フィッシュ哲学とはどんな考え方?またメリットや注意点について

フィッシュ哲学は、組織全体を活性化するためのマネジメント方法の1つで、職場の労働環境や人間関係を活性化させることができる手段として、多くの企業が取り入れ始めています。本記事では、フィッシュ哲学を企業が活用するメリットや活用する時の注意点について紹介します。
- 01.フィッシュ哲学とは?
- 02.フィッシュ哲学を実践するうえでの4つのマインド
- 03.フィッシュ哲学を活用するメリット
- 04.フィッシュ哲学を活用する時の注意点
- 05.まとめ
01フィッシュ哲学とは?
フィッシュ哲学とは、組織全体を活性化するためのマネジメント方法の1つで、アメリカ シアトルにある「パイク・プレイス・マーケット」という魚市場で生まれたマインドです。
主に、「遊ぶ」「態度を学ぶ」「注意を向ける」「楽しませる」という4つのマインドが軸になっており、実践しやすいシンプルなマネジメント方法でもあります。
当時、魚市場では、フィッシュ哲学を活用したことによって、廃れた状態から観光客が集まるほど世界的に有名な魚市場に成長しました。
そのため、現在では多くの企業で活用されており、医療や教育、福祉現場などでも活用されています。
02フィッシュ哲学を実践するうえでの4つのマインド
フィッシュ哲学は、以下の4つのマインドが軸になっており、この4つのマインドを意識して仕事を行うことが、組織の活性化には大切です。
- ・1.遊ぶ(Play)
- ・2.態度を選ぶ(Choose Your Attitude)
- ・3.注意を向ける(Be There)
- ・4.楽しませる(Make Their Day)
それぞれのマインドが具体的にどのような意味や考えを示しているのかについて、詳しく紹介します。
1.遊ぶ(Play)
「遊ぶ」とは、仕事中に遊ぶことではなく、仕事に対して好奇心ややる気を持ち、自然と楽しめるということです。実際に魚市場では、従業員同士が魚を投げて運ぶという作業方法を取り入れて、遊んでいるように仕事を行いました。このように遊んでいるように楽しめる職場では、1人1人の気持ちが高まり、楽しさを組織内で共有できるので、組織が活性化しやすくなります。
2.態度を選ぶ(Choose Your Attitude)
「態度を選ぶ」とは、自分の態度を周りの状況に影響されることなく、自分で責任を持って選ぶということです。普段、職場で無意識に行っている態度によって周りにどのような影響を与えるのか考え、トラブルが発生した場合でも、余裕を持って仕事をすることが大切です。特に、上司の態度は、部下に大きな影響を与える要因の1つでもあるので、意識が必要です。毅然とした態度を取ることができれば、トラブルに迅速に対応でき、周りにもポジティブな影響を与えられるようになります。
3.注意を向ける(Be There)
「注意を向ける」とは、お客さんや一緒に働く人に注意を向けて、1人1人に丁寧に対応することです。しっかりと目の前の人物に注意を向けて接すれば、人間関係やコミュニケーションが改善・向上して1人1人の印象も良くなります。頻繁に会う相手や行う作業は、どうしても適当になりがちですが、意識することで対人に限らず業務でも活用することが可能です。また、周りに注意を向けることで、自分が行う最適な行動も判断できるようになります。
4.楽しませる(Make Their Day)
「楽しませる」とは、多くの方が抱く「褒められたい」「認められたい」などの承認欲求を満たしてあげることです。相手に見返りを求めずに、どんな関係の相手であっても、素直に尊敬していることや関心したことを伝えることが大切です。このマインドは、モチベーションや人間関係の維持・向上に大きく影響を与え、結果的に質の高い業務をこなしやすくなります。しかし、極端に褒め続けると、逆効果になる場合もあるので、注意が必要です。
03フィッシュ哲学を活用するメリット
フィッシュ哲学は、現代の多様な働き方にとてもマッチした考え方でもあるので、日本だけに止まらず世界中で活用されています。そんなフィッシュ哲学を活用する主なメリット3つについて、解説します。
- ・1.組織力が向上する
- ・2.社員の離職率の低下が期待できる
- ・3.顧客満足度の向上
1.組織力が向上する
社員が楽しみながら働くことができ、お互いに良好な人間関係を築くことができれば、チームワークが大きく向上します。ビジネスや医療、教育や福祉では、組織単位で行動することが大切なので、組織力の向上は大きなメリットです。
コミュニケーションが円滑化する
相手を褒めたり、注意を向けて丁寧に接することは、人間関係が改善されコミュニケーションが盛んになります。組織で1つの作業を行う場合、お互いの長所と短所を理解し、補い合うことやコミュニケーションによる情報伝達ができることは、企業にとって大きな利益です。部下が上司に聞きづらい空気感を出したりミスやトラブルを問い詰めることは、長期的に見ても組織全体の生産性を低下させてしまいます。また、コミュニケーションが不十分だと、ミスやトラブルが発生しやすくなりますが、それらの改善にもフィッシュ哲学は貢献します。
余裕ができ協調性が生まれる
社員1人1人が態度や相手の接し方を意識して改善すれば、突然のトラブルや誰かのミスに余裕を持って迅速に対応できます。誰かに責任を押し付けたり、犯人探しを行っても、作業効率やミスの発生は改善されることがありません。
また、お互いミスや短所を補合えると、共感もしやすくなるため、相手の立場に立って物事を考えられるようになります。
作業を行う前に、お互いに意識し合えば、全体的にミスやトラブルは大幅に減少させることが可能です。
2.社員の離職率の低下が期待できる
フィッシュ哲学の考え方を導入することによって、人間関係が改善・向上し、コミュニケーションが盛んになれば、職場環境は大幅に改善されることが期待できます。
「態度を選ぶ」のマインドは、顧客だけでなく、仕事で関わるメンバーも対象としています。上司と部下の間はもちろんのこと、メンバー同士のやりとりで自らの態度やコミュニケーションのやり方がどんな影響を及ぼすのかを想定して仕事に臨むことができれば、人間関係ないしは職場の環境が改善されるでしょう。
結果的に離職率の低下も抑制することができ、また働きやすい環境には採用にも関わってくるため、優秀な人材を確保しやすくもなります。
3.顧客満足度の向上
社員がイキイキと働き、仕事に取り組む姿勢が醸成されると、提供する商品・サービスの質に反映され、結果的に顧客の満足度の向上することが期待されます。
また、態度を選び相手を楽しませることを意識するフィッシュ哲学では、社員同士だけでなく、顧客に対しても意識が働きます。
そのため、仕事の生産性が高まり顧客からの様々なニーズにも対応できるようになるため、顧客満足度の向上に繋がります。
04フィッシュ哲学を活用する時の注意点
フィッシュ哲学は世界中でも活用されるほど魅力的な考え方ですが、導入を間違えてしまうと、かえって逆効果になることもあります。
次は、フィッシュ哲学を活用する時の主な注意点を3つについて解説します。
- ・1.無理に同調させない
- ・2.職場環境の改善にも取り組む
- ・3.絶対的な改善手段ではない
1.無理に同調させない
フィッシュ哲学を活用すれば、組織力や生産性、顧客満足度の向上に大きく貢献しますが、無理に同調させると逆効果になります。
明るくコミュニケーションが盛んな職場は、より良い人間関係を築く上で最適だと感じる方が多いです。しかし、中には最低限のコミュニケーションしか取りたくない方や、楽しまず黙々と仕事をこなしたい方もいます。
フィッシュ哲学を社内にできるだけ早く浸透させようとして、同調させたり強要させると、離職率の増加や人間関係の悪化に繋がります。そのため、社員1人1人の性格や社内の雰囲気などを配慮して、徐々に浸透させましょう。
2.職場環境の改善にも取り組む
社内での人間関係が悪く、いじめやセクハラ、パワハラなどが発生している場合や、残業時間が長く給料が低いなどの場合は、フィッシュ哲学をうまく活用することができません。職場環境が悪く社員同士の人間関係が悪い場合は、優先して職場環境の根本的な原因を解決させることが大切です。
特に、いじめやハラスメントにより人間関係に亀裂が生じていたり、給料や労働時間に対する不満が大きい場合は、フィッシュ哲学が完全に無意味になります。そのため、人事対応を行いて適切な処分を与えたり、労働状況の把握・改善にもしっかりと力を入れて取り組みましょう。
十分に職場環境が改善・安定したらフィッシュ哲学を活用して、さらに職場環境の改善に取り組みます。
3.絶対的な改善手段ではない
フィッシュ哲学は、社内の人間関係を改善し、企業のブランディンや離職率の低下など多くのメリットがあります。しかし、フィッシュ哲学はあくまでもマネジメント方法の1つであるため、フィッシュ哲学を活用することで、絶対に社内環境が改善されるとは限りません。また、社員の好奇心ややる気が低下している原因には、人間関係や楽しさ以外の理由が潜んでいることも少なくありません。
特に、上記でも紹介したいじめやハラスメント、労働時間や給料問題などの原因は、フィッシュ哲学だけでは解決することが難しいです。そのため、今の社内環境を改善するためには、どのような手段が必要なのかしっかりと考えて、フィッシュ哲学は方法の1つとして考えましょう。
05まとめ
フィッシュ哲学は、世界中の企業で活用されており、社内環境の改善や生産性の向上だけでなく、顧客満足度の向上や離職率の低下にも効果的です。 また、専門的な知識やスキルは必要なく、誰でも活用することができるシンプルなマネジメント方法です。しかし、間違った活用をしてしまったり効力を過信してしますと、逆効果になってしまい組織力の低下に繋がります。これからフィッシュ哲学を企業や医療現場などで活用しようと考えている方は、ぜひ本記事を参考に、検討してみてください。