公開日:2023/10/17
更新日:2023/10/17

ラーニングゾーンとは?活用メリットや具体的な方法を紹介

ラーニングゾーンとは?活用メリットや具体的な方法を紹介 | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ラーニングゾーンとは、人が成長する仕組みを3つのゾーンに分けて捉えた概念に関する用語です。当記事では、ラーニングゾーンの概要や活用のメリット、ラーニングゾーンを取り入れるポイントについて解説します。企業の育成担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

 

01ラーニングゾーンとは

「ラーニングゾーン」とは、ミシガン大学のビジネススクール教授、ノエル・M・ティシー氏が提唱した概念です。ノエル・M・ティシー氏は、人の成長は「ラーニングゾーン」「コンフォートゾーン」「パニックゾーン」の3つによって変化すると説いています。 ラーニングゾーンでは、自分がこれまでに経験したことのない行動が求められます。現状のスキルや能力があまり通用しない領域であるため、不安を感じるフィールドと言えるでしょう。 ラーニングゾーンに突入するためには、今自分が持っているスキルよりも、少し難易度が高い課題に取り組むことが求められます。自分が持っているスキルよりも、少し難易度が高い課題に取り組むことによって、フロー状態に入ります。フロー状態とは、時間の経過を忘れるほど課題に没頭し、外部からの刺激に気が付かない状態です。 そしてフローを経験した後、自己成長することができます。また、ラーニングゾーンに入ることで、感情面にもポジティブな影響を与えることができるという研究結果が存在します。

ストレッチゾーンとの違い

「ストレッチゾーン」とは、現在の状態から少し背伸びして、やっと達成できる領域のことです。 ストレッチには、英語で伸ばすという意味があるため、それが由来となっています。 自己成長をするためには、コンフォートゾーンを出てストレッチゾーン、さらにはラーニングゾーンに入ることが重要です。

コンフォートゾーンとの違い

「コンフォートゾーン」とは、居心地が良く、リラックスできる領域を指します。言わば、ラーニングゾーンとは対極の位置にある心理領域です。 ビジネス環境で例えると、慣れ親しんだ職場環境のなかで、既に習熟済みの業務をこなしている状態を指します。失敗する可能性が低いため、本人としては安心感があり、一概に悪い状態とは言い切れません。 しかし、コンフォートゾーンに留まり続けると、次第に業務に飽きてしまい物足りなさを感じたり、モチベーションが低下したりします。また、現状以上の成長がなかなか望めないなどのデメリットもあります。

パニックゾーンとの違い

「パニックゾーン」とは、正常な判断や状況把握ができなくなるほど、強い不安やストレスを感じる領域のことです。段階的な成長を踏まず、一気にラーニングゾーンを飛び越えることで、パニックゾーンに入ります。 パニックゾーンへ入ることを防ぐためには、まずは現状の実力よりも少し難易度が高い課題に挑戦し、一通り習熟できたらより難易度の高い課題へ挑戦する、といったステップアップを踏む必要があります。 反対に、努力しても絶対に叶えられないような高すぎる目標を強いられたり、理不尽に過酷な環境に置かれたりといった状況は、過度なストレスを感じてやる気がなくなってしまいます。 そのため、従業員の成長を促すには、ラーニングゾーンとパニックゾーンの境界を正しく見極めたうえで、適切なレベル感の課題を与えることがポイントです。

 

02ラーニングゾーンを活用するメリット3つ

なぜラーニングゾーンは従業員の成長を促進させるのでしょうか。ラーニングゾーンを活用するメリットは、主に以下の3つです。

  • 1.従業員のモチベーションを維持しやすくなる
  • 2.自発的な学習を促し自律型人材の育成につながる
  • 3.従業員個人の能力アップにより企業全体の生産性が高まる

1.従業員のモチベーションを維持しやすくなる

前述した通り、いつまでもコンフォートゾーンにいて同じ業務ばかりを続けるのでは、マンネリ化が起こり、業務へのモチベーションが下がってしまうおそれがあります。また、従業員自身も、新しいことに挑戦する気持ちを忘れてしまい、現状以上の成長が見込めなくなります。 一方で、ラーニングゾーンを意識した人材教育を行えば、従業員が新たな業務や課題へ挑戦する機会を設けられて、モチベーションを維持しやすくなります。 業務のマンネリ化は、従業員の離職を引き起こす原因にもなり得ますが、ラーニングゾーンの活用でマンネリ化を防げば、離職率の低下にもつながる可能性も期待できます。

2.自発的な学習を促し自律型人材の育成につながる

ラーニングゾーンにいる従業員は、学習意欲や成長意欲が刺激されて、自発的に学習を進めるようになります。これにより、業務における課題の本質を考えて、能動的に克服していける自律型人材の育成が実現します。 自律型人材は、上司が逐一指示をしなくても適切な自己判断に基づいて業務を進められるため、上司の手間が軽減します。 上司の手間が軽減されれば、自身の業務を遂行する時間が確保されるため、よりコア業務に集中できるようになります。

3.従業員個人の能力アップにより企業全体の生産性が高まる

ラーニングゾーンを効果的に取り入れられれば、従業員一人ひとりの成長スピードが加速し、能力が高まりやすくなります。従業員個々人の能力・スキルが向上すれば、結果的に企業全体の生産性アップにもつなげられます。 特に最近は、ビジネス環境の変動が激しいVUCA時代に突入していると言われています。VUCA時代に上手く適応するためには、常に新しいことを学び続けて対応していく姿勢が欠かせません。 その点、ラーニングゾーンを活用して従業員の学習意欲を刺激し、企業全体で市場の変化に対応できるようになれば、更なるビジネスチャンスの拡大も見込めます。

 

03ラーニングゾーンを取り入れる際の2つのポイント

ラーニングゾーンを取り入れる際には、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。ラーニングゾーンを取り入れる際のポイントは、主に以下の2つです。

  • 1.今自分がどのゾーンにいるのかを従業員に把握してもらう
  • 2.いつでもコンフォートゾーンに戻れる安心感を与える

1.今自分がどのゾーンにいるのかを従業員に把握してもらう

従業員の自己成長を促すためには、まずは従業員自身に、今自分がどのゾーンにいるのかを把握してもらう必要があります。 ただし、自分がどのゾーンにいるのかを的確に自己判断することは容易ではないため、上司や同僚などの意見を踏まえて、相対的かつ客観的に評価することがポイントです。 具体的には、現在・過去の自分や自分が抱いているあるべき姿などを、書き出します。これを他者に評価してもらい、認識の違いがないかを確認します。こうすることで、今自分がコンフォートゾーンにいるのか、あるいはラーニングゾーンにいるのかを判断していくのです。

2.いつでもコンフォートゾーンに戻れる安心感を与える

自己成長したいと希望する従業員に、ラーニングゾーンの仕事を用意することは非常に重要な要素です。しかし、スキルに見合わない仕事を与えてしまうと、かえって恐怖心を感じ、パニックゾーンに入ってしまうおそれがあります。 パニックゾーンに入らないようにするためには、ある程度失敗しても、いつでも戻れる安心の環境があると感じてもらうことが肝要です。 また、たとえ失敗してしまったとしても過度に責めたりせずに、なぜ失敗をしたのかを冷静に分析して改善する方法を一緒に考えることもポイントです。従業員の心理的安全を確保し、常にチャレンジを続けられる環境を整えましょう。

 

04ラーニングゾーンを活用する方法3選

それでは、どうすればラーニングゾーンを取り入れることができるのでしょうか。ここでは、ラーニングゾーンを活用する方法について紹介します。

  • 1.1on1ミーティングを定期的に実施する
  • 2.キャリアデザイン研修を開催してキャリア設計を促す
  • 3.マネージャー層がコーチングスキルを発揮する

1.1on1ミーティングを定期的に実施する

ラーニングゾーンを効果的に取り入れるうえでは、従業員自身が現在のゾーンを確認し、今の課題と今後目指すべき姿について第三者と対話することが重要です。その点、企業が1on1ミーティングの機会を積極的に提供することで、現在の自分と理想の自分とのギャップを従業員が客観的に見直すことができます。

2.キャリアデザイン研修を開催してキャリア設計を促す

キャリアデザイン研修では、従業員一人ひとりがこれまでのキャリアを見つめ直して理想のキャリアビジョンを描き、今の自分に不足しているスキルや経験を把握できます。 キャリアビジョンが明確になれば、自ずと習得するべき事柄も分かり、学習意欲や成長意欲が刺激されることが期待できます。これにより、コンフォートゾーンからラーニングゾーンへ遷移しやすくなるのです。

3.マネージャー層がコーチングスキルを発揮する

「コーチング」とは、現状と理想的な状態とのギャップを埋めるためのサポートを行うことを言います。コーチングスキルをマネージャー層が身に付けて、マネジメントにおいて発揮できれば、従業員がラーニングゾーンへ入るための手助けができます。また、マネージャー層のコーチングスキルが高まることで、個々の従業員の主体性も向上し、組織のチームワークを強化できます。


 

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05まとめ

ラーニングゾーンとは、自分がチャレンジしたことのないことや、現状の経験値よりもハイレベルな要求があるゾーンです。いわば、1歩踏み出した状態であるため、決して居心地の良い精神状態や環境ではなく、適応するためには相応の努力を必要とします。 従業員がラーニングソーンに入るためは、自発的な成長意欲はもちろん、外部からの働きかけも必要です。ラーニングゾーンに入るための適切なサポートを行うことで、より良い効果がもたらされるでしょう。ぜひ当記事を参考に、ラーニングゾーンへの知見を深めて、組織の生産性の向上につなげてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
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Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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