公開日:2023/09/21
更新日:2023/10/13

男性育休とは|取得の現状や導入メリット・企業がとるべき対策を解説

男性育休とは|取得の現状や導入メリット・企業がとるべき対策を解説 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

男性の育休取得促進などを含む「育児・介護休業法」の改正が、2022年4月より段階的に施行されています。企業においては男性が育休を取得しやすい環境整備が急務であり、D&I推進の観点からも重要な施策となるでしょう。 本記事では、男性の育休取得における現状、導入メリット・デメリット、取得率をあげる方法を解説します。

 

01男性育休とは

男性の育休とは、出生直後から子育てのために休業できる制度です。 これまでも、パパ休暇やパパ・ママ育休プラスといった、男性でも育休を取得できる制度はありましたが、法改正に伴い2022年10月に産後パパ育休(出生時育児休業)が新設されました。なお、パパ休暇は、産後パパ育休の新設により廃止となっております。 ここでは、男性が取得できる育休について解説します。

育児休業制度とは

育児休業制度とは、原則として1歳未満の子どもを養育する目的で労働者が取得できる、育児・介護休業法により定められた制度です。 1歳未満の子ども1人につき、原則として1回取得できます。2022年10月1日からは、分割して2回の取得が可能です。保育園に入園できないなどの事情があれば、最長2歳になるまで延長できます。

パパ・ママ育休プラス

両親ともに育休を取得する場合は、子どもが1歳2か月に達する日までに休業が1年間可能になります。 1歳2か月までの育休期間が終了した後に、待機児童になってしまった場合には、通常の育休と同じように、1歳6か月・2歳までの延長が可能です。

産後パパ育休

2022年10月に新設された産後パパ育休は、子どもが生まれてから8週間以内に4週間の休業を取得できる制度です。従来の育休とは別に、2回まで分割して取得できます。 また、休業中は原則就業できませんが、産後パパ育休期間中において、労使協定を締結しているケースに限り、休業前に労働者と企業が合意した範囲で就業可能です。

▶︎参照:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省

 

02男性の育休取得における現状

仕事と育児を両立できる社会の実現を目的として、2021年6月に育児・介護休業法が改正されました。2022年4月から段階的に施行されており、2023年4月1日には大企業に対して育休取得状況の公表が義務化されました。 日本における男性の育休取得率は17.13%と、女性の取得率とは依然として大きな開きがあります。

雇用環境整備・育休の周知・意向確認が義務づけられている

育休を取得しやすい雇用環境づくりのため、2022年4月以降、事業主に義務付けられた内容は以下の通りです。

 

  • ・雇用環境の整備
  • ・個別周知・意向確認
  • ・取得状況の公表

雇用環境の整備

育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主には次のいずれか1つもしくは複数の雇用環境整備措置を義務づけられています。

個別周知・意向確認

本人または配偶者が妊娠・出産を申し出た労働者に対して、事業主には次のような育児休業制度の周知・意向確認措置が義務づけられています。

取得状況の公表

常時雇用する労働者が1,000人を超える企業に対して、「男性の育児休業等の取得率」もしくは「育児休業等と育児目的休暇の取得率」を年に1回公表することが義務付けられています。 なお、自社のホームページのほか、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で、一般の方が閲覧できる方法で公表しなければなりません。

▶︎参照:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省

日本における男性の育休取得率は17.13%

厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、2022年における育休を取得した男性は全体の17.13%で、女性は80.2%となっています。 女性の育休取得率が80%台を推移しているのに対して、男性の取得率は上昇傾向にあるとはいえ、依然として低い状況です。政府が掲げる、2025年までに男性の育休取得率30%にはほど遠いと言えるでしょう。

男性が育休を取得しなかった理由

厚生労働省公表の「令和4年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」によると、男性・正社員の育休を利用しなかった主な理由は以下の通りです。

企業で男性の育児取得率が進まないのは、そもそも制度が未整備の場合があり、収入面の不安のほか、職場の雰囲気、業務の質と量の影響が大きい実態がうかがえるでしょう。

▶︎参照:令和4年度雇用均等基本調査|厚生労働省

▶︎参照:令和4年度仕事と育児の両⽴等に関する実態把握のための調査研究事業|厚生労働省

  • ・育児休業・産後パパ育休制度の概要
  • ・育児休業・産後パパ育休の申し出先
  • ・育児休業給付に関すること
  • ・育児休業・産後パパ育休について負担すべき社会保険料の取り扱い
  • ・収⼊を減らしたくなかったから:39.9%
  • ・職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから:22.5%
  • ・自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから:22.0%
  • ・会社で育児休業制度が整備されていなかったから:21.9%
  • ・残業が多いなど、業務が繁忙であったから:21.9%
  • 1.育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  • 2.育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
  • 3.自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  • 4.自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
 

03男性が育休を取得するメリット

男性育休の促進には、様々なメリットがあると注目が集まっています。育休を取得できない雰囲気があると、これまでの働き方やライフスタイルを維持できない企業には残らないといった判断をする従業員も出てくるかもしれません。 ここでは、取得者と企業に分けて、それぞれのメリットを解説します。

取得者のメリット

男性が育休を取得するメリットは、主に以下が挙げられます。

  • ・家族の生活時間を確保できる
  • ・育児休業給付金の支給や社会保険料免除がある

家族の生活時間を確保できる

子どもとの生活時間を確保でき、子どもの成長をパートナーとともに見守りたいと考える男性にとって大きなメリットとなるでしょう。 生活時間が確保できれば、パートナーのケアができる点も育休期間中には重要なポイントです。産後は女性の身体的ダメージが大きいうえに、ホルモンバランスが崩れ、精神的に不安定になりやすい時期です。男性が積極的に家事と育児を担うと、心身の回復が順調に進むでしょう。

育児休業給付金の支給や社会保険料免除がある

育休中は、雇用保険に加入している場合に「育児休業給付金」が支給されます。支給額には限度額はあるものの、最初の6か月が休業開始時賃金の67%、それ以降は50%です。 さらに、育休中の社会保険料は、自己負担分および事業主負担分ともに免除されます。育児休業給付金は非課税のため、所得税と翌年度の住民税がかかりません。給与の約8割がカバーできます。 新設された産後パパ育休を取得した場合には、「出生時育児休業給付金」が支払われます。産後パパ育休を利用中に就業で収入を得ると、休業中の賃金額と出生時育児休業給付金の合計が「休業開始時の賃金日額 × 休業日数」の80%を超えるときに限り、超過分が出生時育児給付金から減額されます。 現行の出生時育児休業給付金は、休業開始時賃金の67%ですが、政府は80%に引き上げる方針を表明しました。近い将来、社会保険料の免除と合わせて、実質的に100%カバーされる見込みです。

▶︎参照:令和4年10月から育児休業給付制度が変わります|厚生労働省

企業のメリット

男性の育休取得で得られる、企業のメリットは以下が挙げられます。

  • ・企業イメージが向上する
  • ・従業員の帰属意識が強まる
  • ・業務の属人化を解消できる

企業イメージが向上する

男性の育休取得実績は、企業イメージのアップにつながります。企業全体における男性の育休取得率は、上昇傾向にあるとはいえ、依然として低い水準のため、採用活動において他社と差別化できるでしょう。

従業員の帰属意識が強まる

男性も育休を取得しやすい環境を整えると、従業員の帰属意識が強まり、離職率の低下に期待がもてます。 内閣府の調査によると、男性育休取得者は「会社への帰属意識が強まった」と回答する一方で、非取得者に比べ「転職への関心が強まった」とする割合が低いことから、育休後には社内でのキャリア形成意欲が向上すると考えられます。

▶︎参照:男性の育児休業取得が働き方、家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響|内閣府

業務の属人化を解消できる

男性の育休取得にともない、属人化している業務の解消につながります。 男性の育休取得の際に、業務の引継ぎが行われるのが一般的です。属人的な業務であっても、他の従業員に担ってもらう必要があり、プロセスの見直しやマニュアル作成が欠かせません。これにより、業務が停滞したり、業務の品質を保てなくなったりという事態が防止できるでしょう。

 

04男性の育休取得率を上げる方法

男性の育休取得率を上げるには、いくつかの方法があります。その中でも重要となる方法は、以下の3つです。

  • ・育休を取りやすい風土醸成を目指す
  • ・復職後のサポート体制を整える
  • ・定期的な社内研修を活用する

育休を取りやすい風土醸成を目指す

男性が育休を取りやすい風土醸成を目指しましょう。 職場の雰囲気から取得しづらい、上司に理解がないといった理由で、育休を取りたくても利用できないケースもあります。そのため、育休は男女ともに取れる制度であると従業員が理解していないと、制度自体が形骸化するおそれがあるからです。 男性の育休に関して、まず経営層や管理職が理解を深め、全社で育休を取りやすい風土の醸成が必要になります。

復職後のサポート体制を整える

育休を取得している男性への復職後のサポート体制も重要です。 復職後のポジションや業務内容といった様々な不安を抱えています。育休中から定期的に情報提供を行い、負担にならない範囲でコミュニケーションを図ると、不安の軽減につながるでしょう。 復職後も仕事と育児の両立や業務で困りごとがないか、上司が面談を通じてフォローしたり、ジョブシェアリング・ペア制を取り入れて、業務を分担するのも1つの方法です。

定期的な社内研修の活用

定期的に社内研修を実施し、全社をあげて育児と仕事の両立、ワーク・ライフ・バランスの実現に目を向けられる職場環境の整備を進めていきましょう。 全社員を対象とする研修や、育休取得希望者、管理職向けに、男性の育休取得の意義について学ぶのもおすすめです。 さらに、育休による一時的なキャリアロスがあった従業員のスキル維持、スキルアップを目的として、長期的にはリカバリーできるよう支援するのも優秀な人材の離職防止につながります。


 

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05まとめ

本記事では、男性の育休取得における現状、導入メリット・デメリット、取得率をあげる方法を解説しました。 日本における男性の育休取得率は17.13%であり、上昇傾向にあるとはいえ、女性の取得率に比べ依然として低い状況です。 パパ・ママ育休プラスに加え、産後パパ育休が新設され、男性が取得しやすい制度も整いつつあります。企業・取得者双方にメリットがあるので、自社の経営課題を解決できる手段として男性育休の促進を図りましょう。 その際には、育休を取りやすい風土醸成を目指し、復職後のサポート体制や定期的な社内研修を検討してみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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