職群とは|利用する目的や具体例、職位・職種との違いについて解説
職群とは、職業や仕事を分類するための基本的な枠組みであり、似た職務内容やスキルセットを持つ職種をグループ化します。当記事では、職群の定義や職群転換の重要性、具体的な職群の例、職位や職種の違いなどについて詳しく紹介します。職群について知りたい方やキャリア開発に興味がある方にとって、役に立つ情報が含まれていますので、ぜひ読み進めてみてください。
01職群の定義
職群とは、職業や仕事を分類するための基本的な枠組みです。一般的に、職群は似た職務内容やスキルセットを持つ職種をグループ化し、共通の特徴を持つもの同士をまとめます。職群には、特定の産業や分野に関連する職種が含まれます。たとえば、医師や看護師、薬剤師は医療関係の職群です。職群の分類は、求人情報やキャリアプランの策定、人材の配置など、様々な目的で使用されます。 さらに、職群には、組織内の役割や責任を明確にするという重要な役割もあります。職群によって、どの職種がどのようなスキルや知識を持っているかがわかりやすくなるでしょう。
職群転換とは
職群転換は、個人が異なる職群に転身することを指します。これは、新しい職種や職務に挑戦し、キャリアを発展させたり、現在のスキルを活かしたりするために行われることがあります。職群転換は、個人の成長と組織の需要に合わせて行われ、多くの場合、継続的な学習やスキルの習得が必要です。 職群転換は、個人のキャリアパスを拡大するための一つの手段です。異なる職種や職務に挑戦することで、新たなスキルや経験を獲得することができます。これにより、自身のキャリアを発展させることができるでしょう。 継続的な学習やスキルの習得は、職群転換において欠かせません。異なる職種や職務に挑戦するためには、新たな知識やスキルを身につける必要があります。そのためには、学習意欲を持ち続け、積極的に学ぶ機会を探すことが大切です。
02具体的な職群の例
職群にはさまざまな種類がありますが、以下ではいくつかの具体的な職群の例を紹介します。
- ・総合職
- ・一般職
- ・技術職
- ・技能職
- ・専門職
総合職
総合職は、幅広い業務を担当し、組織全体の管理や戦略的な意思決定に携わるポジションです。総合職の従業員は、組織内のさまざまな部門で経験を積み、リーダーシップの役割を果たすことが求められます。 総合職の仕事は多岐にわたります。例えば、プロジェクトの計画・実施・監視、チームのマネジメント、予算の策定、業績の分析などが挙げられます。さらに、外部のステークホルダーとの連携やビジネスパートナーシップの構築も重要な業務です。 総合職は、組織の中核的な役割を果たすため、多くの責任と期待を背負っています。しかし、その分、成長とキャリアの機会も与えられることがあります。総合職の従業員は、自身の能力と経験を活かし、組織の成長と発展に貢献することが求められます。
一般職
一般職は、特定の専門知識やスキルを必要とせず、幅広い職務をこなすポジションです。一般的なオフィス業務やカスタマーサポートなどが含まれます。一般職では、日常的な業務を効率的に遂行するためのオペレーションスキルやコミュニケーション能力が重要です。また、チームワークや問題解決能力も求められます。 一般職の主な業務は、オフィス内での書類管理やデータ入力、電話やメールでの顧客対応などです。また、会議やイベントのサポート、スケジュール管理、庶務業務なども一般職の範囲に含まれます。
技術職
技術職は、科学や工学などの専門知識を持つ従業員であり、組織内で重要な役割を果たします。彼らは技術的な課題を解決し、革新的なアイデアを生み出し、新製品やサービスの開発に貢献します。エンジニアや研究者など、幅広い専門家がこの職群に含まれるのが一般的です。 技術職は、最新の技術やトレンドに常にアンテナを張り、継続的な学習とスキルの向上に努めます。彼らは自己啓発を重視し、常に最善の解決策を模索します。
技能職
技能職は、建設業や製造業などでの仕事に従事するために必要な特定の技術や技能を持つ従業員のことを指します。電気工や大工、溶接技術者などの職種に該当します。技能職の存在は、これらの業界において作業の効率性や品質を高める重要な役割を果たしています。 技能職は、建設プロジェクトや製造プロセスにおける専門的な知識とスキルを駆使して、高品質な成果物を生み出すことが求められます。そのため、技能職は経験と専門知識を必要とする職種です。
専門職
専門職とは、特定の分野において高度な専門知識とスキルを持つ従業員のことを指します。このカテゴリには、弁護士、医師、会計士などが含まれます。専門職は専門的なサービスを提供し、その分野での高度な責任を負う職群です。 専門職は、求められる知識やスキルのレベルが非常に高く、多くの場合、長い教育やトレーニングが必要です。彼らは専門的な業務を遂行し、高度な専門知識を活かして問題を解決します。また、専門職はしばしば法的な責任を負い、その分野での専門的な倫理規定に従う必要があります。
03職位・職種との違い
職群と職位、職種とは類似しているように思えるかもしれませんが、それぞれ異なる概念です。
職位との違い
職位は、組織内での階層的な位置や地位を示すものであり、役職やランクに関連します。職位には、部長、課長、マネージャーなどのさまざまな例があります。職位は組織内での役割や責任を示すものであり、一つの職位には複数の職種が含まれることがあります。 例えば、部長は組織内の特定の部門のリーダーであり、その部門の業績や目標の達成に責任を持ちます。課長は、部門内の特定のチームやグループのリーダーであり、日常の業務の管理や指導を担当します。
職種との違い
職種は、特定の職業や仕事の種類を示すもので、具体的な職務内容やスキルセットに関連します。たとえば、看護師、エンジニア、教師などが職種の例です。職種は一般的には狭義の仕事のカテゴリを指し、多くの場合、特定の専門知識やスキルを必要とします。 一方、職群は、さまざまな職位や職種を包括する概念です。職群には似たような職種が含まれることがあります。職群は、特定の業界や分野における仕事のグループ化や分類に役立ちます。職群には、看護や医療、技術やエンジニアリング、教育などのような分野が含まれることがあります。
04職群を利用する目的
職群の目的は、職種ごとに異なる人事制度を設計することです。総合職、一般職、営業職、技術職など、それぞれの業務内容や重要性が異なるため、同じ評価や報酬制度を適用することはできません。 企業の規模や業種、業態によっても重要視される職群が異なるため、職群ごとに等級や報酬制度を構築することで、公正かつ適正な人事制度を確立することができます。企業内にはさまざまな立場や職種の従業員が存在し、全社で統一した評価制度や報酬制度を適用することは難しいです。それぞれの職群に合わせた等級や報酬制度を設定することで、全ての従業員に公平な評価や報酬を提供することができます。
05職群を活用した企業事例
ここからは、職群を活用した企業の事例をご紹介します。
- ・株式会社日立製作所
- ・株式会社KDDI
- ・株式会社資生堂
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、2021年に管理職を対象にジョブ型人財マネジメントの基盤となるJD(Job Description)を導入しました。2022年7月からは一般社員にも対象を広げ、約450種類のJDを作成しました。これに基づいて、2022年秋には各ポジションごとに必要なスキルや経験を「見える化」する予定です。また、AIを活用した学習体験プラットフォームを導入し、従業員のスキルアップや学び直しを支援しています。さらに、社内公募の拡充などを通じて従業員の能動的なキャリア開発を促進しています。
▶︎参照:日立グループ「日立が進める「ジョブ型」とは? わかりやすく解説」
株式会社KDDI
KDDIは、2020年8月から新人事制度を導入しました。この制度では、働いた時間ではなく成果や挑戦、能力を評価・称賛し、処遇に反映することを目的としています。ジョブ型人財マネジメントを導入し、職務領域を明確化することで、市場価値に基づく報酬制度や専門性の深耕が可能になります。 また、社員の自律性を重んじた人事施策やHRテクノロジーの活用、タレントマネジメントやDX人財の育成などの施策も展開しています。さらに、2021年4月からは初任給制度を撤廃し、能力に応じた給与体系を導入します。KDDIは、「KDDI新働き方宣言」を策定し、先進的なテクノロジーの活用や働き方の柔軟性を支援し、成果や挑戦を評価する制度の導入により、社員一人ひとりが最大限の能力を発揮し、社員エンゲージメントと企業競争力の向上を目指しています。
▶︎参照:KDDIトビラ「社会に新しい価値を提供するために―KDDIの「人財」への思い」
株式会社資生堂
株式会社資生堂でもジョブ型人事制度を採用しており、職務記述書を導入しています。職務記述書には、目標や役職、計画などが記載され、給与や昇進の判断基準として使用されます。職務記述書の目的は、仕事範囲の明確化と目標管理の効率化です。資生堂では、職務記述書に目標値を組み込む方針を採用しており、管理職の範囲を定義するだけでなく、目標管理にも活用しています。管理職の場合、目標の達成度は業績評価にも関わる重要な要素です。 また、ジョブ型人事制度における資生堂の採用活動は、専門スキルを持つ人材に適切な仕事を割り当てることを目指しています。
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06まとめ
職群は、職業や仕事を分類し、キャリアプランニングや人材管理に役立つ重要な概念です。職群を活用することで、個人と組織の双方が効果的にキャリアを発展させ、組織の成長を促進することができます。また、職群は職位や職種とは異なる概念であり、それぞれ異なる役割と目的を持っています。 企業事例では、日立製作所、KDDI、資生堂などが職群を活用して人材管理とキャリア開発を成功させていることが示されています。職群を適切に活用することは、現代の組織において競争力を維持し、成長するために重要な要素の一つです。