依願退職とは?その意味・メリット・会社都合退職との違いを解説

依願退職とは、従業員が自らの都合で退職の意思を表示することで成立する退職方法です。会社都合退職とは、手順や失業給付金などの手当てが大きく異なります。当記事では、依願退職の意味やメリット、手順について会社都合退職との違いをもとに詳しく解説します。
01依願退職とは何か
依願退職とは、従業員が自ら退職の意思を示して退職することを指す、実務上の呼称です。法律上、明確に定義された用語ではありません。実務では、従業員が退職を申込み、会社が承諾することによって成立する「合意退職」として扱われる場合もあれば、従業員の一方的な意思表示による「辞職(任意退職)」に近い形で扱われる場合もあります。
Schoo for Businessの授業『2.労働契約の開始、終了』に登壇する井上拓先生(弁護士・弁理士)は、労働契約の終了を「任意退職」「自動終了」「解雇」の3類型で整理しています。この授業では任意退職は、前述の「合意退職」と「辞職(任意退職)」を含む形で「労働者の一方的な意思表示または労使の合意により労働関係を終了させること」とされており、依願退職もここに含まれる概念です。
また井上先生は、この授業における「任意退職」は従業員が自らの意思で辞めるものであるため基本的にもめることは少なく、トラブルが集中しやすいのは雇止めなどの自動終了と解雇であると解説しています。
ただし、退職勧奨の経緯がある場合や、本人の意思が曖昧な場合には、離職理由や退職の有効性をめぐってトラブルになる可能性があります。人事・労務担当者は、依願退職という形式だけで判断せず、退職の実態を丁寧に確認する必要があります。
▼参考:確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」|厚生労働省
一般的には自己都合退職として扱われる
依願退職は、従業員本人の意思による退職であるため、一般的には「自己都合退職」として処理されます。雇用保険の離職理由の区分でいえば、倒産・解雇等による離職者である「特定受給資格者」や、やむを得ない事情による離職者である「特定理由離職者」に該当しない、一般の離職者として扱われるのが通常です。そのため、基本手当の受給資格要件や所定給付日数、給付制限の面で、倒産・解雇等による離職とは異なる取り扱いを受けます。
ただし、注意が必要なのは「形式上は依願退職でも、実態によっては雇用保険上の離職理由が自己都合とは判断されない場合がある」という点です。厚生労働省「確かめよう労働条件」でも、合意退職なのか、任意退職なのか、解雇なのかが不明瞭な事案が紹介されており、退職金や雇用保険の受給をめぐってトラブルが発生し得ることが示されています。
解雇・退職勧奨・希望退職・辞職との違い
依願退職と混同されやすい退職形態として、解雇、退職勧奨、希望退職、辞職があります。それぞれ、労働契約を終了させる主体や、会社側の関与の程度、雇用保険上の離職理由の扱いが異なります。
▼参考:ハローワーク インターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」|厚生労働省
解雇との違い
解雇は、使用者が一方的に労働契約を終了させることです。従業員側の意思表示から始まる依願退職とは異なり、会社の意思表示によって契約を終了させる点に特徴があります。
ただし、解雇には厳しい法的制限があります。労働契約法16条では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効になるとされています。また、解雇による離職は、雇用保険上、特定受給資格者に該当し得ます。依願退職の形式をとっていても、実態として会社が一方的に退職を迫っていた場合には、解雇や退職強要と評価されるリスクがあるため注意が必要です。
退職勧奨との違い
退職勧奨は、会社が従業員に対して、自発的な退職を勧める行為です。あくまで「勧め」であるため、応じるか拒否するかは従業員の自由です。従業員が退職勧奨に応じて退職した場合、実務上は従業員の申込みと企業の承諾による「合意退職」として整理されることがあります。
ただし、雇用保険上は、退職勧奨に応じた離職が自己都合退職として扱われるとは限りません。厚生労働省の運営するハローワークインターネットサービスでは、「事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者」は、特定受給資格者の範囲に含まれるとされています。したがって、退職勧奨を行った場合は「本人から退職願が出ているため自己都合である」と一律に処理することは避けるべきです。
希望退職との違い
希望退職は、経営合理化や人員整理などを目的として会社が退職者を募集し、従業員が応募する制度を指す、実務・経営上の言葉です。従業員の自発的な応募を介する点では依願退職と似ていますが、会社側の人員整理や制度設計を起点とする点が異なります。
雇用保険上も、希望退職への応募が常に自己都合退職になるわけではありません。退職勧奨に該当しない企業整備による希望退職募集への応募は、特定理由離職者に該当し得ます。一方で、個別に退職勧奨を受けた離職は、特定受給資格者に該当し得ます。制度の目的、募集方法、個別勧奨の有無を記録しておくことが重要です。
辞職との違い
辞職(任意退職)は、従業員が会社の承諾を必要とせず、一方的な意思表示によって労働契約の終了を申し入れることです。労働基準法ではなく、民法627条1項において、期間の定めのない労働契約では、解約の申入れから2週間を経過することで雇用が終了すると定められています。
一方、会社の承諾を前提とする合意退職では、退職願は「退職の申込み」として扱われます。合意退職の申込みは会社の承諾前であれば撤回できると考えられますが、辞職の意思表示は会社に到達した後、原則として一方的に撤回できません。そのため、「退職願」や「退職届」という名称だけで判断するのではなく、文面や提出時のやり取りを確認することが大切です。
02依願退職のメリット・デメリット
依願退職は、従業員本人の意思が明確であれば、解雇や会社主導の退職勧奨を経た退職に比べて紛争化しにくい退職形態といえます。ただし、退職に至る経緯や離職理由の扱いによっては、企業・従業員の双方に注意すべき点があります。
ここでは、依願退職のメリット・デメリットについて、立場ごとに整理します。
企業側のメリット
企業にとっての大きなメリットは、従業員本人の自由な意思に基づいて退職が成立する場合、解雇無効や退職の有効性をめぐる紛争リスクを抑えやすいことです。日本では解雇のハードルが高く、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠く解雇は無効となります。解雇が無効と判断されれば、従業員は在職していたものと扱われ、解雇時点から復職または紛争解決までの賃金相当額、いわゆるバックペイの支払いが問題になります。
本人の自由な意思に基づく退職であれば、こうした予期せぬ経済的・時間的負担に加え、不当解雇をめぐるレピュテーションリスクを抑えやすくなります。
従業員側のメリット
従業員にとっては、解雇や懲戒解雇と比べて、経歴上の不利益を抑えられる場合があります。例えば、懲戒解雇が検討され得る場面でも、会社が依願退職を認めれば、「懲戒解雇された」という形で退職することを避けられる可能性があります。ただし、離職票や退職証明書の退職事由は、書面の形式だけでなく退職に至る実態に基づいて判断されるため、必ず自己都合退職として扱われるとは限りません。
また、退職の時期や条件について会社と話し合いのうえで決められる場合があるため、引き継ぎ期間や有給休暇の消化、退職金の取り扱いなどを調整しやすい点もメリットです。
企業側のデメリット
企業側のデメリットは、退職の時期を一方的にコントロールしにくいことです。依願退職は従業員本人の意思に基づく退職であるため、想定外のタイミングで申し出があった場合、人員配置や業務の引き継ぎ、採用計画に影響が出ることがあります。特に、専門性の高い人材や管理職が急に退職する場合、後任の確保やナレッジの引き継ぎが間に合わず、事業運営に支障が生じる可能性があります。
また、依願退職では、従業員側から退職日や有給休暇の消化について希望が示されることがあります。会社としては業務上の都合から調整を求めたい場面もありますが、従業員の退職の自由や年次有給休暇の権利を踏まえた対応が必要です。無理に引き止めたり、退職日を一方的に先延ばししたりすると、トラブルにつながるおそれがあるため注意が必要です。
従業員側のデメリット
従業員側の主なデメリットは、依願退職が自己都合退職として扱われる場合、雇用保険の基本手当で不利になる可能性があることです。仮に会社側に退職を促す事情や働きかけがあった場合でも、自己都合退職として処理されると、会社都合による離職に比べて、必要な被保険者期間や所定給付日数、給付制限の有無などの面で不利になる場合があります。
また、退職金規程によっては、会社都合退職より自己都合退職のほうが支給率が低く設定されている場合があります。退職後の生活設計に影響するため、退職前に就業規則や退職金規程を確認しておくことが重要です。
03依願退職と会社都合退職で異なる取り扱い
依願退職が自己都合退職として扱われる場合と、倒産・解雇・退職勧奨等による会社都合退職に当たる場合とでは、雇用保険・退職金・賞与の取り扱いに違いが生じます。人事・労務担当者が説明を求められやすいポイントを整理します。
雇用保険の基本手当
依願退職は、従業員本人の意思による退職であるため、一般的には自己都合退職として扱われます。ただし、退職に至る経緯によっては、形式上は依願退職であっても、雇用保険上は会社都合退職に近い扱いとなる場合があります。たとえば、会社から退職勧奨を受けて退職した場合は、「特定受給資格者」に該当し得ます。
雇用保険では、通常の自己都合退職者は「一般の離職者」として扱われます。一方、倒産・解雇等により離職した人は「特定受給資格者」、有期労働契約が更新されなかったことによる離職者や、正当な理由のある自己都合離職者などは「特定理由離職者」として区別されます。
依願退職が自己都合退職として扱われるか、会社都合退職に近い扱いになるかによって、基本手当の受給条件に差が生じます。一般の離職者は、原則として離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要ですが、特定受給資格者・特定理由離職者は、離職日以前1年間に通算6か月以上あれば受給資格を得られます。
所定給付日数にも違いがあります。一般の離職者は被保険者期間に応じて90日〜150日であるのに対し、特定受給資格者は離職時の年齢と被保険者期間に応じて90日〜330日です。たとえば45歳以上60歳未満で被保険者期間が20年以上ある場合、一般の離職者は150日、特定受給資格者は330日となります。
また、正当な理由のない自己都合退職では、7日間の待期期間満了後、原則として給付制限期間が設けられます。2025年4月1日以降の離職では、給付制限期間は原則1か月です。ただし、退職日から遡って5年間に、正当な理由のない自己都合退職により2回以上受給資格決定を受けている場合、給付制限期間は3か月となります。一方、特定受給資格者に該当する場合は、この給付制限の対象にはなりません。なお、離職期間中または離職日前1年以内に、雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練を自ら受けた場合には、この給付制限が解除されます。
このように、同じ「依願退職」という形式でも、自己都合退職として扱われるか、退職勧奨等による離職として扱われるかによって、基本手当の受給資格要件、所定給付日数、給付制限が変わります。
▼参考:ハローワーク インターネットサービス「基本手当の所定給付日数」|厚生労働省
▼参考:令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について|厚生労働省
退職金の扱い
退職金は、法律上で支給が義務づけられている制度ではありません。支給の有無・金額・計算方法は、各社の就業規則や退職金規程、労働契約の定めによります。そのため、「自己都合退職だから退職金が減額される」というのは制度上当然の扱いではなく、自社の規程が自己都合退職と会社都合退職とで支給率に差を設けている場合に限られます。
厚生労働省の「モデル就業規則」でも、退職金を設ける場合は、支給対象者の範囲、支給要件、金額の計算方法、支払方法、支払時期などを明確にする必要があるとされています。不支給事由や減額事由を設ける場合も、就業規則に明記することが必要です。
賞与の扱い
賞与についても退職金と同様、法律上支給が義務づけられているものではなく、支給の有無や条件は就業規則・賃金規程の定めによります。
実務上、多くの企業が「支給日に在籍していること」を賞与の支給要件とする支給日在籍要件を設けています。裁判例でも、就業規則に明記され、従業員に周知されている場合には、支給日在籍要件が有効と判断された例があります。そのため、依願退職の退職日が賞与支給日より前になれば、算定対象期間に勤務していても賞与が支給されないことがあります。
会社都合退職や解雇の場合でも、賞与の扱いは原則として就業規則・賃金規程の定めによります。ただし、退職日を会社側が設定する場合には、支給日在籍要件との関係で従業員の不満が生じやすいため、退職日の設定や説明には慎重な対応が求められます。
04依願退職の申し出を会社が承諾しない場合の対応
人手不足などを背景に、従業員から退職の申し出があっても、会社が承諾に消極的なケースがあります。しかし法律上、会社が退職を無期限に拒み続けることはできません。
会社の同意がなくても退職は可能
会社の承諾を前提とする合意退職は、会社が承諾して初めて成立します。一方で、会社が合意退職に応じない場合でも、従業員には退職の自由が保障されています。
期間の定めのない労働契約であれば、民法第627条第1項により、従業員はいつでも解約を申し入れることができ、会社が承諾しなくても、原則として申し入れから2週間の経過によって労働契約は終了します。厚生労働省「確かめよう労働条件」でも、会社が退職を認めないと言っても、退職届の提出など退職の申し入れから原則2週間で契約は終了すること、また、就業規則でこの期間を大幅に延長する規定や会社の許可を退職の条件とする規定を設けても、無効とされることが示されています。
企業側の実務としては、退職を引き止めたい場合でも、慰留はあくまで話し合いの範囲にとどめる必要があります。退職届の受け取りを拒んでも、退職の意思表示が会社に到達していれば、退職の効力を妨げることはできません。また、離職票の手続きを遅らせるような対応は、退職後のトラブルにつながるため避けるべきです。退職そのものを拒むのではなく、引き継ぎ期間の確保や退職日、有給休暇の取り扱いなど、現実的な条件調整に注力することが重要です。
有期労働契約では契約期間と退職理由を確認する
契約社員やパート・アルバイトなど、契約期間の定めのある有期労働契約の場合は、取り扱いが異なります。有期労働契約は期間満了までの就労を前提とする契約であるため、期間途中で従業員側から退職するには、原則として「やむを得ない事由」が必要です。やむを得ない事由がないまま期間途中で退職し、会社に不測の損害を与えた場合には、損害賠償責任が問題となる可能性があります。
ただし、契約期間が1年を超える有期労働契約については、労働基準法137条により、契約期間の初日から1年を経過した日以後はいつでも退職できるとされています。なお、高度専門職や満60歳以上の労働者との契約など、一部の例外があります。
したがって、有期労働契約の従業員から退職の申し出があった場合、企業は、契約期間、勤続期間、退職理由、労働基準法137条の適用有無を確認したうえで対応を判断する必要があります。なお、会社と従業員が合意すれば、有期労働契約であっても期間途中で合意退職することは可能です。
▼参考:労働基準法|e-Gov法令検索
05従業員から依願退職の申し出があった際の企業対応
依願退職は、従業員本人の意思が明確で、適切な手続きを踏んでいれば、解雇や雇止めに比べて紛争化しにくい退職形態といえます。ただし、「言った・言わない」や離職理由をめぐる紛争を防ぐため、企業は退職に至る経緯と手続きの記録を残しながら対応を進めることが重要です。
退職意思と申し出の経緯を確認する
まず、本人の退職意思が真意に基づくものかを面談で確認します。確認すべき事項は、退職意思の確実性、希望退職日、退職理由、申し出に至った経緯です。
特に、上司とのトラブルやハラスメント、退職勧奨に近い働きかけが背景にある場合、本人が自己都合退職の形で退職しても、後日「退職を強要された」「実質は会社都合だった」と主張される可能性があります。口頭の申し出だけで処理を進めず、退職願・退職届など、書面または記録の残る方法で意思表示を受けることが重要です。
労働契約と就業規則を確認する
次に、当該従業員の労働契約と自社の就業規則を確認します。主な確認事項は、無期契約か有期契約か、就業規則上の退職手続き、退職金・賞与の支給要件、引き継ぎや貸与品返却に関する定めです。
就業規則では「退職の30日前までに申し出る」などの予告期間を定めていることがあります。ただし、期間の定めのない労働契約では、民法上、原則として解約の申し入れから2週間で雇用が終了します。本人の希望退職日と就業規則の定めに開きがある場合は、一方的に規則を押し付けるのではなく、引き継ぎや有給休暇の消化を含めて話し合いで調整するのが望ましいでしょう。
退職日と年次有給休暇を調整する
退職日は、業務の引き継ぎに必要な期間、残っている年次有給休暇の日数、賞与や社会保険料の締め日などを踏まえて、本人と協議のうえ決定します。
年次有給休暇は労働基準法上の権利であり、退職を理由に取得を拒むことはできません。会社には事業の正常な運営を妨げる場合の時季変更権がありますが、退職日を越えて取得時季を変更することはできないため、退職前の年休取得は原則として認める必要があります。年休の買い上げは原則として認められませんが、退職時に消化しきれず消滅する未消化分について、会社が任意に買い上げることは可能とされています。
退職願・退職届などを受領する
退職の意思は、必ず書面または記録の残る電子的手段で受領します。退職願・退職届の法的な違いは前述のとおりですが、実務上は、退職日、提出日、本人氏名、退職理由が確認できる書面を受領し、受領日を記録しておくことが重要です。
会社が合意退職として承諾する場合は、受理通知や承諾書などで承諾の意思表示を残しておくと、後日の撤回トラブルを防ぎやすくなります。承諾前であれば退職願が撤回され得ること、承諾後は本人からの一方的な撤回が原則として認められないことを踏まえ、承諾のタイミングを明確にしておく必要があります。
業務の引き継ぎと情報管理を行う
退職日までに、担当業務の引き継ぎを進めます。あわせて、貸与PC・スマートフォン・社員証・鍵などの返却、社内システムやクラウドサービスのアカウント権限の停止、顧客情報・技術情報などの持ち出し禁止を確認しましょう。
必要に応じて、秘密保持に関する確認書を取り交わします。競業避止義務を定める場合は、対象者や制限範囲、期間などが過度にならないよう慎重に設計する必要があります。特に不祥事を背景とする依願退職では、証拠資料の保全とアクセス権限の管理を速やかに行うことが重要です。
退職時に必要な書類を交付する
退職に際しては、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、離職票の交付に必要な離職証明書、社会保険の資格喪失に関する書類など、必要な書類を漏れなく準備します。年金手帳や基礎年金番号通知書を会社で保管している場合は、退職時に本人へ返却します。
また、従業員から請求があった場合には、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由などを記載した退職証明書を遅滞なく交付しなければなりません。交付漏れや遅延は退職後のトラブルにつながるため、チェックリストで管理するとよいでしょう。
社会保険・雇用保険・税務の手続きを行う
退職後は、期限のある行政手続きを速やかに進めます。健康保険・厚生年金保険については、退職日の翌日である資格喪失日から5日以内に、被保険者資格喪失届を提出します。本人・被扶養者に交付されている資格確認書等がある場合は回収し、資格喪失届に添付します。
雇用保険については、資格喪失日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届を提出します。離職票の交付が必要な場合には、雇用保険被保険者離職証明書を添えて、管轄のハローワークに提出します。税務面では、源泉徴収票の交付に加え、住民税の特別徴収に関する異動届出書の提出、退職金を支給する場合の「退職所得の受給に関する申告書」の確認などを行います。
▼参考:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構
離職理由を事実に即して届け出る
最後に、最も紛争になりやすいのが離職証明書に記載する離職理由です。離職理由は、基本手当の受給資格、給付日数、給付制限に影響するため、退職願の有無だけでなく、退職に至る経緯に基づいて判断する必要があります。
純粋に本人の意思による依願退職であれば、自己都合退職として届け出ることが基本です。一方、退職勧奨に応じた退職であれば、形式が依願退職であっても、事業主からの働きかけによる離職として扱う必要があります。助成金の要件維持や本人の希望を理由に、事実と異なる離職理由を記載してはなりません。離職理由の判定は最終的にハローワークが行うものであることを本人にも説明し、事実に即した届け出を徹底することが重要です。
「研修をしてもその場限り」「社員が受け身で学ばない」を解決!
研修と自己啓発で学び続ける組織を作るスクーの資料をダウンロードする
■資料内容抜粋
・大人たちが学び続ける「Schoo for Business」とは?
・研修への活用方法
・自己啓発への活用方法 など

06労務管理研修ならSchoo for Business
Schoo for Businessは、社員研修にも自己啓発にも利用できる人材育成プラットフォームです。「労務管理研修」では、勤怠・労働時間管理の基礎からハラスメント対応、メンタルヘルスケア、労働法まで、適切な労務管理に必要な知識を体系的に学ぶことができます。
労務管理研修向けのカリキュラム例
Schoo for Businessで提供している労務管理研修向けのパッケージについてご紹介します。
| 1 | ハラスメント防止研修パッケージ|管理職向けハラスメント基礎 |
| 時間 | 1時間40分 |
| 研修内容 |
組織やチームの管理職として知っておくべき、ハラスメントが発生した際のメンバーへの対処方法とその防止策について学べる研修です。ハラスメントへの管理職としての関わり方から、具体的な対応方法まで実践的な知識を習得できます。※管理職向けの内容となりますが、人事・総務・労務担当者の方にも参考になる内容となっています。 |
| 2 | 勤怠・労働時間管理研修パッケージ |
| 時間 | 1時間05分 |
| 研修内容 |
初めて勤怠データを管理する方向けの研修です。法律上の注意点や締め日前に気をつけたいポイントを中心に学べます。客観的な記録の重要性や残業管理の実務、36協定の遵守など、勤怠管理の基礎知識を理解できる内容です。 |
| 3 | メンタルヘルス・休職復職対応研修パッケージ |
| 時間 | 1時間40分 |
| 研修内容 |
従業員の心の健康を守るための研修です。メンタルヘルスの基礎知識から、不調のサインの見抜き方、傾聴や声かけのポイント、休職・復職時の法的留意点まで学べます。 |
| 4 | 労働法・就業規則基礎研修パッケージ |
| 時間 | 1時間40分 |
| 研修内容 |
管理職や人事、労務、総務担当者が押さえるべき労働法の基礎を学べる研修です。法定労働時間と36協定、労働契約の手続き、安全配慮義務など、労務管理で直面する課題への対応方法が学べます。 |
07まとめ
依願退職とは、従業員が自ら退職の意思を示して退職することを指す実務上の呼称です。一般的には自己都合退職として扱われることが多いものの、退職勧奨など会社側の働きかけがあった場合には、雇用保険上、会社都合退職に近い扱いとなる場合があります。
企業は、退職意思と経緯の確認から事実に即した離職理由の届け出まで、一連のフローを丁寧に進めることがトラブル防止の観点から求められます。