SchooのDX研修カリキュラム
Schooの数多くの授業の中にはDXが学べる授業も多くあります。ここでは、SchooのDX研修カリキュラムを紹介します。
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DXを推進する上で、ベースとなるビジネススキルの習得を目的とした研修パッケージです。
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DX人材となるために必要な基礎的なスキルや知識を学ぶことができる研修パッケージです。
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インターネットの仕組みから、情報セキュリティに関する知識を習得することを目的としたパッケージです。
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ただ数値を見てボトルネックを発見するのではなく、課題の本質を見抜くという点に焦点を当てた研修パッケージです。
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与えられた課題に対してそのまま実行に移すのではなく、一歩引いた状態で“与えられた課題の目的・背景”=Whyを考えられる能力を養うことを目的としたパッケージです。
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問題解決を目的としたデータ分析の方法や批判的思考法を学び、デジタル技術を組み合わせながら課題解決をどのように実施していくかを導き出す能力を養うことができます。
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DXを推進する上でのデジタル技術の基礎を学ぶことができます。IoT導入の担当者やDX推進プロジェクト担当者におすすめの授業です。
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DXを進める上で欠かすことのできない顧客理解・インサイトの見つけ方を習得することを目的としています。
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DXのプロジェクトを実際に推進していく人におすすめの研修パッケージとなっています。
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DXは1人では実現できず、チームとして着実に前に進めていく必要があります。この研修パッケージでは、チームとして生産性高く、イノベーションを起こしていく方法を学ぶことができます。
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デジタライゼーションに留まらず、本質的なDXを推進したいという方におすすめの研修パッケージです。
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プロジェクトマネジメントに必要なスキル・知識を体系的に学べる授業をまとめました。PMだけでなくチーム全員で研修を受けておくと、それぞれの視座も上がり、さらにコミュニケーションが円滑になるかもしれません。
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「じゃらん」や「ホットペッパー」などの事例を用いて、CRMの基礎からデータ分析の方法まで学ぶことができる研修パッケージです。
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DXを用いた新事業創造や、事業戦略の立案についてを学ぶことができるパッケージ
3.管理画面で受講者の学習状況を可視化できる
Schoo for Businessには学習管理機能が備わっているため、研修スケジュールの作成を容易に行うことができます。さらに、社員の学習進捗度を常に可視化することができる上に、レポート機能を使って学んだことを振り返る機会を作ることも可能です。ここでは学習管理機能の使い方を簡単に解説します。
まず、Schoo for Businessの管理画面を開き、「研修を作成するという」ページで作成した研修の研修期間を設定します。ここで期間を設定するだけで自動的に受講者の研修アカウントにも研修期間が設定されるため、簡単にスケジュールを組むことができます。
この、管理者側の管理ツールでは受講者がスケジュール通りに研修を受けているかを確認することができます。もし決められた研修をスケジュール通りに行っていない受講者がいれば注意したり、話を聞くことができるなど、受講者がしっかりスケジュールを守っているかを確認することができます。
05まとめ
政府が推進してきたDXですが、感染症の問題によって消費者や従業員の意識が急激に変化し、もはや悠長に進めることはできなくなりました。 この急激なDX化の波に対処するために、CDOは大いに役立ちます。 この機会に、ぜひ自社のデジタル戦略について考え、調査してみてください。