公開日:2021/04/30
更新日:2023/12/27

傾聴力とは?ビジネスコミュニケーションで活かすコツとスキルアップのポイントについて

傾聴力とは?ビジネスコミュニケーションで活かすコツとスキルアップのポイントについて | オンライン研修・人材育成 - Schoo(スクー)法人・企業向けサービス

ビジネスをする上でもっと相手と信頼関係を作りたいと感じたことはないでしょうか。このような場合、自分をアピールするなどの「話す力」に意識が傾きがちですが、実は信頼関係構築に一番重要なのは「聴く力」である傾聴力です。この記事では傾聴力とは何かからビジネスでの活用法まで詳しく解説します。

 

01傾聴力とは?

傾聴力とは、相手の話に真剣に耳を傾け、理解しようとする能力のことです。言葉だけでなく、相手の感情や意図も注意深く捉えることが含まれます。傾聴力はコミュニケーションスキルの一環であり、信頼関係を築くためや問題解決において重要な役割を果たします。傾聴とは英語で「Active Listening」と表現され、ビジネスの場だけではなく高齢者介護、医療の現場などでよく用いられています。傾聴力は、アメリカの臨床心理学者カール・ロジャースによって、来談者中心療法というカウンセリングの技法においてカウンセラーが身に付けるべきスキルの1つとして提唱されました。

ロジャースの3原則

カール・ロジャースは傾聴力を発揮するための要素として、「ロジャースの3原則」を挙げています。具体的には次が挙げられます。

共感的理解
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとすることです。
無条件の肯定的関心
相手の話を善悪や好き嫌いの評価をせずに聴くことです。また相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景を肯定的な関心を持って聴きます。それによって、話し手は安心して話ができるでしょう。
自己一致
聴き手が相手と自分に対して真摯な態度で、話が分かりにくい時はそれを伝え、真意を確認します。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反します。

この3つが揃った時、カール・ロジャースが行ったカウンセリングは患者にとって有効であったと言われているのです。 傾聴力が相手の話を深く理解するのにいかに重要なのかがわかるでしょう。

傾聴力はビジネスシーンで非常に重要なスキル

傾聴力はビジネスで成功するために欠かせないスキルであり、相手の言葉や意図を真剣に理解し、適切に対応する能力です。顧客の要望を正確に把握し、リーダーシップやチームビルディングにおいては円滑なコミュニケーションを可能にし、問題解決や人間関係の構築に寄与します。総じて、傾聴力はビジネス環境においてコミュニケーションの質を向上させ、効果的なビジネス取引やチームワークを促進します。

「聞く」「訊く」「聴く」の違い

日本語の「きく」には「聞く」「訊く」「聴く」の3つの漢字を使用しますが、それぞれのニュアンスの違いを見てみましょう。

この3つを比較することで、聴くことにより相手の意見を理解するだけではなく、相手の性格や思考も理解することができるとわかるでしょう。 ビジネスにおいては、「聴く」=傾聴力はクレーム対応など相手の言い分をしっかりと受け止める必要がある際や、相手との深い信頼関係を築く際に重要となるスキルです。

  • 1.聞く 音や声が受動的に自然に耳に入ってくることを指します。
  • 2.訊く 質問などをして能動的に尋ねることです。
  • 3.聴く 耳を傾け、相手に寄り添い音や言葉の背景も理解しようとすることです。
 

02傾聴の主な種類3つについて

“傾聴の主な種類

傾聴には「受動的傾聴」「反映的傾聴」「積極的傾聴」の3つのステップがあるのでそれぞれご紹介します。

1.受動的傾聴

受動的傾聴とは、まず真摯に相手の話を受け止め耳を傾けるという方法です。 相手に自分の耳も頭も聴く姿勢にあることを伝えるために相槌を打ちますが、相手の話すペースに合わせて肯定的な言葉を使用しましょう。 相槌のペースが合わないと、話し手はしゃべりにくくなってしまいますし、「嘘」などの否定的な相槌は共感的理解に欠ける姿勢が伝わってしまうためです。 このように受動的傾聴を続けていると、沈黙が訪れることがあります。 この沈黙や間は話の内容が深刻だったり、重要だったりする時ほど起こりやすくなりますが、話が途切れているのではなく、話し手の中で自問自答や葛藤が続いていると捉え、話し手が何かを話し出すまで待つことが必要です。

2.反映的傾聴

反映的傾聴とは、相手の言葉を繰り返して相槌を打ちながら聴く方法です。 繰り返しの相槌は「明快に」「短く」「要点を掴んで」「相手の使った言葉で」行うのがポイントだと言えるでしょう。 反映的傾聴を行うと、話し手は聴き手に話の内容と自分の心情が理解されたと感じるのです。 たまにこの繰り返しの相槌を用いても「話を否定された」と捉える話し手がいるので、その場合は繰り返しを止めた方が良いのですが、このことで相手がかなり敏感な人だと理解できます。

3.積極的傾聴

積極的傾聴とは、相槌に加えて話し手の発言に言葉を添えたり質問をしたりして、より思考を促す聴き方です。 質問する時は「相手が自分から進んでそのことを考えて答えたくなり、回答をした先に気付きや行動がある質問」をするように心掛けましょう。 この時話を意図する方向に誘導しないよう注意する必要があります。 参考:「プロカウンセラーの聞く技術」東山紘久

 

03企業が社員のスキルとして傾聴力を求める理由

企業が社員のスキルとしてなぜ傾聴力を求めるのか、理由を4つご紹介します。

1.相手と信頼関係を築くことができる

信頼関係が構築された状態を、心理学の用語ではフランス語のrapport(架け橋)に由来してラポール形成と呼びますが、ビジネスの場ではこのラポール形成を行うために傾聴力が重要視されます。 例えばターゲット顧客に自分の売りたい商品やサービスを購入してもらうためには、まずターゲット顧客との間にラポール形成を行わなければなりません。 ラポール形成を行うためにはまずターゲット顧客が解決したいことや悩みごとは何なのかを把握するため、話を傾聴する必要があります。 そして傾聴した内容からターゲット顧客のニーズを考え、問題解決につながる商品やサービスを提案することで売上に繋がるのです。 ビジネスにおける傾聴力の高さは、企業の成果にも貢献すると言えるでしょう。

2.深いレベルで相手を理解できるようになる

傾聴力を磨くと、言葉以外の要素からも相手の意図を汲み取れるようになるため、深いレベルの人間関係が構築しやすくなります。 例えば、心にもないことをつい言ってしまうということも人間には良くありますが、同僚や部下、上司の傾聴力が高くこれを理解していた場合、フォローしてくれたり一度立ち止まって確認してくれたりするでしょう。

3.周囲の人との人間関係が良くなる

傾聴力を持った人は周囲の人に「自分の意見を真剣に聴いてくれる」という印象を与え 一方的に自分の考えを押し付けることがないので、自然に人間関係が良くなります。 ビジネスではチームで仕事をし成果を挙げる必要がありますが、この時に一番重要な協力し合える良い人間関係を生みだすのが傾聴力だと言えるでしょう。

4.会話を通して自分自身を客観的に理解できる

傾聴力が高くなると、相手の話を相手の立場で聴くことができるようになるので、自分の立場から見えていたこととの違いに気づくようになります。 このことで自分自身を客観的に理解できるようになるため、ビジネスの場で自分本位な考えを押し通そうとすることがなくなるでしょう。

 

04傾聴力を高めるためのトレーニング方法

傾聴力を高めるための具体的なトレーニング方法として、次の7つが挙げられます。

  • 1.会話の割合を「相手7:自分3」とする
  • 2.バックトラッキングを意識する
  • 3.ミラーリングを意識する
  • 4.ペーシングを意識する
  • 5.相手の立場を意識する
  • 6.態度と姿勢を意識する
  • 7.共感しながら話を聴く

1.会話の割合を「相手7:自分3」とする

相手の話を本当に傾聴したいのであれば会話の割合を「相手7:自分3」となるように調整しましょう。 体感として話をしなさ過ぎたと思うくらいがこの割合になるので、最初は難しく感じるかもしれませんが、相槌のタイミングと繰り返しの言葉選びに集中すると少しずつ達成できるようになります。

2.バックトラッキングを意識する

反映的傾聴で行う、相手の言ったことを繰り返して相槌を打つことの応用版がバックトラッキングです。 バックトラッキングは心理学の用語で、具体的には次の3種類の方法があります。 ・相手の話した「事実」を繰り返す ・相手の話した「感情」を繰り返す ・相手の話の「要約」を繰り返す この3種類を状況に応じて使い分けることができるようになると、傾聴力は高められてきているとといえるでしょう。

3.ミラーリングを意識する

ミラーリングとは相手の仕草や行動、言動を観察して真似ることで相手に親近感を持たせる心理的効果を指します。 人は自分に似ているものに親近感を抱くという心理法則(類似性の法則)を意図的に起こしているのがミラーリングだと言えるでしょう。 例えばSNSでの会話で相手の口癖をまねるといった簡単な内容から行うことができるため、プライベートで試してみてからビジネスの場で実践することをおすすめします。

4.ペーシングを意識する

ペーシングとは話すテンポ、声のトーンや呼吸のリズムなどを相手に合わせることです。 受動的傾聴を行う際、相槌のタイミングを計ることから始めると自然とペーシングのスキルは磨かれていきます。

5.相手の立場を意識する

相手の感情や状況を理解しようとする心の姿勢を養います。相手の視点から物事を考え、感じる練習を通じて、より共感的になります。また、相手に質問を通じて、その人の考えや感情を深く理解しようとしましょう。回答に制約を設けないタイプの質問を行い、相手が自分の意見や経験をシェアできるように促します。

6.態度と姿勢を意識する

目を合わせたり、うなづいたり、相手の話に興味を示す非言語的なサインを送ります。これにより相手が話しやすくなり、信頼感が生まれます。また、相手が話す際に、その言葉だけでなく、声のトーンやペース、感情にも注意を払いましょう。ペーシングを通して、相手に合わせることも重要ですが、相手の言葉から、言葉の裏にあるメッセージを理解しようとしてみてください。

7.共感しながら話を聴く

実は傾聴で一番難しいのがこの「共感的理解」です。 なぜなら人間は皆それぞれの価値観を持ち、自分と異なる意見を持つ人に肯定的な相槌を打って話を聴くのは自分に嘘をついているような気持ちになるためです。 しかし自分の意見と異なることを言われても、肯定的に聴くことができる相槌があります。 それは「(あなたは)そうなんですね」という相槌です。 「あなたは」を口に出す必要はありませんが、この相槌は聴き手と話し手の区別をしっかりとつけ、聴き手の話は聴き手の話として肯定的に聴いているということを表現しています。 この相槌を活用できるようになると、自分とは意見が異なる人の話を難なく受容できるようになるため、より傾聴力が高まります。


 

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06まとめ

傾聴力とは相手の話を深く理解し、ラポール形成につなげるための手法の1つで最初は心理カウンセリングの場で使われ始めましたが、現在ではビジネスの場でも広く活用されるようになりました。 ビジネスの場でもプライベートでも、人間関係を良くしたいと望む人はたくさんいるでしょう。 相手と良い関係を築き、協力しながら物事を進めるためにもぜひ傾聴力を積極的に身に付けてみてください。

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この記事を書いた人
Schoo編集部
Editor
Schooの「世の中から卒業をなくす」というミッションのもと活動。人事担当や人材育成担当の方にとって必要な情報を、わかりやすくご提供することを心がけ記事執筆・編集を行っている。研修ノウハウだけでなく、人的資本経営やDXなど幅広いテーマを取り扱う。
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