職場で起こる不機嫌ハラスメントの意味と対策について解説する
人は誰しも時には不機嫌になることがあります。現在は、様々なハラスメントがある中で「フキハラ」と呼ばれるハラスメントがあることをご存知でしょうか。不機嫌になることで起きるハラスメントを指し、ストレス社会と言われる現代で問題視されています。本記事では、職場で起きる不機嫌によるハラスメントについて解説していきます。
- 01.不機嫌ハラスメントとは
- 02.不機嫌ハラスメントの具体的例とは
- 03.不機嫌ハラスメントが起きる原因
- 04.不機嫌ハラスメントが起こったときの対処法
- 05.不機嫌ハラスメントを抑制する仕組み作り
- 06.不機嫌ハラスメントの予防法
- 07.まとめ
01不機嫌ハラスメントとは
不機嫌ハラスメントは何かについて解説していきます。不機嫌ハラスメントとは、どんなハラスメントであり、どの様な影響を与えるかについても解説していきますので、自社において不機嫌ハラスメントが起きていないか確認していきましょう。
不機嫌ハラスメントとはどんなハラスメントか
不機嫌ハラスメントとは、通称「フキハラ」と呼ばれ、「不機嫌」な気分の時に周囲の人にあたってしまい困らせることを指します。不機嫌になることで、口調や態度が変わり周囲の人に気を使わせたりするは、人間関係のトラブルを起こしてしまいます。フキハラになることで、周囲は常に気を使うことや仕事の依頼をすることに抵抗が出るなど日常の業務にも影響を与えてしまうことになり兼ねないハラスメントです。
不機嫌ハラスメントが広まりやすい理由
フキハラは周囲に影響して広まりやすいハラスメントです。不機嫌な態度を取ることで、相手の気持ちも不機嫌になることは当たり前のことですが、この連鎖により部署内では不機嫌な態度を取る人が増えていく可能性も高く広まりやすいハラスメントと言われています。不機嫌な人の相手をすることで、不機嫌になり、その不機嫌な人を相手にすることで他の人も不機嫌なるという循環が起きてしまうことは、とても危険なことだと理解頂けるはずです。この様に、不機嫌なハラスメントは簡単に広がっていく点を理解し注意しておきましょう。
無意識に巻き込まれているケースが多い
フキハラは、無意識に巻き込まれるケースも多いハラスメントとも言われています。相手が不機嫌であるか知らずに話しかけてしまうなど、話をするまで不機嫌であるか分からに場合も多々ありフキハラに巻き込まれてしまう人が出てしまう危険があることを理解しておきましょう。
02不機嫌ハラスメントの具体的例とは
フキハラの具体的な例をご紹介していきましょう。ご紹介するサインが見られる場合には、フキハラの可能性があります。ただし、人間は不機嫌になることもあるため、たまたま不機嫌であった可能性もある点に注意して判断を行うようにしましょう。
仕事を頼むと嫌な顔をする
仕事を頼むと嫌な顔をする。フキハラには多い事例ですが、判断基準は特定の人が頼んだ時に不機嫌な顔をする、仕事を頼むと常に嫌な顔をされるなどがあえばフキハラと判断していきます。自分にばかり嫌な仕事を押し付ける、この人からの仕事は面倒などの理由で、フキハラを起こす人にも不機嫌になる要因があります。その他に、機嫌が悪い時には、仕事の依頼を断るなど気分により対応を変えるなどの場合もフキハラを疑うようにしましょう。
一方的な攻撃を行う
フキハラで最も問題になるのが、不機嫌になると理由もなく文句を言ってくる、同じ人にのみ当たるなど攻撃性が高くなる場合です。フキハラを起こす場合には、言いやすい人や立場の弱い人に不機嫌な態度を取り、攻撃をすることが多く発生します。この時、攻撃をする人に原因がある訳ではなく、一方的に攻撃する、文句を付けるなどの行為におよぶこともあるため早期な解決が必要になると理解しておきましょう。
03不機嫌ハラスメントが起きる原因
フキハラが起きる原因について解説していきます。なぜ、フキハラを起こすのかを知る事で原因の分析が進み問題解決の糸口が見つかることもあります。フキハラの場合には、メンタル的な要素も多く原因と考えられるため、フキハラが起きた場合の原因究明にはメンタル面でのサポートも必要になることを理解しておきましょう。
成果があがらないストレス
「いくら頑張っても成果が上がらない」「努力をしていても成果に結びつかない」場合には、誰しもイライラしたり、メンタル面での余裕がなくなる可能性があります。成果が上がらない場合のイライラの背景には、自分なりの努力をしていること、一生懸命頑張っているが成果が出ないということがあります。こうした場合には、一度、自分自身が行っていることを振り返り、別の方法などを見出す必要がありますが、その余裕を持てない間は不機嫌になる可能性が高くフキハラを起こしやすい状況が作られます。
認められていないと感じるネガティブ感情
「自分は他の人に比べて評価されていない」などネガティブな感情を持つこともフキハラの原因になります。評価されていないことで、自分だけがと思ってしまうなどネガティブな感情に拍車がかかり、不機嫌になってしまうこともあります。しかし、ネガティブな感情を持たせないために評価をあげることは企業としてはできません。この様な場合には、できている部分をそうでない部分を切り分け、評価している部分を伝え、より高い評価を得るためにするべきことを伝えるなどの工夫を行いましょう。
睡眠不足などの体調不良
睡眠不足や体調不良などにより不機嫌になることでも、フキハラはおきます。残業が続いている、休日出勤が重なったなどが原因で不機嫌になり、フキハラをしている場合には、しっかりと休暇を取らせ、体調を整えさせることも必要です。
04不機嫌ハラスメントが起こったときの対処法
実際にフキハラがおきた場合の対処法について解説していきます。フキハラが起きた場合には、周囲への影響を考え早急な対応が必要です。ご紹介する方法を踏まえ、早急な対応ができる準備をしておきましょう。
本人への指導を行う
フキハラが起きた場合には、事実確認の後、本人への指導を行う必要があります。どうしてフキハラが起きているのか、どう影響しているかの説明や根本的な原因究明を行います。時には、周囲にそう感じられている事に気が付いていない場合もありますが、影響を与えてしまっていることや、今後、再発を防ぐために必要なことを意識できる様に指導を行っていきましょう。
業務指示系統の見直しを行う
特定の人からの業務依頼や業務指示があった場合のみフキハラが起きている場合には、業務の指示系統の見直しが有効です。なぜ、フキハラが起きてしまうかの原因究明を行う中で、特定の人が起こす対応に問題があることが判明する場合もあります。この様な時は、双方への指導が必要となることに注意しておきましょう。
配置転換を検討する
フキハラにより周囲との人間関係に問題が起きている場合に修復が難しいと判断されることにより配置転換を実施する可能性を検討する必要があります。配置転換において注意しなければいけないことは、フキハラを起こしていることは他の部署でも知られており異動先での人間関係構築が難しい場合もあるということです。配置転換の実施については、本人への動機付けを行うと同時に、異動先での受け入れ体制を構築する必要があることを理解しておきましょう。
05不機嫌ハラスメントを抑制する仕組み作り
人は不機嫌になる可能性を誰しも持っていますが、フキハラを起こさせない、抑制する仕組み作りも企業側の責任として実施する必要があります。次にフキハラを抑制する仕組み作りについて解説していきます。
従業員の性格特性を把握する
性格分析などを活用し、従業員の性格特性を把握することもフキハラには有効です。攻撃性の有無、自己管理能力の有無やストレス耐性などの観点での状況を把握しフキハラを始めハラスメントを起こす可能性がある従業員を把握することが可能になります。性格特性だけで、ハラスメントを起こすと断言できる訳ではありませんが、面談などの場を通してフキハラを起こす可能性があるかを見極める情報として活用していきましょう。
健康管理の徹底を促す
睡眠不足や残業過多などによる体調不良のフキハラを防止するためには、健康管理の徹底を実施します。業務量の再配分なども実施し、健康を維持できる環境作りを徹底していくことも大事な対策です。健康管理の徹底については、企業側で行うだけではなく、従業員一人一人が自己管理する必要性を説明し、自らが健康を維持する対策を講じる様に働きかけていきましょう。
アンケートなどによる情報収集を行う
定期的なアンケート実施などによるハラスメント全般の早期発見の仕組み作りを行っていきます。年に1度、半年に1度などのサイクルをあらかじめ決めておき、ハラスメントを受けている本人だけではなく、ハラスメントを見たなど周囲からの情報を収集する仕組み作りが必要です。
相談窓口の設置を行う
フキハラを始めとするハラスメント全般においての相談窓口を設置し、社内に周知しておきましょう。相談窓口は、社内だけではなく社外窓口も設けることで、「人に知られたくない「相談しにくい」という気持ちを持っていても相談できる環境を構築しておくことが大事です。社内窓口への相談においては、守秘義務を守ることはプライバシーを守る上でも重要となるため徹底できる環境を作っておきましょう。
不機嫌ハラスメントに関する社員教育を行う
フキハラを始めとするハラスメント全般の社員教育を計画的に実施する方法も有効です。フキハラの事例などを交えて研修を行うことで、自分への気づきを促し、周囲でも気が付きやすい知識を身に付けていくことが必要になります。フキハラを始めハラスメントは、気が付くことが大切です。研修を通して早期発見につながる風土作りを行っていきましょう。
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06不機嫌ハラスメントの予防法
フキハラが怒らないようにする方法の一つとして、アンガーマネジメントを取り入れることが挙げられます。アンガーマネジメントとは、「怒り」の感情とうまくつき合い賢くコントロールすることや、その手法です。 1970年代にアメリカで生まれた概念です。怒りをコントロールするための「アンガーマネジメント」入門というSchooの授業において、怒りのコントロールする方法として以下を紹介しています。
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(社)日本リーダーズ学会代表理事 リーダーズアカデミー代表
人づくり、組織づくりに特化をした、スークール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。IT系企業に入社後、同期100名の中でトップセールスとなり、最年少営業部長に抜擢。 就任3か月で担当部門の成績が全国No,1に。28歳で独立、2004年株式上場(IPO)を果たす。 現在は、講演・企業研修・コンサルティングを行う傍ら、顧問・社外役員として経営に参画。リーダー育成の専門家として世界15都市でビジネスセミナーを開催。
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タイムアウト(その場を離れる)
タイムアウトは、少しの間を置くというアンガーマネジメントの手法になります。一般的に普及しているアンガーマネジメントの手法で「6秒待つ」というものがありますが、このタイムアウトと同義です。 怒りが生じたとき、そのピークは6秒だといわれています。衝動的な怒りは、暴力や暴言に現れてしまい相手を傷つけてしまう恐れがあります。怒りを感じたら、まずは6秒待つことで衝動的な行動を制御することができるのです。怒りを感じた時は、深呼吸で心を落ち着かせたり、一旦その場を離れるといった行動をとると良いでしょう。
ストップシンキング(思考を止める)
怒りの感情を客観視できた際に、思考を止めて怒りの感情を制御する手法です。頭の中に自分が喜びを感じた瞬間や幸福を感じた出来事を常に用意しておいて、感情が乱されたタイミングで思考を止め、嬉しかった時のことや幸福を感じた瞬間を思い浮かべることで怒りの思考を停止させることができます。
スケールテクニック(レベルをつける)
怒りにレベルをつけるという手法がスケールテクニックです。怒りの感情を持ってしまった時に、過去に起きた怒りの事象と比較して、現在の怒りの感情がどれくらいのレベルかを数値化します。そうすることによって、突発的に感情に任せて発言することもなく、間を置くことができ、過去の事象と対比した際にレベルが低ければ怒ることではないという自分の中で結論になることもあるでしょう。
プレイロール(理想の人物を演じる)
自分自身が尊敬している上司や先輩を想定して、その人だったらどう思うか・対処するかを考え、現状と向き合う手法になります。ある意味で自分の思考を止めているので、先述したストップシンキングに近いアンガーマネジメントの手法と言えるかもしれません。
リフレーム(受け取り方を変える)
受け取り方のメガネを変えるという手法がリフレームです。人は誰しも自分のメガネ(フィルター)を通して物事を見ています。違うメガネをかけたら、この事象はどう見えるのかを考えてみるというのがリフレームの具体的な方法になります。
ポジティブフォーカス
ポジティブフォーカスは、感情が乱されたときに、人の良い側面に焦点を当てるというアンガーマネジメントの手法です。例えば、「あの人の発言は許せないけど、あの人は後輩に優しい側面を持っている」というように、人の良い部分や尊敬できる部分を思い浮かべて、怒りの感情を抑える手法です。
キープメンター
感情マネジメントをしていくには、怒りの感情を溜めないことが非常に重要です。つまり、感情を定期的に吐き出すことによって、怒りの感情にならないように調整するのがキープメンターです。例えば、ブログに感情が乱された出来事を書いたり、仲のいい先輩に相談したりといったように、怒りの感情が爆発する前に吐き出す手法をキープメンターと言います。
アンガーログ
アンガーログは、怒りの記録をとっていくという手法です。怒りのログを記録していくと、自分が怒るパターン・傾向を掴むことができます。自分がどのようなことで怒りやすいかを分析することで、その事象が起こらないように事前に手を回しておくことが可能になります。また、自分が何で怒りやすいかを客観視できているので、その場面に遭遇してしまっても「このパターンか」と一旦落ち着くこともできるようになるでしょう。
アクトカーム
アクトカームは、怒らないと決めるという手法です。例えば、今日1日は絶対に怒らないと決めて、何が起こっても怒らないというのがアクトカームです。この手法は、絶対に怒らないという誓いを自分で守り通すことができれば、非常に強力な手法となります。特に怒りやすい人ほど、アクトカームを用いて耐性をつけていくと、自分の「〜あるべき」が緩和されていき、怒りにくいようになることもできます。
このようにアンガーマネジメントを活用することによって、怒りをコントロールすることができますので、フキハラが発生する前に、研修として取り入れてみるのも一つの方法です。
07まとめ
本記事は、不機嫌ハラスメントについて、定義、注意しておくべき事柄について解説しています。不機嫌ハラスメントは、周囲に広がりやすく影響を与えやすいハラスメントです。本記事を参考に早期発見、抑制できる環境作りを行っていきましょう。