人材マネジメントポリシーとは?作成するメリットやその手順を解説

「人材マネジメントポリシー」とは、人材マネジメントにおける会社と社員の約束事のことです。本記事では、人材マネジメントポリシーの概要や人材マネジメントポリシーをつくるメリットについて解説しています。企業の教育担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
- 01.人材マネジメントポリシーとは?
- 02.人材マネジメントポリシーをつくるメリット
- 03.人材マネジメントポリシーの作り方
- 04.人材マネジメントポリシーを作るときの注意点
- 05.まとめ
01人材マネジメントポリシーとは?
「人材マネジメントポリシー」とは、人材マネジメントにおける方針のことを意味します。その企業が人材育成を行ううえで「どのようなことに重きをおくか」という、独自の方針・指針を言語化したものと考えると良いでしょう。
人材マネジメントポリシーが重要視される背景
人材マネジメントポリシーが重要視される背景には、「人材不足が深刻化している」ことや、「企業が求める人材像の変化」、「働き方の多様化」などが挙げられます。
少子高齢化などの影響により人材不足は、多くの企業にとって、大きな経営課題となっています。新たな人材の採用が厳しくなると、どうしても今ある人材リソースを活用して、生産性を向上させていくしかありません。また現代は、VUCA時代と言われ、先行きが不透明であるがゆえに、市場で成功を手にできる戦略が見出しにくい状況にあります。企業が求める人材像も、特定の分野に特化したスペシャリストへと変化しつつあり、こうした人材を育成するためには、適切な人材マネジメントを実施することが欠かせません。加えて、近年は副業解禁を筆頭に新しい働き方が広く普及しつつあります。そのため、多くの企業で人材マネジメントの在り方を、今一度見直すという動きが活性化しているのです。
02人材マネジメントポリシーをつくるメリット
人材マネジメントポリシーを作成することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。以下では、人材マネジメントポリシーをつくるメリットについて紹介します。
- 1.ビジョンやミッションの浸透を促進する
- 2.公平公立な人事評価ができる
- 3.会社に対するエンゲージメントが高まる
- 4.求職者などへの採用ブランディングにつながる
- 5.組織文化の醸成につながる
- 6.競合他社との差別化につながる
1.ビジョンやミッションの浸透を促進する
自社の人材マネジメントポリシーを従業員に周知徹底することで、従業員は企業のビジョンを深く理解し、そのために自らが達成するべきミッションを考えることが可能となります。これによって業務の生産性が大幅に向上し、経営層が目指す事業計画の実効性も高まります。
2.公平公立な人事評価ができる
人材マネジメントポリシーを作成することで、社員の能力や成果を正しく評価できるようになります。自社における人材育成がどのような評価基準なのかを明確化しておくことで、評価者の主観や印象によって、評価にバラツキが出てしまうことを防げます。
3.会社に対するエンゲージメントが高まる
従業員が会社の人事評価に不満を抱く理由としては、その多くが、人事評価がどのようになされているか不透明である点にあります。一方、人材マネジメントポリシーが設けられていれば、評価の透明性が増し、評価に対する不満を軽減できます。これにより、従業員は自社に対する信頼や愛着が高まり、結果的にエンゲージメントが向上するのです。
4.求職者などへの採用ブランディングにつながる
求職者視点から見て「この会社で働いてみたい」と思わせる魅力的な人材マネジメントポリシーを作成できれば、採用ブランディングにも大きく寄与します。また、自社の人材マネジメントポリシーをオープンにすることで、求職者とのミスマッチを抑制し、企業に対する忠誠心を高める効果にも期待ができます。
5.組織文化の醸成につながる
人材マネジメントポリシーを自社サイトなどで公開し、社員の教育時に実践していくと、顧客からの企業イメージ向上につながります。ただし、人材マネジメントポリシーを掲げているだけの状態で、行動規範などと反する行為が行われていた場合、反対に企業イメージを損ねてしまうため注意が必要です。人材マネジメントポリシーは掲げるだけでなく、遵守してこそ価値につながるということを念頭に置いておきましょう。
6.競合他社との差別化につながる
人材マネジメントポリシーは、理念や行動指針から形成されるため、組織独自の判断軸として機能し、差別化をもたらします。そして、理念や行動指針に基づいた意思決定の連続が、その組織らしさを社会に印象づけ、他社との違いを具現化していく作用があるのです。
03人材マネジメントポリシーの作り方
人材マネジメントポリシーを発足する際は、以下の4つのステップを踏むことが重要です。それぞれの詳細を踏まえて、人材マネジメントポリシーの作り方について解説します。
- 1.企業のビジョン・戦略を描く
- 2.企業ビジョン・戦略に沿った方針を決定する
- 3.評価制度を検討する
- 4.人材マネジメントポリシーに則った行動を促進する
1.企業のビジョン・戦略を描く
人材マネジメントポリシーを考える際には、企業のビジョンや戦略の軸を明確にし、それに沿って人材マネジメントの方針を考えることがポイントになります。この際、自社の課題や目指したいカルチャー、そのために必要な戦略など、より具体的に見直すことが重要です。人材マネジメントポリシーを単独で考えるのではなく、事業戦略と紐づけて描きましょう。
2.企業ビジョン・戦略に沿った方針を決定する
企業のビジョンや戦略に対し、人材マネジメントポリシーがズレていると、本当の目的や目標が不明確になってしまいます。反対に、一貫性があることで、人材マネジメントポリシーを作成した意図や、どのような行動を取れば良いかが明確になるため、目標達成の精度が高まります。
3.評価制度を検討する
人材マネジメントポリシーの方針が固まったら、作成した人材マネジメントポリシーを前提とした評価制度を検討します。評価制度については、人材マネジメントポリシーと矛盾しないかを項目ごとに確認することで、一貫した人事制度を整備することができます。なお、評価・報酬の記載は、人事制度を整備する際の前提となるため、設定することが望ましいものです。また、求職者がこの会社で働きたいと思うような人材マネジメントポリシーと評価制度を作成すると、なお良いでしょう。
4.人材マネジメントポリシーに則った行動を促進する
評価制度が決まったら、作成した人材マネジメントポリシーに沿った行動を従業員に促進します。社員に定着させるための取り組みをしなければ、どれだけ素晴らしい人材マネジメントポリシーが作成できても、何の意味もなくなってしまいます。研修の実施や、社内広報の掲載、経営層からの啓蒙活動などを行い、人材マネジメントポリシーが浸透するよう、注力してください。
04人材マネジメントポリシーを作るときの注意点
人材マネジメントポリシーを作るときには、いくつかの注意点に留意することも重要です。下記では、人材マネジメントポリシーを作るときの注意点について解説します。
- 1.部署や社員の多角的な意見を取り入れる
- 2.全社員に情報を開示する
- 3.ホームページに公開する際は、多言語対応にする
- 4.会社のフェーズに合わせて見直しを行う
1.部署や社員の多角的な意見を取り入れる
人材マネジメントポリシーを作る際には、多角的な意見を取り入れることがおすすめです。従業員一人ひとりが持っている個々の考え方であったり、それぞれが望んでいるマネジメントの在り方をヒアリングしたりして、より良い人材マネジメントポリシー作成のための意見を募ることをおすすめします。
2.全社員に情報を開示する
作成した人材マネジメントポリシーは、全社員に情報を開示することも重要です。今後の人材育成の方針や評価制度の変更などの周知に抜けや漏れがあった場合、モチベーションやエンゲージメントの低下を招くことにつながりかねません。情報共有には、抜け漏れがないよう徹底してください。
3.ホームページに公開する際は、多言語対応にする
人材マネジメントポリシーを自社のホームページなどに公開する際は、英語版のページも用意しておくことが好ましいものです。自社の商品やサービスを、海外に向けても積極的に発信することは、今や当たり前となっています。特に昨今は、グローバル化が加速しているため、主要国の言語にも対応したページ作りが理想と言えます。
4.会社のフェーズに合わせて見直しを行う
人材マネジメントポリシーは、会社のフェーズに合わせて定期的に見直しを行う必要があります。ただし、企業側が一方的に方針や評価制度を変更してしまうと、従業員から反感を買う可能性が出てきます。そのため、変更時には従業員からの意見を都度募集するなど、社内全体を巻き込んでいく姿勢を見せることが有効です。
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・自己啓発への活用方法 など
05まとめ
今回は、人材マネジメントポリシーの概要や人材マネジメントポリシーが重要視される背景、人材マネジメントポリシーをつくるメリットについてお伝えしてきました。人材マネジメントポリシーを作成することで、従業員の会社に対するエンゲージメントの向上や競合他社との差別化などに期待ができます。ぜひ本記事を参考に、自社の人材マネジメントポリシーを改めて見直し、必要に応じて修正・追加を行いましょう。